- 出版社:文藝春秋
- サイズ:20cm/323p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-369610-2
インドの衝撃
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- 税込価格:1,800円(51pt)
- 発行年月:2007.10
- 発送可能日:7~21日
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商品説明- 「インドの衝撃」
中国の次はインドか。めざましい経済の発展ぶりで世界中から注目を集めるインドの「現在」をレポート。NHKスペシャル「わき上がる頭脳パワー」「11億の消費パワー」「台頭する政治大国」をもとに単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
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ユーザーレビュー- 「インドの衝撃」
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/03/24 01:01
たしかにインドという国の姿に衝撃を隠せない
投稿者:JOEL(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
インドは摩訶不思議な国である。少なくともごく最近まではそうであった。したがって、多くのバックパッカーが好んで訪れるエキゾチックな国であった。
それがどうしたことだろう、今やBRICs諸国の一角を占め、急激な経済成長を遂げる国に変貌した(ただし、本書刊行時)。
ただ、テレビを見ていると、バラエティ番組では、インド人はカレーばかり食べる、バクシーシ(お布施)をしつこく求める、人間だらけで暑苦しい、ガンジス河で沐浴する、とステレオタイプな扱いが幅を利かす。
こうしたギャップを埋めるのに本書ほど適したものはない。インドの現実をかなり掘り下げてレポートしているからだ。NHKのディレクターたちが制作した番組を見た方も多いことだろう。
ここには、番組に盛り込めなかったことも含めて本の形にしてまとめてある。テレビを見なくても、本書を読むだけでも、たしかに「衝撃」を受ける。
衝撃と銘打つからには、それ相当の中身がなくてはならないが、本書にはあると言っていいだろう。そして、この衝撃が、実はまだ始まったばかりであると結んで終わるところに、「恐ろしさ」がある。ただ、明暗を分ける国の発展は、安易に「希望」という言葉を冠することをためらわせる。
インド人は貧困から抜け出すために必死である。勉強に勉強を重ね、難関大学に進み、大手企業に就職するか、自ら起業するかして、貧困から脱出することを願う。そもそもの貧困ぶりは、目も当てられないほどである。
学校と言いながら、トタン屋根と柱、黒板だけの吹きさらしの建物で学ぶインドの人たちの向学心には圧倒される。1000人もの子どもがぎゅうぎゅう詰めになって学び、イスが不足していても立ったまま学ぶ。雨の日は横殴りの雨であれば、傘を差して授業を受ける。みな真剣なまなざしで。
しかも、勉学に成功した暁には、故郷をよくしたい、国に尽くしたいという殊勝な心がけばかりである。フェビアン社会主義のなごりと思われる。
長く、このフェビアン社会主義はインドの発展を妨げた。悪しき官僚制度が、電話一本ひくのに1年かかるという状況を生み、経済は長く停滞した。あと少しで経済が破綻するという瀬戸際まで来て、時の首相は改革開放経済に踏み切った。90年代にIT革命が米国で起きてから、準公用語としての英語国、民主主義国という利点を生かして、発展を遂げる。
それでもまだ、いびつな発展である。インドのシリコンバレーと言われるバンガロールにさえ、空港からたどり着くのに時速5kmという渋滞の洗礼を受ける。
ただ、一歩、踏み込めばバンガロールのインフォシスといった優良企業は別世界である。もっとも、ここには激しい競争がある。入るにもそうであるし、入ってからも創造性が求められる。ところが彼ら彼女たちは、こうした環境に好んで身を置き、生き生きと毎日を送る。日本人はあっけにとられてしまう。
インドの中間層の発展ぶりは驚異的である。新たな町が生み出され、近くのスラム街とは一線を画する。旺盛な消費意欲が刺激され、テレビや車やエアコンの普及が進む。それも、まだ初期段階である。スラムの人たちにもじわじわと恩恵が広がる。
そうはいっても、綿花栽培農家の絶対的貧困は悲惨なこときわまりない。グローバル化の恩恵を受け、成長しているソフトウェア産業がある一方で、価格競争に巻きこまれ、まともに食べていけなくなる農家が続出しているのも事実だ。コットンベルトでの農家の自殺はあとを絶たない。
政治的にも、かつてのガンジー家の威光は通じなくなり、少数政党が政権の行く末を握るようになった。大衆に迎合する政党が躍進し、それまで進められていた経済特区が突然にごわさんになる。これでは、進出を予定していた企業はたまらないだろう。
インドは恐ろしく多様性に富んだ国である。さまざまな断面があり、それぞれに真実なのである。
長期的に見れば有望な国であろうが、国内政治は不安定で、いつ何が起きてもおかしくない状態にある。はたして投資に的確な国かどうかの判断が、本書を読んでさらに難しくなった。
いずれにせよ、ここまでインドの現実を描き切ったNHKディレクターたちの労力には頭を深く下げるほかはない。おすすめの本である。







