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資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言

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資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言

中谷 巌 (著)

紙書籍

1,836 ポイント:17pt

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商品説明

リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった! 構造改革の急先鋒であった著者が記す、懺悔の書。グローバル資本主義の本質...続きを読む

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商品説明

リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった! 構造改革の急先鋒であった著者が記す、懺悔の書。グローバル資本主義の本質とは何かを明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

中谷 巌

略歴
〈中谷巌〉1942年大阪生まれ。ハーバード大学博士。三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長。多摩大学教授、同大学ルネッサンスセンター長。一橋大学名誉教授。著書に「痛快!経済学」など。

著者/著名人のレビュー

 百年に一度と言われ...

ジュンク堂

 百年に一度と言われる未曾有の金融危機を招いたアメリカ型の資本主義への批判の本が相次いで出版されている。本書は構造改革推進の急先鋒であった著者が、留学中にアメリカの豊かな社会を目の当たりにしたことで新自由主義の信奉者となり、後にその誤りに気づき転向するに到った軌跡を記し、懺悔の意を込めて発する規制なきグローバル資本主義への警告の書である。

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ユーザーレビュー

全体の評価 3.6
3.6
評価内訳 全て(74件)
★★★★★(19件)
★★★★☆(17件)
★★★☆☆(23件)
★★☆☆☆(6件)
★☆☆☆☆(4件)

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先生、頑張って下さい

13人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/03/03 13:51

評価5 投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る

中谷先生は不肖私とほぼ同年である、しかも高校が同窓らしい
ハーバード大学の博士号を取得、
一橋大学教授としては当時最もスタンダードなマクロ経済学教科書を世に出し、
小渕内閣では“経済財政諮問会議”の前身“経済戦略会議”を興し、
その経済理論を実践するため民間に転出、ソニー他数々の社外取締役やTVコメンテーターを勤められた方である
我が母校にそんな秀才が居たとは驚きました
だからどうした?自慢している訳ではない
ただ本書にも盛られた先生の身の上話、同年齢の人間としてとても良く解る気がする
70年代、あこがれのアメリカに渡って見た夢のような学園・生活環境
刻苦勉励して修得した“近代経済学”
帰国後はいちはやく学会・官界・政財界・マスコミの寵児となる
“マーケット・メカニズムが機能する社会に生まれ変わればアメリカのように豊かで幸福になれる”
アメリカ自体微妙な変遷を遂げていた
戦後アメリカの繁栄を導いたとされるケインズ主義・新古典派総合経済学から80年代レーガノミクス、マネタリズム、新自由主義へ
先生は疑う事もなくアメリカ流市場原理主義、グロ-バリズムを礼賛し構造改革の急先鋒として旗振りにのめり込む
今になって先生の著した教科書がアメリカ経済学の引き写しだと言う方も居るが、
それも当然の事、先生は確信をもって唯一最高の“アメリカ経済学”を日本に流布すべく努められたのだ
アメリカ!アメリカ!アメリカのように!
そして漸くたどり着いた今、目の前に拡がる荒涼たる風景を見る
国税庁資料でも年収200万以下の給与所得者は1000万を超え、4人に1人、4世帯に1世帯は貧困世帯
より正確に所得格差を表現する“貧困率”(中位所得者が稼いでいる所得の半分以下の所得しか稼いでいない貧困者が全勤労者に占める比率)は1985年には12.5%だったのが20年経って26.9%に跳ね上がった(所得再配分前)
雇用流動性を目的とした政策で日本全体の労働者の3分の1が非正規雇用労働者になり、雇用不安に怯える事になった
お手本としてきたアメリカはどうか?
公的資金による救済を求める企業の経営者が平然と億単位のボーナスを手にして恥じない
一方に5000万人もの労働者が健康保険も加入出来ない状況下で、所得上位1%の人達が国民所得の17%を取り込んでいる
格差拡大、中流消滅、医療福祉後退、地球環境破壊
自分が推し進めていた“構造改革”は日本人を幸福にしたのか?自分は何をしていたのか?何を求めていたのか?
先生自身、本書は“懺悔の書”だと言う、先生は“良心の人”だと思う
本書では格差の拡大による惨状、福祉行政退廃の現状、そしてそれを作りだしたのがアメリカ・エリート層を中心として推進されてきたグローバリズムであったと詳述されている
しかし一方でグローバリズムは“パンドラの箱”流れは押しとどめる事が出来ないと言われる
“グローバリズムと言うモンスターに鎖をつけるのが最善だ”と主張する
どう鎖を用意するかは経済学の課題だろう
しかし先生はすでに“経済学”を否定してしまったかのようである
自ら書かれた経済学教科書に対する理論的反証もない
“経済学”“資本主義”“国家”は人々を救えないと言ってしまわれる
“民主主義も近代経済学もエリート支配のツールだった”とまで言い切ってしまわれた
その通りかも知れない
しかしそこまで言えば玄人筋には評判が良くない事だろう(現に池田信夫氏なんかはクソミソに批判している)
学者の“転向”は並でない、先生は学者生命を断ち切られる事ぐらいは覚悟されているかも知れないが、学者生命を断ち切られては折角の主張に意味がない
”経済学”に足りぬ所を何をもって補うか?
先生は一神教思想(自然を征服するものと考える)を批判し
日本神話に淵源する自然ぐるみの共同体思想、長期互恵戦略に世界救済の鍵があるかの様に主張される
オバマ大統領が掲げた如く“政策”が人を動かすには“理念”が不可欠である
国民を動かせない“政策”は必ず失敗する
金銭に追われる現代の精神的荒廃に、まず価値観の多様化、共同体思想再評価など“価値革命”から始めよと言われるお考えは理解出来る(私も小泉政治の最大の罪は人心を間違った方向に誘導した事だと思う)
しかしその精神の淵源に“日本神話”を持ってこられたのは少々乱暴にすぎないか?
残念な事に“日本神話”はアメリカ人の“メイフラワー”、フランス人の“フランス革命”の“神話”とは異なる
強制されたとは言え“自国民の手による塗り潰し”という数奇の歴史を辿ってきたのだ
アジア諸外国の反感もさりながら、大方の日本人にとってすでに“日本神話”は神話でない
日本人共通のアイデンティティ形成に“日本神話”を持ってくる事は如何にも無理なのだ
良くも悪しくも日本の神様は融通無碍・無色透明何でもかんでも呑み込んでしまう
先生の神様は“アメリカ教”から“日本教”に変わっただけなのかと皮肉られないか心配だ
“理念”の上に立って、最終章では具体的政策を提言されている
還付金付消費税(ベーシックインカム)等による弱者救済・安心安全重視の経済政策に触れておられるものの、“経済学”を否定されての話だからちょっと具体的迫力がない
“誰でも言っている事だ”と軽くいなされる方も多いようだ
でも“誰でも言っている”からダメなのか?
問題は“誰でも言っている”恐らく正しいと思われる政策が何故実現出来ないのかと言う事だ
本書は経済理論書ではなく啓蒙書だろう、実に解り易い
しかし“優等生”の答案だけに、すっかりグローバリズムに毒された多くの人達には“懺悔の言葉”も口先だけに聞こえてしまうようだ
先生は“懺悔”を口にする前に “反グローバリズム”の旗は振られなかったのだろうか?
“グローバリズム”との体を張った“闘い”はなかったのだろうか?
先生は日本の経済政策や取締役会議長までつとめられたソニーの経営の中枢に居られた方である
何故先生の力及ばず今日に至ったのか
“嘘を付いていました”と懺悔する前に、その実戦談を聞かせて頂けておれば“懺悔”も“政策論”も余程印象が異なったと思えます
先生にも、かって盟友であった日本グローバリズムの立役者・竹中平蔵氏ほどの戦略眼が欲しい所です
“すっかり吐き出したから、後は読書三昧”などとは言って欲しくない
まさかに榊原英資氏の様に“経済学者卒業”と言う訳でもあるまい
私達が先生に期待するのはやはり“学識”を武器にした“改革”実践なのだ




