紙の本
社会学のテキスト
2023/05/30 21:39
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投稿者:Order 6601 - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会学の初学者向けにオススメのテキストであり、社会学における著名な人物の研究や外燃等を体系的にまなぶことができます。
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批評*1は新たな創作であるとはしばしば言われることです。
作品という「芯」から紐を引っ張ってぐるぐると巻きつけていく。
それは、まさに創作的な営為といえるでしょう。
学問も、まあ、近い部分がありますよね。
その対象と基準が「しばしば」異なるというだけのことで。
それに対して解説は作品にもぐっていくということでしょう。
一つ一つの語義を確認し、どういった思いを伝えているのか。
作者の追体験を可能とする作業です。
まぁ、この二つが厳密に分けられるわけでもないですが。
あくまで語義的に言って、ということです。
ブックガイド、というとなんとなくそのうわべをなでたような解説をしてしまう。
しかし、この本は、もう縦横無尽。30冊の本をネタにしながら、しゃべりたいことをしゃべっています。その上でそれなりに解説をしているというね。この読書日記のお手本になりそうな本であります。
社会学の名著30 (ちくま新書 718)
作者: 竹内洋
出版社/メーカー: 筑摩書房
発売日: 2008/04
メディア: 新書
まぁ、なんでハーバーマスは取り上げられてルーマンは、とか
パーソンズは?マートンは?、とか
いろいろあるとは思いますが、あくまで「この人の」選んだ、ということでね。
あとまぁ、強引な解説(というか注釈)が目立つ場面もあります。
批判的に読めばすぐ穴は見つかるかな。
ならべてみると、社会学というのがいかに「近代」に根ざした学問なのかがよくわかります。
そして、それが現状の肯定につながりがちなことも。
機能主義にしても、社会関係資本論にしても現状からの変化にとぼしい。
こうして、並べてみること自体に意味があるのだと思う。
下手に、社会学概説をされて、幕の内弁当をみせられるよりは。
ここにのってる本くらいは読んでから卒業しようかな。
目を通した覚えがあるのは6さつだけw
*1:良いところを評価し、悪いところを批判する。
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社会学の本が30冊紹介されています。社会学の入門書としても面白いと思います。
30冊がどのような本なのかを把握していくことによって、社会学とはどんなことを
研究対象にしているのかが垣間見えます。
でも、あくまで入門書。ここからさらに深く知りたい人はもっと本を読んで見ると
よいと思います。
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正直集中力がないと読破はできない。ゆえにわれはきつかった!!でもちゃんと読めば最高にわかりやすい参考書だったとも思える。今年の一年生の基礎演習はこの本を使用しているとのことで運がいいともうYO!
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パーソンズ社会学をリアルライフにつなげた「作田啓一「価値の社会学が30冊に選ばれていた。思えば30数年前卒論のメインの材料で、著者に手紙を出した。
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教育社会学の分野でいくつも興味深い本を書いている京大名誉教授。
著者自身が面白いと思ったものを選んだという。私自身は既にこの中の半分強の本を読んでいるが、未読のものも多くは「読んでみたい」と思わせてくれるものだった。社会学の読書案内として、大いに役立つ。
ちなみにこれから読みたいものは、「脱常識の社会学」「公共性の構造転換」「保守主義的思考」「ハマータウンの野郎ども」「孤独なボウリング」「危険社会」「歴史としての学問」「リフレクシヴ・ソシオロジー」。
Amazonのリスト
http://www.amazon.co.jp/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AD%A6%E3%81%AE%E5%90%8D%E8%91%9730-%E3%81%9D%E3%81%AE1/lm/RS6ZPGESAQP9L/ref=cm_lm_byauthor_title_full
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不満を言えば、書かれていることのレベルが高すぎるというか抽象度が高すぎて、その本の面白さや社会学史における価値が伝わってこない面が少なくなかったこと。まあこれは、私が社会学から離れていた期間の長さのせいかもしれないが。
ここで紹介された本を実際に読んで、この本の案内に戻ってくるのがいいかもしれない。文庫分の巻末解説みたいなつもりで。
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これは便利。それに尽きる。
●【プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神/マックス・ウェーバー】
・近代資本主義が遭遇した壁=伝統主義的な生活態度
出来高賃金は労働を減少させる。人は多くの貨幣を得ることではなく、簡素に生活することを望む。
そこで、自己確信に到達する手段としての職業の言説を広めた。人の救済と断罪は、あらかじめ神によて決められているという予定説がプロテスタントのカルヴィニズムにあった。信徒は自らがどちらであるかがわからないから不安に陥る。そこで、職業において成功することは、神の求めることだとした。
