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まぼろしの白馬 新版(岩波少年文庫)

  • 出版社:岩波書店
  • レーベル:岩波少年文庫
  • サイズ:18cm/330p
  • 利用対象:小学生
  • ISBN:978-4-00-114142-9

まぼろしの白馬 新版 (岩波少年文庫)

エリザベス・グージ (作), 石井 桃子 (訳)

  • 全体の評価 51件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:75621pt
  • 発行年月:2007.1
  • 発送可能日:24時間
  • 文庫

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商品説明- 「まぼろしの白馬 新版」

古い領主館にひきとられた孤児の少女マリアは、館にまつわる伝説に興味をいだき、その謎を解こうと大はりきり…。活発で明るいマリアは、暗い館の生活を一変させ、周囲のおとなたちを事件にまきこみます。ロマンチックな物語。小学5・6年以上。【「BOOK」データベースの商品解説】

古い領主館にひきとられた孤児の少女マリアは、館にまつわる伝説に興味をいだき、その謎を解こうと大はりきり。活発で明るいマリアは、暗い館の生活を一変させ、周囲のおとなたちを事件にまきこみます…。ロマンチックな物語。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「まぼろしの白馬 新版」

エリザベス・グージ

略歴
〈エリザベス・グージ〉1900〜1984年。イギリスの南西部サマセット州生まれ。女流作家。著書に「魔法の島」「霧のなかの塔」などがある。

ユーザーレビュー- 「まぼろしの白馬 新版」

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2009/11/17 19:01

月姫のブーツ

投稿者:うみひこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 夜汽車に乗ったとき、夜、車で移動しているとき、
何故か、いつもこの物語の始まりを思い出す。
じっとうつむいて足先を見つめていると、
この主人公マリアが履いているブーツの飾りの
キラキラした光が、目に浮かんでくるのだ。
 この場面は、とても独特だ。主人公の少女は孤児で、
顔も知らない従兄の屋敷に引き取られていくところ。
迎えに来た馬車は、古びていて、乗り心地が悪い。
二月の霧に包まれて、外はどんどん暗くなっていき、何も見えない。
向かい側に座った家庭教師の老婦人は、
ただ黙って、赤黒い鉤鼻をフランス語の本に埋めて読んでいる。
マリア自身も、決して美人ではなく、赤毛でそばかすがあり、
顔は青白く、体は小柄だ。けれども、彼女のご自慢は華奢な足。
だから、きれいな靴を履くのに夢中だ。
今も、コートの縁取りの白い毛皮に包まれて見えないのだけれど、
水晶の飾りが足首についた灰色のブーツの足先を見つめることで、
不安を押さえようとしている…。

 こんなふうに心細い旅でたどり着いた屋敷で、
従兄は、とても温かく二人を迎えてくれる。
二人には、それぞれ素晴らしい部屋が用意されている。
特に、三階にあるマリアの部屋は、入り口がとても狭くて、
普通の大人では入れないくらい。
まるで、マリアのためにしつらえたよう。
天井には星に囲まれた三日月の彫刻。
暖炉の棚にはビスケット。
朝起きると、ぴったりのサイズの乗馬服に、
朝露に濡れたスノードロップの花束が添えられて、置いてある。
でも、だれが、どうやって?

 日曜日に教会に行くと、村人たちはみな歓迎してくれる。
が、不思議な問いかけもされる。
「あなたが、わしらのお待ち申し上げた方ですか?」

ここから、マリアは、不思議な黒い男たちに出会い、
伝説の中の物語と、現実の謎を解く冒険に乗り出していく。
それは、一つずつ、誤解と仲違いを解いていく、
伝説の月姫の物語なのだ。
なかでも、ライオンのような老犬ロルフと、
伝言をしてくれる賢い猫ザカライアの活躍が面白く、
現実とお伽話の境目を、分からなくさせていく。
夢の中で出会った少年ロビンとの再会。
洞窟の中の不思議な部屋。
そして、ピンクのゼラニウムの鉢。
教会の牧師の部屋にある一冊の本。
謎が少しづつ姿を現し、マリアがそれを解くとき、
波間に馬の群が踊り、和解が訪れる。
美しく、不思議で、甘い物語…。

 それでも、この物語のことを思い出すとき、
目の前に浮かんでくるのは、
毛皮に包まれてきらきら光る一足のブーツだ。
彼女が感じた孤独が、夜汽車の心細い旅の中で蘇ってくる。
お伽話の主人公でありながら、
一人の少女が不安の中で、矜持を持って、
靴先を見つめている情景から始まるこの物語は、
奇妙なリアリズムがあって、忘れ難いのだ。

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