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焦燥感に満ちた一冊

30人中、28人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/01/11 14:34

評価4 投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 金融危機を迎えた現在に 新自由主義をかつて主張した中谷の自己反省の一冊。

 ここ数年経済学の本が面白く読めるようになってきた。仕事との絡みが増えたという理由以上に 「経済学とは人間をどのように考えるのか」という学問であることが分かってきたからだと思う。経済とは ある意味で 結局「人間はどのように考えて どのように行動するのか」を追求する極めて人間臭いものだ。そう考えた途端に 心理学、哲学、歴史学との太い結びつきが眼前に現われて 非常に面白くなってきたところだ。

 本書で中谷は 日本の歴史や宗教に踏み込んでいる。決して 歴史や宗教の専門家ではないであろう 中谷が それらに踏み込まざるを得なくなった点に 経済学の本質が表れている。理論経済学が そもそも「合理的な判断をする人間」を前提としたことが 逆に人間が不合理な生き物であることを浮かびあがらせたということだ。
 若しくは 人間の合理に 宗教や哲学を入れなくてはならないことに経済学者が気がついてきたのだということかとも思う。

 本書での中谷は いささか拙速かつ蛮勇に満ちている。中谷が描き出すブータンやキューバの桃源郷ぶりに関しては 情緒的であり そこには精緻な経済学者の視線が見られない。但しそこに 中谷の焦燥感を感じた。グローバル資本主義というパンドラの箱があき 色々な化け物が飛び出してきたという中谷自身の恐怖感が その「拙速」ぶりに 透けて見えてくる思いがした。そうして その気持ちを伝える迫力において 本書は読みがいがあった

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「歴史も文化的伝統もまったく異なるアメリカ型の資本主義を日本がそのまま受け入れる必然性はどこにもないのだ。」(p.366)

