自省録 改版 (岩波文庫)
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- 税込価格:840円(24pt)
- 発行年月:2007.2
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ユーザーレビュー- 「自省録 改版」
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/05/10 11:59
キリスト教以前のギリシャ、ローマはこんなにもまともだったんだ。
投稿者:みどりのひかり(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
平山 令明著「熱力学で理解する化学反応のしくみ」の中に、このマルクス・アウレーリスの「自省録」のことが書かれてあって、読んでみようという気になりました。アウレーリスはローマ皇帝で西暦121年から180年の人です。
興味深かったのは、この頃の考え方というのは、きわめてまともで、迷信的なものもなく、冷静に自然を見ているということでした。
紀元前275年から紀元前194年に生きたエラトステネスは、シエネ(現在のアスワン)で夏至の日に陽光が井戸の底まで届くことと、アレキサンドリアでの夏至の日の南中高度が 82.8°であったことから、地球の全周を求めました。
つまり、マルクス・アウレーリスの時代より300年も前に自分たちの住んでいる世界がまるいことと、その球の大きさまでわかっていたのでした。
アウレーリスの自然感は、観察に基づいた真っ当なもので、命あるものはいづれ、元素に分解され、それらがまた、集まって別の命が生まれ、それが何年も何年もの昔から、繰り返され、未来にも繰り返され、我々はその中で生きているんだということを、受け入れて、どう生きるかを決めていました。
キリスト教はすでにありましたが、まだローマがこれに支配される前のことでした。キリスト教以前のギリシャ、ローマはこんなにもまともだったんだ、と思いました。キリスト教は素晴らしい面もあるのだけれど、随分と世界をよがめてしまったんだなとあらためて思いました。
諸行無常というのはエントロピーは増大するという、熱力学の第二法則の文学的表現だけれど、ローマでもきちんとこの法則が捉えられていたことがわかります。
ただ、仏教の般若心経で言っている、色即是空で代表される情報物理の原理については、まだアウレリウスはそこまで考えが及んでいません。これは残念なことです。
情報物理の原理は、神はあってもなくてもかまわないというか、どう考えようと、この原理が崩れることはないので、神はいてもいなくてもいいのですが、キリスト教ではそうはいかないでしょう。神はいなければならないのですから。
そんなことを色々考えさせられた本でした。
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