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紙の本
完璧にやられた!
2015/03/22 22:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ユンコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
めったに買わない岩波文庫だけれど、タイトルに惹かれて買ってしまった。
結果、大正解!
テンポよく進む会話劇を舞台で聞いているかのような小気味良さ。
ある夜の、幸せな家族の食卓風景から一転、ある来訪者によって家族の秘密が一人ずつ暴かれていく。やがてその繋がりから見えてくるのは・・・贖罪と再生の物語で納得しかけたまさにその時、最後のどんでん返しにしてやられる快感!
もう、完璧である。
読み終えてから思わず最初に戻って読み返してしまった。
紙の本
推理劇の衣をまとった、格差告発の書
2007/09/19 06:41
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イギリスの文芸評論家・小説家のジョン・ボイントン・プリーストリーによる戯曲。2~3時間で読めるボリュームだし、登場人物も多くなく、舞台も一場面なので、戯曲を読みなれない人でも読みやすいと思う。
あらすじは、裕福なバーリング一家の食事会に、グール警部という警察官がやってくる。彼は、ある若い女性が自殺したことを告げ、一家の一人ずつに尋問をしていく。
推理劇としても、非常に面白い。尋問される一家が追い詰められる様子や、最後に分かるひとつの事実、そして一番最後に明かされる衝撃的な事実。特にラストは、サスペンスとしての衝撃が十分である。
しかし、この本の意味はもう一つある。それは、推理劇の衣をまとった格差告発の書であるということ。
自殺した若い女性は、自殺であることは明らかなのだが、ある意味で上級階級に殺された、とも言える。尋問の中で、上流階級の人間が、いかに無意識・無自覚に下流階級の人間を虐げているかが明らかになる。しかしそのことを告発された後も、上流階級の象徴であるバーリング一家は、自分たちを正当化しようとする。
読みながらそのことに憤りを感じた人は、ラストに溜飲が下がるかもしれない。しかし私は、貧しい・裕福に関わらず、人が人に影響を与え、人から影響を受けていることを感じ、「自分はどうなのか?」と我が身を振り返ってしまった。その意味では、単純なカタルシスではなく、苦い感じのラストであった。
この、格差の告発というテーマは、現代の日本にも通じると思う。今読んでも古い感じがしない本です。
紙の本
夜の訪問者
2016/01/21 19:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たくみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次大戦直後に第一次大戦直前の英国の階級社会を批判・糾弾した社会主義的戯曲。終幕は文字通り「劇的」。現代的な視点で見ても、十分に楽しめるし、驚かされる。
紙の本
スピード感満載
2016/01/16 00:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Lilypiano - この投稿者のレビュー一覧を見る
戯曲形式やミステリーっぽい内容のものを読むのはあまり得意ではない私でもあっという間に読めました。そして終盤のまさかの事態には驚きました。
“わたしたちは、一人で生きているのではありません。わたしたちは、共同体の一員なのです。わたしたちは、おたがいに対して責任があるのです。”
警部のこの言葉が印象的です。
紙の本
なんで警察の言うことを、こうも簡単に信じるのか、っていう一点にさえ目を瞑れば、ま、時代のなかではこういう考え方も致し方ないかと・・・
2007/06/16 20:19
10人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
プリーストリー、全く知らない作家でしたが、カバー表の言葉
「息もつかせぬ展開と最後に用意された大どんでん返し──再々上演され、映画化されたイギリスの劇作家プリーストリー(1894−1984)の代表作。舞台はある裕福な実業家の家庭、娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れて、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ、全員がそのことに深く関わっていることを暴いていく・・・・・・。」
にある「最後に用意された大どんでん返し」に惹かれて手にしました。「再々上演され、映画化されたイギリスの劇作家プリーストリー(1894−1984)の代表作」とありますから、知らないのは私ばかりで演劇や映画が好きな人は「あ、あの」と思うような存在なのでしょう。
全体は三幕構成で、巻末に訳者である安藤貞雄の解説がついています。
芝居ですが、時は一九一二年のある春の宵。場所は、ミッドランド地方北部の工業都市ブラムリーで、三幕とも、この地域の裕福な工場主の一人であるバーリングの家の食堂で演じられています。登場人物は7名。年齢ははっきりとはしませんが、大体のところは本に書いてあります。
・アーサー・バーリング 五十四、五歳の裕福な工場主
・シビル・バーリング その妻、およそ五十歳、夫よりも社会的身分は上
・シーラ・バーリング パーリング夫妻の娘、二十代はじめ
・エリック・バーリング パーリング夫妻の息子、シーラの弟で大酒飲み
・ジェラルド・クロフト シーラの婚約者、バーリングと同業のサー・ジョージ・クロフトの息子、三十歳くらい
・エドナ バーリング家のメイド
・グール警部
このなかで言えば、メイドは影が薄いですが、残りの6人については誰が中心、とはいえないでしょう。ただ、この人が登場しなかったら話が進まない、といえばグール警部でしょう。殆ど脅しに近い彼の追及に、登場人物たちの性格、生き方、ものの考え方が露にされ、祝いの席はなんともいえない告発の場に化してしまいます。
ま、小説を地でいくような毎日の事件報道を始め、テレビの二時間ドラマ、アニメ・コミックスにも警察や探偵が溢れるミステリ漬けに近い状態にある現代の私たちにとって、首を捻る点はたくさんあります。なぜ、グール警部は単独行動をしているのか。捜査とはいえ黙秘権は行使できないのか。弁護士はいないのか。なぜ、こうも人の言葉を信じるのか、等など。
だから、私には最後か少しも「どんでん返し」じゃあなくて、予定調和の結末なんです。でも、それは戯曲を小説として読んでいるからで、演技の場で見ていれば、流されるかもしれません。ただし、これが1945年に書かれた、ということから考えれば「甘いな」とは思います。
それから何故「じゃあ、それを知らなかったから、と最後に告発しかしないお前は、彼女の死に責任はないのか?」という一言を誰も発しないのか不思議です。
気になった点をもう一つ。
安藤貞雄の解説ですが、167頁最後で、登場人物のことばについて(このことばは、第一次大戦の勃発を予兆している)と書かれています。作品が書かれたのは1945年なので、第一次大戦を「予兆」しているのは作者ではなく、登場人物のはず。そのレベルの発言を(予兆)はないでしょう。また、カバー写真について、奥付にもカバーにも一切のコメントがないのは、不親切ではないでしょうか。