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  4. 大人のための「ローマの休日」講義 オードリーはなぜベスパに乗るのか

大人のための「ローマの休日」講義 オードリーはなぜベスパに乗るのか

  • 出版社:平凡社
  • サイズ:18cm/260p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-582-85388-9

大人のための「ローマの休日」講義 オードリーはなぜベスパに乗るのか (平凡社新書)

北野 圭介 (著)

  • 全体の評価 41件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:81923pt
  • 発行年月:2007.8
  • 発送可能日:1~3日
  • 新書

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商品説明- 「大人のための「ローマの休日」講義 オードリーはなぜベスパに乗るのか」

あなたの中にはどんなオードリーがいますか? 豊かなイメージを喚起する映画「ローマの休日」を足がかりに、オードリーが放出する魅力を多面的に考察する。イメージと身体をめぐる「憧れの映像詩学」の試み。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「大人のための「ローマの休日」講義 オードリーはなぜベスパに乗るのか」

北野 圭介

略歴
〈北野圭介〉1963年大阪府生まれ。ニューヨーク大学大学院映画研究科博士課程中途退学。同大学等で教える。立命館大学映像学部教授。著書に「ハリウッド100年史講義」等。

関連キーワード- 「大人のための「ローマの休日」講義 オードリーはなぜベスパに乗るのか」

ユーザーレビュー- 「大人のための「ローマの休日」講義 オードリーはなぜベスパに乗るのか」

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2007/10/07 22:54

スクリーンのなかの身体

投稿者:オリオン(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「『ローマの休日』は、『裏窓』と同様に、五○年代という時点でハリウッドが蓄えてきていた、演技法のレパートリーをふんだんに盛り込んだ映像的身体の競演といった側面をもつ傑作なのです。『ローマの休日』は、身体の映画であるといって間違いないのです。」
 第四章「足先のレッスン」の末尾に出てくるこの文章が、本書の魅力の在り処を語っている。
 そこにちりばめられた「映像的身体」や「身体の映画」といったキーワードが、第五章「フォトグラフィック、シネマティック」から第六章「スタイルの身体、そして身体の戸惑い」へと続く、「スクリーンのなかの身体」をめぐる著者独自の映像詩学の開始を告げている。
 その極めつけは、著者が「存在論的アプローチ」と名づけた第七章「オードリーの三つの身体」の哲学的映画論であり、同様に「同時代批評的アプローチ」が試みられた終章「陽の光、そして瞳のディアレクティケ」である。
 オードリー・ヘプバーンがマリリン・モンローやグレース・ケリーとともにスクリーンに登場した50年代は、視覚イメージをめぐる大きな転換期、すなわち「フォトグラフィックの時代、ピンナップの時代、スタイルの時代」だった。それはまた、ポストモダンなイメージの戯れの先駆的な特徴があらわれはじめた年代でもあった。
 こうした視覚イメージと時代の変化をめぐる考察を踏まえて、著者は、スタンリー・キャベルの議論に拠りながら、「フォトグラフィックであると同時にシネマティックな」オードリーの三つの身体(生身の役者、シンボル化されたスター・イメージ、物語のなかの役どころ)について縦横に論じていく。
「映画(そして写真)という表現装置の核の部分には、人間の身体を、現実世界の時空間の真っ只中において写し取るという、ほかの表現手段ではけっして真似ることの出ない特質がある…。その身体は、いやがおうでも、それが住まう、それが接する世界と一体となってイメージになるのです。大げさにいえば──実は、大げさであるとは思っていませんが──、映画的身体の出現、これは、人類の表現行為の歴史のなかで、未曾有の出来事といえるのです。」
 前半の議論も素晴らしい。
 作品の成立事情や、映画史的なレファランスを豊かに刻み込んだその多面的な相貌を描く第一章「舞い降りてきた『ローマの休日』」。
 アンドレ・バザンに始まる作家主義的アプローチや、メロドラマをめぐる物語的想像力論などを踏まえた第二章「作品のかたち」。
 スター論的アプローチでもって、モンロー(セックス・シンボルにして女神)やケリー(彫刻のように結晶化されたクール・ビューティ)と対照させながらオードリーの魅力にせまる第三章「「妖精」と呼ばれたスター」。
 演劇の演技と映画の身体表現、舞台俳優と映画スターの比較を通じて、『ローマの休日』を「身体の映画」として捉える第四章。
 そのいずれも、ミニ映画史講義、ミニ映画批評史講義として抜群に面白い。しかし、それらにも増して、映画批評の最前線を切り拓いていく後半の議論が出色の出来栄えなのだ。
 『ローマの休日』が湛える不思議な魅力に引きつけられて、スクリーンのなかのオードリーの身体が観客にもたらす「朗らかな明るさ」や「何か大きな肯定的なもの」の実質に迫っていく、細部への理論的沈潜を抑制した躍動する筆遣いが見事である。

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