12人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/03/22 12:53

評価4 投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本には外国かぶれの人が多すぎる。敗戦後は、とりわけアメリカかぶれの人が多い。著者は現在の悲惨な状況を見て、ようやく自分の拝米イデオロギーが間違いであったことに気づいたようである。人間社会に完璧な制度などない。もしあれば、人類の長い歴史の中で見つかっているはずである。イギリスがいい、ドイツがいいなどなどいつも他国と比較して、日本を論うパタンが後を立たないが、紛争や貧困等に見舞われていないならば、どの社会もいつの時代もそれほどよくもなければ悪くもないのが実状だろう。
 
 著者はアメリカかぶれからは脱したようだが、今度はキューバやブータンの例を引き合いに出してきていて、他者依存型の考え方には終止符が打てていないようである。大切なのは、他の国がどうかではなく、日本にとって(日本国民にとって)なにがよいかという本質的な議論をして、より良い提言をまとめ、国民の賛同を集めることである。はたして今の日本人に上記の国の生活水準を選び取るだけの精神があるだろうか。
 
 著者の改革案には大筋で賛成できる。消費税は早く上げないと、若い人たちが困る時代がすぐそこまでやって来ている。マスコミは、税金が高くなることに反対すれば、視聴者の同意が得られ視聴率が上がると思っているようだが、冷静に将来を見据えて報道していかないと、先の戦争の片棒を担いだのと同じ過ちを繰り返すことになるだろう。
 
 著者の提案する「還付金付き消費税」はなかなかよい提案だ。地方分権案にも賛成できる。ただ、環境・観光立国で日本を再生できるかは疑問の残るところである。長期的な視野に立って考えるならば、産業分野を政治的に判断するのではなく、教育にもっと投資するべきである。
 
 日本社会において、年金、医療費の次に考えるべきは教育である。格差の拡大を加速させている一因は、教育機会の不均等が進んでいることであろう。現在国立大学の授業料は535,800円である。(入学金は282,000円で初年度納入額は817,800円にもなる。)この40年ほどで約45倍にもなっている。他にこれ程料金が上がったものを思いつかない。公教育は基本的に無料にすべきである。(ただし、それに相応しい選抜を行うことが前提であるが。)
 
 そうすれば、広く人材を発掘できるうえ、国民の税金で恵まれた環境で学ぶことができたことに対する感謝の気持ちも芽生えるのではないかと思う。貧しくとも、才能が有り努力する者が報われなけらば、その社会がいずれ滅びるのは、歴史の必定である。著者には、また政府に戻る努力をし、自らのつけを清算してきてほしい。

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「問題提起」としては心を引きつけられる点が多いが・・・・

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/09/05 18:40

評価4 投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る

 広範な論点に及ぶ内容には「問題提起」としては心を引きつけられる点が多い。また、本書で述べられた多くの点について、「結論」としては同意できるところも多い。たとえば、著者が、本書で述べる「転向」の意味について、「私は構造改革そのものを全面否定するようになったわけではない。しかし、格差拡大を助長し、日本社会が大事に育ててきた社会的価値を破壊する改革には賛成できなくなった」とされている(p.32)ことには同感できる。  さらに、随所で述べられているエピソード、例示等も貴重で興味深いものが多く、「読み物」としては面白い書物である。

 しかしながら、本書には、思考の深さ、重さというものがあまり認められず、叙述が論理性に欠け粗雑すぎると感じる部分が多い。全体に緻密さに欠ける記述が多いのであるが、一つだけ具体例を挙げる。

 著者は、次のように述べる。

>小泉改革の最大の課題であった郵政民営化は曲がりなりにも実現したが、最大の成果は、郵便貯金や簡易保険で集められる資金が自動的に財政投融資となって不要不急の公共事業に流れていくという仕組みにくさびが打ち込まれた点にあった。この功績はこれからも語り継がれることになるだろう。(p.59)

 しかし、郵便貯金の資金運用部預託義務は、すでに01年度に廃止されているから、以上は、小泉内閣による郵政民営化政策の成果ではない。 すでに資金運用部預託義務が廃止されているところへ、さらに郵政事業を民営化したところで、それが「資金の流れが変わる」原因となることはあり得ない。公的金融を縮小したいのであれば財投債を見直す必要があるはずである。公共事業の量を決めるのは財政政策であり予算であって、郵貯民営化と直接の関係はない。野口悠紀雄氏、リチャード・クー氏、池尾和人氏などが述べられているとおりである(諸氏の著作についての評者の書評を参照)

 著者は、郵便貯金の資金運用部預託義務がすでに01年度に廃止されているという重要な事実さえご存知なかったように見受けられるが(そのこと自体が驚くべきことであり、このような誤解の持主が堂々と一国の政策形成に関与したことは恐るべき事実であるが)、それにもかかわらず、著者は、上記の後に次のように述べる。

