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富の王国ロスチャイルド

  • 出版社:東洋経済新報社
  • サイズ:20cm/246p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-492-06151-0

富の王国ロスチャイルド

池内 紀 (著)

  • 全体の評価 4.53件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,89054pt
  • 発行年月:2008.12
  • 発送可能日:1~3日

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商品説明- 「富の王国ロスチャイルド」

ロスチャイルド一族の歴史から学ぶ上手なお金の生かし方。ヨーロッパに始まり、世界を制したロスチャイルド閥の手の内と素顔。【「BOOK」データベースの商品解説】

一族の歴史からみえてくる、上手なお金の生かし方とは? 世界経済と文化芸術に絶大な影響力を持ち、歴史を動かしてきたロスチャイルド家。その富と繁栄を支えてきた秘密を綴る。『東洋経済オンライン』連載を再構成。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「富の王国ロスチャイルド」

池内 紀

略歴
〈池内紀〉1940年兵庫県生まれ。ドイツ文学者・エッセイスト。「諷刺の文学」で亀井勝一郎賞、「海山のあいだ」で講談社エッセイ賞、「ゲーテさんこんばんは」で桑原武夫学芸賞を受賞。

関連キーワード- 「富の王国ロスチャイルド」

ユーザーレビュー- 「富の王国ロスチャイルド」

全体の評価
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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/12/16 20:48

池内 紀(いけうち・おさむ)による 『物語 ロスチャイルド家の歴史』

投稿者:サトケン(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 エッセイストでドイツ文学者、池内 紀(いけうち・おさむ)による『物語 ロスチャイルド家の歴史』。

 ロスチャイルド家をテーマにした本は、日本では"トンデモ本"も含めて多数出版されているが、その中では比較的まともな内容のものといえるだろう。
 文体も、池内紀らしく平易でしかも含蓄に富むものだし、なんといっても、カフカなどユダヤ系のドイツ語作家の作品を中心に日本語訳してきた実績と知識の蓄積が背景にある。
 さすが、『池内紀の仕事場 2 <ユダヤ人>という存在』(みすず書房、2005)にまとめられたような文章を書いてきた人である。十数年あたためてきたテーマというのも頷ける話だ。

 小国分立していた統一以前の18世紀後半のドイツで、ヘッセン王国の首都フランクフルトの両替商から出発したファミリーが、7代目の現在に至るまで絶えることなく富を形成、蓄積し、繁栄し続けていう事実。
 「創業は易し、守成は難し」とはよくいわれるが、同時代の宮廷ユダヤ人"ユダヤ人ジュス"が、ヴュルテンブルク大公の死後後ろ盾を失い、財産没収され処刑もされた事実を考えると、創業時の基礎作りがきわめて巧みであったことがわかる。
 創業者が5人の息子たちをヨーロッパ各地の主要都市に配置して、ビジネスチャンス拡大とともにリスク分散を図ったのはきわめて賢明であっといえよう。
 もちろんこの背景には、激動する19世紀ヨーロッパの市民社会でユダヤ人がゲットーから"解放"され、ビジネスが「情報」を中心に動くようになったという状況も大いに働いている。
 このような時代背景のなか、創業者のきめた基本原則に忠実に従い「守成」を行い、しかしながら時代の荒波を乗り越える際には大胆な「攻め」もいとわない姿勢には、「変わらないためには、変わらなければならない」という、ヴィスコンティ監督の名作『山猫』のセリフも思い出される。
 
 これだけだと、ありきたりのロスチャイルドもので終わってしまうが、この本が類書と違うのは、「富の形成」と「富の蓄積」だけでなく、「富の使い方」に多くのページを割いていることだ。
 ユダヤの伝統に従い、フィランソロピー(=慈善行為)にカネを惜しまない姿勢が、結果として、民族としては少数派であるユダヤ人である一族の繁栄を守ってきたことにもつながったことは重要だろう。
 もちろん事業経営上のパブリシティ目的もあるが、陰徳に徹した慈善行為も非常に多い。20世紀の激動を乗り切って、なお目立たず繁栄を続ける一族の秘密の一端がここにありそうだ。
 本当はすごいのだけど目立たないように生きる、という生き方。なんだか著者が、『二列目の人生-隠れた異才たち-』(集英社文庫、2008)で取り上げた日本人たちにも似ていなくもない。
 もちろんロスチャイルドの場合は、資産規模はケタ違いではあるが・・・・

 "愛と革命の詩人"ハイネとパリ・ロスチャイルド家とのかかわり、イスラエル(パレスチナ)へユダヤ人農民の入植支援とワイン作りへの貢献、ボルドーワインの「シャトー・ムートン・ロチルド」や「シャトー・ラフィット・ロチルド」から、カリフォリニア・ワインのロバート・モンダヴィとの合弁の成果である「オーパス・ワン」の話まで、ビジネス書では登場しにくいエピソードもふんだんにちりばめられている。
  
