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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.9
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/286p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-214955-6
紙の本
霞が関の逆襲
「官僚国家日本」「官僚内閣制」「官権政治」。政治主導を目指した中央省庁の再編から10年たったいまなおいわれる日本の悪弊。脱藩官僚たちが霞が関や政治家たちが画策する国民不在...
霞が関の逆襲
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商品説明
「官僚国家日本」「官僚内閣制」「官権政治」。政治主導を目指した中央省庁の再編から10年たったいまなおいわれる日本の悪弊。脱藩官僚たちが霞が関や政治家たちが画策する国民不在の政策に対し警鐘を鳴らす。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
江田 憲司
- 略歴
- 〈江田憲司〉1956年岡山県生まれ。首相秘書官等を経て衆議院議員。著書に「誰のせいで改革を失うのか」など。
〈高橋洋一〉1955年東京都生まれ。内閣参事官等を経て東洋大学教授。著書に「さらば財務省!」など。
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結局、全部高橋洋一さんの言ったとおりだった。
2008/11/16 20:32
15人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
学者には,いわゆる御用学者といわれる人たちがいる。これは残念ながら事実である。どういう人たちが御用学者かというと、政府が無数に設置している審議会の構成メンバーを見れば一目瞭然である。その中の一人に土居丈朗という学者がいる。彼は30代の若さですでに経済学者として確固たる地位を築いた優秀な学者ではあるのだが、その立ち位置ははっきりと財務省寄りである。ほとんど財務省の意を汲んだ財務省の代弁者といっても過言ではない。その土居さんは例によって「埋蔵金などというものはない」などという大ウソを言い続けてきた。しかし、しかしである。霞が関に埋蔵金はあったのである。
埋蔵金とは何か。それは特別会計に蓄積された剰余金と積立金のことである。日本政府の一般会計は約80兆円。うち歳入(税収)は45兆円前後で毎年日本政府は30兆円前後の国債を発行して財政のつじつまを合わせているのである。では、私たちが納めている税金はたった45兆円しかないのかといえばさにあらず。有名になった道路特定財源の財源たるガソリン税、自動車重量税などの税金がわんさかあって、その総額は178兆円。これらがいわゆる特別会計と呼ばれているものである。
特別会計にはそれぞれ主管の官庁というものがある。官庁の組織というのは面白くて、特別会計がいわば「売上」となっていて、会計ごとに本部が縦割りとなっているのだ。経済産業省でいえば石炭や石油を扱うエネルギー部門は「エネルギー対策特別会計」で賄われるような組織となっていて、エネルギー関係公務員の深夜残業タクシー代も、全部この特別会計から支出されるようになっている。いわば特別会計は公務員の売上でありポケットでもあるのだ。この公務員さまたちのポケットに、実は不要不急の税金がわんさかと蓄えられ、公務員たちが勝手にできる「裏金」としてプールされていたのだ。その金額たるや、驚くなかれ30兆円超である。最大の資金プール官庁は、驚くなかれ財務省自身である。財務省は口では財政再建財政再建と800兆円弱にまで膨れ上がった国債の早期返済が如何に重要かを説いて回る。それなにに自分たち自身が管理する特別会計に莫大な税金を国債の返済にもあてずプールしていたのだ。プール先は財政投融資特別会計。これは日本が抱える莫大な国債の金利高騰に備えて金融取引のたびにチャージした税をプールしたものであるが、世界的な低金利で積立金を積み立てすぎたのである。すでに十数兆円弱がここからはきだされているが、まだまだ吐き出す余地があるのだ。それと同じく財務省管理下にある外国為替資金特別会計。これは日本政府が持つ莫大な米国債の為替変動にそなえたものである。これは1ドル90円前後になると余裕がなくなるんだそうだが長期に保有する米ドル債の為替差損に備え、そんなに税金をつぎ込む必要性があるのか、今、政府内で議論となっている。
まだある。労働保険特別会計。企業と労働者が折半で負担させられている雇用保険。これが積立金として積み立てられ、その金額が5.4兆円にまでつみあがっているのだ。過去、失業保険として支払われた金額は最悪の労働環境時でさえ1兆円にすぎない。してみれば2兆円もあれば十分で3.4兆円は国庫に返済するのが筋というものであろう。そのほかにも労働保険特別会計には「雇用二事業」という悪名高い事業がある。集めた莫大な保険料が余りまくって、かといって全額積み立てるにも積立金が5.4兆円にもなっているので積み立てることもままならず、仕方なく「えーい使ってしまえ」となる。それで出来上がったのが旧中野サンプラザホール、小田原のスパウザ、京阪奈パークの一角にある「私のしごと館」である。580億円もかけて毎年1億円の収入を得てはいるが、垂れ流す赤字は13兆円を超えている。こういう無駄遣いが、国民の無関心無知をいいことにかってに行われていたのだ。要するに高橋洋一さんの指摘していたことが全部真実で、土居他の御用学者が言っていたことは誤りであったのだ。詳しくは本書を参照されたい。
ただ本書を読んでいて鼻につくのは、著者の江田憲司氏にしても高橋洋一氏にしても「公務員になる前は天下りのことなんか知らなかった」「天下国家のために尽くすために公務員になったのであって、天下りして儲けようなんて微塵も考えたことなんかなかった」なんていうが、これは嘘ではないか。ちなみに私は陸軍航空士官学校卒で大金持ちの弁護士のおじさんから小学校の頃から「役人になれ」「役人になれ」といわれて育った人間である。「どうして役人になるとそんなにいいの」と、当時小学校5年生だった私に対する弁護士のおじさんの答えは「そりゃ、天下り出来るからさ」という明確な答え。役人になれば自動的に課長まで出世して、あとは局長、事務次官とならずとも天下りして左団扇の幸せな人生を送ることができると、人生の明確な地図を昭和40年代に当時年端もいかぬ小学生に彼は指示したのであった。しかも、極めつけは「民間は厳しいぞ。体を壊したら終わりだからな。その点、役人は体を壊して入院しても病院のベッドで横になりながら昇進していくんだからな」と。江田や高橋はおそらく見栄を張っているんだろう。しかし、少なくとも首都圏や奈良、神戸、大阪、京都、神戸、名古屋以下の進学校の生徒はほぼ全員、国家公務員上級職試験を突破することが生涯賃金でもっとも分がいい職業だったと知り抜いていたからこそキャリア官僚を目指したのである。だからこそ、最近、東大法学部の卒業生はキャリア官僚を忌避し、法科大学院や外資系企業を目指すことになったのである。