紙の本
書評も何も…
2008/11/13 14:24
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:赤井鶏太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
誤植が多すぎる。内容が素晴らしいだけに非常に残念
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長かった。少なくとも、自分にとってはそう感じられた。でも、読むのにかかった時間あたりで得られたものはかなり大きくてとても貴重だとも思う。
すごく網羅的な書き方をしていて、一見冗長にも思えたけれども、それは必要なことを出来る限り述べようとしているんだということは、一旦集中してしまうとずっと読み続けられる文章だ、ということから言えると思う。網羅的なので、これを起点として規制に関する議論を調べたり、それこそ自分も議論に参加したりできるような、指針を示してくれる本。
どの節も興味深い内容なのだけれども、特に新鮮、興味深かったのは以下。「規制には4つのやり方がある」「隠れたあいまいさから来る、価値観の議論の必要」「規制は信じる。政府は信じづらい」「間接的な規制は責任の所在をかなり曖昧にするし規制そのものを気づかれにくくする」「アメリカでは著作権法が思わぬところで出てくる」「フィシュキンの世論調査」そして最後に「自由が欲しいなら政府と共に規制に取り組まなければならない」と著者自身が言っておきながら「でも希望は持ってない、多分デクラン派が勝つと思う」と若干悲観的にも思える筆致。
なお、この本を読むときは出版社の正誤表 http://www.seshop.com/book/errata/8446/list がないと少々きつい。読み始める前に該当箇所を全部直してしまうことをおすすめする。同頁で全文が zip 形式で公開されてるし。
大学に入ったら、また読みたいと思う。その前に、見たくないものも少しは見て、何もしないよりは何かしようと思います。
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「インターネットと法」というようなジャンルになるのだろうけれど、これはそういう狭い範囲の話ではぜんぜんない。たしかに全編にわたってネットの事例が沢山出てくるし、プライバシーとか著作権とかの話もある。でも、ネットは考えられるべき話の発端なんだと思う。
ネットやIT技術の進展は規制の実現可能性を高めるし、そうした技術の総体としてのアーキテクチャ自体が規制そのものとして参加者をコントロールしていく。それは、従来のコスト的にも技術的にも穴だらけの回避可能な規制ではなくて、回避がほとんど不可能ないわば法の完全執行が実現される世の中を作りだしうる。
そして、そんな完全執行が実現したとき、法は立法者がその法に託した状況を実現できるのかといえばそんなことはないだろう。たぶん過剰な規制が実現されてしまうんじゃないだろうか。法がそうした技術を想定していなかった、という運用上の不備なんかのレベルじゃなくて、法の考え方や体系まで考えなくてはならないようなものになりかねない。
だからこそ、法や制度、規範をどう考え直すのか、そこからどんな選択をしていくのか、が問われるはず。そして、それはとりもなおさず自分たちの社会だどうあるべきかが問われることなんだろう。
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憲法が保証する「規制の不完全さ」がアーキテクチャに_意図的に_コーディングされなければならない。/アイデンティティ層の導入により匿名性が失われる。/間接規制は不透明。政府は政治的コストを払わない。/憲法の前提が変われば、「翻訳」(読み替え)が必要になる。/プライバシーは損害賠償ルールではなく財産権ルールで。/「コードは法」は比喩に過ぎない。東海岸コードと西海岸コード。新シカゴ学派。/アーキテクチャと市場は事前に、法と規範は事後に規制する。
第三部 プライバシー
「情報銀行」はレッシグのプライバシー保護に関する「損害賠償ルールより財産権ルールを」と整合的。
「情報銀行」でプライバシーの財産権化が進めば「売血」のように「弱者はプライバシーを売り、強者はプライバシーを保つ」というプライバシー格差が社会問題になるだろう。これ小説の設定に使えるな。
P3PとOpenID Connectの融合みたいなのがトラストフレームワーク上に情報銀行を可能にするんだろうな。
インターネットにアイデンティティ強化層が導入されて「匿名でアクセスする権利」がなくなるとき、分人(ディブ)の法人格を認める法が作られる。
