- 出版社:日本経済新聞出版社
- サイズ:20cm/399p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-532-35363-6
首相の蹉跌 ポスト小泉権力の黄昏
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- 税込価格:1,995円(57pt)
- 発行年月:2009.4
- 発送可能日:1~3日
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商品説明- 「首相の蹉跌 ポスト小泉権力の黄昏」
安倍晋三、福田康夫はなぜ1年で最高権力の座を投げ出したのか。宰相たちの失敗の本質はどこにあるのか。首相という最高権力のマネジメントの検証作業を通して、日本の政党政治のシステムとその「ゲームのルール」を読み解く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「首相の蹉跌 ポスト小泉権力の黄昏」
清水 真人
- 略歴
- 〈清水真人〉1964年京都府生まれ。東京大学法学部卒業。日本経済新聞社に入社。政治部、経済部、ジュネーブ支局長を経て、経済解説部編集委員。著書に「官邸主導」「経済財政戦記」がある。
ユーザーレビュー- 「首相の蹉跌 ポスト小泉権力の黄昏」
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/09/20 00:28
自民党政権末期の権力迷走
投稿者:CAM(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書が扱うのは、ポスト小泉の安倍、福田、麻生の3内閣における政策、政局の変遷である。今回の民主党大勝、自民党大敗という結果の後で、評者が本書を読み返して感じるのは、4年前の郵政選挙の異常さが残した後遺症の大きさである。著者は、「あとがき」(09年4月)において、「小泉氏は自民党を本当にぶっ壊したのかもしれない、といま思う」(p.398)と述べるが、09年9月のいまこそ、評者もあらためてそう思う。
そもそも小泉内閣による郵政民営化案の不明さは明らかであった。麻生前総理の「あの衆院選の時、4分社化を知っていたかといわれたら、知っている人はほとんどいない。郵政民営化かそうでないかであの選挙は問われた」という発言(p.19)は、まちがいなく正当であろう。「資金の流れを官から民へ」というのも、日本財政の現況を踏まえれば、ほとんど詐欺的説明といってもよかった。 そうした問題点を指摘するまでもなく、「郵政民営化」が総選挙のシングル・イシューとなるような課題とはとうてい言えなかったことは明らかであろう。
小泉元総理は、本年2月に「最近の首相や与党執行部は、現在の衆院の議席がどういう形で得られたのかよく理解していないのではないかとうい危惧の念を持っている」という発言をしているが(p.28)、評者は、元首相の趣旨とは反対の意味で、こうした考え方こそが問題であったと考える。小泉元首相のような考え方は、代議制における「自由委任」という原則を否定することにもつながる。 議員は「全国民を代表」(憲法第43条)して、「国民のために活動する意思をもてば足りる」(芦部信喜『憲法』)はずである。そもそも「郵政民営化」というシングル・イシューの諾否によって、国政全般についての代表権委任の可否を問うことが理念に反するであろう。
ただし、本書著者が言うように、元首相のような発言を許さないためにも「麻生が首相に就任して、小泉が獲得した衆院の3分の2の数の力に頼ることなくただちに衆院解散・総選挙に打って出て、小泉路線を転換する麻生マニフェストを有権者に問うていれば、政界を引退する小泉が反撃に出る余地はなかったかもしれない」(p.28)。 評者は、今回の選挙における自民党大敗の戦略的要因としては、この点が大きいと考えている。
