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くまとやまねこ

  • 出版社:河出書房新社
  • サイズ:19×24cm/1冊(ページ付なし)
  • 利用対象:小学生
  • ISBN:978-4-309-27007-4

くまとやまねこ

湯本 香樹実 (ぶん), 酒井 駒子 (え)

  • 全体の評価 59件のユーザーレビュー
  • あなたの評価 この商品を評価して本棚に反映 評価しました! ×
  • 税込価格:1,36539pt
  • 発行年月:2008.4
  • 発送可能日:24時間
  • 絵本

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商品説明- 「くまとやまねこ」

突然、最愛の友だち・ことりをなくしてしまった、くま。くらくしめきった部屋に、ひとり閉じこもっていたくまが、やがて見つけた、あたらしい時のかがやき。感動の絵本。【「BOOK」データベースの商品解説】

【講談社出版文化賞(第40回)】【書店員が選ぶ絵本大賞(第3回)】突然、最愛の友だちのことりを亡くしてしまった、くま。暗く閉め切った部屋に閉じこもっていたが、ある日やまねこと出会った。やまねこは、くまのためにバイオリンを弾いてくれて…。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「くまとやまねこ」

湯本 香樹実

略歴
〈湯本香樹実〉1959年東京都生まれ。「夏の庭−The Friends−」で日本児童文学者協会新人賞等を受賞。
〈酒井駒子〉1966年兵庫県生まれ。「きつねのかみさま」で日本絵本賞受賞等受賞多数。

ユーザーレビュー- 「くまとやまねこ」

全体の評価
5.0
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★★★★★(9件)
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★★★☆☆(0件)
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12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/05/30 00:25

しみじみと胸の奥底まで染み入るような絵本

投稿者:ろこのすけ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

涙があふれてとめることができなかった絵本だ。
読み終わってまた涙があふれた。でも今度は明日へつながる新しい涙となった。

「ある朝、くまはないていました。なかよしのことりが、しんでしまったのです」
ではじまるお話。

がっくりと肩をおとしてうちひしがれたくまと、あおむけにしんでいることりの絵が胸をつきさす。

くまは悲しみのあまり部屋にかぎをかけて閉じこもってしまう。何日もたって天気の良い日に久しぶりに外へ出たくまは森をぬけ川べりの土手にねころんでいるやまねこに出会う。
バイオリンをもっていたやまねこは、悲しみにくれる くまと亡くなったことりのために演奏する。
ああ、その音色!
くまはバイオリンを聞きながらことりとの思い出をたどる・・・。

誰も愛するものを亡くした悲しみを乗り越えるのはむずかしい。
しかし時という「日薬」は悲しみを一つ一つ埋めていってくれる。
そして誰かが心をささえてくれ、大きな慰めを与えてくれるものだ。
からだは滅びても思い出は決して滅びない。
滅びないどころかそれはいつしか心の支えとなって明日へと歩ませてくれるものとなる。
くまと小鳥とやまねこと。

世の中、みんなくまの悲しみを知るときがくる。そしてやまねこと出会えることがあるだろう。体は滅びても思い出は滅びない。滅びないどころかそれは終生の支えとなって明日へと進ませてくれる。もし悲しみにくれる他のくまにであったら、今度は自分がやまねこになって支え慰める番だ。ふとそんなことを思った。

絵本にしては珍しく静かな穏やかな白黒が基調の絵。
日本絵本大賞、ブラティスラヴァ世界原画展金牌受賞、フランス、オランダなどの賞を総なめにした絵本画家酒井駒子の絵が素晴らしい。

暗闇の中、椅子に腰掛けがっくりと肩を落とすうちひしがれたくまの絵。
小さな箱に花びらがしきつめられひっそりとおひるねしているようにねむっていることりの亡がら。
「ぼく、もうめそめそしないよ。だって、ぼくとことりはずっとずっと友だちなんだ」
森の中にぽっかりとそこだけ日のあたる場所に佇むくまとやまねこの絵。
読む者の胸にも日がさしてくる。

余計な色をいっさい省いて言葉がかもす詩情だけを描いている。

しみじみと胸の奥底まで染み入るような絵本だった。
本棚の一番大切なコーナーに置いておく一冊。


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10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/07/22 13:14

