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ポトスライムの舟

  • 出版社:講談社
  • サイズ:20cm/186p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-215287-7

ポトスライムの舟

津村 記久子 (著)

  • 全体の評価 44件のユーザーレビュー
  • あなたの評価 この商品を評価して本棚に反映 評価しました! ×
  • 税込価格:1,36539pt
  • 発行年月:2009.2
  • 発送可能日:1~3日

国内送料無料

140(2008下半期)芥川賞 受賞作品

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商品説明- 「ポトスライムの舟」

お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセ29歳、彼女の目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること、総額163万円。第140回芥川賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】

【芥川賞(140(2008下半期))】お金がなくても、思いっきり無理をしなくても、夢は毎日育ててゆける。契約社員ナガセの目標は、自分の年収と同じ世界一周旅行の費用を貯めること。その総額、163万円。執拗なまでに節約を試みるナガセだったが…。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧- 「ポトスライムの舟」

ポトスライムの舟 5−107
十二月の窓辺 109−186

著者紹介- 「ポトスライムの舟」

津村 記久子

略歴
〈津村記久子〉1978年大阪市生まれ。大谷大学文学部国際文化学科卒業。「マンイーター」で太宰治賞、「ミュージック・ブレス・ユー!!」で野間文芸新人賞、「ポトスライムの舟」で芥川賞を受賞。

書店員レビュー- 「ポトスライムの舟」

MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店

主人公「ナガセ」は仕...

MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店さん

主人公「ナガセ」は仕事を3つ掛け持ちするワーキングプアと言っても
過言ではない女子。
大学の時の友達は、結婚・出産・離婚・独立開業と自分より
はるかに進んでいて、大人だと思いながら働く日々。
そんな彼女が自分の年収と世界一周旅行の金額が同じだと気づき、旅行に
行くために貯金をはじめる。

この物語は世代によってかなり印象が違うかもしれません。
主人公の焦燥感、気疲れ、人生感。

共感できない人は全くできない知らない世界の物語、
共感できる人は自分のことが書かれているのではないか?という驚きが
待っています。

主人公が世界一周のために貯金をする期限は1年間。
はたして彼女は貯金できるのでしょうか・・・

文芸担当:三上

ユーザーレビュー- 「ポトスライムの舟」

全体の評価
4.0
評価内訳 全て(4件)
★★★★★(2件)
★★★★☆(0件)
★★★☆☆(2件)
★★☆☆☆(0件)
★☆☆☆☆(0件)

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16人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/02/03 21:16

あぁ、社会の中の、とても大事な私

投稿者:けんいち(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

『ミュージック・ブレスー・ユー!!』での野間文芸新人賞受賞に続いて、芥川賞をとった津村記久子さんは、いまのりにのった若手作家の一人と見て間違いないだろう。受賞作は、手放しで「明るい」といえるような作品ではないし、癒されたり、和んだりすることは(たぶん)あまりない。それでも、とても力強い。その力強さのエッセンスは、(たぶん)「私(自分)の肯定」にある。では、いわゆる「自分探し」や、単なる「自己顕示(欲)」とは違う、津村さんの書く力強さは何によるものなのだろう?

それは、社会が描かれているからだ。ただ社会が書かれているからというわけではなく、私と関わりを持つ社会が書かれているのだ。もう少し正確を期していえば、私は「社会の中の私」として捉えられ、その切り結びにおいて、「私(自分)の肯定」が地道に、しかしねばり強くつづけられ、そして達成されていく。そこに、楽天的な「成長物語」とはテイストを異にする現代らしいリアリティと、しみじみとした(生きていくための)勇気の源があるのだ。

もっとも、世界的な大不況というタイミングとも相俟って、本作が時事的な小説として読まれる(あるいは、それゆえに高く評価される)ことは、ある程度避けられないだろう。ただそれは、単に社会(的事件)を素材にしたというより、自分の足元と見つめながらモチーフを掘り下げる創作をつづけてきた結果、現実に少しばかり先だつ形で、『ポトスライムの舟』が生み出されたはずだ。だから、本書は、「文学の予言的性格」を文字通り体現した、明るい面から暗い面まで現代の息吹を吸った、現代文学そのものである。こうした作品が、芥川賞を受けて日の当たる場所に出ることは、文学にとってもこの国の文化にとって喜ばしいことだろう。それだけでなく、特に、この社会に苦しめられながら生きる人々にとって、本書が主題とした「私(自分)の肯定」は、生きる源とも成り得るだろう。

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5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/04/26 09:37

誰もが行けない世界一周クルージング

投稿者:夏の雨(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 第140回芥川賞受賞作。
 自分の年収が世界一周クルージング費用と同じであることに気づいた二十九歳の主人公が一念発起しながらも、なんやかんやに取り込まれ、あがき、あきらめ、またあがき、最後には突然支給された臨時賞与でクルージング費用にまで到達したしたものの、ほぼ行くことはあるまいで終わる物語である。