そしてウェーバーは近代資本主義の結末を次のように言う。
『近代資本主義が成熟するにより、宗教倫理の必要がなくなり、ひたすら働かないと生きていけない鉄の外枠になる。精神ワーカーホリック人間や営利人間をスポーツのように純粋競争としておこなうゲーム人間などの末人の蔓延を予測した』
●【文明化の過程/ノルベルト・エリアス】
・野蛮な風習は長い時間をかけてゆっくりと駆逐されたに違いない。その過程が『文明化』。礼儀や行儀作法に代表される人間の感情や行動への自己抑制が強化され、細分化され、羞恥心や不快感情の範囲が拡大する。
『文明化』は、『他人の思惑への配慮』によって発生した。
それは人がトータルマンから、機能分担動物になったから。生活の維持のためには、気を遣い、長期的な視野を持ち、行動を厳しく規制し、情感を抑制しなければならない。
そして、『他者への配慮』は、『外的強制』から『自己抑制』という内的強制となり、心の状態が変革される。『超自我』という『衝動監視機関』が内面に君臨し、それに違反したら、罪や羞恥を感じることになる。意識的な自己抑制から、無意識的な制御になる。こうして、激しい情感を押しやる舞台裏、つまり無意識がつくられていく。かくて、不安の内容も大いに違ってくる、かつて不安は外部の力に対するものだったが、自己抑制によって、他人との直線の戦いの中で解消されていた緊張や激情が、いまでは押し殺されなめればいけなくなったことにより、不安の戦場は、個人の心の中へ移される。他人の不快に触れたにではないか、という自己抑制の不足に対する不安や抑制された衝動と超自我との葛藤から生じる不安がこれである。
●【ハマータウンの野郎ども/ポール・ウィリス】
落ちこぼれ(野郎共)は、積極的にそれを選択している。野郎共は、かれらなりの学校社会の読み取りを行い、学校社会を自分たち流儀で読み換える。それは次のようなものだ。
『学校とは教師の手元に貯蔵された知識を、尊敬と従順のみかえりに少しづつ受け取る空間である。そのために、今の貴重な時間を犠牲にしてしまうことだ。そうして犠牲の上で、成績優秀や資格が与えられる。しかし、優秀な成績や資格によって与えられる事務員仕事は、野郎どもからすれば、女々しい仕事である。』
●【脱学校の社会/イヴァン・イリッチ】
学校生活のなかでは多くの暗黙の学習がなされる。それは隠れたカリキュラム。
学校を通して価値を受け入れるようになると、想像力が���校化する。学校で教授されることが教育だとみなすようになる。学校による支配は卒業と共に終わるわけではない。社会編成も想像力も学校化されているんだから。
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ちくま新書の『○○学の名著30』シリーズの社会学担当は、現関西大学文学部教授、京都大学名誉教授の竹内洋。
【構成】
Ⅰ 社会学は面白い…?
1 バーガー『社会学への招待』-人生は一場の戯れにしても
2 コリンズ『脱常識の社会学』-社会学という透視術
3 デュルケーム『自殺論』-社会の発見あるいは社会学の発見
4 ジンメル『社会学』-社会の幾何学
Ⅱ 近代への道筋
5 マルクス/エンゲルス『共産党宣言』-闘争モデルの原型
6 ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』-近代資本主義と宗教
7 エリアス『文明化の過程』-痰壺が消えた
8 ハーバーマス『公共性の構造転換』-コーヒーハウスからインターネットへ
9 フーコー『監獄の誕生』
Ⅲ 大衆社会・消費社会・メディア社会
10 オルテガ『大衆の反逆』-専門家こそ大衆
11 リースマン『孤独な群衆』-羅針盤とレーダー
12 マクルーハン『メディア論』-メディアはメッセージである
13 ボードリヤール『消費社会の神話と構造』-どこまでも透明なネオ・リアリティ
Ⅳ イデオロギー・文化・社会意識
14 マンハイム『保守主義的志向』-保守主義は新思想
15 アンダーソン『想像の共同体』-ナショナリズムの誕生と伝播
16 ブルデュー『ディスタンクシオン』-中間階級文化の哀しさ
17 作田『価値の社会学』-「はにかみ」という美しい文化
18 姫岡『家族社会学論集』-義理と人情の相克
Ⅴ 行為と意味
19 ゴッフマン『行為と演技』-うけを狙う
20 ガーフィンケル『エスノメソドロジー』-日常知のほうへ
21 バーガー/ルックマン『日常世界の構成』-機能ではなく意味
22 ウィリス『ハマータウンの野郎ども』-反抗が荷担に、服従が拒否に
Ⅵ 現代社会との格闘
23 イリッチ『脱学校の社会』-想像力の学校化
24 上野『家父長制と資本制』-二重の女性支配
25 ギデンズ『近代とはいかなる時代か?』-巨大かつ複雑なシステムの疾走
26 ホックシールド『管理される心』-われらみな感情労働者
27 パットナム『孤独なボウリング』-情けは人の為ならず
28 ベック『危険社会』-グローバル・クライシス
Ⅶ 学問の社会学
29 中山『歴史としての学問』-学問・大学・文明
30 ブルデュー/ヴァカン『リフレクシヴ・ソシオロジーへの招待』-学者的誤謬推論を撃て
どの解説も非常に簡明であり、難解でとっつきにくそうな社会学のイメージを和らげてくれる。ウェーバー、オルテガ、マンハイム、ブルデューあたりは機会があれば挑戦していみたいと思わせられるほどであり、質の高いガイドブックだと思う。
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すごく分かりやすく社会学案内をしていると思う。
ちょこっとだけ無駄話もあるけど。
有名どころを幅広く網羅しているんだけども、「名著30なのに○○は入っていて○○がいないのかよ」と思う部分も。けど、あくまで“作者が選んだ”名著30ということでご愛嬌。
社会学入門として十分勧められるレベルだと思います。
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[ 内容 ]
「社会」をどうみるか?
