紙の本
コミュニケーションとしての「暴力」
2008/08/03 11:51
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
男だったら素手でタイマン、は理想ではあるが、なかなか、そういうシチュエーションというものは意外とない。ギャラリーの無言の圧力、介入は致命的な影響を及ぼすし、そもそも本当に二人きりになったら、「ども」「ども」と軽く挨拶して通り過ぎるのが、本来の当事者の関係であったりする。「素手でタイマン」を理想化しているときの自分というのは、やはりギャラリーの中の一人である。「素手でタイマン」でも大けがはするし、死に至る危険も大きい。やはり、「暴力」は避けるにこしたことはない。
しかし、原始・古代に遡る、自分の中の、ギャラリーとしての欲望、と闘争本能、二つの矛盾する欲望が相まって。スタジアム:格闘場は存在する。多分スポーツの本質は、ストリート・ファイトを安全に囲い、「二人きりの関係」を純化したあたりに起源を有するのではなかろうか。
そのスタジアムが、個々の選手の方々の本意に反して、どんどんバラエティ化していく中、ギャラリーの欲望はまた、その原点、決して現実には現れない(その場を欲望するギャラリーの存在自身がその場を消し去る、という矛盾をはらんでいる)、『ホーリーランド』を求め続ける。
数年前、テレビ東京系で放映された、金子修介監督(『1999年の夏休み』)監修の『ホーリーランド』(DVD入手可)も秀作であるが。本巻を読み終えて、マンガの「腕力」を思い知らされた。
故梶原一騎先生ばりに著者が(腕組んでたりはしないけど)、語り手として時折現れ、技と関連武術、ストリート・ファイトについて詳細な解説を加えてくれる、本作品。ついに完結を迎えた。『ヤングアニマル』(白泉社)誌上での完結から、予想以上に早い増ページ・単行本化。関係者各位の熱が伝わってくる。
ひきこもりの少年が孤独なトレーニングを経て、身につけてしまう体「力」。その力を使ってコミュニケーションを計ろうとする彼が選んだ、選ばされたのは、ある街を舞台にしたストリート・ファイトの日々であった。
強くなればなるほど、彼のカーストは向上し。安定する。
だが、その平和を守るためには、さらに強い相手、そして邪悪な、ギャラリーを操る術と己の身体を操る術を兼ね備えた相手たちとの、「格闘」が待ちかまえている。
本作品では、かつて、ある種のマンガを悩ませた、「強さのインフレ」は、幸いにも最後まで生じなかったように思える。登場する相手の強さには、ケレンのない、実証的かつ人間関係の力学に基づいた、きちんとした伏線が張られている。そして、主人公の身体は強く闘う身体であるとともに、具体的に絵に現れるように、読み手に痛みを与えるほど脆く、傷つく。その心、主人公が目ざし、関わる、相手の拳もまた、強く、かつ脆い。
だからこそ、彼らが己を賭けるのは、「未成年」という、期限付きの、安全地帯=戦場での、ストリート・ファイトという、矛盾。ファースト・フードをパクついて、だべっていることに満足できない、ギャラリーでいることに耐えられなくなった少年たちの、身体を張ったコミュニケーション。
全ては絵空事、それ故に、美しい。
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筋自体は陳腐といえば陳腐だが
それをおぎなってありあまる戦闘シーンのオーラ
自分もその闘いの観衆になったかのよう
少年の聖地という文脈で描かれた街
独自の身体性で書かれストリートファイト
志をもち魂をもったキャラクター
孤独と痛みと希望の息吹
そして強い眼差しを感じた漫画だった
ごちそうさま
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夜の街を舞台にしたストリートファイトが描かれた1冊。
路上の喧嘩のリアルな描写が秀逸。また、たびたび出てくる作者の私見がとても面白い。
完結済み。
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未レビュー消化。力をなぜ持つのか、自分の存在意義、いろんな思春期の悩みからその後の人生にも続くような疑問まで様々なことが提示された作品でした。
ユウが自分を見失い絶望のなか一歩一歩力を取り戻していき、自分を助けてくれたマサキを誰に命令されたわけでもなく自分で助けに行こうとおもった7巻は特に感動できた。
居場所にすがりつくのではなく、自分の足で立ち守るぐらいは頑張ろうとおもいます。
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主人公の自分自身の過去に対する葛藤。
すごい輝かしい友情。
これは泣きました。
絵はそうじゃないんですが、この漫画こそ少年漫画の王道と言える作品だと思います。
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いじめられっ子が喧嘩強くなって友達も出来ていくという、いわゆる成り上がり系。しかもそれが引きこもってやることないからしていた素振りの上に成り立ってるところがまた面白い。
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勧善懲悪である点、いいやつが多い点、いじめられっこ主人公がどんどん強くなっていく点、主人公が求め続けていた答えにきっちりたどり着いた点
総合的に最高の漫画だと思う。
「君も変われるんだ!」と呼びかける主人公の姿にほれぼれしました!うん!
