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紙の本
日本の歴史 07 武士の成長と院政 (講談社学術文庫)
著者 網野 善彦 (編集委員),大津 透 (編集委員),鬼頭 宏 (編集委員),桜井 英治 (編集委員),山本 幸司 (編集委員),下向井 龍彦 (著)
武士はいかに誕生し政権掌握へと至ったのか 地方で勃発する武装蜂起の鎮圧にあたる戦士身分として登場した武士。将門・純友の乱の実態とは? 源氏と平氏の台頭と院政の横行。中世日...
日本の歴史 07 武士の成長と院政 (講談社学術文庫)
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商品説明
武士はいかに誕生し政権掌握へと至ったのか 地方で勃発する武装蜂起の鎮圧にあたる戦士身分として登場した武士。将門・純友の乱の実態とは? 源氏と平氏の台頭と院政の横行。中世日本への過渡期を読み直す【商品解説】
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紙の本
武士の源流と原像をさぐる日本史学の試み
2010/01/25 12:55
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
親本は、旧石器捏造事件の余波で「第1巻」が大幅書き換えになり話題をとなったシリーズの1冊である。最近になって順次文庫化され、何の気なしに手にとってみたところ、これが面白く読める。日本史学の最新の学説も取り込んでおり、決してやさしくはないし、各巻それなりのボリュームもある。しかし、1人1冊という一貫した記述は「一気読み」を容易にしてくれる。それぞれの著者が自身の史観をもって書き上げているといえようか。また、今は亡き網野善彦氏が編集委員に名を連ねていることもあってか、「王権」に関する記述が多いなど、いわゆる「網野史学」の影響も随所に見受けられ興味深い。
本巻は「武士の台頭」の時期を扱っており、教科書的な整理では、「摂関政治→院政→平氏政権」といった図式が頭に残っている。しかし、実際にはそれぞれ密接しており、「あるものが終わって次がはじまった」というわけではない。それぞれの関係をどう理解するか、がこの時代を解く鍵となろう。本書の扱う時代を比喩的に説明するならば、摂関・院政・武家が、力だけではなくそれぞれの描く国家像でもぶつかりあいはじめた時期といえようか。
武士もしくは侍というと、西洋の騎士と並んで、今なお根強い憧憬の対象となっている。本書では、武士以前の軍事要素から説き起こし、承平・天慶の乱のプロセス、源平武士団の形成と構造の違い等まで、精密に記述していく。源氏の結束力は戦闘体験の共有(とその神話化)にあったことに求めているが、そうすると、現在に続く侍への憧憬もほぼ同時期に生まれたことになるのだろう。
中央政権内部についての丁寧な記述も印象的である。たとえば、平将門・藤原純友の内乱に中央政権がどのように対応したか、ということが克明に解説され、限られた情報下でかれらが適切な対応を試みていたことがよくわかる。もちろん一方で、そうした対応だけでは対処しきれなくなった複雑さ、受領や地元権力とのかかわりなど、も解きほぐして説明してくれている。その「複雑さ」の典型がこの内乱といってよいだろう。「内乱があった」のではなく、「内乱になった(された)」のであるから。藤原純友が、先立つ反乱時には平定に功績があった人物であったことからも、この「複雑さ」が窺えよう。
最後に興味深いエピソードを一つ。日本精神の象徴ともされる武士。その「心」となる日本刀の起源について以下のような指摘がされていた。日本刀はその独特に湾曲した形状などから他文化の剣類とは一線を画すが、その起源は当時の「浮囚」すなわち蝦夷の人々の刀にあるのではないかという。その独特の形状が、馬上で振り下ろすには非常に効果的であることを理解した初期の武士が使いはじめた、というのである。ありそうなことである。戦争もまた「交流」のひとつであるが、その視点が活かされた知見である。
紙の本
中世社会のまさに原動力ともなった武士の登場とその動向を詳細に追った画期的な書です!
2020/03/28 10:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の歴史の中で「武士」と呼ばれる職業集団が登場した、まさに歴史的転換点とも言える時代に焦点を当て、武士による中世社会を克明に描き出した貴重な一冊です。同書では、将門・純友の乱、源氏と平氏、強権を揮う院たちに触れながら、社会の原動力となりあがっていった武士の動向が非常によく分かります。構成も、「第1章 武士以前」、「第2章 武士たちの英雄時代」、「第3章 摂関期の武士と国家軍制」、「第4章 武家の棟梁の形成」、「第5章 激動の院政」、「第6章 武家政権に向かって」と読み易いテーマで話が進行していきます。