>しかし、田舎にあった小さくて便利な、村の人たちに愛された郵便局が民営化され、採算が合わないという理由で次々に廃業していくことにどれだけの意味があったのだろうか。さぞかし、日本の昔懐かしい風景がひとつ消えて、さびしい思いをした人たちが大勢いたことだろう。

 「しかし」という接続は、「すでに述べたことに対比的で、ある観点からは相反するようなことを続けて述べるのに使う語」(広辞苑)であるはずであるが、「しかし」の後で述べられている上記部分は、単なる感傷論のレベルを超えるものではなく、この前後が論理的に「対比的」だと言えるだろうか。

 時の政権が「改革の本丸」と称して異例の解散まで打って争点とされた政策結果について、「これからも語り継がれることになるだろう」とまで「功績」を認めながら、続けて「採算が合わないという理由で次々に廃業していくことにどれだけの意味があったのだろうか」と述べ、「日本の昔懐かしい風景がひとつ消えて、さびしい思いをした人たちが大勢いたことだろう」と続ける展開は論理整合性に欠けており、経済学者によるものとは到底思えない。郵政民営化政策とは、「どれだけの意味があった」のかを具体的に検証することなく、「日本の昔懐かしい風景」が消えて「さびしい思い」をするというような評価ですませ得るようなものだったのであろうか。

 また、著者は、第3章でキューバやブータンでの社会観察を述べるが、だからと言って、現在の日本が両国の制度に範を求めることが現実的であるわけもないだろう。他国の例を挙げ、評価するのならば、どういう点を日本社会が参考にできるのかという点を具体的・総合的観点から考察するのでなければ、単なる感傷論か旅行記でしかないだろう。 ブータンが国民総生産よりも国民総幸福量の向上を目指すという国家理念を掲げ、その方針を多くの国民が支持したということは結構なことだとしても、我が国の今後を考えるにあたって、その例を制度的にどのような具体化していこうというのだろうか。 そうした視点もないままで語るだけでは、若い頃の著者がかつてのアメリカ社会に魅入られて「アメリカ流構造改革の急先鋒」として活動した(p.32)ことの裏返しに過ぎないのではないか。しきりにブータン社会を礼賛されるのを読んでいると、かつて北朝鮮を地上の楽園と称した人々、毛沢東崇拝思想を熱く説いた方々を連想したくなる。

 著者は「まだ十分な懺悔はできていないかもしれないが、・・・・思い切って私の拙い思いを本書の形で上梓させていただくことにした」と述べる(p.3)。 たしかにその行為は勇気あるものとも言えよう。しかし、評者のように「よき保守主義者」たらんと考えている者にとっては、簡単に「懺悔」だの「転向」だのをできる人というのはどうも信用できない。著者に学者としての真の誠実さが残っているのならば、本書の内容についてさらに思考を深め、丁寧に実証的に論理を積み上げていくという精進を願いたいものである。

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キリスト教思想にまでさかのぼったグローバル資本主義批判

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/02/06 21:18

評価3 投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る

新自由主義に席巻されたアメリカの経済学を信奉してきた著者が,そういう過去を自己批判する.最近はつよく批判される小泉政権の政策については,郵政民営化で公共事業に自動的に資金がながれるしくみにくさびをうった点を評価しながらも,いなかの特定郵便局まで民営化して採算重視することへの疑問をのべている.

しかし,著者の議論はそれだけにとどまらない.格差や貧困ををうみだし環境を破壊する近年のグローバル資本主義を批判するだけでなく,一神教であるキリスト教にささえられた米英の資本主義や土地の私有制などにもメスがいれられる.その一方でグローバル資本主義を拒否したブータンとキューバに羨望の目がむけられる.また,自然との共生を重視してきた日本人の思想をみなおし,「商人道」から発した日本の商慣習を評価し,日本の自動車産業の成功の理由をそういうところにみている.また,日本「再生」のためにも,さまざまな提言をしている.

しかし,その一方で,批判した資本主義を「歴史を逆行させることはおそらくできないだろう」というように,かんたんにみとめてしまっている.資本主義のルーツにまでさかのぼった議論をするのであれば,改良主義的な提言よりも,もっと根本的なみなおしの議論がほしかったようにおもう.

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評価0 投稿元:ブクログ

2010/01/02 17:55

中谷巌夫の懺悔の書。
世界規模の新自由主義経済を否定し、日本古来のシステムを尊重しながら復活を目指そうという内容だが、回顧主義のにおいがして、なんとも言いがたい。
経済に関するというより思想の側面が入ってきて、中谷もそんなものなのかなぁと言う感じ。

評価3 投稿元:ブクログ

2009/11/11 16:55

目次
序章 さらば、「グローバル資本主義」
★変質してしまったアメリカの豊かさ
★メルトダウンを起こした? アメリカ経済
★グローバル資本主義というモンスター
★「構造改革」の急先鋒であった私
★消えうせた「中流社会日本」
★消えた安全・安心
★パンドラの箱は開いてしまった
★なぜ資本主義は環境を破壊するのか
★もはや構造改革に幻滅した日本人
★わが懺悔、そしてわが転向


