- 出版社:作品社
- サイズ:20cm/384p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-86182-150-9
山本周五郎探偵小説全集 6 軍事探偵小説
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- 税込価格:2,940円(84pt)
- 発行年月:2008.3
- 発送可能日:24時間
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商品説明- 「山本周五郎探偵小説全集 6 軍事探偵小説」
山本周五郎の知られざる探偵小説62篇を大集成。第6巻には、海軍の少年特務員・東忠三が、滅亡したケルレン王国を再興しようと奮闘する「血史ケルレン城」など、異色幻想ミステリを含む小説9篇を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧- 「山本周五郎探偵小説全集 6 軍事探偵小説」
| 血史ケルレン城 | 6−160 | |
|---|---|---|
| 獅子王旗の下に | 161−221 | |
| 弛緩性神経症と妻 | 222−227 |
著者紹介- 「山本周五郎探偵小説全集 6 軍事探偵小説」
山本 周五郎
- 略歴
- 〈山本周五郎〉1903〜67年。山梨県生まれ。43年「日本婦道記」が直木賞に選ばれるが受賞を辞退。その後も亡くなるまで、あらゆる文学賞を拒否し続けた。他の著書に「樅ノ木は残った」など。
ユーザーレビュー- 「山本周五郎探偵小説全集 6 軍事探偵小説」
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2008/06/18 19:40
個人的には一番意外性のあった巻でした。この全集って、児童向けじゃなかったんです。時には乱歩を思わせるような妖しいお話も混じって・・・
投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年末から楽しんできたこの全集も最後の巻となりました。最後、とはいっても別巻が引き続いて出版されるので、小川惟久の素晴らしい装幀をまだ楽しめますが、本編はこれで一応完結です。ちなみに今回の、チャームポイントは気球の手前に飛ぶ複葉機です。秋に出るといわれている久生十蘭全集も、こういった品のいい装幀でお願いします!
閑話休題、今回はタイトルこそ軍事探偵小説となっていますが、読んでびっくり、今までの少年少女向けのお話だけではなく、かなり妖しいお話も混ざっています。ま、この全集を児童向けの作品を集めたもの、とするのが間違いで、あくまで今までの全集に収録されていなかったものの集成のわけです。
周五郎ほどの作家ですから、大人向けの作品は殆ど全集に収まっていて、結局、さほど評価の高くなかった少年少女雑誌掲載作品が集まった、そういう意味では大人向けの小説でも、生前の周五郎が認めていなかったような作品があってもおかしくはありません。例えば生前未発表だったという「鴉片のパイプ」などは、文体はともかく乱歩が書いたといってもいいような妖しいお話です。
乱歩を連想するという意味では、「弛緩性神経症と妻」も「猿耳」も「豹」も同じです。流石に発表誌も少年少女雑誌ではなく、一般誌ですが、今までこの全集を楽しんできた人には「おお」とおもわず声をあげたくなるようなものではないでしょうか。そういう意味では、全六巻中、異色の巻と言えそうです。
各話の簡単な内容紹介、初出を書いておきましょう。
◆血史ケルレン城(「少年少女譚海」1934年1月~12月):東方文化の粋を集めた亡国ケレルンの再興を果たすべく、凶賊朱銭会より高王子を救い出さんとする東忠三と、その忠実な弟分・栗鼠公の死を賭した壮絶な戦い!ロシアの宿敵アレクセイとその娘で美少女のナスターシャが張り巡らす罠・・・
◆獅子王旗の下に(「少年少女譚海」1935年12月~1936年4月):時は1935年。対伊太利戦下エチオピアで新聞記者と身を偽りエチオピアのために働く18歳の佐伯哲一の潜入活動・・・
◆弛緩性神経症と妻(「今日の文学」1931年7月):妻が自分には決して見せない笑顔、それを見ず知らずの青年だけが引き出すことができる、私の気持ちは揺れる・・・
◆逆撃吹雪を衝いて(「少年少女譚海」1932年2月):日本軍が進軍してくる村に爆薬をしかけ、木葉微塵にしようと企む露西亜パルチザンへ潜入した少女・李芳、その本当の姿は・・・
◆猿耳(「犯罪公論」1932年11月):私が手に入れた手記、そこに書かれていたのは、画家と友人との奇妙な賭け。三日にわたる攻防の行方と意外な真実・・・
◆豹(「アサヒグラフ」1933年9月20日):浮気の果てに自殺した兄。美貌の義姉・純子のもとを訪れた正三。純子の容姿に誘われて集まる男たちと、動物園から逃げ出した豹・・・
◆火の紙票(「科学と国防譚海」1940年12月):灯火管制の布かれる東京郊外で研究を続ける佐野喜一郎博士、研究所に懇篤な諾威(ノルウェー)人が届けてきたのは修理に出した時計、そして洩れるヒカリを防ぐ為の紙・・・
◆虹の恐怖(「少女世界」1931年8月~10月中絶):親を亡くし資産を失った不由子が身を寄せるのは親戚の松沢子爵のもと。娘の夏絵に嫌われ失踪した彼女を探す康雄は・・・
◆鴉片のパイプ(生前未発表、「小説新潮」1996年2月):浜田が勧めるのは鴉片が入っているだろうブライヤアのパイプ。家に帰った私に妻が見せる媚態、誘われるように床を共にした私は・・・
以上です。今回ばかりは軍事探偵小説とあるものの、その手の作品は子供向けのもの。それ以外の物語は、周五郎にとって意に満たない出来ではあっても大人向けのもの。背伸びをしても、児童書の凡作では、一般作品の失敗作にも及ばないという冷徹な現実が見えてしまいました。周五郎にしてそれですから、普通の作家なら目も当てられないことでしょう。
ともかく、「弛緩性神経症と妻」「猿耳」「豹」「鴉片のパイプ」だけでも読む価値があります。是非お読みください。








