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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2006/12/01
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/492p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-509011-9
  • 国内送料無料

紙の本

百年の孤独 (Obra de García Márquez)

著者 G.ガルシア=マルケス (著),鼓 直 (訳)

蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底な...

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百年の孤独 (Obra de García Márquez)

税込 3,080 28pt

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商品説明

蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら…。20世紀が生んだ、物語の豊潤な奇蹟。【「BOOK」データベースの商品解説】

蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく100年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家に受け継がれた孤独の深淵。20世紀後半の世界文学を力強く牽引した怒濤の人間劇場。〔1999年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】

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ジュンク堂

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評価内訳

紙の本

圧倒的な物語の奔流。

2007/06/04 21:44

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ふう、疲れた。
 私はいつまでも物語の世界に浸っていたい人間なので、長編を読むのは全く苦にならない。けれど本書を読み終えた時、まるで何十キロも走った後のような疲労感を覚えた。トルストイの『戦争と平和』を読んだ時ですら、ここまで疲れなかった。
 作品が特別長い訳でも、文章が読みにくい訳でもない。この、ファンタジーともSFともとれる一つのジャンルに収まりきらないガルシア=マルケスの壮大な世界観に圧倒させられたのだ。
 とにかく、濃い。
 本書は、マコンドという村を舞台にした、ブエンディア家の百年にわたる物語である。数年ではなく、百年もの長いスパンで語られる一族の生と死、愛憎入り混じる人間模様が語られていく。主人公と呼べる者を敢えていうなら、マコンドという場所そのものなのかもしれない。百年にわたる興亡を、映像で一度に見せられたような感覚である。
  「こういう圧倒的な語りを前に、一体どういう「解説」が可能なのだろう。全く途方に暮れてしまう。」
と、本書の解説で作家の梨木果歩さんが述べているように、この作品には説明や言葉は余計なものなのだろう。ただ、物語を読み、浸り、感じる—それが全てなのではないか。
 とはいえ、それでは書評を放棄する言い訳になってしまうので、なんとか自分なりに感じた『百年の孤独』を書きつらねてみる。
 本書を読む楽しさは二つあると思う。
 ひとつは、百年という単位で一族の盛衰を読む、総論としての楽しさ。もうひとつは、エピソードのひとつひとつを読む、各論としての楽しさ。魔術師によって次々と繰り出される手品(本書ではエピソードのこと)を驚きながら必死に受け止めていると、最後に特大のイリュージョンが披露され、幕を閉じる。
 作中にはたくさんの人間が登場するが、男性は、内向的で頭のいいアウレリャノ・タイプか、衝動的で度胸のあるアルカディオ・タイプの二種類、女性は、家庭を守り支えるウルスラ・タイプと、男性を受け止める情の深いピラル・タイプに大別される。同じタイプのキャラクターの繰り返しにも関わらず、飽きさせることなく読者を物語の世界に引き込む手腕は見事である。もう死んだと思っていた人間が数十ページ後にひょっこり現れるところなんて、いい意味で作者の掌で弄ばれているように感じた。
 登場人物は、非業の死を遂げる者や、誰にも看取られることなく死ぬ者が少なくない。タイトルの「孤独」には、人間は皆一人で死ぬ、という根源的な孤独の意味も込められているのではないだろうか。
 <この一族の最初の者は樹につながれ、最後の者は蟻のむさぼるところとなる>(P.470)
 ガルシア=マルケスはこの一文を、物語る力で百年の壮大な虚構の世界に仕上げてしまう。多分、この人と同じものを見ても、受け取る情報量の多さは格段に差があるのだろう。
 本を閉じた後も、ぐわんぐわんと頭の中で耳鳴りがするような強烈な一冊である。

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紙の本

圧倒的な情報量と重厚な物語

2023/10/11 08:25

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る

読むのに一週間ほどかかりましたが、それくらい情報量が多く、かつその情報一つ一つが後の物語につながっていく重厚感のある物語でした。
最後の文章を読んだときに、一気にその情報が昇華された感じも与える傑作。
しかし、もう一度読むかと言われると疑問符がつく。

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紙の本

文学的評価が高い作品です

2023/10/22 08:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:通りすがり - この投稿者のレビュー一覧を見る

文学的評価が高い作品で「おすすめ文学100選」など検索すると、必ず上位に来る作品です。
なので、一度は読んでおいた方が良いかなと思う作品ですね。

内容は、中世と近代が入り混じったような不思議な世界観。
魔法のような描写があるかと思えば、近代的な機械や銃なんかも登場する。
こういうのをマジックリアリズムというらしいです。