第1章 なぜ、私は「転向」したのか
★私の「アメリカ体験」
★あまりにも違った日米の学問風土
★「アメリカかぶれ」なった私
★豊かなアメリカは「大圧縮」の産物だった
★格差の拡大、中流の消滅、そして医療、福祉の後退
★政府の介入が「豊かなアメリカ」を作った
★アメリカにもあった「日本型経営」
★人間は先入観に騙される
★なぜ、ケインズ経済は後退し、新自由主義の春がやってきたのか
★市場原理の「教義」に違和感を覚えた日本の学生達
★改革派の急先鋒として
★構造改革は日本人を幸福にしたか
★民主主義という「隠れ蓑」
★民主主義も近代経済学も、エリート支配の「ツール」だった
★日本人として「グローバル資本主義」を再検討する



第2章 グローバル資本主義はなぜ格差を作るのか
★グローバル資本主義の「恩恵」
★わが世の春を謳歌した世界経済
★顧みられなかったグローバル資本主義の副作用
★はたして、これは「市場の失敗」なのか
★収穫逓増型産業が景気を牽引した
★なぜ、人々はサブプライムに騙されたのか
★「レバレッジ経営」崩壊への道筋
★クレジット・クランチは起きるか
★「金融立国」戦略が破綻したアメリカ
★拡大する格差社会
★「生産と消費の分離」が生み出した格差
★プレカリアートの登場
★資本主義の原動力とは何か
★「完全情報」という仮定
★素人が株で儲けるのが無理な理由とは
★情報の完全性など、ありえない
★厚生経済学の二つの原理
★「公正な政治」を仮定する経済学の欺瞞性
★地球環境を破壊するグローバル資本主義
★支配のツールとしての新自由主義



第3章 「悪魔の碾き臼」としての市場社会
★はたして資本主義は人間を幸福にするのか
★なぜ、彼等の顔は満足感に溢れているのか
★貧困でも心が荒まない社会
★なぜキューバ医療は成功したのか
★人間は社会的動物である
★ファミリー・ドクター精度が作る「社会の絆」
★医療立国を目指すキューバ
★「国民総幸福量」を提唱したブータン
★経済学では自然も社会も守れない
★人間の豊かさよりも鶴との共存を選ぶ社会
★アジアで最も幸福な国
★資本主義が破壊する「社会のつながり」
★痛烈な資本主義批判をしたポランー
★なぜ、資本主義は人々を不幸にするのか
★「労働の商品化」が問題の始まり
★資本主義が貧困を生み出したわけ
★��地は誰のものか?
★土地私有化が社会や環境を破壊した
★マネー・ゲームの愚
★ブータンやキューバの「幸せ感」
★第一次大戦がヨーロッパ人に与えた衝撃とは
★「市場経済は平和と自由を作り出すことが出来ない」
★なぜポランニーは警告を忘れたのか



第4章 宗教国家、理念国家としてのアメリカ
★変質したアメリカ社会
★いまや消えてなくなった「トクヴィルのアメリカ」
★いまや無保険者が4700万人
★自己責任社会の悲惨な現実
★「潮目」は変わった
★アメリカ流資本主義に潜む暴力性
★多極化する社会
★特殊性を排除するアメリカのロジック
★なせ、アメリカ人は市場原理の信者になったのか
★ヨーロッパ人なぜ理性を信じないのか
★アメリカの十字軍精神の起源とは
★宗教国家アメリカを作った男たち
★「アメリカの成功はすでに神に約束されたもの」とする倫理
★なぜアメリカは時にモンロー主義に陥るのか
★先住民の殺戮は旧約聖書の再現であった?
★聖戦としての南北戦争
★フロンティアが作り出した個人主義
★西へと向かう宗教的信念
★ついに壁にぶち当たったアメリカの西漸運動
★大いなる転換期ーアメリカはどのへ行くのか
★オバマ大統領のアメリカ



第5章 「一神教思想」はなぜ自然を破壊するのか
★世界最初の「人工国家」アメリカ
★アメリカ経済が世界を制した理由
★新自由主義は「普遍の原理」ではない
★もはや限界に達してアメリカ流新自由主義
★「滅びの淵」から人類を救うには
★「蛇と十字架」の秘密
★「メデューサ殺し」の意味
★「自然は征服するもの」と考える一神教思想
★なぜ日本人は自然と共生できたのか
★神道と仏教を融合した日本人
★「日本的自然哲学」を確立した本地垂迹説
★なぜ、西行や芭蕉は聖人としたわれたか
★「一国家・一文明」と言う世界史的例外
★弥生人は縄文人を制服しなかった
★血にまみれたギリシャの神々
★「国譲り」によって統一された日本の独自性
★縄文と弥生が融合した理由とは
★なぜ、縄文時代は一万年も続いたのか
★自然に神聖さを感じる日本人
★自然を征服の対象と考える欧米人
★日本文化の中にこそ環境問題への解決の鍵がある