再び歩みだせるまで

投稿者:こぶた(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

湯本香樹実という作家は
「死と再生」を描く作家だと思う。

大好きなことりを失い
その死を受け入れることができず
持ち歩くことでその死を忘れようとする
そんなくまを気持ちを
理解することない
善意でくまに亡くなったんだから諦めなくちゃという
森の仲間の言葉
心傷つき深くこもるくまの心を
動かしたのは
季節の移ろいという時間の経過と
外から流れる音楽に耳を傾けることができ扉を開いたくま自身
そして
くまの心に寄り添う優しい言葉をかけてくれたやまねこだった。
やまねこにも大切な誰かを亡くした気配があった
にひきはバイオリンとタンバリンを持って旅に出る

私も愛する宝物のような犬たちを相次いで失い
心はずっとあの子を亡くした冬の寒さ
何を見ても悲しく寂しく
何を聞いても涙が流れ
慰めの言葉の些細な言い回しにも
心傷つき
ずっとずっとあの子たちを探し求め
悲しみの底でじっとしゃがみこんでいた。
そんな私のもとへ
縁あって保護団体から推定4~5歳の男の子の犬が
やってきた
都会の街角に捨てられ
保健所の殺処分ぎりぎりで
保護団体から引き出され
さまざまな人たちの世話になり
遠い地の我が家へやってきた。
寂しがり屋の私と同じようにさみしがりやで
ひどい目にあっても人間が大好きな彼と
一緒に幸せになろうと思う
くまとやまねこのように・・・

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7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/03/17 00:23

もしもあなたが大切な人を亡くしていたとしたら・・・

投稿者:wildcat(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

この物語の時間は、とてもゆっくり流れているように見えるけれど、
本当は早回しなのです。

大切な人を亡くした直後から1年くらいまでを一気に、
だけど、ゆったりした時間を感じさせながら描いていると思ってください。

だから、もし、あなたやあなたのお友達が、
大切な人を亡くしたばかりで、
毎日、思い出しては泣いているのだとしたら、
この本を手に取るのは、まだ早いと思います。

1年くらいしてからの方がよいので、もう少し待ってみてください。

私も、最初にこの本に出会ったとき、
本屋の中だったのに、号泣してしまいそうになり、
連れて帰ってくることができませんでした。

やっと連れて帰ってきたのは、
大切な人を亡くしてから、あと少しで1年になる頃でした。

この頃になると、やっぱり、泣いてしまうけれど、号泣じゃなくなります。

「くま」や「ことり」や「やまねこ」と、
自らの経験を静かに重ね合わせられるようになります。

1年間、自分がどんな心の軌跡をたどってきたのかを、
この本と重ね合わせながら、ゆっくりと読むことができるはずです。

1年経っていないころは、
本のエンディングは、自分よりも先に行ってしまっているのです。

だから、最後まで共感できると思ったときが、タイミングです。

最初は、ことりがしんでしまった直後から物語は始まります。

なかよしのことりがしんでしまって、ないているくま。

くまは、ことりのことを思いだしますが、
このときは、ことりがいない『きょうの朝』がかなしくてたまりません。

「きのうの朝にもどれるなら、ぼくはなにもいらないよ」と思います。

ことりがいるときは、きのうの朝より、あしたの朝より、
きょうの朝がいちばんすきだと、ことりといっしょに思えたのに。

こんな気持ちのときは、先を急ぐ必要はないです。

最初は、周りが何と言おうと、
かなしいときはかなしんで、いいんだと思います。

どこにいくんでも、ことりを入れた箱を持ち歩いていたくま。

周りのみんなはその箱の中身を見ると、
こまった顔をして、だまり、そして言います。

「くまくん、ことりはもうかえってこないんだ。
 つらいだろうけど、わすれなくちゃ」

くまは、そのことばをすぐにはうけいれられませんでした。

それで、いいんだと思います。

周りが何と言おうと、かなしいときは、かなしいのです。

だから、とことん、かなしんでいいんだと思います。

ずーっとずーっととことんまでかなしんでいると、
それでもやっぱり生きているじぶんに気づいてしまうことになります。

くまのように、まどをあけたくなります。

じぶんのいちばんしたいことがしたくなります。

くまは、そとにでて、あるきだしました。

私は、読んで、書きました。

あなたがうごくと、出会っちゃうんです!

