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冷蔵庫のうえの人生

  • 出版社:文藝春秋
  • サイズ:20cm/238p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-16-326570-4

冷蔵庫のうえの人生

アリス・カイパース (著), 八木 明子 (訳)

  • 全体の評価 3.53件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,26036pt
  • 発行年月:2007.12
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「冷蔵庫のうえの人生」

産婦人科医の母と15歳のクレアは、冷蔵庫のドアにメモを残す。買い物のリスト、ボーイフレンドのこと、学校のテストのこと。そしてある日突然おそった母親の病気…春から夏へ、夏から秋へ。強かった母と、わがままだった娘は、時に傷つけあいながらもささえあいふたりで生と死をみつめていく。【「BOOK」データベースの商品解説】

突然の母の病気。強かった母とわがままだった娘は、時に傷つけあいながらも支えあい、ともに生と死をみつめる。春から夏へ、夏から秋へ。母から娘へ、娘から母へ。燃え尽きるいのちの輝きを冷蔵庫の上のメモがきざんでいく…。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「冷蔵庫のうえの人生」

アリス・カイパース

略歴
〈アリス・カイパース〉1979年ロンドン生まれ。マンチェスター・メトロポリタン大学卒。詩人。2003年にカナダに移住。

ユーザーレビュー- 「冷蔵庫のうえの人生」

全体の評価
3.5
評価内訳 全て(3件)
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★★★☆☆(1件)
★★☆☆☆(1件)
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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/05/02 01:15

冷蔵庫のやじろべえ

投稿者:星落秋風五丈原(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

十秒足らずで「愛してる」が送れる時代には、まどろっこしいと感じるのではないだろうか。
本作は、「冷蔵庫の上に置かれたメモ」を通じて、思春期の娘と産婦人科医の母が
お互いの気持ちを伝え合うのだから。

最初は何てことのない母から娘への買い物リストだ。両親が共働きだった経験のある子供ならば、思い当たる事があるだろう。でも、ある時から、このメモは、とても深刻な事を伝え始める。メモだけで済まないような、大変な事を。

本来の小説ならば、そのメモを読んだ時の娘の気持ちや、母の気持ちなどを外面描写などで補うが、本作ではそれがない。あくまでメモだけで物語を完結させている。登場人物に具体的なイメージがないからこそ、読者は彼等に自分を重ねて読み進める事ができる。母の病気に取り乱した娘が、やがて母を慰め、落ち着いているように見えた母が、駄々っ子のような願いを綴る。ゆらゆらと揺れていた母娘のやじろべえが、やがてゆっくりと真ん中で止まった時、一人の女性が成長を遂げる。とことんシビアな内容が書かれていないので、読み易い。逆に物足りない、と感じる向きもいるかもしれない。

限られた言葉で、凝縮された思いを伝える時、人は何を一番大事にするのか。是非、親子で語り合ってみて欲しい。平易な文章で書かれているので、子供は無理としても、ティーン後半くらいから、読者対象に入れていいのではないだろうか。

但し、日本版に絵文字を入れたという案は、ケータイっぽく見えて逆効果だったのでは?という気がした。本作が「ケータイよりも手紙を書いた方がいい」と訴えていないにしても。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/03/06 09:49

家族とか、人生とかいう言葉の持つ、深い味わい

投稿者:きゃべつちょうちょ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「分厚い本を毎日少しずつ読み進める楽しみに浸って欲しい」と
わたしの大好きな江国香織さんが雑誌で紹介していた本だ。

いつも感じることだけれど、アメリカの小説は描写がほんとうに詳細で濃密で
びっくりしてしまう。
エピソードをミルフィーユのように幾層にも重ねてできたストーリーは
毎日すこしずつ楽しむに値する職人芸なのだと思う。

主人公は60歳の男性、ジェリー。仕事も家族からも「引退」し、
なにも考えずに愛する自家用ジェット機に乗ることを
なによりの生きがいとする。
妻に先立たれたことをはじめとして、地上には煩わしいことばかり。
空高く自分の人生を見下ろすことで厄介を紛らせている。
人のバイオリズムに永遠のクレッシェンドはないのだ。
いつの間にか人生の高い波は緩やかに下降していく。
かつて頼りにしていた父親は痴呆がはじまり、
息子は自分が引き継いだ事業に失敗、娘は大きな病の影におそわれる。

ジェリーの心理を中心に丹念な描写で、60年の人生と家族の肖像が
えがかれる。栄えるときも衰えるときも、時は淡々とながれていくだけだ。
「時が解決する」とよく聞くけれど、時はなんにもしてはくれない。
ただ、時のながれに逆らわずに、いるべき場所でやるべきことを成した人間が
自分で「解決」していくのではないだろうか。
たとえば痛みは時と共に薄れてはいくだろうが、消えることはない。
自分がその痛さに慣れていくということなのだ。

年齢を重ねることはそういうことなのだと
この小説は教えてくれる。そして若いときには見えてこなかった
「きらめき」の大切さを。

原題は「A LOFT」で、たぶん愛機の格納庫のことであると思われる。
ひとり空高く飛ぶことを楽しみに生きていたジェリーは
ラストでは家族の声を感じながら改装中の家の地下に
「きらめき」を見つけ出す。
そこに至るまでの膨大な時のながれに、読者も一緒に連れて行かれる。

作者は40代。力量に魅せられる。

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3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/03/19 08:52

さくさく読める利点と課題

投稿者:redhelink(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

私は生活環境が変わってから、よくメモを取ったりささいなことでも書き留めるようになりました。その甲斐あって、普段なら忘れてしまうことも思い出すことができます。

そんな習慣がこの本のキャッピコピーとマッチしたのでしょう。雑誌で取り上げられていることで名前を知っていたのも影響して、本屋で見つけたときに購入しました。

文章は、本当にメモ書きの文体。またメモを書いているのはクレアと母の二人のみなので、彼女たちのメモの文から日常生活を想像したり、それぞれの立場の想いを読者が想像しながら読み進める必要があります。

内容としては、産婦人科医である母が、仕事で忙しく娘とゆっくり話をする時間がないので、おつかいを頼んでいたり、愛情表現をするメモであったり、娘は学校での近況報告やおこづかいの請求やボーイフレンドの話などが書かれています。

また、最初のほうは母のほうが文章としては温かみのある文体で書かれていますが、乳がんがわかってから、時期を追うにつれて、母と娘の文体の変化が顕著になります。その辺りの想像が、この本を楽しむポイントではないかと思います。病気が進行すればするほど、母の文章は暗くなり、反対にクレアの文章は激励や愛情表現が多くなります。まるで二つの双曲線がクロスオーバーするようにです。

今まで仕事に追われて、クレアと向き合うことが少なかったため、すれ違いも多かったが、病気を通して気持ちが同じ方向へ向かおうとしているという設定自体はベタですが、現代社会で見られるようになってきた母子家庭や親と子の関係の一シチュエーションは共感を得やすいでしょう。

個人的にもう少し詰めてほしかったと思うのは、内容が若干軽かったような気がしました。取り扱っている話題が軽いというわけではありません。メモという特性を売りにしているので、妥協しなければならない点なのかもしれませんが、日付がまったくないので、メモのやりとりがどれだけの期間開いていたのかがわかりにくいため、想像では補いきれない部分もあったのも事実です。

総じて、文章がメモ書きであるため文章量も少なく、またかなり章が細かく切れているので、何かの合間に読んでいてもすぐに読破できる本です。長編を読んだあとでの息抜き程度やテレビのCMの時間に読むような本ではないでしょうか。

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