本の背中本の顔 (河出文庫)
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- 税込価格:756円(21pt)
- 発行年月:2007.6
- 発送可能日:7~21日
- 本 文庫
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商品説明- 「本の背中本の顔」
小津文献の白眉、井戸とみち、選者考、稲生物怪録、うしおそうじ、孤食、三分間の詐欺師、自分用の百科事典、二人の娘の鶴田浩二、警視庁刑事、他小説、オシツオサレツ、カバヤ児童文庫、近世社会大驚異全史…。ありとあらゆる種類の(古)本と、(古)本にまつわるエピソード、(古)本を介してかかわった人との様々な物語。【「BOOK」データベースの商品解説】
ユーザーレビュー- 「本の背中本の顔」
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/06/17 16:56
魅力の秘密
投稿者:北祭(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
出久根達郎さんは、もと腕利きの古本屋店主である。
その古本職人として書かれる作家への思いや書物談は、それだけでも十分に面白いのだけれど、出久根さんのエッセイは、それだけに留まらない。
本書に「書物の音」と題するエッセイがある。
<ある時、図書館に入ったら、隣りのテーブルを、六人の僧侶が囲んでいて、皆、熱心に百科事典を読んでいる。静かにページをめくる音がする。バラバラに聞こえていたその音が、ふいに、いっせいに揃ったので驚いたのである。偶然だったのだろう。揃ってページを開いた音は、その一回きりだった>
不可思議な光景である。そんなことが本当にあるのだろうか、と思う。そこで、はたと思い出す。美しい嘘をつくのが小説家。これは、ただの古本屋店主ではとても書けない文章なのだ。そして、出久根さんは小説家なのであった。古本屋店主と小説家との間を、音もなく、移りかわってみせる。そこが出久根さんのエッセイにある魅力の秘密なのではなかろうか。わけても、古本屋店主としてのエッセイの上に、ほどよく小説家としての味付けがなされたものがよい。それは、他の小説家のエッセイでは読めないものである。
<悲しんでいる音もある。ある晩、夜中に、私の店の書棚で物音がした。何の音か、わからなかった。
・翌朝、店を空けたとたんに、客が飛び込んできて、昨夜ここで見つけた本が無い、と騒いだ。昨日閉店まぎわに確かに見たのだ、と言う。・・・
・時々、店をのぞきに来る客だが、本を乱雑に扱うので、ありがたくない客である。客がほしがっていた本は、書棚の後に落ちていた、昨夜の不審な音は、本が隠れた物音だったのだ。買われたくなくて、ひそんだのだろう>
こういう文章に出会うとき、出久根さんが小説家になってからも、古本屋店主としての目線を忘れずにいてくれることに感謝せずにはいられない。