あとは同じ名前の人物が沢山登場して、誰が誰だか分からなくなるw
この辺りはラテンアメリカ文学にありがちな難解なところが顔を出します。

読後感は、何とも言えない喪失感があります。
過去の思い出が走馬灯のように流れ、その町の記憶が蜃気楼のように消えて行く様を見ているような感じでした。

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紙の本

読みづらいが

2023/10/12 10:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

入植者一族の何代にも渡る歴史を書いた一種の大河小説である。索引 や 家系図を見ながら出ないと読めないほど登場人物の区別がつきにくい作品である。文体 語り口も独特で決して読みやすいとは言えないが、不思議な やや麻薬っぽいような魅力がある。

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紙の本

熱帯雨林のような暗さと生命力を感じる物語

2021/06/27 12:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:第一楽章 - この投稿者のレビュー一覧を見る

過去と未来、現実と非現実、この世(此岸)とあの世(彼岸)を行ったり来たりしながら綴られる、南米のある場所(どこかはよく分からない)を開拓して”マコンド”街を興し、そして街と一緒に消えていった開拓者一族の物語です。
さまざまなエピソード(血生臭いものから不可思議なものまで)が盛りだくさんの物語なのに、その語り口は極めて静かです。鬱蒼とした深い森独特の、生命の気配に満ちた暗さ、時折響く「ギャー」という得体の知れない鳴き声に破られビクッとさせられる静けさ、そうしたものがこの物語の通奏低音となっています。
登場人物一人一人が、並外れて濃い家族への愛情や情念、情欲、野望を持っているのに、「家」というものに強く支配されて生きているのに、それらが共有されることなく深い”孤独”を抱えながら消えていきます。それはまるで多様な種が互いに絡み合い競争しながら繁り、そして朽ちていく熱帯雨林のようです。特に一族と街が崩壊していくときの早さといったら、熱帯の無慈悲なほど旺盛な代謝を思わざるを得ません。
ガルシア=マルケスの本は初めて読みました。決して読みにくくはないのに(訳もいいのでしょう)、すいすいと読み進むことができない。藪漕ぎのようにちょっとずつ読んでいる間に、蔦に絡め取られるような不思議な読書体験でした。

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紙の本

蜃気楼の町

2020/05/04 16:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る

架空の町マコンドの誕生から消滅までを描いた小説。騙りの奔流のような奇怪な出来事が最初から最後まで立て続けに起こり、こじんまりした現実らしさを押しやってひたすらに幻惑される。似たような名前の人物が複数、それも何代にも渡って登場して来るが、その異様な人物たちは何かに憑かれたように懸命に生きる。抒情以上に叙事的で神話的。グロテスクで猥雑。抑制よりも過剰。辻褄合わせより幻惑。面白いというより、行き過ぎた満腹感で、読後はどっと疲れるし読み終わってぐったりした。

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紙の本

500頁近い長さが短く感じられる魅力をもった長編小説

2010/03/12 23:23

15人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 南米コロンビアの街マコンドに暮すブエンディア家の6代100年に渡る歴史を描く小説。

 登場人物たちを貫くブエンディア(Buen dia=良き日)という姓とは裏腹に内戦、家族間の諍(いさか)い、近親婚など、暴力と波乱に満ちた日々が描かれていきます。
 いや、見方を変えれば、これだけ波乱に満ちた日常も、「良き日」というのどかで無邪気な名字のせいか、立ち上がれないほどの痛みが伴わないという、不思議な魅力にあふれた物語であるともいえます。

 登場人物たちの行動に南米先住民族を想起させる呪術的な色合いがある点もこの物語に凄惨さを与えない理由の一つでしょう。
 また各男性陣はラテン文化特有のマチスモを確かに備えていますが、それに屈しないしたたかさを女性陣が皆湛(たた)えているため、これまた打ちひしがれたといった思いを残す登場人物がいないのです。

 殊に印象に残ったのは次のくだりです。
 「『仕方がないさ。時がたったんだもの』
  つぶやくようなその声を聞いて、ウルスラは言った。『それもそうだけど。でも、そんなにたっちゃいないよ』
  答えながら彼女は、死刑囚の独房にいたアウレリャノ・ブエンディア大佐と同じ返事をしていることに気づいた。たったいま口にしたとおり、時は少しも流れず、ただ堂々めぐりをしているだけであることをあらためて知り、身震いした。しかしだからといって、あきらめはしなかった。」(385頁)

