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かいつまんで読んだ。どっちかというと現代の石油事情についてってかんじ。あんまり石油歴史系じゃない。ある程度石油についての知識がないとよく理解できないんじゃないかな?
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昨今、石油価格の高騰により久しぶりに石油が注目されている。 資源枯渇が謳われて久しいが石油価格の高騰がそれをイメージさせる。 またもや石油が戦略資源と化している。
本書では地政学リスクを軸に石油の実情を語っている。 特に発展を続ける中国の動きに日本ももっと注目すべきと思う。 また、30年で枯渇すると言われた石油が今も採取できている背景なども説明しており興味深い。
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石油を中心に世界を把握する地政学の本。2005、2007年。日本のエネルギー消費のほとんどが石油によってまかなわれていることに加え、昨今の石油高や中国をはじめとする新興国の興隆が、これからの日本の世界的立場を脅かす。ロシアも液化天然ガスの供給元であるサハリン2の承認を取り下げるなど、日本のすばやいエネルギーシフトを困難にしており、石油のみならずLNGも戦略物資として使われだしている。この本から、中東での石油産出量、石油の埋蔵量、生産量一位のサウジアラビアの重要性を理解することができ、そこがいかに多くのリスクを持っているかも同時に把握できる。エネルギーの輸入を円滑に進めるために、パイプラインの整備など、インフラをすばやく整えながら、自然エネルギーの活用、新エネルギーの発掘などを行っていくことが、海洋国家である日本にとっての戦略になるだろう。
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多くの実務家が書評の中で薦めていたので読んでみた。現状認識をしっかりと行った上で、日本が取るべきエネルギー戦略について書かれている。日本は、現在、90%以上を中東地域に依存している石油供給源の多様化、石油調達手段の多様化、そしてエネルギー資源そのものの多様化を進めるべきだと提言している。特に石油からの出口戦略として天然ガスのウェイトの増大に対する政策的支援が喫緊の課題であるとのこと。天然ガスにおいてはLNGという形だけではなくパイプラインで日本に持ってこられるかも一つの試金石となるだろう。そう考えるとサハリン1は日本の今後のエネルギー戦略に関して大きな影響を与えることになると思われる。
200ページという少ない分量の中で得られる情報は非常に多く、良書と言えるだろう。エネルギーを通して見えてくる国際政治の動きも大変興味深い為、エネルギーに興味のない方も一読を薦めたい。
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石油価格の高騰はいまや世界的な懸念事項といってよいだろう。
そんな中、比較的新しい入門書を見つけたので読んでみた。
経済用語がまったくわからない状態で読み始めたが、この本はそういった初心者に対してかなり親切に書かれてるといえよう。
うまく説明されていて、例えば電車内で読んでいるときに別途参照する本が必要になるなどということがなくてよかった。
この本は4章構成。ただ、最初の2章はかなりひどい。
データの曲解(恣意的使用)がはなはだしい。使われる表現の偏りから、筆者が書いていて自信のない箇所などがはっきりわかる。
ロジックに関しても逆説的…でもそれって違うよね?ということが多々あった。
経済に偏りすぎた視点もどうかと思う。他の国の経済に関して触れるならば最低限その国の政治体制がいかなものか、その政治と経済の関係はどうなっているのか、くらい考えるべき。
Domestic Analogyで考えるがちなのが人間の性なのだろうが、政府で政策に関わる人間がこれじゃいかんだろう。
ただ、残り2章はそれなりに評価できる。データもおそらくしっかりしたものを使っているし(表現から読み取れる)、論点の整理もしっかりなされている。
そしてその2章はおそらく今の石油価格高騰を考える上でもっとも大事。なので、読む価値はある。
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世界経済のバランスを読み解く大きな鍵である「石油」について、地政学的な切り口で説明。可採埋蔵量、上流・下流事業の定義など認識を改られる。
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石油は生活に欠かせない元。
資源獲得競争が激化している。
資源のある国は今後も富む。
新しい燃料も出てきており、この開発競争。
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石油について教養程度の知識は最低限身に着けておかねばと思い、読み始めた新書。
[Ⅰ]戦略物資に戻りつつある石油
2006年、ロシア天然資源省がサハリンⅡの工事承認取り消し事件を取り上げ、