第6章 今こそ、日本の「安心・安全」を世界に
★日本人と古代ローマ人の共通点
★外国人を驚かせた幕末・維新の”安心・安全”
★島国ゆえの長期互恵戦略
★戦後日本を経済大国にした「談合」「系列」の秘密
★デザイン・インの思想が自動車王国日本を作ったわけ
★なぜ、アメリカ自動車業界は日本に敗れたのか
★長期信頼関係こそが力である
★「日本人には戦略性がない」という嘘
★レモン市場とは何か
★情報の非対称性が作る不信の構図
★信頼こそが社会資本である
★武士道に対抗して商人道を作り出した江戸の日本人
★商業を通じた社会貢献を説いた石門心学
★なぜ中国人には日本的雇用システムが理解できないのか
★アメリカ的戦略と日本的戦略
★日本人の知らない「階級社会」の真実
★孔子が説いた「支配者の倫理」
★江戸時代の日本は、はたして身分社会だったのか
★稀に見る「均質性」こそ、日本近代化の鍵だった
★労働が「神事」であった古代日本
★今なお残る欧米の階級思想
★なぜ欧米企業では「現場主義」が育ちにくいのか
★どうして日本人に平等感覚が発達したのか
★「中空構造」の功罪を考える
★今こそ日本発の価値観を世界に



第7章 「日本」再生への提言
★今や「貧困大国」になった日本
★衝撃的なOECDレポート
★「再配分後」では日本はワースト二位に
★驚くべきシングル・マザーの貧困率
★危なくなった「国民皆保険制度」
★ジニ係数から見たに日本の不平等
★気が付かないうちに進んだ「格差拡大」
★なぜ日本の国際競争力はかくも低下したか
★雇用改革が破綻した日本社会の「安心・安全」
★「信用第一」が失われた日本
★日本人の「身の丈」に合った経営とは
★なぜ北欧経済は活気を呈しているのか
★本当の「改革」とは何か
★税制改革、いかにあるべきか
★基礎年金は税方式に
★消費税の「欠点」を解消する秘策
★なぜ「ベーシック・インカム」なのか
★「金銭による所得再配分」の限界
★「大きな政府」でも経済活性化はできる
★「国家」では社会は救えない
★「社会に支えられている」という実感こそが必要
★地方分権こそ、日本経済再生のカギ
★日本が世界に誇れる美質とは
★今こそ、環境立国を
★政策パラダイムの大きな転換が不可欠



終章 今こそ「モンスター」に鎖を
★モンスターがもたらした「三つの傷」
★なぜ金融危機は頻発するのか
★シニョレッジの誘惑
★所得格差と環境破壊も本質は同じである
★禁断の果実
★「自由」ゆえに資本主義は自壊する
★「相互承認」の考え方
★人間の欲望がモンスターを呼びさます

