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辺境作家高野秀行が『世界のシワ』で体験した爆笑辺境こぼれ話
2009/12/16 19:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
高野秀行氏は世界の辺境を旅して体験してきたことを本にしている、辺境ノンフィクション作家である。
その作品はただのノンフィクションではなく、川口浩探検隊を地でいき、辺境で自分が見舞われたアクシデントを客観的に観察して、読者が楽しめるように面白おかしく描かれた作品である。
高野氏の言葉を借りれば、エンタメノンフィクションというジャンルに位置するのである。
本書は、著者がこれまで数々の辺境を旅してきて本に収録されなかったこぼれ話的な出来事が書かれており、探検部時代の七年と卒業後の十数年に辺境で体験したエピソードが収録されている。
まあ、面白い話が盛りだくさんなのだが、もっとも強烈なのが『何事も初体験だ[コンゴ]』だ。
何を隠そう高野氏がコンゴの女性と初体験してしまったエピソードが描かれている。
高野氏は早稲田大学探検部時代に怪獣探索の隊長としてコンゴへ行ったのだが、このエピソードは怪獣がいるという湖へ出発する前の出来事。
この甘い体験のあとに訪れる怪獣探索での凄まじい状況を思うと、おかしくてたまらない。
ちなみに怪獣探索の話は『幻獣ムベンベを追え』として出版されており、他にもコンゴ関連のエピソードがたくさん収録されている。
他にも「麻薬地帯」として有名なゴールデントライアングルへ潜入?し、現地人と一緒に生活して、種まきからアヘン中毒までアヘンに関わることをすべてやった(『アヘン王国潜入記』として作品化)高野氏が、その帰途のバンコク空港で見舞われたエピソード『コンプリートな男』など、これまでの作品を読んできた人にとってはヨダレ物の作品であり、まだ読んだことがない人にとっては高野秀行の入門書てきな作品に仕上がっている。
おすすめの作品です。
紙の本
面白いです
2017/01/16 02:05
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投稿者:いちごジャム - この投稿者のレビュー一覧を見る
多くの冒険エッセイの中から裏話的な話を集めたのがこちらの一冊です。
あの時の冒険旅行では実はこんなことがありまして、、、と言った話が語られているのですが、それがもうおかしくて思わず吹き出してしまいます。
私は外出先で読んでいたのですが、あまりにもおかしくて笑いをこらえるのに必死でした。
一遍のエッセイの長さが短くて読みやすいので、軽いエッセイをお探しの方にお勧めです。
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2009年1月11日購入。読書期間2009年1月11日〜16日。
日本を含む世界の辺境へ行く著者が、行く先々で起こった奇妙な話の数々。
世界はこんなに深いんだな〜と思える、どこかへ旅に出てみたくなる本。
また、これまで刊行された本には収録されなかった裏話もあるので併せて読むのもお勧め。
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旅行記というか記録。
高野氏は好きな作家の一人であり、この本もわりと好きだ。
だが、おかしなことの短編集的なものでなく壮大な旅行話が読みたい。
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世界のシワってなんじゃい?
おそらく、この本のタイトルを見た大多数の人がそう思うでしょうね。そして表紙は梅干がのった白米。
まったくもってなんの本だが見当が付かないのに、この本を買ってしまったのは、僕も世界のシワに夢
を見たかったからであります。
著者の高野氏は、早稲田大学探検部出身の作家。本書は、そんな著者のライフワークともいえる探検の様
子をまとめた爆笑エッセイ集だ。
著者はひたすらに「世界のシワ」を求める。だから世界のシワってなに?