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コンビニで立ち読みしながら泣きそうになった。
そのままレジに持って行って買ってしまった。
要するに、「買わされてしまった」漫画なんだよ。
空手やってる身として、コンビニで立ち読みしながら、最近ものすごく注目していた漫画だった。
引きこもりだった主人公の神代ユウが、居場所をもとめていつの間にか夜の街で戦うようになっていくという、「路上格闘漫画」。
作者の路上格闘の知識に「なるほど」と思わされることもたくさんあった。(ほんとかよと思うこともあったが)
でも、それ以上に、夜の街に集まる若者たちの心情ってのがすげえわかるんだよな。
主人公の神代ユウって奴と、自分がものすごく重なって思えてさ・・・。
舞台になってる「下北沢」って街も自分の道場のあるとこだし。
んで僕と下の名前も一緒。
俺も今、彼らと同じように何もない虚しさの中、必死にあがいているところなんだ、実は。
ちょっとヒントをもらったような気がしたよ。
ありがとう。
神代ユウ、伊沢サン、緑川ショウゴ達・・・
ありがとう、作者の森さん・・・。
これからも自分変えるため、前に進み続けていきます。
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どんなに人気が出ようと無理に引っ張ろうとせず、
最初から終わりまでストーリーを作っておいてきちんと完結させる漫画大好きです。
これぞ漫画のプロ!だと私は思います。
ホーリーランド、終わりも凄く良かったです。
すごくきれいに締まってた。
凄く沢山の事が詰められているのにあの巻数で終わらせるのがプロだなぁ。
しかし個人的には神代の初期の頃の
「いやだいやだ助けてー」って言いながら相手をぶん殴ってた姿が好きだったのでw
最後強く逞しく成長した姿がちょっと寂しいわw
これは現在続いてる自殺島もこの先が楽しみですわ。
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とても綺麗な終幕だったと思う
まあやっぱりユウは死んでしまったのか否か、なんてとこも気になってはしまうけど。そんな気持ちは胸の内に秘めておいて余韻に浸るのが吉。その辺は作者もあえてボカしてるみたいだしね
あのヒョロヒョロだったユウがこんなに立派にって思うとなんだか感慨深い。ラストはちょっとクサい感じもしたけど、あれはあれでいいと思う。漫画は娯楽でもあるのだから
他のヤンキー漫画、喧嘩漫画とは一線を画す独特の雰囲気を持つ作品だった。それはたぶん暴力を暴力として丹念に描いていたから。暴力の怖さと残酷さ、それはふるう側にもふるわれる側にも等しく平等なものなのだろう。でもユウはそのどちらも理解していたからこそ、あそこまで成長できたのではないだろうか
見事な閉幕、お疲れ様でした
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ユウは学校を自主退学。
もう、
立派な不良さんです(笑)
けりをつけるためにキングVSユウ
憲法に翻弄されながらもまさかの大技カウンターをきっかけに撃破!
まるで、
昔っからの約束のようにユウはマサキとのバトルにも挑む!
マサキは街を卒業し光の道へ。
さて、
ユウはどうなったんでしょうね?
2とか続編をちょっと期待しております。
ユウ
by森恒二
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自主退学 その道で待ってたい友達がいるんだ 面打ち一つとっても人体力学を深く理解していなければありえない技術である…余談だが現世界チャンピオンの長谷川穂積選手はこの拳法の面打ちのように当たる瞬間も拳を握らないという彼のシャドウをTVで見た事があるが手はバラ手であった 生ける伝説 僕は街に…来た…僕にとって街は…ただ怖くて寂しくて…そして…剥き出しの凶暴さで僕に関わった…でも僕はあの小さな箱世界に帰りたいとは思わなかった…あのモニターの前で癒される事はなかったから 情報を得る事によってある程度戦略をたてる事が出来るそして自分の得意な流れを作ってより強力な技をきめるようにするのだ…状況によって臨機応変さも必要だがある程度方向を決めて戦う方が迷いなく戦えるものなのだ…迷って動きが止まる事や無頓着にかかって行く事は極めて危険である 道場で基本を押さえた上更に実戦で技が練られたと考えるしかねえ 相手の攻撃をいなして回り込む…空手にもある武の動きだよ 拳法の突きは''打ち抜くという概念があり対象の向こう側に拳を突き抜けるよう打ち抜くその為相手にかなり深く入り込むのだ…目標に当たる瞬間体と拳は極めて近い位置にあり踏み込みで発生した力を肩口から体幹ごとぶつける勢いで打ち抜く…威力は絶大で個人的には最強のショートパンチではないかと思わせる程である 君らはいつもそれだな吠えてないで実証してみせろ 追うのは相手の体幹影にとらわれず体幹を捕らえる 体から腕を離す事によって一つ壁が出来あいてから見て距離感が遠く感じる効果や打撃スペースも狭まるのだ 拳法には剛法・柔法と技が分類されている 弱い関節を両手で捕り荷重をかける…手首が極まれば肘→肩と順に極まってしまう 刺し違える覚悟がなければ‼︎ 踏みつけなかったら踏み躙られる…やられない為にやる側になった俺は…!