- 出版社:文藝春秋
- サイズ:18cm/307p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-660634-4
新脱亜論 (文春新書)
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- 税込価格:935円(26pt)
- 発行年月:2008.5
- 発送可能日:1~3日
- 本 新書
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商品説明- 「新脱亜論」
福沢諭吉、陸奥宗光、小村寿太郎などの明治の先人たちのしたたかなリアリズムに学ばねば、日本は過去の失敗をくり返す。東アジア危機の日に備え、日本の近現代史を「再編集」する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「新脱亜論」
渡辺 利夫
- 略歴
- 〈渡辺利夫〉1939年山梨県生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。経済学博士。拓殖大学学長。「西太平洋の時代」でアジア・太平洋賞、「神経症の時代」で開高健賞正賞を受賞。
関連キーワード- 「新脱亜論」
ユーザーレビュー- 「新脱亜論」
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/01/31 02:49
歴史を学ぶ意義を感じさせてくれる一冊
投稿者:コーチャン(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の近代化は、東アジアの植民地化をたくらむ欧米列強の脅威によりひきおこされたといっても過言ではない。封建社会を脱却し、近代国家へと跳躍をおこなわねば国家の独立は保てない―幕末人のこのような危機意識こそが、国内諸勢力の対立を乗り越え、明治維新といういわばアジア初の市民革命を実現させた。
だが、日本だけが近代化し、独立を保とうとも、それだけで列強の脅威が消えるわけではない。近隣諸国もそれにならい、東アジア全域がそれぞれ近代国家として独立をしないかぎり、日本の安全はありえない。近隣諸国を侵略した列強がそこを足がかりにして、わが国にも牙をむいて襲いかかるのは必定だからである。これは隣国への博愛主義でもなければ、目先の利益ばかりを追い求める侵略主義でもない。自国の安全のために周辺諸国も共に繁栄してゆこうというきわめて現実的で思慮に富んだ態度であった。
明治以降、日本の朝鮮への対応もこのような考えにもとづいておこなわれてきた。その思想の代表者が福澤諭吉であった。しかし、自ら親しくし、その活動を物心両面から支援した金玉均らの改革運動が失敗に終わるのを見て、彼は絶望をする。政治抗争に明けくれ、そのときどきの都合で清国やロシアに頼る自立性のない朝鮮民族のありさまに愛想をつかした彼が唱えたのが、『脱亜論』-すなわち近隣諸国は見捨てて、自分の身は自分で守る―であった。
福澤が嘆いた当時の東アジア情勢が現在のそれと似通っているという立場から書かれたこの『新脱亜論』では、まず朝鮮半島に端を発した東アジアの緊張に際して、明治の日本がとった対応―日清、日露という2つの戦争を中心とした―をたどってゆく。そこには、日本が近代国家として生きのびるために払った努力や知恵がよく描かれている。日清戦争後の三国干渉で、ロシアに激しい憤りを覚えつつもその要求を飲んだ冷静さ。その後「臥薪嘗胆」を合言葉に軍備拡大を着々とすすめる用意周到さ。義和団事件では日本軍がイギリス人などの外国居留民を救い、その勇姿に諸外国も共鳴したこと。国際社会で日本が見せたこのような誠実さがやがて日英同盟へと結実し、日露戦争の勝利を導く。
作者は、その後日本がたどった歴史についても触れ、それが失敗であったと断言する。失敗の一つの要因は、日本が大陸に入り込んでしまったことである。海洋国家、日本は防衛には優れているが、攻撃には向かないのがその理由である。また第一次大戦後に台頭したアメリカの横槍で日英同盟が破棄されたことも、失敗の大きな要因であった。
作者は梅棹忠夫の文明論的概念を援用しつつ、現在の日本のとるべき道を示す。日本はユーラシア大陸の周辺に位置する海洋国家であるが、この大陸では、伝統的に覇権主義的な国家が勢力を伸ばしては周辺地域を侵略している。現在においてそれは、中国やロシアである。日本や台湾も含めて周辺国家は、その侵攻を食い止める必要がある。そのための大きな力となるのが、日英同盟に代わって現在の日本の安全保障を支えている日米同盟である。東アジア共同体という現政権が理想と掲げる地域構想は、必然的に中国の覇権主義を促すだけでなく、日米関係を弱めるがゆえに日本にとっては危険である。
以上、本書の基本的な考えを自分なりにまとめてみたが、個々の史実に新たな意味をあたえ、独自の歴史像を提示しながら、それらが現代においてどのような意義をもっているかを示している点には共感をおぼえた。作者は歴史の専門家ではないようだが、歴史を学ぶ意義を切実に感じさせてくれる一冊であった。平易に、しかも現在の学校教育では教えられないようなユニークな視点で書かれている点、高校生など若い人たちにも薦めたい。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2008/07/07 12:05
近現代史に学ぶ日本の国際戦略
投稿者:としりん(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
米中の狭間で日本が生きのびる方策は、近現代史に学ぶことができる。
本書は、近現代史を振り返り、帝国主義の困難な時代における先人たちの努力の跡を辿ることによって、今後日本の生きる道を考察するものである。特に、今後のためには「東アジア共同体」についての認識は重要だ。
本書の中心となるのは、日清・日露戦争へ至る過程、日英同盟、韓国併合、ワシントン体制と日英同盟廃棄、といった外交史・国際関係史である。
結論的に言えば、日本の国際戦略は、日英同盟を推進した小村寿太郎の意見書によく表れている。日英同盟と日露協商との利害得失を論じる意見書の、英国を米国に、ロシアを中国に置き換えてみると、現代の東アジア情勢にもほぼ当てはまることがわかる。
米中の二大勢力の覇権争いとなりつつある東アジアで、国を誤らぬよう国民自身が認識を深めることが重要である。
それにしても、牛肉輸入問題に端を発する反米デモや反政府デモ(反・親米政権デモ)が頻発する某隣国は不幸なことである。歴史を歪曲し歴史に学ばない国だから・・・。日本にとっては反面教師にすべきだろう。
ところで、歴史学の専門家でない渡辺利夫氏が、本書のように歴史を論じていることは小さな驚きである。が、氏自身が言うように、知識人たるもの、これくらい当然というところだろうか。