 人間は生まれて死んでいく過程で何かを積み上げ次世代へ伝承し、そして進歩を促すことを旨とするところがあるでしょう。しかしこの小説の人々の性癖や行動原理は100年を経ても進化も深化もありません。一直線の確実な進歩に懐疑的な作者の思いが投影されているのでしょうか。永劫回帰的な物語展開に強い説得力を感じるのです。

 頁を繰りながらやがて物語が果てることがとても惜しまれてならなくなる小説です。

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紙の本

桜庭一樹は自ら『赤朽葉家の伝説』について言っていますが、阿部和重の『ピストルズ』、そして西尾維新の小説ですらこのマルケスの作品の影響下にあるんじゃないでしょうか。何度でも繰り返し読むことができ、そのたびに発見がありそうな、孤島に持っていくには最適な一冊です。

2010/05/27 20:18

19人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

桜庭一樹の『赤朽葉家の伝説』に出会っていなかったら、私はこの名作というか奇作を読むことはなかったかもしれません。それほどに『赤朽葉家』は面白かったし、桜庭が『百年の孤独』に寄せる想いは大きいものでした。多分、桜庭作品にほれ込んでしまった読者の多くが、この本の存在を知り、それならば、と挑戦したのではないでしょうか。改訳版の発行が2006.12.20で、私の手元にあるのが 2009.5.15 8刷とあります。さすがロングセラー、着実に読者を拡げています。

それにしても、好きですね、このカバー。ま、全体を見ないでいうのは何ですが、ここだけみれば完全に書の世界。しかも前衛、それでいてどこか古賀な趣がある。このガルシア=マルケス全小説のカバー画はどれも秀逸ですが、角背とややアイボリー入った質感のある紙、それにモノトーンの現代画、そして文字を白、金、銀を使って配する、新潮社装幀室っていうかShinchosha Book Design Divisionの実力を見せつけられる気がします。I think so. 

そのカバー画とデザインについては

Drawing by Silvia Bachli
91.7:without title,1991,"LIDSCHLAG How It Looks",Lars Muller Publischers,2004 through WATARI-UM
Design by Shinchosha Book Design Division 

とあります。

本文のほうですが、正直、あまりに夥しい数の人間が、殆ど同じような名前で登場するので、巻頭の家系図を見ながら読むのが正しいかもしれませんが、私としてはむしろ、同じ名前の人間はたとえ祖父と孫であっても、結局は同じなんだ、というマルケスの意図のようなものが感じられて、あえて混乱したまま読むのがベストではないか、なんて思ったりします。

たとえば、この小説では恐ろしいような大量虐殺が描かれるのですが、それすら被害者の関係者たちすら無かったこととして納得してしまう、あるいはそんな人間はいなかったことになってしまう、いや、ほんとうは虐殺なんか無かったのかもしれない、それはどっちでもいい、多分、マルケスはそう描いてもいます。だから、このお話を克明に、文学的に読み解くことは必要なんでしょうが、最初は混沌のなかに投げ込まれたつもりで読むのが正解だと思うんです。

有り難いことに、というか当然のことにこの本は再読、再々読をしても飽きることはないでしょう。その時にメモを取ったらいい。ちなみに、私は巻末の梨木香歩の解説を読みながら、そうか、そういう人間関係が描かれていたのか、とプロの読み方に感心したものの、でも本当にそう書かれていたのか、といわれると、もしかしてドーデモいいんじゃないか、マルケスは読み解かれることを望んでいないんじゃないか、なんて思ったりもするわけです。

そういう意味で、詳しい人物像をいつものように紹介することが、一回しかこの本を読んでいない私には難しい。ですから、とりあえず記憶に残っている人間について書いておきましょう。

なんといっても小町娘のレメディオスです。もちろん、レメディオスの曾祖母であるウルスラがいますし、レメディオスの父であるアウレリャノ・ブエンディア大佐もいます。もらわれっ子のレベーカや、彼女に嫉妬し結婚を妨害しまくるアラマンタも凄いです。それと嫁ぎ先に来て、自分流を押し通そうとする、レメディオスに一歩譲るものの、それでも比類なき美女のフェルナンダも立派です。そして最後の方に登場する、これまた美女のアラマンタ・ウルスラがいい。