「世界のシワ」とは、世界の「辺境」のことだという。著者の言葉を借りると、
『アメリカ化が進むと、世界はのっぺりする。イメージで言えば、先進国と大都市を中心に、みんなが
せっせとアイロンがけをしているようなものだ。どこも同じように清潔で快適でおしゃれで便利になる。
では、アイロンが行き届いていないところはどうかと言うと、これはシワくちゃだ。昔からシワだらけ
だったのが、さらに中央部からの、まさに「シワ寄せ」を食らっているからたまったもんじゃない。そう
いう世界のシワみたいな地域は「辺境」とか「僻地」と呼ばれる。山あり谷あり、病気あり内戦あり、犯
罪あり非常識あり、怪獣あり野人あり・・・とたいへんなのだが、なぜか私はそういうシワ地帯が好きで
ある』(はじめに より)
ということだ。ここが「旅人」と「探検家」の違いであろう。もちろん旅人だって世界の辺境を旅するだ
ろうが、探検となると基本的にその姿勢は「攻め」になる。それを世間では「男のロマン」と呼ぶ。
奥多摩の洞窟でデート、コンゴの密林でカロリーメイトに命をかける、バンコクでのアヘン研究、アマゾ
ンでしらみと格闘、アフリカの悪徳ポリスに絡まれる、アフリカのコンゴで初体験・・・。
普通に考えればとんでもないことが次々と起こる。よく生きてるなこの人。そんな感想を持つだろう。
しかし、それが探検家が探検家たる由縁なのである。平坦な道を歩く探険家など探検家とは呼ばないの
だ。普通に生活していてあまり探検家の人とお友達になる機会は少ない。この本を読んで、探検家とはど
ういうものか、世界のシワとはどういう所か、夢を見るとはどういうことか、じっくり吟味していただき
たい。そして、それでもあなたが探検家に憧れるようであれば、あなたはちょっと変人だと自覚したほう
がいいでしょう。つまり、それが探検家の素質です。
ちなみに僕はちょっと変人だと自覚したほうがいいレベルに達しています。
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ヤングチャンピオンに掲載されたエッセイを単行本化したもの。軽いが面白い。バスの中で読んでいて吹き出しそうになった。
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会社の先輩から借りた。
11/25読了。
おもしろかったぁ。絶対自分じゃ行かない場所・やらないことの話ばかりなのでこういう話をしてもらって得したな、という気分。
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世界には理解しがたい文化・風習がたくさんあることを知る。
南アフリカにますます行きたくなくなった・・・作者のバイタリティの高さに驚くばかり。
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「世界のシワ」???
著者の高野さん曰く、「辺境」・「異境」とのこと。
世界中の「シワ」に夢を見て、山あり谷ありの旅に出ます。
普通経験できない「世界のシワ」の旅エッセイは、思わず笑ってしまうお話が満載です。
『ワセダ三畳青春期』なども執筆している高野さんは、早稲田大学探検部出身。
この旅(?!)、素敵です。とても私には無理だけど・・・。
単行本版はこちら。
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_4093875812
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「世界のシワ」とは...世界の「辺境」のこと。先進国がアイロンのきいた清潔な所とすれば、その逆に「シワだらけ」の地域。早稲田大学探検部出身の著者は、そんなシワ地帯を偏愛し、若さにまかせ頭から突っ込んでいく。初デートでは奥多摩の洞窟に突入、コンゴの密林でカロリーメイトに涙し、アマゾンで遭難しかけ、花のパリではマラリアとフランス人を相手に格闘...。単行本未収録のエピソードを七篇追加、あまりのくだらなさに著者自ら「こんなバカな本は最後にしたい」と嘆く、爆笑探検エッセイ完全決定版ついに文庫で刊行。
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世界の辺境を旅する作家、高野氏。エピソードが爆笑もので、電車で読まなくて本当に良かった!ほんとにおもしろくてあっという間に読み終えてしまいました。背徳のカロリーメイトで大笑いして、桜島に起立!で吹き出した。ハンモックの下に潜む野獣も笑える。でも文章のおもしろさの中に人柄がしのばれて、この作者が好きです。会ってみたいと思わせる魅力。
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世界の“秘境”をゴリゴリと冒険旅される高野さん。(*^_^*) 今回初めてお顔の写真を拝見したんですが、あらまぁ、こんなにハンサムな方だったとは!
世界の「シワ」とは、どこかひっかかりのある地、という意味で、
高野さんはアイロンのきいた平坦な場はお嫌なんですね。(*^_^*)
なんていうか、小さな男の子が道を歩く時にも、普通に歩道の真ん中を歩くのではなくて、塀の上とか溝の中なんかをわざわざ通りたがる感じ??
でも、初デートで奥多摩の洞窟に行くのはやりすぎだと思うよ。
鍾乳洞探検、くらいなら女の子も喜ぶと思うけど、体一つ分がやっとという大きさを匍匐前進、しかもたまに体がひっかかって20分くらいもジタバタしないと抜け出せない、なんて、もうそれだけでこの人とはやっていけない、となるに決まってるじゃないですか。
でも、高野さんは
洞窟の中には垂直の竪穴50mを上り下りするというハードなものもあるが、常識的に考えて、そんな穴はデートに不向きなので、私は初心者向けの穴に行った。
と、自慢そうに言うんだよね。常識的に考えて、というフレーズにはもう笑うしかないです。
彼女さん、可哀想~~!