ところで、本日(9月19日)の時事通信は、「予算編成の主導権をめぐり、財務省と国家戦略局との間で綱引きが始まっている。民主党は当初、首相直属の国家戦略局が予算の大枠や重要施策を決定、財務省は査定などの実務を担う姿を想定していた。しかし、2009年度補正予算の一部執行停止では、財務省が具体化を進め、準備の整わない国家戦略局はほとんど関与していない。藤井裕久財務相は、10年度予算の基本方針も財務省が策定する意向を示しており、『政治主導』は早くも看板倒れの懸念が出ている。」とし、YOMIURI ONLINEは、「副大臣・政務官が始動、政権の調整力不足も露呈 鳩山内閣」と報じている。問題は組織いじりではなく、実効性というか実質的成果であろう。今後の民主党政権の調整力に期待したいが・・・
本書は、自民党政権末期の事実経過をたどり、今後の展望を予測する材料とするためには有益であり、政権交代が実現した現在こそ、あらためて読み返す価値があると思う。ただし、まるで日本経済新聞の記事か解説のような単調な叙述であって、文量が徒に多いために、これを読みきるためには相当の根気を要する。もう少し簡明に整理するべきであったのではないか。
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/08/29 15:03
彼らはどこで躓いたか
投稿者:半久(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
なかなか重厚なノンフィクションだ。派手な演出はないが、渋いドラマを見ているようなおもしろさがある。あらすじは知っているから再放送のドラマではあるけど、見逃した回がけっこうあったし未公開映像もたっぷりであきさせない。
ドラマのようなというのは9割はほめ言葉だ。1割は、盗聴マイクをつけたわけでもないだろうに、どうやってこんなのまで拾えたのだろう?という疑問だ。それだけ、生々しい発言が飛びかっている。
いらついたときでも皮肉な調子を崩さず、激怒指数が低そうだと思っていた福田元首相だが、べらんめえな怒号を発したときにはびっくりした。
《本書は、善悪の彼岸から、なるべく醒めた視点で政治ゲームを眺めてみたい。》とのことだが、基調として小泉政治に対する「好意的評価」が行間から立ちのぼってくる。それは権力のマネジメントに長けた「強い首相」としての小泉氏だ。後継政権がつまずきをみせる場面で、なんども小泉政治が参照軸として呼びだされるのである。とくに安倍政権時代での、人事をめぐる落差の激しさが印象に残る。
本書のフレームワーク内で、小泉氏の「失敗」を考えるなら、後継政権にアドバイザー的な関わり方しかせず、身を入れて育て上げようとしなかったことかもしれない。一匹狼的な気質であり、「長老支配」は好まなかったのだろう。だが、力が衰えたとはいえ派閥がそう簡単になくなるわけもない。チルドレンを糾合して「小泉グループ」を立ち上げる手もあったが、そうまでして党内で隠然たる影響力をおよぼそうとはしなかった。いや、自らが敷いたものでもある「脱派閥」のトレンドのなかではできることではなく、「失敗」というには酷かもしれない。
また、局面、局面では動くこともあるのだが、「絶頂期」ほどの運はなかったようだ。
結局、小泉流の官邸主導政治は、小泉氏のしたたかで強烈なパーソナリティがあったからこそ進められたのではないか。後継者に”あとはよろしく頼む”で同じようなことが再現できるか、その確率は高くない。《後継の安倍は小泉改革を継承するか、断絶して独自路線を歩むかで迷い続けた。》あげく参院選で敗北する。
続く福田政権は派閥の連合体の力で誕生したものだが、なぜかこれに小泉氏が”乗った”。秘書官の飯島氏と小泉氏の”すれ違い”がきわまる。
福田氏が、「ねじれ」という自民党にとっては負の遺産を引き継いだのはお気の毒だが、過去にもこの状態はあったこと。21世紀臨調の提言のように、大連立という策謀以前に国会を動かす手立てはあったはずだ。福田氏と安倍氏、自民党内での政治信条は対極にありながら、いつのまにか似かよった政権運営になっていく。適切な人材配置をしないとスタッフをうまく使いこなすことはできず、どんな「チーム○○」であっても沈没していく。消費者庁の構想など功もあったのだが・・・。
看板を変えることで一時的に支持率は上昇するが、麻生政権になっても「蹉跌の連鎖」は止まらない。
多くの人が指摘していることを、あとがきで著者も記さずにはいられない。
《小泉氏は自民党を本当にぶっ壊したのかもしれない、といま思う。》
いまや、黄昏のほのかな光は消え失せんとする寸前である。されど陽はまた昇る。新しき陽はどのように大地を照らすだろう。







