- 出版社:講談社
- サイズ:19cm/295p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-214680-7
激流中国
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- 税込価格:1,575円(45pt)
- 発行年月:2008.10
- 発送可能日:7~21日
- 本
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商品説明- 「激流中国」
NHKスペシャルが捉えた、誰も見たことのなかった中国とは? 「大国」と「途上国」が同居する複雑なる国・中国の深層と、激流の中で生きる人々の希望と苦悩を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
関連キーワード- 「激流中国」
ユーザーレビュー- 「激流中国」
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/02/27 15:07
激流に身を委ねる中国の人たちのありのままの姿を知るのに最適
投稿者:JOEL(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまでいろいろな中国関係の本を読んできたが、本書は現時点でのベストと言っていいかもしれない。中国で何度もロケをして番組を作り、それを書籍にした本書は、「等身大の中国」を描き出すのに成功している。
『激流中国』というNHKのドキュメンタリー番組は2007年から2008年にかけて13回にわたって放送された。残念ながら、一部しか見ていないが、本書を通して、いずれも力作の番組であったことが分かる。
何しろ報道の自由がないとか、人権が保障されていないとか言われることの多い中国を訪れ、中国の人物にカメラの焦点をじっくり据えて、記録していったのだから。
本書には、多くの中国の人たちが実名で登場する。よく本人や当局の許可を得たものだと思う。これは2008年夏の北京五輪を控えて、取材許可を緩和したことが幸いしている。実にタイミング良く、取材活動を展開したものである。
政府の言うことにはあらがえないと思われがちな中国でも、確実に自分たちの権利を自分たちで守り、主張し、闘い、勝ち取ろうとする動きがあることが理解できた。なんだかほっとした。
社会的な問題を取り上げる雑誌社の記者たちの熱いジャーナリズム精神と、当局を刺激しすぎて雑誌が休刊にならないために現実主義に立脚しようする社長のせめぎあいは、なかなか捨てたものではない。このあたりは、ジャーナリズムとは何なのかを深く考えさせるものがあった。
本書のあとがきにもあるとおり、中国とはいっても、地域により、問題の性質により、当事者の性格により、実に多様である。その多層的な構造は、先進国よりもよほど複雑であり、簡単な理解を許さないものがある。
日本側の制作者、中国側のコーディネーターの苦労は通常の番組作りの何倍にもなったという。放送そのものは見ていなくても、本書を読むだけで、それは相当な臨場感を持って伝わってきた。
筆者は、この13話をもって、中国のすべてを捉え得たわけではないことを率直に述べる。たしかにそうだろう。
しかし、NHKのディレクターたちが、中国の実際をここまで主観を排して、ありのまま捉えて、提示してみせた功績は非常に大きい。放送後に日本人からも中国人からも凄まじい反響が寄せられたとあるが、それももっともだと思われる。人の心を揺さぶるだけの内容がここにはある。
最終的に浮かび上がるのは、中国人もまた、国家の成員という以前に一人の人間という当たり前の事実だ。一人の人間として、目の前の出来事に苦悩し、これを打破しようと奮闘し、あるいはどうにもならない現実を知って立ちつくす姿がある。この場合、日本人も中国人もないのである。
「いずれにせよ、中国のドキュメンタリーに携わってきて思うことは、画面に登場する中国人の言動を、国家単位でその思惑推し量るステレオタイプからは脱した方がいいのではないか、ということだ」(p.291)
読者の中国に対するステレオタイプを打ち壊してあまりあるものが、たしかに本書には詰まっている。
以下、13話のタイトル。どれも甲乙つけがたい興味深い話題ばかりだ。ただし、放送順と本書の章順は異なっている。
1.富人と農民工(2007年4月1日放送)
2.病人大行列(2008年6月15日放送)
3.上海から先生がやってきた(2008年3月2日放送)
4.チベット 聖地に富を求めて(2007年10月7日放送)
5.民が官を訴える(2007年9月9日放送)
6.北京 怒れるニュータウン(2008年4月6日放送)
7.ある雑誌編集部 60日の攻防(2007年4月2日放送)
8.五年一組 小皇帝の涙(2008年1月6日放送)
9.青島 老人ホーム物語(2007年5月6日放送)
10.北京の水を確保せよ(2007年6月10日放送)
11.告発せよ 摘発せよ(2008年7月13日放送)
12.訴えられたカリスマ経営者(2007年12月9日放送)
13.密着 共産党地方幹部(2007年11月4日放送)
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/05/19 00:15
もがき、闘う中国人たちの実像
投稿者:テレキャットスター(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国には多くの中国人が住んでいて、一人ひとりがそれぞれの人生を営んでいる。実に当たり前のことだが、中国を語るときに得てして見落とされがちな前提だ。本書による「中国人を個人として見るのではなく、常に共産党と一体として見るという見方が日本人の間に少なからずある」という指摘にドキッとさせられたのは、私だけではないだろう。
本書は全13回にわたって放映されたNHKスペシャル「激流中国」を書籍化したものだ。あとがきによると、この番組はあえてテーマを事前に設定せずに「動いている現場にカメラを入れ、できるだけその一部始終を記録しようという愚直な方法論」によって作られたそうだ。その結果、テーマの網羅性には欠けるが、リアルな中国人像に迫った内容となっている。
例えば、貧しい農村でボランティアの教師として活動する若者。世の不条理と己の無力感に、悔し涙を流す。また、地方当局の横暴と闘い、市民の権利を守ろうと奔走する弁護士も登場する。逆に、市民と中央政府の板ばさみに悩まされる共産党の地方幹部もいる。他にも、熾烈な受験戦争に疲弊する子ども、企業による環境汚染を取り締まる役人、大金持ち、信じられないほど貧しい人たちなど「今の中国」を構成する人々が取り上げられている。
その多くが必死に「何か」と闘っているように見えた。その「何か」とは中国が抱えている「矛盾」なのかもしれない。貧富の差、都会と地方の格差、経済成長と環境保護の両立など。それらを単に「いびつ」と切り捨てるのは簡単だろう。しかし、本書の「矛盾を克服しようともがき、闘っている中国人がいることを、隣人である日本人は忘れてはならない」という一文を、私は無視することができない。
先に「今の中国」と書いたが、この番組が放映されたのは07年4月から08年7月にかけて。それから今日まで「激流」は勢いを弱めておらず、中国を取り巻く環境もさらに変化していることだろう。その渦中では、本書に登場するような中国人たちが必死に生きているはずだ。そのことを忘れないようにしたい。