評価3 投稿元:ブクログ

2009/04/06 13:34

規律によって制御されない「自由」の拡大は資本主義そのものを自壊させることになる、ある国で環境規制が強化されてもグローバル資本は規制を嫌って環境破壊に寛容な国に資本を移すだけ、大きな政府のケインズ経済政策が行き過ぎてしまったように新自由主義も明らかに行き過ぎてしまった、アメリカの中流社会は81年のレーガン政権によって決定的な変質を起こす(中流層の低所得者層への吸収)→格差社会へ、第二次世界大戦によりアメリカは公的部門が所得再分配に積極的に関与、社会全体に「豊かさ」を作り出すためには政府の「適切な」介入が必要、アメリカの経済政策は30〜40年毎の循環を繰り返しその中でも「適切な」政府の介入が行われた時期にアメリカは真の意味で黄金時代を謳歌した、アメリカは早晩公共の利益に配慮する民主党的政策に移行していくだろう、人心の荒廃や貧富の差の拡大はグローバル資本主義にビルトインされたもの、頭の良い者が悪いものを搾取し支配するのは当然という思想が自由競争の名の下に正当化されている(エリートにとって有利な仕組み)、本来情報を多く持つものが大きな利益を上げるものだがマーケットは平等で民主的なルールで運用されているんで正しいとされてきた、地方が自立的に動けるように税源措置の裁量権を与えそれと引き換えに財政資金を絞るのが順序、アダムスミス「見えざる手」により自由市場で競争していけば最適な資源配分が達成される規制緩和を行い政府の干渉を減らして自由競争を行う環境を整えるのが大事(新自由主義)、金融や情報通信で圧倒的な優位を築いてからはアメリカはかつてのような通商摩擦を仕掛けることもなくなった、ニューエコノミー論:景気循環を克服し長期にわたる持続的成長が可、アメリカは製造業中心の経済から金融とITに立脚した金融立国への脱皮を目指したがそれがついに挫折した、グローバル資本主義においては資本はつねに安い労働力を求めて移動しょうとするのでかつてのように国内での利益の再分配は行われない、冷戦の終結を機に東側世界が一挙にグローバルマーケットに入り込んできた、グローバル資本主義により国境を超えた高低差を利用可となった→貧困を作り出していく、マーケットメカニズムには政府は手をつけず所得再分配を別個に考慮するという考え方、所得再分配について民主主義を過大評価している、マーケットメカニズムも民主主義も不完全だがそれ以上のものがないというだけ、自由を手放したくないのなら自由の制御の仕方を学ぶ必要、市場原理主義はえりーと・富裕階層にとって都合の良いもの、資本主義は手なずけない限り社会を破壊する、市場経済をおかしくしたのは「労働」「土地」「貨幣」そのものの取引をしたこと、市場で商品が取引されるにはその商品と同じものを再生産できることが前提、賃金とは自分の人生を切り売りしていること、日本の医療費はNYに比べべらぼうに安い、病気になって自己破産した人のほとんどが中流階級の医療保険加入者だった(アメリカ)、アメリカ国民の医療費負担は加・独・仏・英の2倍以上、アメリカは今回の金融破たんで国家による経済への介入を厭わないプラグマティズムの伝統に回帰する、21世紀アメリカのプレゼンスは相対的に低下し中国・ロシア・インド・ブラジルやイスラム圏が大きくのしてくる(アメリカ流の資本主義を採用していない)ドルの信認が揺らぎドルが売られ機軸通貨としての役割を果たせなくなった時本当の経済危機がくる、アメリカは今でも宗教国家→自らの理念を外に向かって広げていく→領土の拡大、社会主義の自滅によりアメリカ式資本主義の正しさが立証されたとの受け止められ方、キリスト教は自然を飼いならし征服することが神から人間に与えられた使命との考え、日本の学校が「本地垂迹説」を教えないのはマッカーサーのせい、庶民感覚の日本経営者とエリート感覚の海外企業のトップのコミュニケーションはうまくいかない、日本社会では権力の一極集中を嫌うが其の分責任の所在が曖昧、日本がとるべき方向は圧倒的に「環境分野」→環境のことは日本に聞けというくらいに圧倒→救世主となる、日本では単身子育て世帯にほとんど何の手助けもしていない(アメリカ以下)、現時点国民健康保険未納者は2割近い、日本社会とは歴史的に見て平等主義的色彩の極めて濃い社会→独特の精神風土→当事者意識を高め近代化に寄与→経済大国へ、「丁寧なものづくり」「誠実な商売」という日本のポジションは他国が簡単にキャッチアップできるものではない(アドバンテージ)、新自由主義により本来の良さが消滅、失われ始めた社会の一体感を取り戻すこと→将来の不安感を払拭すること、デンマーク・スウェーデン・フィンランドといった「高福祉」「高負担」の北欧諸国は経済競争力も高い、デンマークの企業はいつでも余剰人員を解雇できる(手厚い失業保険・徹底した同一労働同一賃金・職業訓練の充実、国が行うべきは外交・国防くらいで十分→福祉は金銭の給付に留め実務は地方に権限委譲、、

評価1 投稿元:ブクログ

2009/02/24 15:01

「新自由主義経済学」は悪魔の思想だ!!広がる格差、止めどない環境破壊、迫り来る資源不足。すべての元凶は資本主義そのものにあった!「新自由主義」の旗手と言われていた著者が、いま悔恨を込めて書く懺悔の書。

評価2 投稿元:ブクログ

2009/04/02 23:51

新自由主義からの転向の書と謳っているが、社会科学者から人文科学者への転向という印象。 何の解決策も示せず、学者としてはジ・エンド。こんな本を売る神経が理解できない。本当に懺悔する気があるなら、自費出版にして無料で世に出すのが筋。

評価5 投稿元:ブクログ

2010/12/04 21:48

中谷巌さんの最新の著書(といってももう一年前だが)

新自由主義のもと押し進められてきた規制緩和が一昨年のリーマンショックを端とした金融危機を招いた。
この事実を、アメリカ、ヨーロッパ、日本の歴史を振り返ることでどうして、このような流れが起きたのかを解説している。
経済の本かと思いきや、歴史的要素が多く、歴史が単なる過去では今へと繋がってることをダイナミックに感じることができる非常に面白い本である。

マルクスの資本論ではないが、お金、労働、土地という再生産不可能なものを取引し始めたことが人類の歴史を大きく変化させたなど、経済理論の解釈なども中谷さんのうまいところだと思う。
彼自身、小泉内閣時にはこの規制緩和の推進者であったが、それが行き過ぎたことを大いに反省し、軌道修正が必要なことを説いている。こんな人でも予測を誤るのだから、未来を予想するのは本当に難しことなのだと思う。

歴史的、宗教的背景からの分析は非常に面白いのではこの部分だけでも読む価値があると思います。

評価3 投稿元:ブクログ

2009/02/16 21:02

久米さんがテレビで紹介していたのを聞いて購入。分厚く、ボリューム満点の本ですが文章が平易で読みやすいです。ただ、指摘している問題点、提案内容に目新しいものはありません。人間って欲望の塊みたいな生き物で、結局それが原因で経済危機なんかが起きてると思うと悲しいなぁと思ってしまいます。