これまで石油備蓄制度(先進諸国に危機時に備えて一定量以上の石油保有を義務付ける制度)によって、地政学的な石油から脱して「市況商品」であった石油が、政治や軍事の論理で動く重要基礎物資である「戦略物資」
に戻りつつあることを指摘、具体的に論じている。
[Ⅱ]「資源パラノイア」から「中国脅威論」へ
「資源買い漁り」を続ける中国の権益獲得状況について、派手な資源外交を展開する割には成果が高くないと酷評。
確かに自前権益の油田を持つことは、昨今のような価格高騰時も市況にかかわらず油田開発コストベースで調達出来、危機の際、スポット物を高値掴みしなくても済むことなどが上げられる。
だからといって採算を度外視して石油を「政治的に確保」することは意味ないと。
また中国の実質GDPあたりのエネルギー消費量はドイツの8倍、日本の11倍と、究極のエネルギー効率の低さを指摘、
中国の「爆食経済」が世界のエネルギーを食べ尽くす懸念を表明する。
[Ⅲ]「石油神話」を斬る
石油について誤解されがちなイメージを払拭するための章。
・世界全体が単一の石油市場として物理的に統合されているのは、
石油が常温常圧下で比重が水に近いため大型タンカーで輸送する場合地球を半周しても大して輸送費が変わらないから。
→1973年の第1次石油危機のとき、中東産油国は米国に禁輸を行ったが、一度欧州諸国に輸出され精製されたものは、元はどこの原油であったのか判別するのは不可能であるため、中東のお咎めなくそのまま米国に輸出されていた。
・OPECや石油メジャーがプライス・リーダーの時代は終焉
→実際、生産シェアもそこまで大きくないし、無理な高価格を追及すれば代替エネルギーへの転換に弾みをつけ、自ら首を絞めることになる。
NYMEX(ニューヨークマーカンタイル取引所)とIPE(ロンドン国際石油取引所)の原油先物市場が価格形成に大きな影響力を持っており、
取引形態も約4割がスポット取引(短期の自由売買契約)で、タンカー輸送中に第3者に転売され航海中に輸送先が変わるといったこともしばしば。
→少しでも地域間で価格差が発生すればただちに裁定取引が行われる。
などなど。
[Ⅳ]新しいエネルギー戦略を目指して
・代替エネルギーとしての天然ガス
ガス田から消費地までパイプラインを敷設する必要性があるため輸送が困難。また石油よりさらに深い地層に存在しているため、発見が遅れる。
また天然ガスの可採年数60年というのは、石油を探査している最中にたまたま見つかった分だけを計算しているから、実際はもっとある。
・原子力→立地問題、風力・太陽光→高コストなどで再生可能エネルギーのシェアは伸びないであろう。
他先進国に比べ、圧倒的に石油依存量高い。
→天然ガスの出番。
まずは国内を縦貫する輸送パイプラインを。(ちなみに現在はLNGにして各港に運ばれ、そこから各ガス・電力会社が輸送している)
PSA(生産物分与契約)などの専門用語(?)が説明なしに使われていたり、現在の石油情勢が前提で話が進めれたりしていているので、事前知識を持っていないと読み進める際、若干苦労するかも知れない。
ちなみに私も one of them。
若干文章もわかりづらいところがいくつかある。
ただかなり広くテーマは扱ってあるので消化さえ出来れば、
とてもタメになると思う。
私としてももう一度読み返す必要あり。
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戦略物資と呼ばれる石油の本質的な側面から洗い出し、市場によって取引されるコモディティとしての石油を描いている。石油市場は単なる原油の取引だけではなく、探索、事業化、採掘、精製といった一連のバリューチェインを包括したものして捕らえている。特に川上工程においては、そのリスクの高さと巨額の資本を必要とする参入障壁の高さにより、需要に対する弾力性が低いことが石油の価格形成において市場の裁定機能が働きにくい点が指摘されている。また、地政学的なリスクについても日本ではこれが過剰に報道されているが、客観的かつ冷静な分析によって、それほどのものではないことが指摘されている。一方で、日本の原油調達が中東に過度に依存していること、またエネルギー源として世界的に原油から天然ガスへと需要がシフトしているなか日本がその流れに取り残されている事実を危惧すると共にそれに対しての解決策を提示している。資源争奪戦の様相を呈するなか、今後の日本の安定的な調達のためにも著者の提言は今後の国家戦略において検討に値する。
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ウクライナとベラルーシとロシアの天然ガスパイプライン問題やマーケットにおける石油メジャーやOPECの役割、中国の資源政策、中東の埋蔵量水増し説、日本におけるエネルギーの安定供給政策など、普段テレビでは表層しか触れないところを内閣参与である筆者がデータを基に淡々と事実を述べて考察している。
一冊を通して感じたことは、やはり今後のエネルギー問題全般を考えるには、安易なレッテル貼りや硬直した旧知の認知フレームにとらわれることなく、事実に基づいた冷静な分析及び対応が必要であるいうことである。石油マンには必読の一冊
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[ 内容 ]
乱高下する原油価格。
その原因はどこにあるのか?