お前らみたいなのが嫌いなんだよ‼︎安心する為だけに…群れ!ありもしない''何か''を探すフリをしながら甘えた時間をただ貪る…お前達…踏みつけられて当然の輩だ‼︎オッオレは…何も違わない僕も皆も…貴方も!その甘い時間を過ごしている…でも…その時間の中で人と関わり…自分を知った…貴方だってドラッグ以外で人と関わったはずだ!拳を交わした相手に何かを感じた事も…何もなかったはずはない‼︎僕もそうだったように 少年鑑別所 接見 でも僕らはぶつかり合わなければ理解し合えなかったのかな…何かがわかるまで実感を得るまで その答えが少しずつ胸の中で形を成してきているんだ…皆と知り合う前は何もなかった…時とともに失い続けた…伽藍堂の自分の中答えを求めても依る所もなく…でも街は失いかけていた感覚を僕に否応もなく実感させたんだ…不安や恐怖…孤独…痛み…そして楽しい気持ち…友達…友情…それを失う恐怖…その中で僕は自分を知り始めた自分は何者なのか あの絶望の中僕らは確かにつながった空の向こうつながっているように胸の中声が聞こえるんだ 同じ道の上その先何度行き違っても胸の中同じ聖地を持つ同志としてこの道の上君を待つ 大切な オレ知れず大人の階段を…! かなりキモイな!オレ達…そっそう? 拳に…力を宿す意味…何故オレ達は戦い合う事を選んでしまうのか…僕にとってそれは…過��から自由になる為…神代オマエに会えて良かった! いじめで傷つけられた誇りや…劣等感…不安…強くいなければいけないという強迫観念…あいつはその呪いと戦ってきた自分が…消えない為に 大なり小なり誰もが呪いを持ち…それと戦っている…自由になる為に まさに綱渡りの攻防だ リカバークロス 血が飛び散り骨が軋む痛みや恐怖を伴う格闘に何故引き寄せられる者がいるのだろう…若い頃「喧嘩が強くて何になる?何にもならない」と大人達に何回言われたろう?それが事実だという事もわかっていた…先進国法治国家である場合''力''とは経済力を指す''強さ''もまた然りだ…それでも強くなりたくて汗を流す実感が欲しくて戦り合う…時にその意味も理解せず…まさに私もその一人だった…しかし本作に出会い今は答えに近づけたかもしれない…それは''変わりたい''という願い''今の自分を超えたい''という強い想い…それが痛みや恐怖そして意味さえも上まわる大きな理由ではないだろうか 飛び膝 ありがとう 陽の当たる場所 約束 傷が…!開いた…?居場所は…場所じゃあなかった事…そこに仲間が出来て…過ごす時間…いろいろな出来事…もらった言葉…それが積もっていく…僕の…胸に…消えない聖地が…! やっとわかった聖地の意味 伝説…噂話 不登校のひきこもりだった 戦慄のKOアーティスト しっかし相変わらずっスね…とてもパン屋には見えねえ… いつもリングに上がる時…あいつの存在を感じるんだ…近くに 徳山秀典 ホラ早く払わねーと前歯なくなっちまうぞ 君は変わる変われるまた街で会おう 身長183㎝、体重85〜95kg 僕は唯我独尊で話を作るタイプではないので、読者の方々に影響を受け、またそれを楽しみました。 自分が変わりたいと願う人…傷から自由になりたいと願う人…強さを欲する人…居場所を欲する人…その人達に''届け''と想って描いた。それは''あなただ''という想いを込めユウと名付けた。
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主人公が暴力を通じて色々な人と真っ直ぐ向き合って絆を深めていくのが心地よかった
一番好きなキャラは土屋さん
みんな大好き土屋さん
変なデフォルメされてることが多い土屋さん
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自分の中にある、目を背けたい部分から逃げ続けてきた少年たちの話。もちろん劇中で語られ、活躍する格闘技も魅力的だが、暴力……人を傷つけることがどういうことか。それをずっと考えながら答えを探し続ける主人公たちはとても傷つきやすく繊細で、純粋だった。「どうして拳に力を宿すのか」こんな問いかけが本編であります。弱くて醜い自分を変えたかった。変えられたのは、少年たちが自分たちの意志で前に進んだから。暴力の先にあるもの。拳で結びついた聖地は決して誰も孤独にしないだろう、なんて思いました。