あなたにとっての、やまねこに。

やまねこは、箱の中を見て、こう言います。

「きみは このことりと、ほんとうになかがよかったんだね。
 ことしがしんで、ずいぶんさびしい思いをしてるんだろうね」。

大切な人を亡くした人に接するときに、
何も言えなくなってしまう人、
亡くなった人のためにも
あなたが幸せにならなくっちゃと励ましてくれる人、
やまねこのように静かに悲しみを共有してくれる人がいます。

どの人も、あなたの大切な友達ですが、
やまねこは、喪失を知っている存在です。

喪失を知っている人、生や死についての学びを、
ある意味で、あなたより先に始めた人は、
あなたを支えてくれるでしょう、誰よりも。

この喪失を知っている人とも、出会いのタイミングはあるのだと思います。

早すぎても扉を閉ざしてしまうから。

外に出て出会うくらいがちょうどいいです。

やまねこがバイオリンを奏でたとき、
ことりとの思い出を、すべて、幸せに、思い出せるようになる。

それが1年経ったということなのです。

そうしたらね、ことりのなきがらを本当の意味で手放せるんですよ。

そうなったら、この本に、出会ってください。

きっと、あなたの本だと、わかるから。

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6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/05/23 08:12

絵本というにはあまりにも

投稿者:夏の雨(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 いのちのことを考えているのではありません。
 死んでいったもののことを思っています。私よりも先に逝ってしまったもののことを思っています。
ちょうど、この物語の、なかよしだったことりをなくしたくまのように。

 これは湯本香樹実さんが書いた絵本です。絵は酒井駒子さんが担当しています。
 湯本さんの細やかで奥深い文章と、酒井さんの静かで哀しい色調の絵が相まって、深い物語の森へいざなってくれます。
 そこで、ちいさなことりの死に悲しむくまを見つけます。
 でも、くまにはぽっかり何かが抜け落ちています。なくしたものの悲しみに、そのことを見失っています。
 くまは、いのちのことなんか少しも考えていません。自分より先に冷たい骸(むくろ)になったことりを抱きしめるだけです。

 そんなくまはやまねこに出あいます。やまねこの奏でるバイオリンの音色に、なかよしだったことりとの楽しかった時間を思い出します。
 くまはことりだけでなく、そんな時間もなくしていたのです。
 「くまはなにもかもぜんぶ、思いだしました。」
 死んでいったものではなく、ようやくいのちのことを思い出します。
 
 深い悲しみに満ちた絵本です。
 それでも、この絵本によって、いのちのことであったり、死んでいったものたちであったり、生きていく途上で私たちが避けることができない多くのことに気づかされるのです。

 ◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。

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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/11/18 01:52

喪失と再生の物語

投稿者:marekuro(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

仲良し同士だった、くまと小鳥。
ある日、小鳥は死んでしまいます。

いつも一緒だった二人。
くまは悲しみに沈みます。

そして、死んでしまった小鳥の入った棺を
持ち歩きます。

ですが、他の仲間は理解できません。

そして、くまは家の扉に
鍵をかけて中に閉じこもってしまいます。
それはただ、引きこもるのではなく
気持ちを閉ざすことを意味しているのです。

大雑把にストーリー前半部分の概略を書きましたが
このストーリーが何を言わんとしているかについては
説明はいらないでしょう。

そして、ある日くまは自分から
外に出ます。

悲しみから、本当の意味では解放されていませんが
ふと、ひと時気持ちが悲しみから離れた瞬間かもしれません。

久しぶりに外に出たくまは改めて”世界”を認識します。
それは小鳥が死んでしまって、すでにいない世界。
だけど、変わらず美しいままの世界。
その中に存在する自分。

そこで、やまねこと出会います。
やまねこはヴァイオリンを弾いて歩いている
旅の途中です。

そのやまねこの弾くヴァイオリンの音色で
くまは小鳥との日々を回想します。

くまがヴァイオリンの音色を聴いている場面。
まったく文章が入りません。
ですが、すごく読者に訴えかけてくるものがあります。
そして、モノトーンの絵が、モノトーン故に色彩感覚豊かに
無言のメッセージを伝えてきます。

