- 出版社:ポプラ社
- サイズ:20cm/204p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-591-10001-1
やがて目覚めない朝が来る
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- 税込価格:1,470円(42pt)
- 発行年月:2007.11
- 発送可能日:24時間
- 本
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商品説明- 「やがて目覚めない朝が来る」
少女は、魅力的な大人たちに囲まれて、大人になっていく。すべてを包み込んで穏やかに流れていく時間と人生のきらめきを描き出す、今、最注目の著者の最高傑作。【「BOOK」データベースの商品解説】
蕗さん、というのは、私の父方の祖母の名だ。ある瞬間、ふと、蕗さんの話がしてみたくなる−。すべてを包み込んで穏やかに流れていく時間と、人生のきらめきを描き出す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「やがて目覚めない朝が来る」
大島 真寿美
- 略歴
- 〈大島真寿美〉1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文學界新人賞を受賞。著書に「水の繭」「ふじこさん」など多数。
ユーザーレビュー- 「やがて目覚めない朝が来る」
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2008/05/21 23:54
老いと死と、そして子供
投稿者:Yostos(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
有加という女性が大女優であった祖母との関わりを少女時代から祖母の死までを追想の形で書かれた物語。あくまで有加の視点で彼女の聞いたことだけが語られていく語り口と登場人物のからりとした生き様で切ない内容ながら読後はとても浄化されて清々しい気分になる。
現代では同居する家族が減ってきているので、親以外の大人、特に老人と触れあったり話したりする機会が限られている。わたしは身近に祖母が同居していたのでこの物語の雰囲気はとっても懐かしく思われる。祖母との関係は当然親とのそれとも違ったし、特に大人との触れ合いを避けたくなる思春期にある種大人でない特殊な大人としてつきあえた気がする。
そして、老いと病からは、どこかで弱っていく姿を見ることになり「やがて目覚めない朝」を迎えることになる。命の重みを周りにぶつけるように主張する大人は多い中、どこかで迎えなければならない死を受け入れ、自身の生きた証も他人の中に求めず、静かに老いと死を見つめつつ、それでも淡々と生きている老人の中にある種の美しさを見る。そして、子供時代に見えたことは「生きること」がより大事に思え、自分もそういう大人でありたいと願うようになれた。
そういうことを思い出させてくれる本だった。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2007/12/05 00:36
ねがわくは 薔薇のもとにて
投稿者:星落秋風五丈原(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
「やがて目覚めない朝が来る」誰かの精神的、或いは肉体的な死を意味するこの言葉は、なんと悲しい響きだろう。なのに、この本の表紙に使われているのは、色とりどりの布なのだ。まるで、主人公・有加の人生に、様々な彩りを添えていった、大人達を象徴するかのように。
その中で、一際輝いているのが、彼女の祖母、蕗さんだ。
女優としての絶頂期に引退した彼女は、生涯に一つの恋愛と引き替えに、息子との関係を壊してしまう。にも関わらず、「もう一度、人生をやり直すことが出来たとして、蕗さんは、どういう選択をしただろう?(中略)やっぱり同じ選択をしたのではないかと思うのだが、違うだろうか?」と、過去を知らない有加にさえ、自身の一本筋の通った生き方を印象づける女性だ。
『香港の甘い豆腐』『水の繭』など、大島作品のヒロイン同様、有加もまた父との別離を経験しているが、「欲しいものがみな揃っている」わけではないにも関わらず、「なにかが欲しいと思う必要がない、そういう欲望とは無縁でいられる」おだやかな時間を過ごしている。それは、「人にはそれぞれ、どうしても見えないものってある」と、人の思想や人生に敢えて干渉しようとも説き伏せようともせず、程よい距離感を保って関わる術を、身をもって教えてくれた大人達の存在があったからだ。生涯蕗さんをプラトニックに愛した田幡さんは、「恋愛に正解はない」と恋に悩む有加にアドバイスし、衣装係のミラさんは、有加の父・舟の生き方を踏まえて、「他人の期待を気にせず生きろ」と励ます。亡くなった人の棺に、人々が献花をするシーンなどが映画でよく出て来るが、本作では、周囲の人々が、死に臨んで花の代わりに、有加の前に言葉を遺してゆくように見える。彼等の在り様が、次々に訪れる喪失の哀しみを和らげ、後に自分にも訪れるかもしれないその時-「やがて目覚めない朝」の存在をも、有加に自然と受け入れさせたのかもしれない。
家族について、そして豊かな人生について、ふと考えてみたくなる作品。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/05/02 16:17
やさしい気持ちになれる作品
投稿者:ゆこりん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
父と母が離婚した。小学4年生だった有加が母に連れられて行った
先は、何と!父方の祖母の蕗の家だった。もと嫁と姑、そして有加。
3人の生活が始まった・・・。さまざまな人の「生」と「死」を瑞々しく
描いた作品。
有加の父と母が離婚したこと、有加の母がもと姑だった蕗の所に
転がり込んだこと、それらにはそれなりの理由があった。けれど、
人が生きていくためには、さまざまな苦悩や悲しみを心の片隅に
追いやらなければならない時もある。恨みや憎しみを忘れなければ
ならない時もある。それらひとつひとつを、有加は蕗の家に出入り
する人たちからも学んでいく。少女から大人へ、成長していく命が
ある。けれど一方で、老いや病気で消えていく命もある。人はいつか、
誰もが命の終わりを迎える。そうは分かっていても、きらめくような
人生を送ってきた人たちの終焉は、読んでいてたまらなく悲しかった。
派手さはないが心にふんわりとした温かさをもたらしてくれて、やさしい
気持ちにさせてくれる作品だった。







