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北方領土交渉秘録 失われた五度の機会

  • 出版社:新潮社
  • サイズ:20cm/429p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-304771-1

北方領土交渉秘録 失われた五度の機会

東郷 和彦 (著)

  • 全体の評価 43件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,89054pt
  • 発行年月:2007.5
  • 発送可能日:1~3日

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商品説明- 「北方領土交渉秘録 失われた五度の機会」

2001年3月、北方四島は戦後、最も日本へ近づいていた−。領土交渉に外交官人生を懸けてきた元外務省欧亜局長による、迫真の外交ドキュメント。様々な極秘エピソードから、日ソ・日ロ交渉の実像が今、明らかになる!【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「北方領土交渉秘録 失われた五度の機会」

東郷 和彦

略歴
〈東郷和彦〉1945年生まれ。東京大学卒業。外務省に入省し、ロシア関係で合計17年間勤務。退官後、プリンストン大学等を経て、カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校客員教授。

関連キーワード- 「北方領土交渉秘録 失われた五度の機会」

ユーザーレビュー- 「北方領土交渉秘録 失われた五度の機会」

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3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/03/30 20:52

歴史と戦うということ

投稿者:くにたち蟄居日記(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 佐藤優関係を読んでいる中で本書を手に取る機会を得た。

 僕自身は北方領土関係の知識が無い。従い本書が扱う題材そのものは新鮮に読めた一方 北方領土への理解そのものには まだまだ浅いものがあるはずだ。しかし 本書を読む醍醐味は「北方領土」に関する知識の取得ではないというのが 僕の読後感である。僕としては二点心に残った。

 第一点目。外交というものをかいま見る機会を得た。
 「外交」は 文字通り国と国との外交から始まり 卑小な例では 僕らの仕事上の「交渉」にまで繋がる 人間の大きなテーマである。人と人との関係ですら たとえそれが日本人同士であっても「外交」という側面は必ずある。
 そう考えて本書を読むと 「外交とはどうあるべきか」という著者の志の高さは非常に勉強になった。特に巻末の49-51理論とは 「外交とは いかに交渉相手の立場を理解し 尊重するか」という面で感銘を受けた。
 僕らは日ごろ 「交渉」に際して 自分の主張のみを繰り返すことをタフネゴシエイターであると思い勝ちだが それを静かに諭してくれたのも本書だ。

 二点目。読書中に「歴史と戦う」という言葉を幾度か想った。
 本書の登場人物たちが戦っている相手は 相手国ではなく 紛れも無く「歴史」である。エリツィン、橋本龍太郎など 主人公達が既に亡くなられた現在に 当時の彼らの交渉と 交渉を通じた交情を見るにつけて 彼らが戦っていたものは「歴史」だったと思う。
 彼らは彼らなりに 自国の「歴史」と戦った。エリツィンが戦ったのは「スターリンの歴史」からの脱却だったのかもしれないし 橋本は 太平洋戦争のソ連参戦という歴史と戦ったのかもしれない。そうして 著者である東郷和彦は 自分の祖父から繋がる自らの歴史だったのかもしれない。
 そう読むなら 本書での「北方領土」とは「歴史と戦うこと」の一つの題材であるとも読めてくる点に 本書の普遍性がある。 

 簡単な本ではないが 非常に個人的には重要な本となった。そういう本を見つけることはいつでも大きな喜びだ。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/10/09 01:24

歴史の分岐点

投稿者:yjisan(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

ロシアのメドベージェフ大統領は先月の26~28日、中国を公式訪問し、胡錦濤国家主席と共同声明を発表。「北方領土は第2次大戦の結果として敗戦国日本からソ連に移り、その後ロシアに継承された」とするロシア側の立場を強調した。更に29日、北方領土を含むクリル諸島(千島列島)について「わが国の非常に重要な地域だ。近いうちに必ずそこへ行く」と述べ、近く北方領土を訪問する意向を表明した。

尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事故を契機に勃発した日中対立が続く中でのロシアのこうした動きは、中ロが連携して日本に圧力をかけたものと解釈された。


