手に入れたいのはオマエだけ (角川ルビー文庫)
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- 税込価格:520円(14pt)
- 発行年月:2008.7
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商品説明- 「手に入れたいのはオマエだけ」
俳優の充は、超人気歌手で同級生の京一と映画で競演することに。強烈な存在感のため、敵の多い京一に、なぜか目の敵にされていた充だったが、それが好意の裏返しだと知り、徐々に好感を抱いていく。そんなある日、京一から不意打ちでキスされてしまった充は、必死にせがむその態度に「1回だけなら」と京一を抱いてしまうが…!?「ずいぶん淫らなカラダだな…本当に童貞かよ」実力派俳優×抱かれたい男No.1歌手が贈る、スキャンダラス・青春ラブ。【「BOOK」データベースの商品解説】
ユーザーレビュー- 「手に入れたいのはオマエだけ」
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/02/10 11:52
共演する二人が学校で食べている幕の内弁当がおいしそうでした
投稿者:hamushi(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作者さんのお話には、強烈なギャップを抱える人物が多く出てくるため、時にはあまりのすごさに面食らうこともあるのですが、この小説では、そのギャップが、お話の魅力そのものとなっていました。
主人公の充は、舞台中心に活動する才能ある俳優。芸能人御用達の高校に通いながら、出演する作品を自分で厳選し、地道にキャリアを積んでいます。年に似合わず大人びて落ち着いた性格である上に、共演者の支えになって演技を伸ばすという特技があるため、クラスメートや同業者たちに厚く信頼されています。
でも充本人は、決して思いやり深い性格でも、本当に「大人」なわけでもなく、人間関係全般に何の期待感も情熱も持っていないために、合理的にコントロールすることがラクにできるだけなのでした。そのことを充自身もよく分かっていて、またその冷静さや客観性を役作りに生かしている様子が描写されていくので、お話が進むにつれて、彼が俳優であるということのリアリティがどんどん深まっていく印象があります。
そんな充に、やたらと目の敵にして絡んでくる、京一というクラスメートがいます。おそろしく売れているバンドのボーカルなのですが、性格が閉鎖的で協調性に欠け、態度もやたらと高飛車だったりするため、同業で同性のクラスメートたちからは相当に嫌われています。他人全般にほとんど興味のない充は、京一になにをされても怒らずに受け流し、距離を置いて過ごしていましたが、やがて映画で競演することになり、しかも主役が京一、充は物語の中心となる殺人犯という役であったため、いやでも深く関わらなくてはならなくなってしまい……。
二人の関わりが深まるにつれて、充の大人びた性格の裏側に、離婚した両親から体よく見捨てられた過去が重く潜んでいることが分かってきます。充は、肉親にはもちろん他人にも一切期待せず、情愛を封印して深い関わりをもたないようにしながら、演技という仕事だけに情熱を傾けることで、自分を守ってきたのでした。
作中では、充のそうした過去の重さを感じさせないようにしてお話が進んでいきますが、京一に絡まれて、封印してあった情愛が次第にほどけてくる様子と、映画の役である、多重人格障害の殺人犯というキャラクターが重なり合って、充という青年の二面性が印象的に浮かび上がってきます。
京一のほうは、実は過去に充と出会ったことがあり、そのときの思いから、ひたすら充を追いかけていまの仕事についたのでしたが、最初のうちはそんなことはおくびにも出さず、充を毛嫌いしているかのような態度をとり続けています。何をしても充に相手にされないので、内心すっかりスネているだけなのですが、見た目が傲岸すぎるため、そんなこと誰にも分かりません。
ところが、京一のあまりの演技のヘタさに、充が親身な指導役として接近してくると、今度は体当たりで気持ちを伝えはじめ、充を驚愕させます。
その後いろいろすれ違いもありますが、結果的には、高飛車な態度を一転させて幼い子どものように一途に愛情を求めてくる京一の存在が、充のなかで封印されていた子ども時代の悲しみを癒し、素直な愛情を解放する鍵となっていきます。そこのところが、とても面白かったです。
蛇足ですが、この作品、出てくる女性の大半が犯罪的に自己チューで、ほんとにロクなもんじゃありません。すがりつく幼い息子を突き飛ばして離婚していったという、充の母親も相当なものですが、好きな相手を恐喝して強引に恋人にしようとする女子高生や女優なんていうのは、ほとんど人間とは思えません。そのなかで、唯一まともな女性として登場するのは、赤座監督という人なのですが、彼女はなぜか、完全な男言葉を話しています。容姿もスリムで着衣も男性的。ほとんど男寄りの人です。どうもこのお話には、
「男=人間」
「女=基本は邪悪」
という公式が裏設定としてあるような気がするのですが…気のせいでしょう、きっと。