でもやっぱり、小町娘のレメディオスです。だって彼女については最初は
                *
母親の清楚な美貌を受け継いだレメディオスは、小町娘のレメディオス、という名で知られるようになっていた。
                *
といった程度の描写でしたが、それは
                *
 そのカーニバルの女王には、小町娘のレメディオスがえらばれた。怖いような曾孫の美貌をつねづね心配していたウルスラに、それを止める力はなかった。その時まで、アマランタと連れ立ってミサに行くときはともかく、彼女をひとりで外に出したことはなかった。ミサに行くときも、黒いマンテラでかならず顔を隠させた。僧侶に変装してカタリノの店で罰当たりなミサをあげるような、およそ信心に縁遠い男たちまでが、信じがたいほどの美貌のうわさが低地じゅうに伝わり、驚くべき熱狂を呼びさましているいる小町娘のレメディオスの顔をひと目みたいという、それだけの理由で教会に足を運んだ。その願いがかなうまでにはずいぶん時間がかかったが、しかしこの機会を与えられないほうが彼らは幸せであったかもしれない。その大半がそれ以後、二度とやすらかな夢を結べなくなったからだ。それができた男――彼はよそ者だった――も心の平安を失って、汚辱と悲惨の泥沼にはまり、数年後のある晩、レールの上で寝ているところを汽車にのしかかられてバラバラになった。緑色のコールテンの服と刺繍入りのチョッキを着て教会にあらわれた姿を見たときから、彼が小町娘のレメディオスの妖しい魅力に惹かれて、遠方から、ひょっとすると外国の遠い町から来たことを疑う者はなかった。
                *
とか
                *
 実際に、小町娘のレメディオスはこの世の存在ではなかった。
                *
とか、はたまた
                *
 レメディオス・ブエンディアが祭りの女王にきまったというニュースは、数時間のうちに低地の向こうまでひろまった。彼女の美貌がうわさになっていない遠い地域にまで伝わって、その苗字を政府転覆の陰謀のシンボルだと考えている連中の不安を呼びさました。
                *
とかに変化していきます。彼女のエピソードはそれこそ枚挙にいとまがありません。彼女の体臭は男たちを発情させ、彼女の姿みたさに押し寄せた男たちは、家の屋根に登っては転落死するしまつ。女ですら彼女の美しさを否定するものはありません。その小町娘のレメディオスは、それでも並みいる男たちの求愛をあっけなく、というかそっけなく退けて全く気にするところがありません。それはただただ無垢の美しさなわけです。

桜庭一樹の小説がこの影響を受けていることは本人も明言していますが、私が思うに西尾維新ですらその影を抜け出てはいないのではないでしょうか。ついこの間、阿部和重の『ピストルズ』を読み終えましたが、これも同列に扱ってもいい気がします。日本人作家への影響はわかりましたが、『百年の孤独』が海外の作家にどのように読まれ、どのような作品を生むことになったのか、今となっては、そちらが気になって仕方がありません。一生ものの一冊です。

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紙の本

決して読みやすくは無かったけれども

2016/02/28 12:18

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:earthbound - この投稿者のレビュー一覧を見る

まずは、一段落が長すぎて読みにくいことこの上なかったです。
原典に当たっていないので著者を批判するわけにはいかないと思いますが、役者ももうすこし読みやすさに注力して頂きたかったと思います。
内容は、読みにくい文体と比較して非常の面白い内容でした。
日本の小説には無いジャンルだと思います。
家族と国家の百年間の歴史をこういった形で小説に出来るガルシア=マルケスには感動しました。

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紙の本

「蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽くしながら………。」 はなはだ要約が難しいだけに、作品のあらすじを語るとすればこのコピーは急所を突いている。

2011/06/12 18:46

8人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「蜃気楼の村」であるから現実にはありえない時空だと私は思い込んでいる。その村に杖のように大きい棒磁石をもったジプシー・メルキアデスが現れ、村中の金属をひきつけてみせる。望遠鏡をみせて遠くのものを近寄せてみせる。ジプシー集団は氷塊(これはその村には存在しないものだった)に触らせる、錬金術の魔法で、あるいは空飛ぶ絨毯で、などなど超絶のワザで村人を驚嘆させるのだ。族長のドン・ホセ・アルカディオ・ブエンディアは彼等のもたらした科学技術に夢中になり、身代をなげうってそれを極め、村の発展を導くことを構想していく。

このイントロに私はスタンリー・キューブリックの記念碑的作品『2001年宇宙の旅』の冒頭シーンを思い浮かべました。猿は宇宙の意思が地球に仕掛けたモノリスに触れて、道具を使い始める。棍棒を武器とし、敵対する部族を制圧する。勝利の雄たけびとともに棍棒を空高く投げ上げると、それが巨大な宇宙船に姿を変える。実に印象的な映像でありました。