けれどもロシアは本音では中国の膨張を恐れている。むしろ日本と協力して極東ロシア・シベリアの開発を進めることで中国を牽制したいのだ。日本にとっても、最大の仮想敵国・中国の台頭を押さえる上でロシアの軍事力は貴重である。もちろん、ロシアの資源と日本の技術が結びつけば、双方にとって経済的メリットは大きい。日ロ提携の唯一にして最大の障害は北方領土問題であり、この問題を解決することで生じる国益は計り知れない。



本書は、外務省ロシアスクールのキャリア官僚として、対ソ連・ロシア外交に一貫して関わり、北方領土返還交渉に尽力してきたにもかかわらず、鈴木宗男事件の余波で外務省から切り捨てられた外交官が、自らの外交官人生を振り返りつつ、北方領土交渉の真実を語るノンフィクションである。


ゴルバチョフ大統領就任以来、北方領土の返還を可能とする5度の機会があった。にもかかわらず日本政府はこの機会を活かすことができなかった。筆者は自責の念を滲ませつつ、返還が頓挫した背景である日ソ(日ロ)双方の事情を鋭く指摘すると共に、日本外交の構造的な問題に言及する。


特に5度目の機会(2001年3月のイルクーツク会談)に関しては、国内基盤が強固なプーチン大統領が指導力を発揮したことで、ロシア側から画期的な譲歩案が提示され、北方領土返還の糸口がつかめただけに、筆者の無念が強く感じられる。その直後、4月に小泉内閣が成立し田中真紀子が外相に就任すると、次第に情勢は悪化し、ついに鈴木宗男事件へと発展。領土交渉は振り出しに戻ってしまった。暗礁に乗り上げたと言ってもいい。鈴木宗男事件はまさに時代の転換点だったのである。



著者東郷氏は、外交よりも国内の権力闘争を優先した小泉内閣を暗に批判している。これは正論ではあるが、佐藤優氏が「解説」で述懐しているように、東郷氏をはじめとするロシアスクールが国民に対して説明責任を十分に果たしていなかったのも、やはり問題と言えるだろう。


冷戦期の日本政府には、北方領土問題を本気で解決する気はなかった。領土問題を未解決のままにしてソ連との敵対関係を維持する(=アメリカとの同盟関係を強固な形で維持する)ことが国益にかなっていた。だからこそ「四島一括返還」という実現不可能な強硬案(戦争で失った領土を外交交渉のみで取り戻すのは現実問題として無理)を提示していたのである。

しかし冷戦構造の解体に伴い、地政学的な観点からロシアとの平和友好条約の締結が必要になってくると、外務省ロシアスクールは「四島一括返還」という非現実的な要求はやめるべきと考えるようになり、政府の対ロシア政策も基本的にはこれに同調した。いわゆる「二島先行返還論」(ロシアも平和条約締結後の引き渡しに同意している色丹島・歯舞群島を先に返還させ、択捉・国後については継続協議)である。
だが、この重大な外交政策の転換を、外務省は国民に明示しなかった。結果として、鈴木宗男・東郷和彦らが進めていた領土交渉は、「四島返還」を諦め「二島返還」で妥結する弱腰外交として指弾されることになったのである。


鈴木氏や東郷氏がもう少し国民に真意を語っていたら、歴史は変わっていたかもしれない。

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21人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/01/10 20:30

官僚の自己弁護の本。おまけに、就職先を見つけたことで自分を正当化しようとして・・・。でも一番頭に来るのは、国民が北方領土返還を望んでいるという嘘。戦争して負けた証拠として、永遠に他国になっていいと私は考える。

投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

読んでいるうちに思い出しました。私が大好きだった田中眞紀子外相の更迭命令になかなか従わなかった往生際の悪いやつ、その男の名前が確か東郷だった。東郷、とくれば要するに明治時代に好き勝手なことをした薩長の流れをくむ、親の七光り組みか、なんて偏見だらけの想いをいだいたりして・・・