第四部 主権
企業がつくるサイバースペースの「主権者」はユーザーではなく、そもそも民主主義どころか「ユーザー主権」ですらない。むしろ人権が成立する以前の中世に似ている。
しかし、社会契約論的・一般意志的に自治の延長で「主権」を構成することもできる。それは株式会社よりもNPOなりが運営するサイバースペース・アーキテクチャにおいてありえることだが、前者においても「一般意志」を独裁者が体現すればいい。
ライフログの位置データにもとづく滞在時間から住民税が基礎自治体に配賦される未来。
もっと立法スピードが速ければ「コードへの法規制」が現実的にいろいろできるわけだが、次善策は業界団体の自主規制や共同規制かいな。
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話題になった本なので昔に読んだが、内容をまったく覚えていなかったので再読してみた。
本書の議論はネットの自由と規制をめぐって展開していく。ネット上は何でも自由ですばらしい、というのではなく、ネット上にももちろん(オフラインの世界と同じように)規制はある。シートベルト規制が必要なようにネット上でもある種の規制は仕方がない。ただ問題は、規制をどのような形で実施するかが重要であると筆者は言う。
著者は規制を法、市場、規範、アーキテクチャ(コード)に分類する。ネット上とオフラインで一番違ってくるのはアーキテクチャの部分であり、そういうわけで、ここが本書の大きなテーマとなる。
オフラインの世界ではアーキテクチャをいじって規制するのは簡単ではない。しかし、ネット上ではそれができる。本書で挙げられているセカンドライフの例で言えば、自分が買っている犬を「生き返らせることができるかどうか」を規定するのはアーキテクチャである。つまりオフラインではアーキテクチャは多くの場合、所与のものだけど、ネット上ではそれは私達の選択であるというわけだ。
このアーキテクチャをどう捉えるかによって、ネットに対する見方が変わってくる。つまり、「俺達はアーキテクチャに支配され、疎外されているんだ」と考えるか「アーキテクチャは俺達が作り出すことができる。良いアーキテクチャをつくれば幸せになれるんだ」と考えるか。著者はもちろん後者で、それほど楽観的でもないけど、アーキテクチャをポジティブに考えているということは言えるだろう。
結局、良い規制になるか悪い規制になるかはアーキテクチャをどのように設計するかによる、ということになる。
もちろん、アーキテクチャは逆に私達を支配する道具にもなりうる。アーキテクチャによる支配のたちが悪いのは、それが支配していることが見えにくいことだ。例えば中国で行われているある種のキーワードに対するフィルタリングがいい例で、天安門事件とかは最初から検索結果に表示されないのだからユーザにとっては存在しないことになる。筆者はアーキテクチャに対してポジティブだが、この点に対する問題意識を強く持っているようだ。
本書を読んでいて、昔『かまいたちの夜』をやりまくっていたことを思い出した。たまに絶対選びたくない選択肢しか出てこないことがあって、その時感じたのと同じ気持ち悪さをネットのアーキテクチャに感じる。ネットが普及してそれが当たり前になるにつれて、できることが多くなると、こういう気持ち悪さはなくなってくる。しかし、アーキテクチャも誰かが作ったものであり、所与のものではない。それは選択であり変えることができる。そのことを忘れてはいけないと本書を読んで強く思った。
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最初に書いておくと難読書。訳が非常に難しく(誤訳もあり?)、文章の組み立て方が非常に下手。恐ろしく読みにくい。が、重要な一冊。書かれた年代は少し古いが、ITの施策、提案、構築をする際に市場、法律、規範、アーキテクチャ(コード)という4点を意識することは非常に重要であることに気付く。
またIT黎明期に先人たちが何を求めていたか、何を目指していたかを捉えることは、時として浮つきがちな、この世界に確固たる基盤を示してくれる。
例えばプライバシーの問題を考える時、ITの世界ではそれを透明化することも秘匿することも容易(に見える)。だが、そもそもプライバシーとは何か?何をすべきで何をすべきでないか。この点を執拗に議論している本書を読むことでFacebookなどが見つめる未来の見え方も変わってくるはず。
IT屋でなくても、この本は一読すべき。もしろ興味が無い人こそ、ITが築こうとしている未来の一端を覗くためにも読んで欲しい。お勧めです!!