くまの回想は続きます。小鳥との楽しかったこと
小鳥と過ごした日々を思い出します。

くまの回想が終える頃に挿入される印象的な小鳥の絵。
それは小鳥の亡骸の絵です。

きっと、くまが小鳥の死を事実として受け止められた瞬間
なのでしょう。

回想することで小鳥の死を受け入れ
回想することで、小鳥はくまの中に生きつづける。

身近で大切な人をなくし、喪失体験をされた方には
理屈ではなく、感覚でわかることなのかもしれません。

その後のストーリーで、くまはやまねこと旅にでます。
やまねこから渡された物は、使い古された物です。
それを見て、やまねこの喪失体験を想像するくま。
ですが、それを尋ねる事はしません。
尋ねることをしないかわりに、一歩進み始めます。

本作でのやまねこのような存在。
それは、言い換えるなら自分より先に
あるいは、自分と同じく喪失を経験している者の存在。
その存在の重要性を伝えられた気がしました。

同じように大切な人を失った経験を持つ者どうしだから
多くの言葉を介さずに理解し合える。

結局は自分自身で気持ちの整理をつけなければ
ならないのですが、同じ経験をしたもの同士が支え会う。
だからこそ、得られるものがあるのだと思います。
それは支える方も支えられる方も。

そして、そのような出会いは偶然だったりするのかな。
くまとやまねこのように。
あるいは偶然のようで必然なのかもしれません。

個人的には、くまとやまねこの出会いの部分を読んで
偶然であれ必然であれ、人と人との出会いというのは
死に別れていく者と新たに出会う者の両者をも含めた上で
それは贈り物であるような気がしました。


他のレビュアーさんも書いていますが、大切な人を亡くした直後に
読むのはおすすめできません。
一方で、子供に”死”を教えるような絵本でもないと思います。
この本は、大切な人を亡くした大人が
その事実を受け止め始めた頃に読むことで
救われるものがあると思います。

最後になりますが作者の湯本香樹実さんの書く作品の多くは
死や喪失について書いた物が多いです。
『夏の庭』が有名ですが、個人的には本作が一番秀逸だと思います。

また、酒井駒子さんの絵も素敵です。
作中で、くまが小鳥のおしりに綺麗な葉っぱを結んだ場面以降
少しずつ所々に薄桃色がついていく絵は見ていて胸に迫る
ものがありました。

この二人がそろわなければ、作り得なかったであろう
本作品。
喪失体験を経てきた大人にこそ読んでもらいたい1冊です。

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/09/24 20:22

忘れたくても忘れられない人を忘れるために

投稿者:kumataro(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

くまとやまねこ 湯本香樹実(かずみ)文 酒井駒子絵

 とある本の巻末にあった本の紹介コーナに「名作」とありました。読み終えて、やはり「名作」でした。絵本なので、短時間で何度も読み返すことができます。最初は絵だけを追いました。死んでしまった小鳥の前で、熊が途方に暮れています。
 次に文章を読みました。秀逸です。選び抜かれた言葉と高い水準の文章が続きます。何度もあるいは何年もかけて練りこまれた文章です。文章表現が巧みで心がこもっています。
 親しい人を亡くす。近しい人を亡くす。日にちが経てば経つほど、悲しみは深まります。ああすればよかった。こうしてあげればよかったと悲観に暮れます。
 この本を読んでいた同時期に「にいさん」いせひでこ作を読んでいました。こちらは、ゴッホの弟さんのお話です。乳幼児期には仲がよかった兄は、偏屈な大人になりました。周囲の人間たちがゴッホを避ける状況にあっても弟は兄を支えようとします。でも兄は自殺します。ゴッホの弟とこの本の熊が重なるのです。
 忘れられない亡き人。忘れるように勧める周囲の人。亡くした人の代わりに現れる新しい人、それがやまねこです。やまねこは、熊の淋しさとか、悲しみに共感してくれます。熊と小鳥は動物の種別は異なるけれど、恋人同士なのです。あるいは、夫婦を擬人化してあるのです。
 やがて熊は、立ち直るのです。つらくとも、死ぬまでは、生きていかねばならないのです。
 そしてまた同時期に「小暮写眞館」宮部みゆき著を読んでいました。幽霊が出るのです。心残りの人は霊となってその場に残るのです。死んでも死にきれないのですが、この物語の小鳥は目を覚ましません。完璧に天国に召されたのです。小鳥は満足して亡くなっていったのです。旅立つ者よりも残された者のほうがつらい。だから熊は音楽にのめりこむのです。人は、音楽や絵画や文学に惹(ひ)かれていくのです。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/04/07 12:12

