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戦国武将の「政治力」 現代政治学から読み直す (祥伝社新書)
著者 瀧澤 中 (著)
信長、秀吉、そして家康−。戦国を生き抜いた武将の「ここ一番の判断力」に学べ! 文献だけでは見えて来ない、戦国大名たちの「政治的判断」の理由と背景を、現代の政治学の目を通し...
戦国武将の「政治力」 現代政治学から読み直す (祥伝社新書)
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商品説明
信長、秀吉、そして家康−。戦国を生き抜いた武将の「ここ一番の判断力」に学べ! 文献だけでは見えて来ない、戦国大名たちの「政治的判断」の理由と背景を、現代の政治学の目を通して概観する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
瀧澤 中
- 略歴
- 〈瀧澤中〉1965年東京都生まれ。駒澤大学法学部上條末夫研究室卒。作家・政治史研究家。日本ペンクラブ会員。著書に「政治のニュースが面白いほどわかる本」など。
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紙の本
頼れない中央政府、失われた中央政府の権威
2008/08/12 02:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はタイトルからも想像できるように戦国武将を小説の世界のような色眼鏡で美化して見るのではなく、「純粋に政治力学で眺めてみる」ことを試みている。歴史家という人たちは歴史を政治史として見ているはずだが、(私を含め)一般の歴史ファン層というものは多分にそこにロマンチックなものを求めて見てしまいがちである。
本書では戦国武将たちがとった行動がどのような「政治的判断」で行われたものかを読み解いている。登場するのは信長・秀吉・家康といったご存知の面々だが、彼らに敵対する者、協力する者たちあっての3人だから、脇役たちの政治力についても取り上げている。現代の政治家との比較もあって、それはそれで興味深い。
第6章に「領民の協力なくして領主は成り立たない」とある。これはいつの時代も同じだろう。現代日本は領主こそいないが主権は国民にある。つまり国民の協力なくして国家は成り立たない。今、日本を不信感が覆っている。政権政党や官僚が領主ではない。彼らに勘違いしてもらっては困る。
北条早雲が伊豆を攻略するときの逸話が書かれている。彼は「領民の心が離れている国主など簡単に攻め落とせると踏んだ」から成功したという。何か現在の民主党を後押しするような話であるが、人心の離れた自公政権も先がないだろう。
また「戦国時代は地方分権の時代」だったとも書かれているが、日本も「いっそのこと道州制にして各道や州が独自に税体系をつくるようにすれば、競争しながらよい税体系をつくるはず」というのは、道州制導入のメリットとして賛同できる。つまり競争原理が働き、税金は安くなり、行政サービスの充実が期待できることになる。
政治力からは外れるが第3章に関ヶ原合戦について興味深い記述がある。合戦前に「もし早々に、豊臣秀頼の安泰を条件に多くの豊臣大名が徳川家康に従った場合、関ヶ原合戦の起こる確率は低い」。これは合戦がなかったら家康は「反・家康派の大名を大量粛清する絶好の機会」を失い、豊臣潰しも実現できなかったことを意味する。東西両軍の力が均衡していてどっちが勝つか分からない状況だったからこそ関ヶ原合戦は起こった。秀忠軍の到着が間に合わなかったことは有名な話だが、もしこれが間に合っていたとしたら戦わずして東軍の勝利になっていたかも知れない。そうなると家康の構想は外れ、反家康勢力が生きながらえて、家康もどうなっていたか分からない。秀忠軍の遅刻は計算の上での時間稼ぎだったのではないかとも思えてくる。