 芥川賞の選評者たちは「作為的でないストーリー」(宮本輝)や「大きな出来事が起るわけでもない」(黒井千次)と評価しているが、むしろ作者の作為を私は強く感じた。
 念のために書いておくが、これは「小説」なのだから「作為」があっておかしいことはない。
 しかし、それは見えないように隠されなければならない。離婚を決意した学生時代の友人が主人公の家にやってくることは「大きな出来事」ではないのか、年収に世界一周クルージング費用程度しか出さない会社がどうしてふいに主人公がめざす貯金額にいたる臨時賞与を出すことが「作為的でない」といえるのか。
 そもそも、この物語の主人公が「暗い夜には電気をつけ、暑い夏には冷房を、寒い冬にはこたつや石油ストーブを動かせるだけの生活を維持するために」働いていることすら、現実感に乏しくみえてしまう。正社員にもぐりこむことで、生計を営み、娘を小学校に通わせる、離婚を決意した友人との差は何なんだろう。

 山田詠美は「今の時代を感じさせる。と同時に普遍性もまた獲得し得た上等の仕事」を評したが、『ポトスライムの舟』の世界と、現在の不況下の世界は、現象は似ているが、働く者たちの心のありようとして、実は大きく相違しているのではないか。
 もちろん、主人公が怠けているというのではなく、社会との関係性において希薄という意味で。
 だからこそ、ポトスライムのうすい緑の葉が、幾重にも円をえがくその根が、深い意味をもっているのだと思うのだが。

 村上龍は「コントロールできる世界だけを描いている」と思ったから推さなかったという。
 裏返せば、それは書き手としての津村記久子さんの強さかもしれない。
 ただし、物語の最後の「また会おう」以下の数行はまったく余計だろう。

 ◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。

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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/10/02 16:51

「ポトスライムの舟」がんばってください。

投稿者:soramove(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

「芥川賞受賞を知って
すぐにネット書店で予約し、
届くとすぐに読み始めた、
読みやすかった、でも
心に何も引っかからなかった」


世は派遣切りや年収200万で暮らす等、
大きく弾けるというより
泡のような実体の無いものじゃなく、
もっと堅実さが問われている。

だからなのか、工場で働き
自宅で入力の仕事をし、週末は
パソコン教室で講師をしている彼女は
その工場の休憩室に貼られた世界一周の
ポスターに書かれた費用が
自分の年収とたいして差がないことを知ると、
何かに追われるように
その費用と同額を貯めてみようと
収支をこまかく毎日計算し始める。

でも、それが何なのだろう、
そんなこと家庭の主婦だってしてるよ、
収入が決まってるから、
支出に関心を払うのは何も彼女だけじゃない。


ここには直接描かれない
底なしの抜けられない沼に
片足突っ込んだ主人公の
心の叫びがチラッとほんのチラッと
どこかで見たような気もするが
それは深読みだったか。

書かないことで、伝えることもあるだろう、
でもそんな優しい心無しの本音を言えば
芥川賞というものには過大な期待を
してしまうんだよな、
でもここにはそんなものに値するものが
自分には見つからなかった。

大学を出ても、食べるためだけに働くという
彼女の現実は、「底辺」とも言えない、
もっと切実にこの寒い空の下で
「世界一周」なんて想像も出来ないほどの
ギリギリの生活が信じられないくらい
たくさんある現在、
この本に描かれる生活は、お気楽なものに映る。

読まなきゃならない本だなんて
全く思えないが、
これくらいノンキに生きるのが
いいのかなぁとただ素直に思う。

でも、ここに文学は感じられない。


それでもと、思う。
この言葉の海はまだまだ広く水平線も
見えることはない、
書店や図書館へ行くと感じる、
一生かかってもこれらの本は読み切れない、
だから読むきっけは何でも
新しい才能の片鱗くらいは見せて欲しい、
次の作品は買わないだろうな、
文庫まで待っても良さそうだ。

★100点満点で65点★

http://yaplog.jp/sora2001/

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/08/07 14:17

癒される人、癒されない人。もしかしたらリトマス紙?

投稿者:森 黄菜(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

読み終わって感じたのは、主人公の人のよさ。
こういうのを書ける作者も、きっといい人なのだろうと思う。
周りにやさしさを伝染させられるくらいの心のきれいさ。
そういうのって貴重だ。とくにいま、なかなかお目にかかれない。

でも。私は思う。世の中は常に見返りやら嫉妬やらの悪意にまみれているのだ。
こんなにきれいな心を持った人の話は、もはやファンタジーなのではないかと。生身の人間らしさがいまひとつ感じられなかった。
芥川賞に寄せる期待としては、「赤毛のアン」的な話ではなくて、少しでもいいから、女性のずるさとか醜さを描いた話を読みたかったと思う。

違和感なく読めたあなたはきっといい人です。
違和感のある人はもし未読であれば、青山七恵の「ひとり日和」を
お薦めします。

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