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蹴りたい背中(河出文庫)

蹴りたい背中 (河出文庫)

綿矢 りさ (著)

  • 全体の評価 33件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:39911pt
  • 発行年月:2007.4
  • 発送可能日:1~3日
  • 文庫

国内送料無料

130(2003下半期)芥川賞 受賞作品

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商品説明- 「蹴りたい背中」

“この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい”長谷川初実は、陸上部の高校1年生。ある日、オリチャンというモデルの熱狂的ファンであるにな川から、彼の部屋に招待されるが…クラスの余り者同士の奇妙な関係を描き、文学史上の事件となった127万部のベストセラー。史上最年少19歳での芥川賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】

【芥川賞(130(2003下半期))】【「TRC MARC」の商品解説】

ユーザーレビュー- 「蹴りたい背中」

全体の評価
3.0
評価内訳 全て(3件)
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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/05/18 18:33

そうかこれが19歳の芥川賞か、綿矢りさ「蹴りたい背中」。

投稿者:オクー(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 19歳で芥川賞を取った、綿矢りさの「蹴りたい背中」。なるほど、こ
ういう話なのかぁ。内容をまったく知らなかったので勝手に韓国映画の
「猟奇的な彼女」みたいな女の子が主人公かと思っていた。けっこう元
気がいい感じの。蹴りたい、というタイトルだけでそう思ってしまう単
純さ、困ったものだ。さて、主人公の「私」だが、あまり元気ではない。
クラスでは完全にのけ者状態。理科の実験ではグループに入れない。暴
力でいじめられてるわけではないが、なんだかみんな遠巻きにしている。
それは結局、本人が知らず知らずのうちにバリアを張っちゃっているか
らなのだが…。ちょっとひねくれ者の彼女は、そういう状況で寂しい思
いをしながらも周囲に対して、ふん!、なんて思っている。このあたり
の表現に自分を見たり、共感する読者は多いのではないだろうか。

 そして、もう一人、クラスの余計者になっている「にな川」という男
の子。オリチャンというモデルの熱狂的ファンである彼は、おたく風で
外見からしてさえない。この2人が互いの孤独をなめ合うように恋にで
も落ちれば「常道」なんだろうけど、そうはならない。そのかわりと言
ってはヘンだが「私」は「にな川」の背中を蹴りたいと思う。「この、
もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい」と。2人の奇妙で微妙
な関係、そのどんよりした感じがとてもいい。こういう関係を非常にデ
リケートな言葉で表現する綿矢りさもなかなかだ。この小説、けっこう
好きだな。

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6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/01/06 14:01

良くできた作品、以上のものではない

投稿者:yjisan(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ヒロイン長谷川初子の皮肉った観察眼が秀逸。周囲の「友達ごっこ」の内実を軽やかに且つ鋭く抉る醒めた視線を持ちながらも、群れるのは嫌だけど独りになるのは怖いという葛藤に悩む主人公には非常に共感が持てる。強さと弱さの間で揺れる心理をうまく描いているというか、匙加減が絶妙なのだ。

 ただ、アイドルおたくの「にな川」の魅力が薄い。

 作者にしてみれば、20歳に満たない若輩の優等生という自らの狭く浅い人生経験に基づく矮小な作品世界を広く深くするための〈特異点〉として「アイドルおたく」を登場させたのだろうが、いかんせん人物造形がぬるい(実際、本作以後、作者はこれといった作品を書いておらず、底の浅さを露呈してしまっている)。ご高齢の芥川賞選考委員には新鮮に見えたかもしれないが、おたく世代の人間にとって「にな川」の性格と言動は理解可能な範囲に留まり、驚きがない。

 何より「にな川」のキャラクターは類型的な〈おたく〉像の域を出ていない。きっと作者には〈おたく〉の知り合いはいないんだろう。

 主人公は同じ〈孤独〉な人間として「にな川」に親しみを感じる一方で、自分はあんな〈おたく〉とは違うと蔑視している。しかし、「にな川」の他人の視線を気にしない孤高ぶりや「おりちゃん」に対する純真な愛に心を動かされ、徐々に屈折した想いを抱くようになる。

 その愛憎ない交ぜの微妙な距離感がこの小説のキモである以上、にな川の〈おたく〉度はもっと並はずれたものでなければならなかったはずだ。
 

 まあ、そうすると、主人公がにな川に惹かれていく部分を描くのが難しくなり、話の収拾がつかなくなる可能性があるが、そこに挑戦するのが文学なのではないかという気がする。


 しかしこの話、おたくのにな川よりも、おたくの男に奇妙な愛情を寄せつつ接近していく主人公の方がどう考えても変な人間に見えてならないのだが、作者はそこまで計算しているのだろうか? しかし、にな川の本質的な〈真っ当さ〉を際だたせるには、やはり外見としての異質さ、異様さはもっと描き込む必要があると思う。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/02/01 03:09

研究室でのひととき

投稿者:redhelink(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 研究室で一時間強の時間つぶしを迫られたときにたまたま手に取った本。それがこの本とのであいでした。作品自体は芥川賞受賞のときから知っていました。年齢の近い作者。興味はあったけど、単行本に抵抗を感じる僕には「買って読む」ほどのものではなかったのです。そんな本が文庫で、しかも手ごろな分厚さ、手ごろな価格で入手可能だったので購入しました。

 感想。・・・なぜ芥川賞を受賞したのか理解できませんでした。文章に重みのない、余韻に浸ることができないというのが第一に思った感想です。情景や心理描写は伝わってくるのですが、いかんせん軽い。私なりの根拠としては、文学的なことはわからないので、感覚的なもので語らせてもらうと、イベントないし事件の発生のインパクトの弱さにあるのではないかと思います。クラスで浮いている二人を一人のファッションモデルを通して展開される日常。ん~リアルにありそうで普通な設定。普通過ぎて印象に残りにくい?とまで勘ぐっている私がいます。というのも、読んでから時間を置いてふと背中を蹴った理由を思い出そうとしました・・・ミッションインコンプリートぉぉぉ。

読書していて一番注目すべきところが思い出せないとか致命傷ですね。それでも私は言います。だって印象が薄かったんですから。むしろハツや絹代の思春期の描写が印象に残っています。

みんなの機嫌をうかがいながら、話をなるべく選びつつ会話をすることの苦痛。

<p22-23> 
私は、余り者も嫌だけど、グループはもっと嫌だ。できた瞬間から繕わなければいけない、不毛なものだから。(中略)絹代は本当はおもしろい時にだけ笑える子なのに、グループの中に入ってしまうと、いつもこの笑い方をする。あれを高校になってもやろうとする絹代が分からない。

友だちが持っているグループの存在意義への懐疑的な想い。

<p98>
「…中学での我慢が、たまりにたまって一気に爆発した結果かな。」
「我慢、って言っちゃうんだ、私らの時間を。」

常に直球であろうとすればするほど、周りとの歯車がかみ合わない素敵な落とし穴。その落とし穴に自分は落ちたつもりはないのに、周りははるか上方ではしごを垂らしながら昇り方を教授しようとしてくる。周りの見えない性格でもあることがさらに状況を追い込む。現実ならどう抜け出すんだろう、この悪循環。
第一に持った感想と振り返りをしている今現在では、確かに作品の印象は良くなりました。それでも心の底からは納得し切れていない受賞という肩書きへの疑念。性格がもともとひねくれている私には物事を否定的に捉えがちなところがあります。それを差し引いても余りそうなのでこの段落を書いています。
最後に一言。「パンドラの箱を開けた中身はあなたの望むものとは限らない」。それが今回の私の読書をよくあらわしていると思います。

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