砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (角川文庫 Sakuraba Kazuki Collection)
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- 税込価格:500円(14pt)
- 発行年月:2009.2
- 発送可能日:24時間
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商品説明- 「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」
その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日—。直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。【「BOOK」データベースの商品解説】
書店員レビュー- 「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

直木賞作家・桜庭一樹...
ジュンク堂書店千日前店さん
直木賞作家・桜庭一樹さんの、そのきっかけとなった一冊ではないかと思います。
冒頭。
私たちはそこで残酷な「結果」を目にすることになるでしょう。
描かれるのは、ふたりの少女の過酷な闘い。
ふたりの少女が出会い、自らを取り巻く社会/世界/現実に対して生き抜くために抗い、そして残酷な「結果」へと至る。
子供達が、子供であるが故に撃つしかなかった「弾丸」。
大人達が、大人であるが故に撃つことが出来なかった「弾丸」。
2種類の異なる「弾丸」は、そのまま子供達の「無力さ」となり、大人達の「後悔」となる。
暗い作品かも知れません。
でも、陰鬱な作品ではないと思います。
何故なら「結果」は「結末」ではないから。
遺されたひとりが「結果」を受け止めて向かう「結末」は、悲痛で、しかし力強い。
(卯)
ユーザーレビュー- 「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/01/10 20:37
それが例え『砂糖菓子の弾丸』だとしても
投稿者:ジーナフウガ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
胸がギューッと締め付けられる、切なすぎる位の物語。二百ページ余りの内容に、
これでもかと言うほどの切なさが詰まっているのだ。最初のページをめくる。
唐突に新聞記事が飛び込んで来る。しかも中二の少女、その名も奇妙な海野藻屑さんの
バラバラ遺体が発見され、それを発見したのが、同じ中学に通う同級生であることが判明する。
この驚愕の事実に、大いに刺激され、何があったのだろう?とページをめくる手が速くなった。
転校生、海野藻屑が、あたしこと、山田なぎさ、のクラスに乱入してきたのは
その年の九月の多分三日とか四日とかそれぐらいの時期。藻屑は、その町出身の歌手、
海野雅愛(まさちか)の娘であるのに、それは違うと言い張り、自分(ぼく)は人魚なんです。と宣言し、
『どんなにか人間が愚かか、生きる価値がないか、みんな死んじゃえばいいか、教えて下さい。
ではよろしくお願いします。ぺこり』なぞと宣戦布告とも取れるような挑発的文言をひねり出すのだ。
しかも、でかいペットボトルをぽちゃぽちゃ言わせながら、おかしな足の引きずり方をして歩く。
唯、山田なぎさだけが見てしまった、藻屑のスカートの中の足には、赤に緑の拳大の痣が残されていた。
見られた事に気付いた藻屑は、なぎさに向けて『死んじゃえ』と呟く。藻屑は貴族。
生きることに直接関係ない、腹の足しにならない砂糖菓子を撃ち続けていた。
なぎさは、それに反し、生き延びる為に必要な実弾ばかり探し生きて来た。
この正反対な二人が、実は互いに必要なものを補いあう様に、友情を育んで行くのが、なんとも言えず切ない。
読み返すと、藻屑はなぎさに、必死のSOSサインを出し続けているのが分かる。
その事に真っ先に気付いたのが、引きこもりを続けている、山田なぎさの兄友彦だったのも印象深く感じた。
友彦が指摘した、藻屑の『砂糖菓子の弾丸』転校して来たその日から『十年に一度の大嵐が来るまでに…』
そう言い続けた一か月の時間。山田なぎさの飼育係を手伝ったかと思えば、
なぎさを困らせるような事をしでかしたり…。その間には、何故だか父の代わりに、
ゴールドカードを使用して鉈を購入し、引きずりながら、家まで持ち帰ったりして。
しかもそれは猟奇的な精神状態に陥っている父親の、海野雅愛の手により、異常な行為が巻き起こされる、
という悲惨な結果をもたらしてしまう事となるのだ。海野藻屑が生きた証が例え『砂糖菓子の弾丸』
だったとしても、そこには全力で生き延びようとした少女、
海野藻屑の数奇な人生の全てが刻印されている。全力で受け止めて欲しいと思う。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/12/22 04:28
砂糖菓子の弾丸で戦ったかつての子供たちへ そして今も戦い続けている子供たちへ
投稿者:星落秋風五丈原(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない。ふっと聞いて、ああ、そうだよね。砂糖菓子だもんね、と思う。じゃあ、いったいなんで、そんな役にも立たない砂糖菓子で弾丸を撃とうとするのだろう?そして、誰に向かって撃ってるのだろう?
タイトルで読者の心にいくつかのひっかかりを残した本書は、冒頭で更なる衝撃を届けてくれる。海野藻屑という何とも奇妙な名前の少女がバラバラ死体で発見されたニュースが伝えられるのだ。そこから物語は過去に遡り、藻屑が発見者である山田なぎさと出逢ってから物言わぬ死体となるまでが、時系列に沿って描かれる。
少女が死ぬまでの経緯なんて見ていたくないし、知りたくもない。ぷいと横を向いてしまいたくなったが、海野藻屑がなぎさの学校に転校してきた時に行った自己紹介で、またもや顔を戻すこととなった。足を引きずり、ペットボトルの水をひっきりなしにごくごくと飲む藻屑は自らを人魚と称してこう言うのだ。
「人間は愚かでお調子者で寿命も短くてじつにばかみたいな生物だと波の噂に聞いたのできちゃいました。みなさん、どうか(p13)」「どんなにか人間が愚かか、生きる価値がないか、みんな死んじゃえばいいか、教えて下さい。ではよろしくお願いします。(p13)」
どこかおかしいのか?それともまともに言ってるのか?砂糖菓子とは逆に、実弾を撃ちたいなぎさ(主人公)の視点で描かれる藻屑の印象は、この「正気」と「狂気」の間を揺れ動く。藻屑の家の事情が明らかになるにつれて、この振れ幅はますます大きくなる。狂っているのは一体誰なのか?「体の見えない所に傷があり、まともに歩けず、虚実をとりまぜた形で語る藻屑」というキャラクターに一方で惹きつけられ、かつ彼女の放つ砂糖菓子の弾丸を受け止めながら、私達はあらかじめ提示された悲劇へと、時折挿入されるなぎさと兄の登山よりも前へ、前へとぐいぐい引っ張られてゆく。
「親の庇護のもとで育たなければならないし、親を選べない」思春期真っ只中の読者はもとより、かつて「心許ない、威力の少ない銃に詰めてぽこぽこ撃ち続けてい」た世代まで、幅広い読者層を獲得する作品。