それにしてもこのお話、いつごろの時代でどういう場所を想定したのだろうかと気になって、実はそのあとは退屈を覚えながら、読み進めると、120ページあたりで突然「自由党と保守党」が登場。これは現実世界の物語なのかとびっくりさせられました。そう、これは現実世界のお話だと判った。とりあえずは(というのはそんな一筋縄でまとめられるシロモノではない)この物語の「主人公はコロンビア共和国」そのものなのだと短絡的に断定してしまうと、ここからはエンタテインメント並みに面白く読めます。

1499年に,アロンソ・デ・オヘダがスペイン人として初めてコロンビアの地に足を踏み入れ,1509年にはスペインによる征服が開始された。1819年スペインからの独立。物語の冒頭、若き族長のドン・ホセ・アルカディオ・ブエンディアとその妻ウルスラが若人たち300人の村マコンドを立ち上げたのは1850年ごろではないだろうか。

彼の曽祖父は新大陸生まれのタバコ栽培業者で彼女の曽祖父はスペイン人の商人だったことからおそらくこの夫婦は先住民との混血種と推定される。百科事典からえたところだがコロンビアでは先住民と白人の混血(メスティソと呼ばれる)が反ヨーロッパの立場で政治・経済をリードし、精神的には先住民文化に自分たちのルーツを求め、国家形成の進展に並行して国民文化の担い手になったとされている。とすればここに登場する人物はコロンビア形成の象徴的存在として描かれていると推定できる。

さて二代目のアウレリャーノは内乱の軍事主導者になるのだが、その歴史背景を見れば
「保守主義派と自由主義派の武力抗争は19世紀だけで8回を数え、両派の対立は容易に暴力を伴った紛争にエスカレートする傾向が強まっていったが、これが19世紀末の1899年には〈1000日戦争〉という内戦に発展する。」(平凡社世界百科事典)
アウレリャーノの一生はまさにこのとおりなのだ。また物語にある工場ストライキに端を発した政府軍による市民虐殺、物語の後も続いた武力抗争で20万人の犠牲者、そして現代の麻薬戦争………と流血の惨劇を繰り返しながらコロンビアは存在している。

ところでこの作品がコロンビアそのものを描いたものとするのはあまりにも一面的に過ぎる。
「村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人」………であるが、これが途方もなく大勢の人物群でありこれに関わるものたちが加わり、登場人物は膨大にして数え切れない。それぞれのエピソードを適切に記憶するのは至難のワザである。共通して、一族のものたちは、好奇心から、あるとき覚醒し、何かを成し遂げんとする熱狂、そして成功。やがて倦怠と衰退。そして挫折がある。しかしそれだけでは終わらない、改めてエネルギーが発火し、再生の循環が始まるのだ。グルグルと執拗なまでに渦巻き状に回転する狂気の生を送るのである。さらにもう一人に同じような渦が生じ、また一人と幾重にも相互に干渉しながら、また逆流もしながら、相似の渦巻き型人生の詳細が語られる。それらの中心軸は百年の移動をするわけなのだが、読後は百年もの時が流れたとは感じられない。「蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまで」がまるで一瞬であったかのように、そう、「邯鄲の夢」から覚めた余韻がこれなのかもしれない。

登場人物の生殖行動も凄い。そして「ブエンディア一族の運命」には近親婚がある。それは始原的活動力の象徴なのかもしれない。この物語は初代の女主・ウルスラが抱く近親婚のトラウマが発端になっていて、ラストでその運命の帰結が現出することは見逃せない。

まとまった感想を述べるには私には力不足であり、ただ読みながらどんなことを想起したかを述べておこうと思う。

松尾芭蕉『奥の細道』
「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」
「夏草や兵どもが夢のあと」である。
また蕉風俳諧の理念といわれる「不易流行」である。「百年の孤独」の世界、すなわち激変する現代を生きるための大切な人間の軸足ではないかなどとも思い合わせるのだ。

鴨長明『方丈記』
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし 世の中にある人とすみかと、またかくの如し」である。

タイトルは「百年の孤独」であり、たしかに「底なしの孤独」を描いているのであるが、自己確立の裏返しにある「孤独」という西欧的なものよりも、日本人の感覚としては「無常観」に限りなく近い、この世の無常を透徹した人間にそなわる「孤高」に通じているような気がした。