評価3 投稿元:ブクログ

2009/02/11 11:29

前半は秀逸。
ただ、日本が階層の社会でないことへの言及や、
この経済不況を切り抜けるための提言には反論の余地があって安易かなぁと思った。

現在の資本主義は、完全な市場原理主義に基づいている。
競争によって生まれる個々人の成果の差異が(主に金銭的なもの)個々人のモチベーションを上げ、それが経済を活性化させるという考え方。
ただグローバル資本主義の大前提となるモデル『アメリカ』に関する言説には間違いがある。
成功していた頃のアメリカには社会福祉、年金制度があり、その上での競争原理があった。
日本が医療、保険を市場に持ち込んだことは明らかな間違い。
そして競争意識を生むために勤労形態に幅を持たせ、賃金にも差を生んだことも間違い。

評価5 投稿元:ブクログ

2009/05/14 14:09

中谷巌氏の懺悔の書。

行き過ぎたアメリカ型金融資本主義。グローバル資本主義の暴走と崩壊、
ゴールドマンサックスの2007年年次報告、同社の世界平均捻棒は金融危機直線、7000万円に達した。
佐藤氏の知人N証券役員氏の年棒5000万円に通じる。

素人が株で儲けるのが無理な理由、情報の完全性などありえない。

チャーチル「民主主義は最悪の政治形態、これまでのあらゆる政治形態を除けば、だが」

アメリカの十字軍精神の起源・宗教国家アメリカ・先住民の殺戮は旧約聖書の再現・アメリカの大義・世界史的使命
中西輝政「アメリカ外交の魂」(集英社)

日本人は世界で最も宗教心のある国民、日本人に宗教心がないというのはとんでもない間違い。
河合隼雄「カトリックはパートタイム宗教、日本の宗教はフルタイム宗教」

人間は自然によって生かされている、今日ほど自然との共生が求められている時代はない。

日本人と古代ローマ人との共通点、塩野七生氏「ローマ人の物語」

評価5 投稿元:ブクログ

2010/01/21 00:23

■選書
資本主義はなぜ自壊したのか

■筆者
中谷巌
多摩大学教授、UFJリサーチ理事長など

■選書理由
・雑誌や記事でよく筆者の中谷氏を知っていて興味があったのと、
・就職活動で落ちた会社の理事長なため。。理由になってない。

■概要
グローバル資本主義によって私たちは多くの自由、特に経済的な自由を手に入れたが、一方でその自由を求めすぎるあまりに、自滅の一途をたどっている。
今一度、日本の歴史と文化と国民性の特徴を見直し、日本にあった社会の構築をする必要がある。

■内容
グローバル資本主義はこれまで市場に出回らなかった、各国の労働・貨幣・土地を世界の市場に引き込みそして商品した。
これにより経済の発展は劇的に進み、これまで発展途上国だった国がっ急激な成長を見せている。
しかし、一方でこのグローバル資本主義による自由な経済は人間に不幸をもたらしているとの声が上がっている。自由になればなるほど不幸になる。
これは資本主義がもたらし3つの傷によるものである。

1.世界経済の不安定化
各諸国国内で収まらない資本主義経済は、一度何か問題が起きると世界全体に多大な影響を及ぼす。サブプライムローン、レバレッジを効かした金融商品などはその例であり、アメリカのS&L、アジア通貨危機などはグローバル資本主義がもたらした負の側面である。

2.所得格差の拡大
グローバル経済化ではモノの製造がその国内で垂直的に行なわれるのではなく、各セクション最適化される国によって水平分業的の行なわれる。
閉鎖的な経済社会では格差是正を正すモーメントが働きやすいが、
グローバル経済化では消費と生産地が異なるため調整が効かないため、格差が拡大する。

3.地球環境破壊
グローバル資本主義は所得が低い国、環境規制が少ない国を次々と襲う。土地が痩せれば次へ移るといった焼畑農業と同じある。
南アメリカ、アフリカへの大企業の進出はまさにその典型的な例であり、
進出先の自然環境を破壊する。


グローバル資本主義がもたらす負の影響から脱却するためには、
個々人が欲望の抑制をしなければならないがそれは極めて難しく、
これは国が強い意志を持って自国の方向性を決定することによって
あるべき姿に向かっていくしかないだろう。

■所感
久々に良書に出会ったという感じです。
筆者はもともと小泉政権下で経済財政諮問会議に参加し、
小泉政権が掲げる経済、規制改革を推進した1人。

その筆者がその当時の判断を間違っていたと本書の冒頭で認めるところから始まります。

日本の歴史、世界の歴史、また多くの学問より論理的にグローバル資本主義経済の問題を指摘しています。

正直なところ1度読んだだけではこの本を読みつくしたいえないところがあります。
2回、3回読んでも新しい発見がある良書です。

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