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ラストシーンは殺意とともに (ヴィレッジブックス イヴ&ローク)
イヴとロークは、ロークが所有する劇場のこけらおとしに来ていた。上演されるのはアガサ・クリスティ原作の有名な戯曲で、その作品のクライマックスは、妻が自分を裏切った夫を刺し殺...
ラストシーンは殺意とともに (ヴィレッジブックス イヴ&ローク)
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商品説明
イヴとロークは、ロークが所有する劇場のこけらおとしに来ていた。上演されるのはアガサ・クリスティ原作の有名な戯曲で、その作品のクライマックスは、妻が自分を裏切った夫を刺し殺す場面だった。だが、妻役の女優の手で心臓にナイフを突き立てられた俳優ドラコは、本当に帰らぬ人となった。何者かが無害な小道具を本物のナイフにすり替えていたのだ。直ちに捜査に乗りだしたイヴは、ドラコを憎んでいた人物が演劇界に大勢いることを突き止めるが…。大人気のロマンティック・サスペンス・シリーズ、待望の第10弾登場。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
イヴにはクリスティがよく似合う
2011/10/25 11:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イヴとロークはロークが所有する劇場のこけら落としに来ていた。
上演されているのはクリスティの戯曲。
その作品そのままに、舞台上では男優が刺殺される。
殺された主演男優は誰からも憎まれる悪辣な人物。
容疑者は芝居が仕事の、俳優たち。
シリーズ第10弾。
最初から 最後まで劇場型の犯罪だ。
華やかで、どこか芝居めいていて、容疑者は誰もが俳優だ。
人間の性として、気晴らしに殺人を求めるのは哀しい本能のようなものらしい。
安全な立ち位置に身を置いて、争いを見物する。
殺人を扱った戯曲は、その気晴らしの洗練されたもの、と見るのはあながち間違ってもいないのだろう。
劇場関係者の身辺を探り、役者たちの華やかで醜い人間関係を浮き彫りにするイヴ。
謎めいた女性、アンジャ・カーヴェルが一つのカギになるのだけれど、彼女の存在そのものもまた作り物めいている。
クリスティの「検察側の証人」は名作だったが、本書によってまた新たな魅力が加わったように思える。
意外なことに、イヴにはクリスティがよく似合う。
ロークがきっとイヴはクリスティに好かれたに違いないと考えたように。
今回はイヴからロークへある贈り物があるのだけれど、それがとても意表をついていて、微笑ましい。
いつものメンバーといつもの人間模様だが、毎回、深みを増していくようだ。