ま、最初に私のポジションを言っておかないと誤解を招くんで、私は北方領土返還を望んでいません。その経緯がどうであれ、あれは日本が侵略戦争をして見事に敗れた証しです。地図を見るたびに、自分たちは愚かな戦争をしかけた、と思い知るためにもいまのままがいい。もし返還されてしまったら、いまの政治家や官僚のことですから、歴史を改竄しかねません。

もし返還してほしいなら経済援助じゃなくて天皇制と引き換えくらいしたっていいじゃありませんか。そういう立場からすると、東郷が何度も文中で繰り返す、北方領土返還は日本国民の願いである、という言葉に出会うたびに、違うだろ、そういう決め付けがウザイんだよ、って思うんです。

前提条件が間違っているから、交渉そのものに意味を感じません。国民が望んでいないことを、あたかも国民投票の結果の反映であるかのように言い、行動し、国のためとのたまう、その無神経さこそが外務官僚の無能の反映でなくてなんと呼べばいいか。ともかく、東郷はこの本で自己弁護に終始します。そのためには同時期に失脚した人間も褒め上げ、正当化し自分も正しいという。

まさに戦前戦後にわたって軍国日本を率い、全く反省することなく再び帝国日本の復活こそ使命と考える外務官僚の末裔です。しかも、さっさと就職先だけ確保し、海外で評価されているから自分の行動は正しい、という論理のすり替えを展開します。無論、まったく逆の見方もできるし、そういう御仁のほうが多いことも分る。でも、私はそういったエラソーな男の論理、自己弁護を認めない。

我が家で娘たちと話をします。「北方領土、返還して欲しい?」「ちっとも」。「拉致被害者どうおもう?」「拉致がいいとは思わないけど、他人を責める前に戦前に日本がやったことを反省するほうが先じゃない?」。「アメリカと中国、どっちが好き?」「どっちもキラーイ」と小気味いい返事が返ってきます。

政治家や官僚、そしてマスコミが盛んにおっしゃる国民の総意や、世論調査の結果が全くの嘘っぱちであることは、憲法改正(改悪?)、天皇制支持(誰が?)、北朝鮮問題のどれをとっても明らかです。そういうあたりまえのことを見ようとしない、分っていて無視する、見なければそれが真実になる、といった手を駆使した政策が世界をよくするはずがありません。

こんなやつらをあっさり復権させたら、それこそ恥でしょ。これが秘録?自己宣伝の書ですよ、はっきり言って・・・

装幀 新潮社装幀室
地図製作 (有)ジェイマップ
カバー写真 Ken Gerthardt/Getty Images

まえがきの冒頭に

「この本は、一九八五年ソ連邦にミハイル・ゴルバチョフ書記長が登場してから、二〇〇一年三月のイルクーツクの日ロ首脳会談までの十六年間、私が直接・間接にたずさわってきた日本の対ロシア外交について述べることを主な目的としている」

出版社のWebの案内

2001年3月。念願の北方領土にようやく、手が届こうとしていた……。

1985年、ゴルバチョフ書記長が登場して以来、ソ連の崩壊、新生ロシアの誕生という動乱の中で、日ソ、日ロ間には領土問題を解決する五度ものチャンスがあった。にもかかわらず、なぜ島は返らなかったのか、それを妨げたのは何だったのか――。長年交渉に携わってきたキーマンの貴重な証言で綴る、迫真の外交ドキュメント。

まえがき
プロローグ 証言台
第一章 ソルジェニーツィンにならって
第二章 ロシアとの出会い――青年外交官時代
第三章 ゴルバチョフ書記長の登場
第四章 ゴルバチョフ大統領の日本訪問
第五章 ロシア連邦の成立
第六章 ロシア「九二年提案」と東京宣言
第七章 ロシア内政の季節
第八章 エリツィン第二期政権の始動
第九章 クラスノヤルスクと川奈
第十章 プーチン首相の登場
第十一章 プーチン政権との交渉開始
第十二章 イルクーツクへの七カ月間交渉
第十三章 二〇〇一年三月イルクーツク――
第十四章 二〇〇五年三月モスクワ――
エピロー

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