それぞれの人に、それぞれのインスピレーション

投稿者:ナカコ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この絵本を手に取ったとき、大好きな絵本、マリー・ホール・エッツの「もりのなか」を思い出しました。一見、暗そうな絵本に、深い味わいを期待できました。

 まず、ことりの横たわった絵にははっとしました。
このような姿を見たことのある人は多いと思います。わたしも何度もあります。10年前こんなことがありました。母が10時間の大手術を耐えた夜、やっと家に戻ったわたしの目にとびこんだのは、庭で息絶えた、見たこともない真っ青な美しい小鳥の哀れな姿でした。
まるで、母の身代わりのように思え、やつでの木の下に心をこめて葬りました。

 身近な死をどううけとめるかという難しい永遠の課題を、子供には子供なりに、大人には大人なりに考えることができる絵本です。感動するところは、人さまざまでしょう。その時々の心の状態によると思います。

 わたしは、最近、どうやったら人を癒したり、慰めたりできるんだろうということを考えていたし、同時に、自分が練習している音楽は、どういう価値があるんだろうと考えていたので、やまねこが、「一曲えんそうさせてくれよ」というところで、インスピレーションをもらいました。やまねこの真摯な態度、言葉、行動に感動したのです。わたしも、やまねこみたいになりたいなあと思いました。



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2009/09/13 23:06

大切なものをなくしても それでもだいじょうぶ 明日もきっと笑える

投稿者:桔梗(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

大切に想ってる人がいて でもいつまでそばにいてくれるかわからない

ひょっとしたらこれが最後かもしれない
もしいなくなったらどうしよう


心弾むとても楽しい時間を過ごしながらも
どうしようもない不安に押しつぶされそうになることもある


大事な友達だったことりを亡くしてしまった くま
かなしくてさみしくて その痛みをどうしたらいいのかわからない
でも やまねこと出逢い 歩き始める くま

くまの心の中は ことりが残していったものでいっぱいだ
ことりがくれた たくさんの目に見えない無数の宝物

その宝物を大事に両手で抱えながら 歩いていけるんだろう


もし目の前からいなくなっても 声が聞けなくなっても
だいじょうぶ
きっと だいじょうぶだ

 
今の自分を そして先の自分を 信じる勇気がわいてくる
明日もきっと笑える 

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/01/24 19:31

二重奏の調べが、とても素敵な絵本です

投稿者:東の風(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 仲良しのことりの死にふさぎ込むくまを主人公にした湯本香樹実(ゆもと かずみ)さんのおはなしに、酒井駒子(さかい こまこ)さんが絵をつけた一冊。

 ゆっくりと歩く速さで進んでいくおはなしのあたたかさ、切なさと、グレーの背景に描かれた絵が醸し出す、ひとこま、ひとこま、静かに心にしみてくる味わいと。ふたりの作家が奏でる作品のハーモニーが、川底の宝石のようにきらめいていて、素敵でした。

 カメラのファインダーから覗くように描かれた絵の中にあって、時折差し挟まれる見開き二頁にまたがる絵。これがとても素晴らしかったなあ。

 森の中を舞台にした絵本てことでは、マリー・ホール・エッツの『もりのなか』(福音館書店)に通じるところもあるけれど、あの作品が森の中から出てこれなくなってしまうような怖さがあるのに比べて、この『くまとやまねこ』のほうには、清々しく明るい空気感もありましたね。

 やまねこが出てくるところから雰囲気が変わる転調の調べ。話の中にさらに引き込まれる魔法を感じて、魅了されました。

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