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紙の本
超訳『資本論』 第2巻 拡大再生産のメカニズム (祥伝社新書)
著者 的場 昭弘 (著)
形態を変えながら、回転しながら、利潤を生みながら、際限なく超えていく資本の正体とは? 歴史的大著を「超訳」し、そのエッセンスを紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
超訳『資本論』 第2巻 拡大再生産のメカニズム (祥伝社新書)
超訳「資本論」第2巻
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著者紹介
的場 昭弘
- 略歴
- 〈的場昭弘〉1952年宮崎市生まれ。慶応義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。神奈川大学経済学部教授。著書に「マルクスだったらこう考える」「マルクスを再読する」など。
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資本論への入門パート2
2016/02/09 19:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩漬屋稼業 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一巻に続き、『資本論』の目次に沿った引用と要約からなる一冊。
この巻はわかりにくい。
とりわけ後半は粗雑としか思えないモデルと計算式が延々と続いて、そもそもの意味がわからない。
先ず議論の前提に疑問が湧いてくる。
たとえば評者のように、自ら何も作り出すことのできない無能な人間は、既に存在する会社に雇ってもらって、そこから給料を得る以外に生存の術がない。
勿論それは労働や金銭に疎外さえてある結果だとはいえるだろう。
だが、万民が平等に能力を持っていない限り、多くの人間を雇う力量のある人と、評者のような人間がいる場合、前者が後者を雇うこと、それ自体は悪ではないだろう。
しかしマルクスの前提だと雇用関係は搾取があるから悪だと断罪される。
そのような倫理的判断を前提してしまうと理論展開にバイアスがかかる。
おまけに目的としての共産主義体制が善であるというもう一つの倫理的判断が前提に組み込まれている。
そして、その二つの前提に折り合いがつくよう歪な筋立てになっているように思える。
この巻のわかりにくさはそうした点に起因してもいるだろう。
狩猟採取経済にしても農耕経済にしても、漫然となしうることでもあるまいし、余剰を得ることもできる。
そこにはリーダーもいれば(不平等)、蓄積もある(剰余価値)。
貨幣経済の導入が、だから難物なのだ。
狩猟や農耕での蓄積というのは、たかが有限な食物の保存の謂であるが、貨幣は退蔵できる。
食物は大量に保存しても、それだけではいずれ腐るし、いくら手元に大量にあっても、一度に消費できる量は限られる。
だからこそポトラッチのような浪費にも意味があったのだろう。
しかし貨幣は蓄積すればするほど大資本として利用しうる。
量が力を持つのはポトラッチの場合も同じであるが、資本は循環することができる。
だから資本制を挫くこと考えた時に、その拡大再生産のメカニズムを解明しようというのは問題のたて方として間違っていないのだろうけれど、一読しただけではポイントが掴めない(評者のアタマが悪いだけなのかもしれないのですが、申し訳ない)。
第一巻が工場内モデルであるとすれば、第二巻ではその工場から商品が出荷された後、ということになる。
工場で物を作っただけでは資本は減衰するだけだ。
だからそれをもう一度、貨幣として取り込む必要がある。
当然ながら、それは当初より多く戻って来なければならない。
そうでないと資本は減衰したままになる。
そこで本巻では資本の流通過程、その循環と拡大再生産が分析されるというわけだ。