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葡萄酒か、さもなくば銃弾を

  • 出版社:講談社
  • サイズ:20cm/327p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-214674-6

葡萄酒か、さもなくば銃弾を

手嶋 龍一 (著)

  • 全体の評価 42件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,78551pt
  • 発行年月:2008.4
  • 発送可能日:7~21日

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商品説明- 「葡萄酒か、さもなくば銃弾を」

甘美なる晩餐、その背後に蠢く鮮血の代償。ケネディ、レーガン、そしてオバマ…。「政治のなかの死」を予感しながらもなお、権力の聖杯に手をのばす29人のルポルタージュ。小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫等も登場。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「葡萄酒か、さもなくば銃弾を」

手嶋 龍一

略歴
〈手嶋龍一〉NHKワシントン支局長などを経て、慶應義塾大学教授。「Mr.インテリジェンス」と呼ばれる。著書に「たそがれゆく日米同盟」「外交敗戦」「ライオンと蜘蛛の巣」など。

関連キーワード- 「葡萄酒か、さもなくば銃弾を」

ユーザーレビュー- 「葡萄酒か、さもなくば銃弾を」

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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/09/07 22:12

孤影に対しても時に矢を放つ必要があるということ

投稿者:yukkiebeer(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る


 29人の政治家や外交官をとりあげ、この著者独特の流麗かつときに豪奢な文章で綴った一冊。凝った言辞の数々はしばしば国語辞典にあたる必要があるほどでした。
 出版元は本書を「人物ルポルタージュ」とジャンル分けしているようですが、ジャーナリスティックな著作物というよりは、著者の外交ジャーナリスト経験の中で拾った交遊録をもとにした随想といった趣の書です。

 29人の登場人物たちの政治外交上のそれぞれの足跡に対して、著者は、そして読者である私も、必ずしも共感をもつに至るものではありません。
 しかし本書を通して著者が強く感じるのは---そして私も強く感じるのは---彼ら29人の深い孤独です。祖国を、そして世界を大きく変えることになるであろう緊要な政治決断を迫られたとき、彼らの身近には肩を貸してくれるような真に友と呼ぶ存在はいないようです。外交判断に誤りがあるかもしれないという恐れ、後代の歴史家の厳しい審判を受けざるをえない宿命、墓場まで抱えていくことを定められた大いなる国家機密、そうしたもろもろを常に背負いながら、己の信じるところをひとり歩まざるを得ない彼らの孤影が、著者独特の文体によって浮き上がってくる思いがします。

 そんな感慨を抱きながら本書を読み進むうち、いみじくも著者がこう綴っている箇所に行き当たりました。
 「プロの仕事とは孤独なものである。」(172頁)
 余人をもって代えがたい特有のポジションを占めるがゆえに味わわざるをえない寂寥感たるやいくばくかと思います。

 ですがもちろん、私たちは彼らの孤独に同情して済ますわけにはいきません。彼らの孤独の決断を、私たちはやはり公正にみつめる必要があるのです。著者自身の筆致にはそうした厳しい目があります。
 政治の担い手と私たち市民との緊張をもった関係が健全にはぐくまれ、引き継がれるべき。それが著者の訴えることではないかという気がします。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/01/24 23:47

確立された視点に基づく同時代の政治家・外交官の評伝。彼らが何を行い、世界がどう評価しているのかがよく伝わってくる。

投稿者:Skywriter(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ジャーナリストである著者が得た莫大な知識を活かして、内外の政治家・外交官29人の功罪を明らかにしている。

 NHKのワシントン支局長を務めただけのことはあり、オバマ、ヒラリー・クリントン、レーガン、ケネディといったアメリカ大統領、彼らを支えたキッシンジャーやダレス、ライス、ラムズフェルドらの重臣たちのように、アメリカの人物が多い。次に多いのはもちろん日本で、小泉、麻生、安部、小沢といった面々が取り上げられている。ヨーロッパの人物は少なく、西ドイツの首相を務めたヘルムート・コールら数人が取り上げられているに過ぎない。

 中には綺羅星のごとき功績を打ち立てた者もいるし、反対に功を焦って汚点が記憶されることになるであろう者もいる。かと思えば、自分の功績は決して明らかにしようとせず、所属する組織全体の成功に身を捧げた者もいる。

 彼らの姿を通し、著者が訴えようとするのは何か。それはきっと、自分の国は自分自身の手で守るべき、という矜持だろう。だが、著者の独特なところは、その強烈な意識が排他的な愛国心に結びついていないところではないだろうか。

 例えば、北方領土を巡る日本・ロシアの交渉を、かなり辛口に斬っている。その理由は、千年一日の如く、「北方領土回復」だけをお題目のように唱えていれば事足りるとでも言うような、停滞の上に胡坐をかくだけの姿が目立つためという。ロシア側からの関係改善のサインを無視し続けた結果、復権を遂げたロシアとのコネクションが極端に弱くなっている。それは正しいことなのか、と指摘するのだ。

 もう一つの著者の主眼は、同盟の難しさである。異なる文化・歴史・価値観を持つ国同士が結びつくには、少なくとも根本的なところで相通ずる価値観を共有する必要がある。それを無視したとき、同盟は上手くいかなくなる。内向きの、ナショナリズムを煽るだけの言説は、その点で厳しく批判される。

 最後に、現実をしかと見つめるインテリジェンスの必要性だろう。対北朝鮮での交渉で日米が振り回され、対応が後手に回り続けたことに代表されるように、相手の出方を冷厳に見極められないと多大な損害を蒙ることになる。

 こうした幾つかの柱がしっかりと確立された上でそれぞれの人物が俎上に載せられているので、とても読み応えのある評伝となっている。現代史を取上げているので、まだ評価の定まらない人物もいるだろう。それでも、今を読み解くにあたってとても力になってくれる本だと思う。


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