 池内 紀によるロスチャイルドものと読むのも良し、あるいはビジネスパーソンのための教養本として読むも良し。
 マンガ家・しりあがり寿による表紙イラストが、かわいらしい。

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5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/01/17 09:51

伝説の一族。 「富の王国・ロスチャイルド」書評

投稿者:hiro-tom(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ロスチャイルド」

この言葉の持つ神秘的な響きは、今でも変わらない。

私の心の中では、「成金」だけで終わらず、派手なビジネス一辺倒の一族でもなく、どこか裏で世界を操っているという神秘的なイメージを持っていた。ただ、日頃、思い出すことはほとんどなく、これまで、ロスチャイルドとは何かを調べるには至らなかった。

本の内容は、劇的なエピソードの連続という類のものではなく、むしろ丹念に調べた事実をしっかりつなげて本にした、という印象だ。著者のあとがきによれば、10年がかりで調べた内容のようだ。

ロスチャイルド家が守ってきた家訓でもっとも印象的なのは、
親族同士よる結婚により結束を守っていたことだ。後に医学的指摘により、この家訓は終わりをつげるが、この方法によって、遺産相続や婚礼貢物等による財産の流出も防いでいたようだ。

 さらに、徹底した教育も見逃せない。学科はもちろん、ダンス、芸術も徹底して幼少の頃から、それぞれ専門の家庭教師により仕込まれる。さらに男の場合は、成人するとすぐにロスチャイルド経営の銀行に入り、実務を、ビジネスを徹底的に仕込まれる、というシステムが出来上がっていた。

 通常は、二代目は親の苦労を見ているので散財することはないが、
三代目ぐらいになると本業そっちのけになって散財してしまうというケースが多い中、この教育システムによってしっかりと代々ロスチャイルドらしさ
が失われずに続いてきたのだろう。

 一方、ビジネス一本槍ではないエピソードとしては、多額の寄付とワインの話が印象に残った。

 富める物の義務として、多額の寄付をする話はよく聞く。もちろん、社会的責任を果たすという意味合いがあるのはいうまでもないが、一族の印象を守ることに相当神経を使っていたロスチャイルドらしさの観点からすると、
当然の行いだったのかもしれない。

 また、戦争に巻き込まれたゆえ、接収された美術品を取り戻せずやむなく美術館に寄贈したエピソードや、相続税が莫大になってきている中、コレクターとしての責任として、切り売りせず美術館に丸ごと寄贈することで美術品の適切な保存を確保した話も興味深かった。この辺りの考え方は、教育システムの賜物だったであろう。

 さらに、ワインについては、有名(私はこの本で知ったが)な、ボルドー地方・メドック地区のシャトーを手に入れ、「シャトー・ムートン・ロートシルト」「シャトー・ラフィット・ロートシルト」を育てた点も興味ぶかい。何事も、本物にしてしまう力がこの一族には、やはりあったのだろう。

 これを機会に、もう少しロスチャイルドについて調べてみよう
という気になった。

蛇足ですが、ドラマ「神の雫」で登場したロートシルトとは、ロスチャイルドのフランス語読みで、シャトー・ムートン・ロートシルトは、まさしくこのロスチャイルドが手に入れたシャトーで作られてきたワインです。

【夢・実現研究所】

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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/02/03 14:40

知識が繋がる仕掛けが随所に。

投稿者:dimple(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

ドイツ文学者・エッセイストである池内紀が、平易な文章でロスチャイルド家の歴史を綴っている。

類書と内容が重なる部分が多いものの、読書や雑学が好きな人を満足させる記述も随所にちりばめてある。

一例を挙げると、第二次大戦後のロンドン・ロスチャイルド家の行方を述べたくだりである。『・・・これまで息子たちはハロウ校からケンブリッジ大学がお定まりだったのに・・・』(192頁)とある。

確かに、Harrow School は、Eton Collegeと並ぶ名門パブリックスクールである。しかし、それでもなお、一族がイングランドにおけるエリートの牙城であるオールド・イートニアンでないところに、雑学好きな人は深い感慨を覚えるのである。

すなわち、巨万の富や爵位を得るまでに至っても、ユダヤ系であることに彼ら自身の屈折した感情があることがそこから読み取れる。

また、ロンドン家の異端児であるジェイコブが、自らの意思でEton Collegeを経由してOxford Universityに進学したというくだりで、読書好きな人はハッとさせられる。

アンドリュー・モートン『ダイアナ妃の真実』(早川書房、1997年)には、ダイアナ妃が俗物根性の固まりである継母を嫌っていたエピソードとして、継母がイートン校の学友を連れてきたダイアナの弟に対して、彼らの同級生であるロスチャイルド卿の御曹司の消息を尋ねるシーンがある。

ここで2冊の書物が繋がって、ジェイコブ以降、一族はオールド・イートニアンの仲間入りを果たしていることに読者は気づく。知識が繋がる喜びを見出す瞬間である。

本書は入門的な内容ではあるが、このように十分に楽しめる作りになっている。

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