聖ジェームス病院 (光文社文庫)
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- 税込価格:920円(26pt)
- 発行年月:2008.6
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商品説明- 「聖ジェームス病院」
聖ジェームス病院は、慢性的な人員不足にあえぎながらも、地域中核病院として機能してきた。東翔平も研修医として、懸命に務めている。腹痛の症状で救急外来に訪れた患者を診た東だが、快方に向かった矢先、その患者は急死してしまう。一方、病院内では、新薬を巡る問題や院内感染など、さまざまな問題が発生していく。現代医療の問題を正面から見つめた意欲作。【「BOOK」データベースの商品解説】
ユーザーレビュー- 「聖ジェームス病院」
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2006/02/25 18:18
やっぱり病院にはドラマがあるんですよ。恋も冒険も、そして勿論、陰謀も
投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は現在ケアマネをやっていますが、もともとは看護婦です(看護士ではありません、だって女だもの)。だから、今でも病院もののドラマや介護をテーマにしたテレビ番組を見るのが好きなんです。で、夫と昔よく見たのが江口洋介と松嶋菜々子が共演した救命病棟でした。ま、このドラマを真っ先に見つけて私に見ろ見ろと騒いだのは、松嶋ファンだった夫ではあったんですが。
で、この本、あのノリで読むことができる小説といってもいいでしょう。ただし、TVの原作風かといえば、やはり久間十義のことです、そんなレベルではないしっかりした文章があります。ただ、同じ病院ものでも、例えば加賀乙彦『岐路』などとは全く方向性が違いますし、北杜夫や渡辺淳一とも違います。単に人間の苦悩に焦点を当てた、というよりは病院という組織と人間に目を向けた読物というほうが近い気がします。
カバーには、日本語の表記外に、小さく
Jugi Hisama
Saint James
Hospital
と入っていて、それが民野宏之の装画に上手くマッチして実に爽やかな印象の本となっています。装幀は川上成夫で、ちょっと見には蓮見圭一の本を思い出させますが、それは装画の担当者が同じせいでしょう。硬質な、清冽ともいえる蓮見に対して、どちらかといえば読みやすい文章で、通俗ギリギリのところで留まりながら読者をひっぱっていく久間では、中味はあまりに違います。
献辞は「故笹子順さんに捧ぐ」となっています。
舞台は東京都杉並区の地域中核病院のひとつ聖ジェームス武蔵野病院です。60年以上の歴史を持つ350床の病院、といいますから決して大病院ではありません。中堅どころの独立系の病院と言っていいでしょう。診療科目は10科目で、非常勤を含む医師55名、助産婦・看護士198名、医療技術者78名、事務45名、その他83名、一日の患者数1000名といいますから、数字で示すと凄いなあ、と思います。それでも医師・看護士の絶対数が不足気味だそうです。
その病院は、医学界を二分するといわれる東大系でも慶応系でもありません。経営者である二代目、40代の袴田理事長が房総医科大出身という関係で、医師の半数が房総医科大出身といいますから当たり前ですが房総医科大系です。といって、それだけではないのですが他校の出身者はこのお話では全く活躍しません。
主人公の東翔平も、当然のように国立房総医科大出です。研修医として聖ジェームス病院で働き始めたばかりです。いわゆるお医者さんの家系ではありませんので、毎日総武線で一時間近くをかけてアパートから通っています。そのせいか睡眠不足ですが、引っ越すだけの余裕はありません。
同じ研修医仲間というのが、地方の医科大出身で房総医科大の内科医局に同時入局した長谷川俊介で父親が開業医ですから、こちらは余裕があります。合コンや株の投資などをする時間もちゃっかり作るマイペース人間。他に翔平の主任指導医である内科の高崎克己部長や、一匹狼的な存在ですがその技術で信頼を得ている福原環樹外科医長、聖ジェームス病院に影響力がある房総医科大学第一内科の磯貝英教授などがいます。
で、その病院にたまたま入院するようになったのが58歳のフリーランスの物書き松嶋繁です。彼の病気を治すために使われた薬が、結局患者の命を奪います。そんなとき、病院の対応に疑問を抱いたのが銀座のクラブで働く娘の松嶋志穂です。美しい彼女に惹かれていく翔平ですが・・・
他に、厚労省の薬事審議会が異例の速さで認可した抗ウィルス新薬ソリブラミンを売り出し、業績好調な東亜ケミファの専務取締役・坂上陽一郎、東亜ケミファの顧問弁護士でやり手の山県などが絡んで、話は予想通りの展開をします。それはもうオーソドックスな展開です。それが少しも気になりません。