2005年以降を中心に、各国の対応からその答えを探る。
東西にわたって原油を政治の武器にしたいロシア、積極的に資源外交を展開する中国などの動きが注目。
枯渇神話、OPEC神話、メジャー神話など、石油を巡る誤った認識を指摘し、国際石油市場の実態に迫る。
最後に、21世紀の石油・エネルギー戦略と日本の果たすべき役割についても触れる。
供給増や代替品の登場で急騰から安定に向かいつつある石油価格。
商品ファンド、ロシアの動きなど、情報を盛り込んだ改訂版。
[ 目次 ]
1 戦略物資に戻りつつある石油(エネルギー大国ロシアの復活 地政学的リスクの高まり 近い将来に本当の「石油危機」が来る? 原油価格高騰の真犯人は誰か)
2 「資源パラノイア」から「中国脅威論」へ(人権問題を無視する資源外交 「爆食経済」からの脱却を図る中国 日本との天然ガス争奪戦? 国際石油市場を信用しない中国?)
3 「石油神話」を斬る(国際石油市場とは OPEC・メジャー時代の終焉 石油の将来は危ないのか)
4 新しいエネルギー戦略を目指して(石油市場はどうなる? 調達手段にポートフォリオを 資源分散化のススメ-天然ガス時代の到来 日本はこの先どうすべきか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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石油についてさまざまなことがわかる本。
地政学的リスク、価格の高騰要因、新エネルギーの存在など。投資の勉強においてすごく役に立つ本でした。おそらくこれからも繰り返し読むことになるかも。
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エネルギー戦略の基本理解。
・投資マネーの流入
・石油必要量の獲得ではなく、雇用、市場獲得のための中国資源外交
・米中のかけひき
・自転車操業的性格を有する国際石油市場
・数百億円規模の資金投入(大規模地表調査、探査坑井(10億円×数十本)、政治リスク)してできる上流事業
・石油は常温常圧下で液体→輸送コストが小さい→単一市場として物理的に統合→市場の再分配機能
・天然ガスの可能性(サハリンの開発)
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少し古いけど面白かった。
藤和彦さん、経産省の人なんだね。
全体として、石油の商品としての歴史、性質が分かり、シーレンの重要性も理解することができた。
他方で、石油をあまりに地政学的に政治的にとらえることも問題が多いということが分かった。市場の配分機能を補完する形での政治の役割が重要だということだ。
実際、石油は、均一性が強くどこでとっても同様の機能を果たすこと、またOPEC以外の産出も盛んなことなど石油に関して勘違いしていることもたくさん発見することができた。
後半は、天然ガスのエネルギー源としての重要性をうたっている。サハリンからのパイプラインの建設はその後どうなったのだろうか。
2007年刊行で情報が古いこともあるが、十分満足できた。
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戦略物資と呼ばれる石油の本質的な側面から洗い出し、市場によって取引されるコモディティとしての石油を描いている。石油市場は単なる原油の取引だけではなく、探索、事業化、採掘、精製といった一連のバリューチェインを包括したものして捕らえている。特に川上工程においては、そのリスクの高さと巨額の資本を必要とする参入障壁の高さにより、需要に対する弾力性が低いことが石油の価格形成において市場の裁定機能が働きにくい点が指摘されている。
また、地政学的なリスクについても日本ではこれが過剰に報道されているが、客観的かつ冷静な分析によって、それほどのものではないことが指摘されている。
一方で、日本の原油調達が中東に過度に依存していること、またエネルギー源として世界的に原油から天然ガスへと需要がシフトしているなか日本がその流れに取り残されている事実を危惧すると共にそれに対しての解決策を提示している。資源争奪戦の様相を呈するなか、今後の日本の安定的な調達のためにも著者の提言は今後の国家戦略において検討に値する。