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インターネットを語る上で、もはや古典でありながら未だにその価値は全く色あせない名著。久しぶりに読み返したくなり再読するが、やはり面白い。
今やクリエイティブ・コモンズの擁護者としても知られる法学者ローレンス・レッシグの代表作である本作「CODE Version2.0」は、1999年に発表された「CODE」の事例を幾つかアップデートした上で2006年に刊行されている。本書は一言で表すなら、インターネットを巡る”規制”の総体を4つのディメンジョンで示したうえで、特に「アーキテクチャ」を構築するソフトウェア、即ちコードが最も重要であることを看破した点にある。
我々は日常的な用法として、”規制”という言葉を用いるときに、国や行政といった立法権を持つ主体が法律や省令、ガイドラインのような文書で人々の行動を特定の方向にインセンティブ付けする、という姿を想起することが多い。しかし、レッシグの”規制”の概念はもっと広範なものであり、一般的に我々がイメージする”法”以外に、”規範”、”市場”、そして”アーキテクチャ”の4点から構成される。
例えば、かつてのNapsterのようなMP3のP2Pダウンロードに対する規制は以下のような総体として示される。
・法による規制:著作権法などによる罰則規定
・規範による規制:教育や業界団体を通じたP2PのMP3ダウンロードが不法であるというキャンペーンと世論形成
・市場による規制:AppleによるiTunes Music Storeのように1曲1ドルという安価な価格設定を通じた公式MP3のマーケットプレースへの誘導
・アーキテクチャによる規制:CCCDのようにMP3へのファイル変換を禁じる技術の導入
そして重要なのは、
・この4つは独立して存在しているのではなく、相互依存性を持つ。特に法が規範・市場・アーキテクチャに働きかけることで、一見して法が強制しているようには見えないが、何らかの立法主体の思惑が実は強く反映されていることが往々にして起こり得る
・インターネットでは最後のアーキテクチャによる規制が最も人々の行動を束縛する。なぜならば、リアルワールドにおいては建築・デザインといった実空間の操作によってしか行えなかったアーキテクチャの変更は、インターネットにおいてはソフトウェアのコードを変更するだけの労力で実現できてしまう
という点を鮮やかに描き出した点にある。
1999年にレッシグが描いたこの規制の総体は、そこから20年が経過した現代において、どのような重要性と示唆をもたらすのか?例えば、それは1999年と比較して明らかに強大になりすぎた特定のプラットフォーマーの影響力をどのようにバランスさせるのか、という点で、GDPRのような法による規制以外のアプローチが有効であることを含意するだろう。それについては、またいつか。
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第一章だけつまみ食いした感想としては、分厚いけれども意外と取っつき易い印象。ただ噂にたがわず、訳は・・・なところあり。
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サイバー空間というものが非常に曖昧であり、その曖昧さが実体空間の法の持つ曖昧さをも浮き彫りにした。それからどうするのか、というのがここでの議論となるのだが、コードがサイバー空間の法であり規制でもあるが規範ではないという点を理解して議論しなければならない。また、規制するのは法だけでなく市場も規制するという点も理解しておかなければならない。さらに「コードを書くのは誰か?」という問題もあって一筋縄ではいかない。そして「自由とは何か?」「民主主義とは何か?」という問題にまで発展してしまう。
サイバー空間における法のあり方についてのかなり深い議論がなされており、また範囲も非常に広いため一読しただけではなかなか理解するのは難しい。しかし読み終わった後の名状しがたい不安感こそが筆者の求めるまず最初のものではないかとも思う。
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読み直したさ:★★★
秩序のトリアーデに,コード・アーキテクチャという四つ目の要素を加味。全体を通して,民主主義との関係についての考察を含む。
〈感想〉
訳者の文体は読み進めれば慣れるし,むしろ読みやすくもある。ただ,誤植が目立つのが悲しいところ。
全体を通して,自分の常識を揺さぶるような面白い読書体験だった。3.0はまだですか?笑
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wired・コンピューターとデジタルライフ・1位
xcodeの本を検索しようとしてxを入れ忘れて、これが出てきた。
全くの偶然だったけど、面白そう。
¥
mmsn01-
【要約】
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【ノート】
(wiredより)
オンライン上の規制はいかにあるべきか。そこでの自由、民主性とは何かを徹底的に論じたサイバー法議論の欠くべかざる重要文献。2007年の改訂版で。
◆ユーザーからのコメント
「アーキテクチャ」をキーワードに論じる各種文献もここからはじまった/IT企業の法務部員としては、1冊しかない法律書であるところのこれに投票せざるをえない/インターネットの未来が予想できるかも! オンライン上の規制はいかにあるべきか/山形浩生訳の本は、視界が変わる! だから面白い/法とアーキテクチャを並列させたのはこの本から
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インターネットの規制の話。現実とネットの世界との違いが生み出すいろんなことが影響してるが、容易に規制が進むというのは理解できる。それを見越して、全てを規制しないように規制が必要だと。不完全さを残すために、「自由」を守るために。矛盾してるようでも、真っ当と思える。でも、山形浩生さんの役と解説が無いとすんなり頭に入らなかったろうな。いつもの如く笑。
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[出典]
経営リーダーのための社会システム論
宮台 真司, 野田 智義
P.191 ローレンス・レッシグ 「CODE インターネットの合法・違法・プライバシ」からの発掘