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秋の花火

  • 出版社:文藝春秋
  • サイズ:16cm/349p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-16-760509-4

秋の花火 (文春文庫)

篠田 節子 (著)

  • 全体の評価 4.52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:56015pt
  • 発行年月:2007.11
  • 発送可能日:1~3日

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商品説明- 「秋の花火」

彼の抱えた悲しみが、今、私の皮膚に伝わり、体の奥深くに染み込んできた—。人生の秋を迎えた中年の男と女が、生と死を見すえつつ、深く静かに心を通わせる。閉塞した日常に訪れる転機を、繊細な筆致で描く短篇集。表題作のほか、「観覧車」「ソリスト」「灯油の尽きるとき」「戦争の鴨たち」を収録。【「BOOK」データベースの商品解説】

収録作品一覧- 「秋の花火」

観覧車 7−73
ソリスト 75−126
灯油の尽きるとき 127−189

ユーザーレビュー- 「秋の花火」

全体の評価
4.5
評価内訳 全て(2件)
★★★★★(1件)
★★★★☆(1件)
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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/06/10 21:38

やはり再読に耐える本、ていうのは立派だなと。もしかすると、五年後にまた読むかもしれません。とくに、小さな希望の描き方が好きな作品集です。

投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

篠田節子『秋の花火』(文藝春秋2007)

2004年7月に出た単行本は出版されて直ぐに読んでいますから、既に4年経っています。それを忘れて文庫で再読したんですが、やはり殆ど忘れていました。記憶力がないおかげで新鮮な気持ちで再読ができたというのは、嬉しい限りです。タイトルそのままの装画は派多野光、装丁は大久保秋子です。

カバー折り返しの案内文は

彼の抱えた悲しみが、今、私の皮
膚に伝わり、体の奥深くに染み込
んできた――。人生の秋を迎えた
中年の男と女が、生と死を見すえ
つつ、深く静かに心を通わせる。
閉塞した日常に訪れる転機を、繊
細な筆致で描く短篇集。表題作の
ほか、「観覧車」「ソリスト」「灯油
の尽きるとき」「戦争の鴨たち」を
収録。     解説・永江 朗

各話の内容ですが

・観覧車:女性に縁のない男のデートは、最初から予定通りには進まない。なんといってもそこに彼女が登場しない。だから遊園地の券も無駄になる。勿体無いから遊園地に行く、そこらあたりも「もてない」男です。そんな男の前にセーラー服姿の女子高生が現れて、とりあえずのった観覧車が・・・

・ソリスト:その演奏ゆえに熱狂的なファンを世界中に持つ幻のピアニスト。そんな女流演奏者を知り合いである、という理由で音楽祭に招待したのは甘い考えだったのか。日本には約束とおりにきた。でも、開場が始り、開演時間が近づいても彼女は現れない。そして私を代役にして演奏会が始り・・・

・灯油の尽きるとき:夫は自分の痴呆の始った母親の世話を妻に押し付け、手助け一つしようとない。ものが分からなくなった義母は、病院を出て家に戻ったものの、下の世話はすべて嫁任せ。愚痴をこぼそうにも、相手にしてくれそうな友人は見当たらない。そんなとき、私に声をかけてきたのは・・・

・戦争の鴨たち:ようやく運が向いてきたと思ったのに、スキャンダルで写真集の在庫を抱えてしまったカメラマン、一時は人気もあったが、今では依頼も減ってきている作家、二人が起死回生を図ってやってきたのが紛争が納まらないアフガニスタンに隣接する街。現地取材を熱望する二人をアフガニスタンに案内するという申し出が・・・

・秋の花火:女とみれば誘い、触り、撫で、頬擦りし、押し倒さないではいられない老人が、実は日本を代表する指揮者。家族を捨て愛人と暮らすことを選んだ老指揮者は、しかし相手を病で失い、自らも倒れる。そして転がり込んだのは、結局、家族のところ。そんなマエストロを指導者とする教え子たちは・・・

です。以前読んだ時のことはともかく、今回の印象を一言で言えば、甲乙つけがたいということでしょうか。どの作品にも緊張感があります。しかも、どの話も暗い。誰もが失意の底にあります。理解してもらえない、辛さの中で藁をも掴もうとする。少しの希望に縋りつこうとする。

でも、現実は厳しい。彼は、彼女は最後に傷つく。ただし、そのままお先真っ暗かというと、そうではありません。そこで学んでいます。だから、各話の冒頭と終わりでは、同じ小さな光でも彼らの受けとめ方が違っています。強さがある。本当の希望がある。篠田の小説に特有の、小さな希望が。

私としては、「秋の花火」の、指揮者をめぐるゴタゴタの陰で秘めやかに、殆ど誰にも気付かれないような形で進行する大人の静かな恋愛がいいです。「秋の花火」というのが実にピッタリとしています。人生の春でも夏でも、まして冬でもない40代から50代にかけての男と女の愛は、肉欲まみれではない、こういう淑やかなものもある、まさにクラシックの世界に相応しいものでしょう。

ケアマネとしてというよりは、義母の世話を見るという点で「灯油の尽きるとき」を真剣に読みましたし、恋愛に縁のない男女の出会いと言う点では「観覧車」を、クラシック好き、特にピアノと室内楽好きな私には「ソリスト」も面白かった。最近、長編がちょっと大味になっている感がある篠田ですが、短篇の緊張感とレベルの高さ、ばらつきのなさは流石です。また五年後くらいに再々読してみたいものです。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/06/13 18:42

美しい秋をミステリアスに表現

投稿者:ココロの本棚(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

秋は独特の悲しさを持つ季節。
夏の名残を残してうっすらと影ってゆく物悲しさ。
晩秋の、冬へと向かう厳しさを予感させる切なさ。
澄んでゆく空気の美しさと匂い。すべてが相まって、とても美しい季節です。
その秋を見事に表現した短編集『秋の花火』

【観覧車】
社会とうまく折り合えない男女が観覧車に閉じ込められる。ゴンドラの中での出来事が、巧みな心理描写によって描かれる。

【ソリスト】
ロシアの一流ピアニスト、アンナ。コンサートの描写を通して、芸術の世界に身を置く者の葛藤や狂気が美しく描かれる。

【灯油の尽きるとき】
義母の介護に疲れ果てた女性が、ふとした手違いから一人の男性と出会う。自分の人生とは何か。閉じ込められた女性の悲しいストーリー。

【戦争の鴨たち】
フリーカメラマンの孝太郎は、戦地の写真を撮るべくパキスタンからアフガニスタンへ入る。そこでタリバンに捕らえられ、人質となってしまうのだが。ラストは驚き!ブラック。

【秋の花火】
高名な指揮者、清水孝允。音楽の才能とは裏腹に私生活は荒れていた。彼に学ぶ者たちは、音楽に対する尊敬の念と私生活に対する軽蔑の感情を併せ持っている。清水は病に倒れるのだが。才能・だらしなさ・執念・そして仙人のような顔。様々な顔を持った音楽家とそれを取り巻く人たち。芸術家の破天荒さに呆れつつも魅了される人の心を、重く美しく描いた作品。

全体を通して、暗い雰囲気が漂う作品集。
意外や意外、戦地を扱った【戦争の鴨たち】はオチがついていて、唯一読後が明るい作品でした。

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