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  4. 子どもが育つ条件 家族心理学から考える

子どもが育つ条件 家族心理学から考える

  • 出版社:岩波書店
  • サイズ:18cm/228p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-00-431142-3

子どもが育つ条件 家族心理学から考える (岩波新書 新赤版)

柏木 惠子 (著)

  • 全体の評価 4.52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:79822pt
  • 発行年月:2008.7
  • 発送可能日:1~3日
  • 新書

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商品説明- 「子どもが育つ条件 家族心理学から考える」

子どもの「育ち」をめぐって様々な「異変」が起きる一方、虐待や育児放棄に走る親も目立つ。こうした問題の要因を家族関係の変化や親と子の心理の変化に注目して読み解き、親と子ども双方が育ちあえる社会の有り様を考える。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「子どもが育つ条件 家族心理学から考える」

柏木 惠子

略歴
〈柏木惠子〉1932年千葉県生まれ。東京大学大学院教育心理学専攻博士課程修了。東京女子大学名誉教授。専攻は発達心理学、家族心理学。著書に「子どもの「自己」の発達」「家族心理学」など。

関連キーワード- 「子どもが育つ条件 家族心理学から考える」

ユーザーレビュー- 「子どもが育つ条件 家族心理学から考える」

全体の評価
4.5
評価内訳 全て(2件)
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6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/11/20 13:26

子育てではなく子育ちを

投稿者:のはら そらこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 読み始めて驚いた。子育ての中でわたしがなんとなく苦しく感じていたことへの答えが、きちんと論理だって書かれている。著者は、現代社会の子育てを検証し、新しい社会での子育てを提案している。

 いちばんはっとさせられたのは、「子育て」ではなく「子育ち」を、それにはまず「親育ち」をと、訴えているところだ。生まれたばかりの赤ん坊のころから人は好奇心を持ち、周りを見て発見し、まねて育っていく力を持っている。それを子どもがする前から、大人が先に与えてしまえば、外面では育っても、芯のところが育たない。自分でみつけて達成するからこそ面白いのだ。その喜びを、先回りする大人がそいでしまう。それに、子どもは自分にあわないことをやらされていることだってある。
 子が育つのを見守ることは、忍耐のいることだ。厳しい競争社会で子どもが生きていけるだろうかと不安にもなり、ついレールを敷きたくなる。それでも、長い目で見れば、どうだろう。

 わたしにも息子がひとりあるが、彼が自分の意思で反抗してくるようになったとき、気づかされたことがたくさんある。息子のためにと思ってしていたことが、実は、わたしが自身の理想をかなえるためだったり、満足するためだったり、誇らしく思うためだったりする。
 彼をある方向へ導こうとするのではなく、彼の後につき、成長する力を信じて、後押しすること、それが、親の役目なのだと改めて思う。

 ところで本書は、子どもが子育ちしていくために、家庭レベルをこえて、社会がどう変革していけばいいかを書いている。子育て支援が盛んないま、子育て中の方はもちろん、それ以外の多くの人に読んでもらいたい。

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7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/08/11 11:57

子どももおとなも共に育つ社会

投稿者:オリオン(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る


 児童相談所に勤める知人から「読むと必ず目からウロコが落ちる」と薦められた。たしかに何枚もウロコが落ちた。
 たとえば、第1章で紹介される「育児不安」の実態。著者は「育児・子どもがらみの不安や焦燥よりも、現在の自分についての心理的ストレスの方がはるかに強い」という。育児には時間や労力など多大な「資源投資」が強いられる。その結果、子育てしている者(多くの場合は母親)が「おとなとしての成長・発達の機会から疎外」され、固有名詞をもった個人=主体としての「存在感・成長感」が損なわれる。このことが育児不安を深刻化させているというのだ。
 続く第2章では「子育ちの不在」が論じられる。戦後、子どもは「授かる」もの(子宝)から「つくる」もの(親の選択の対象)になった。この「人口革命」が子どもの数と生活の豊かさをトレードオフの関係に変え、「少なく生んで良く育てる」という考え(少子良育戦略)をもたらした。その結果、子どもたちから自ら成長・発達する機会を奪う「先回り育児」が蔓延する。そこには「子育て」はあるが「子育ち」はない。
 第3章では「変化する家族」の問題が取り上げられる。ここでも、家族とは単なる集合ではなく相互に機能的に関係しあうシステムだ、家族を「もつ」ことではなく「する」こと、すなわち主体的に家族の役割を果たすことが大切だ(子どもが家事を担当するのは、子ども自身の社会性と自立性を育むチャンスである)等々、説得力のある「啓蒙」的な指摘が続く。
 これらの議論を踏まえて、第4章で「子育ち」、第5章で「親育ち」の条件が論じられる。「子どもを「育ち」の主体として受容するためには、親も自らが「育ち」の主体として生きることが必要」(育児は育自)である。だとすると、子どもが自ら育つことと子どもを育てること、そして親が自ら育つこととが両立(鼎立)する社会、すなわち「子どももおとなも共に育つ社会」をいかにしてつくっていけばいいのか。その一つの解が「育児の社会化」である。

《子どもの養育については、「誰がすべきか」はもはや最重要ではないこと、「母の手で」が至上でも絶対でもないことは、今日では明らかです。家族が一番、母親との一対一が何よりとの考えは、偏見でしかありません。…いま「保育に欠ける」のは、母親がいない、あるいは母親が養育しないということだけではありません。…(母親が孤独に養育し、しかも父親が育児に関わらない)「母子隔離」的な環境こそ、むしろ「保育に欠ける」とみることもできます。…重要なのは、「誰が」よりも「どう関わるか」、すなわち養育・保育の質です。保育の質として重要なのは、子をよくみて理解し、それに基づいて応答的に関わることにつきます。…したがって、子どもと程よい距離をもって、子どもをよくみて、子どもの立場にたって応答的に関わることのできる人、すなわち「社会的親」「心理的親」と呼べるような立場の人間が、子どもにとって必要です。》(180-181頁)

 いま一つの解が「男性の育児不在」の解消もしくは「男性の育児権」の制度的保障、すなわち「ワーク・ライフ・バランス」の確立である。

《ライフとは、家事・育児など家庭のことをすることではありません。家事は生きるうえで必須の労働であり、ワークです。ライフとは勉強、教養、趣味、スポーツなど心身の成長・発達のための個人の活動です。こうした活動は経済と家事・育児といった生きるうえでの安定、すなわちワークの基盤があってこそ成り立つ活動です。家事・育児も、義務感や不公平感を感じることなく、また過度に負担とならなければ、ライフとして楽しむことは可能です。しかし、その条件が整っていません。男性は職業のワークを、女性は家事・育児、あるいは、それに加えて職業というワークを過重に担っており、男女いずれも、ライフを享受する時間も心理的余裕もないのが現状です。
 日本の課題は、まずワーク上の二つの問題を解決することです。すなわち、家事ワークのジェンダー・アンバランスの解消と、長すぎる労働時間の短縮です。その解決なしに、ライフを考えることは困難であり、ましてワークとライフのバランスはとうてい望めないでしょう。》(222頁)

 ジェンダーという語彙に不信感をいだき、男らしさ・女らしさの尊重や親学の必要性を力説する方がいる。そういう方には是非本書を読んでみてほしいと思う。「それぞれの体験に根ざした論だけでは、今日の家族や子どもの育ちの問題は解決できません」。冒頭に記されたこの言葉が、本書を読み終えたとき鮮やかに甦ってくる。実証に基づいた政策(エビデンス・ベイスト・ポリシー)とは、このような研究の上に成り立つもののことだ。

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