われわれもその一員でありながら、いやそうであればこそ、社会をとらえるのは実はとても難しい。
社会学は、一見わかりやすそうで意外に手ごわい。
ただし、良質な入門書、面白い解説書に導かれれば、見慣れたものの意味がめくるめく変容し、知的興奮を覚えるようになるはず。
本書では、著者自身が面白く読んだ書30冊を厳選。
社会学の虜になることうけあいの、最良のブックガイド。
[ 目次 ]
1 社会学は面白い…?
2 近代への道筋
3 大衆社会・消費社会・メディア社会
4 イデオロギー・文化・社会意識
5 行為と意味
6 現代社会との格闘
7 学問の社会学
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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社会学の名著30冊について、竹内が解説する。
教育社会学では京都大学系筆頭にあげられるだろう著者が、社会学の名著と呼ばれる本の中で面白いもの、著者が興味を持つものについて挙げ、それぞれ7-10ページほどの紹介をする。
引用は必ず2カ所は入っており、内容が分かりやすくなっている。原著を読んでいなくても、読める内容となっていた。
原著を読んでいれば、うまくまとまっていることに気づき、読んでいなければ本の紹介をしているのだと忘れるほどに興味深い記述がならぶ。後から、名著の紹介だったと気づくだろう。そして、その内容についてあまり覚えていないことに気づく。それが竹内氏の考えだと思ってしまうほどに読み下されているからだろう。
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この本で紹介されている本を毎週一冊ずつ取り上げながら、修士の同期と読書会を行なっています。それがきっかけで購入した本。竹内先生の主観がレビューにうまく反映されていてどんどん読みたくなってくる。原著(訳書)を読むのは膨大な時間がかかるけど、この本を読むだけで勘所は全て掴めるので、とりあえず社会学を概観したい人には向いてると思う。筆者自身、原著全てを読み終わるのはまだまだ時間がかかるけど、頑張って読み進めようと思います。
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非常に面白かった。"知っている"はずの事を別の視点から見て別のもののように映った時の知的興奮。それがあるから科学はやめられない、止まらない。
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社会学者である竹内洋の著作。社会学の概観を知りたくて読み始めた。
社会学の名著といわれる30作を紹介している。社会学の歴史の変遷もさることながら、ヨーロッパの思想潮流にも触れることができた。19世紀、コントによって始まった社会学はデュルケーム、ウェーバー、ジンメルなどの社会学者により理論化された。そして第二次大戦後にアメリカに渡った社会学は隣接する社会心理学や経済学、人類学などの影響を受け新たな展開を迎えた。その後社会学を総合的に形式化する試みが社会システム理論としてパーソンズによって発表された。社会学の歴史変遷を短いが分かりやすく説明してあり、その他にもメディアやジェンダー、エスノメソドロジーというように多くの題材も紹介している。
社会学の概観を知りたいという当初の目的は達成されたように思う。機会があれば紹介されている本を読んでいきたい。
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ウェーバーの他にも、デュルケム、ジンメル、マクルーハン、マンハイム、ハーバーマス、オルテガなど、学生時代から名前だけ目にしてきた思想家たちの系譜が懐かしく感じられます。このような入門書を読むだけでも、社会学の大枠を体感できるような気がします。作田啓一、上野千鶴子など、私にとっては同時代を京都で過ごした懐かしい名前でもあります。