その後、口もきいてもらえなくなったから理由は不明だ、なんて、
高野さん、洞窟が原因だよぉ~~~!
そのほか、
コンゴのジャングルで食糧難に陥り、
いかに仲間に隠れてカロリーメイトを食べるか、の詳細なレポートにはすっごくドキドキしたし、
インドの蚊軍団にやられて、耳なし芳一の逆バージョンのようにパンパンに耳が腫れた話、
ポリスにぼったくられ、生命の危険さえ感じたルワンダの話、
暑いのでテントから出て地面に寝ていたら、メンバーの一人の寝床が毎晩ゆさゆさ揺れ、なんとそれがニシキヘビのお住まいだったという話、(凄い大きさの蛇だった、写真をマジマジト見ちゃいましたよ、私。)
なんかもう、やめてくれ~~という、冒険談が次々に押し寄せてくる。
で、普通だったらこんなコワいところは二度と行かないぞ、とか、世界の貧しさに心が折れる、とか、になりそうなのに、高野さんはエンドレスで旅に出たくなるんだよね。
そして、私のような小心者の読者でも、あはは・・と、明るく笑ってしまうのはなぜ??(*^_^*)
私にとって高野さんは、本の雑誌の匂いのする脱力系冒険家で、ホント、大好きな人なのだけど、こんな息子がいたら大変だろうなぁ、と。
ましてや、配偶者だったら、いやいや、それはお互いに無理!ですね。
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著者自ら「最高の『バカ度』を誇る」「バカ最長不倒距離」という本書。文庫版あとがきの「今後これを上回るバカな本は書けないだろう。少なくとも、そう願いたいところだ」に笑ってしまった。
ついに朝日読書欄にも登場し、認知度がぐっと高まった高野さん。我が事のようにヨロコバシイ気持ちになりながらも、こんな変な本も書いてるんだよ~んと、これとか「アヘン王国潜入記」とか引っ張り出してきたくなったりする、妙なファン心理なのであった。
この文庫版は何と言っても解説が素晴らしい!井原美紀さんの鋭い観察力と洞察力に恐れ入る。辺境の旅を好む体質について述べられているくだりにはたいそう納得した。
「探検家と普通の人との違いは、その瞬間を怯えながら、苦しみながらも、どこかで(これはおいしい)と喜び、快楽にもだえてしまうところにあるのだと思う」
探検家に必要なのは「タフなサービス精神」「懲りない体質」「健康的で忘れっぽい心」「旅を最初から最後まで遂行するための繊細で緻密な頭脳と、多少のことがあってもびくともしない大ざっぱな神経」「内股の皮が厚いこと」。これはまったく高野さんのことだよね。内股のことは知らんけど。
井原さんが初対面の時の高野さんについて書いているところで思わず膝をうった。私が三月のトークショーで間近に見たときの印象が、その通りちゃんと言葉になっていた。
「地面から5センチ浮いているように飄々と歩くその姿は、冒険ヤローというよりは仙人のようだった。眼鏡の奥からの知的な瞳、穏やかな話し方といい、学者といってもいい」「この地上に縛られるもの(家のローン、口うるさい妻、言うことを聞かない子供など)もなにもないような感じで、哲学的にも身軽そうだった」
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私は高野秀行の本が大好きですよ。“いつかは全作品読破!”予定作家の一人です。だからまあ良いんだけど、「高野秀行のお勧め本は何ですか?」と聞かれてこの本は挙げにくい。他の力作も何冊か読んでいる人なら探検・冒険の舞台裏が垣間見れて面白いかも。暇つぶしに短時間で読む本を探しているならこれも良いでしょう。因みに私は博多~釜山運航の高速船ビートルの中、夢うつつで読み切りました。初めての高野本が本書の方、著者の面白さはこんなものじゃないからもう少し厚めのを読んでみよう!『異国トーキョー漂流記』辺りか入るのが無難かな?
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冒険家のエッセイとしてはとてもユニークで面白く読める。筆者自身も同意見だと思うけれど、冒険活動そのものに何か大義のようなものを求めている訳ではないのだ。だから、特に感動を覚えるような内容では全くない。しかし、ボクはこういう活動をする人は単純に凄いなと思う。