とはいえこの無常観も一面的とらえ方に過ぎないという感覚が残るのだ。
『2001年宇宙の旅』は高度文明の究極に見えた宇宙の覇者としての人類が、ハルと呼ばれるコンピューターに逆襲されるのであるが、あのラストシーン、宇宙に浮かび上がる胎児の大写しのイメージがそれである。

蜃気楼の村マコンドは隆盛を謳歌してのち廃墟と化す。私にはそれで終わりではなく、新たなリサイクルの始まりではないかと思われるのだ。復活があるとすれば、それは万物に優位した人類がこれまで蓄積してきた「智恵」という理性の働きに導かれるものではなくて、ブエンディア一族のこのむき出しの欲望、すなわち生きとし生けるものに共通する「始原の生命力」が原動力となるものではないだろうか。

科学技術の進歩、合理主義の徹底、人類の理性が成し遂げた高度の文明社会。永遠と信じたこの恩恵が、あっという間に崩壊した現実に今茫然と立ち尽くしている。自然はもとより、自分たちが作り上げたものすらコントロールできなくなった事実を誰もが認めた。人間の驕りを誰もが認めた。これまでの世界観が一変するあまりにも冷酷な現実を突きつけられた。そしてもっともらしい無常観では今日のメシにはありつけないのである。

『百年の孤独』を今読むべき理由がこのあたりにある。

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紙の本

20世紀を代表する1冊

2015/07/24 03:44

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

20世紀ラテンアメリカ諸国の小説家がノーベル賞を立て続けに受賞したことにより、マジックリアリズムが大きな注目を集めた。現実と虚構が入り混じった世界には、シュールレアリスムにでてくる精神分析はなく、民間伝承や神話に深く引き込まれていく。その代表作ともいえるのが本書ではないだろうか。固有名詞の乱出や時間の流れの攪乱などに苦しめられるかもしれない。物語のすべてを否定するラストはぜひ多くの人に読んでほしい。

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百年の孤独

2013/03/19 09:18

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ホームズ - この投稿者のレビュー一覧を見る

色んな人物が登場し色んな物語が展開されていく、好みの話や読みにくかったり色んな事が楽しめる作品なんだな~(笑)名前が同じ人が多くって世代がごちゃごちゃになってしまったりしましたが面白かった~(笑)アウレリャノ大佐が好きかな~(笑)ガルシア・マルケスの作品は今のところ物語の内容もいいけど読んでいて心地い感じの雰囲気がいいな~(笑)生きてるうちに何回か読み返したいな(笑)

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百年の孤独

2021/03/22 14:54

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ラテンアメリカ文学の傑作にして、世界文学の、そして20世紀文学の傑作でもある、ガルシア・マルケスの長編小説。
近親相姦により「豚の尻尾」の生えた子どもが生れないように、という心配から生まれ育った村を離れ、新たな村「マコンド」を開拓したホセ・アルカディオ・ブエンディアとその妻、ウルスラ・イグアラン。この二人の間に生れた子どもたちが成長して子どもを作り、ブエンディア家はマコンド村とともに発展していくが、その発展にも拘わらず、不幸や悲劇が「影」のようなものが付きまとい、やがて100年がたって一族に「豚の尻尾」が生えた子どもが生れ、マコンド村は風とともに崩壊してしまう。
どれだけ発展しようとも、いい事が起ころうとも、なぜか心が躍らないのは、やはりこの一族の歴史には「孤独」が付きまとっているからではないかと思った。

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紙の本

たまらん

2020/01/04 16:55

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る

これはたまらん。
題名だけはずっと知っていて、いつか読みたいと思っていた本をついに読みました。
この世界観はたまらなくいいですね。
ただどっぷりと浸れる幸せ。

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紙の本

読み終えた満足感がすごい

2019/01/25 23:54

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

雑誌・考える人の「海外の長編小説ベスト100」に選ばれた不朽の名作に挑戦。近親者の結婚が多いために「豚のしっぽがある子供を産まれること」を恐れて、生まれ故郷を捨ててマコンドに移り住んだブエンディア家の100年間の興亡を描いた作品。たびたび家系図を見直さないとよくわからなくなる似たような名前がたくさんでてくるので少し疲れるが、それ以上に読み終えた満足感がすごい。ブエンディア家の個性的な面々も強烈な印象を残すが、ジプシー・メルキアデス、トランプ占いのピラル・テルネーラ等おかしな人(いかれた人)がたくさん登場し飽きることがない。すべてが無となった結末にそっと本を閉じた。すばらしい作品。

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