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船に乗れ! 2 独奏

  • 出版社:ジャイブ
  • サイズ:20cm/297p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-86176-681-7

船に乗れ! 2 独奏

藤谷 治 (著)

  • 全体の評価 41件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,68048pt
  • 発行年月:2009.7
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「船に乗れ! 2 独奏」

続巻待望の青春音楽小説、「光と影」のさらに色濃い第2楽章へ。【「BOOK」データベースの商品解説】

思いを寄せる枝里子をオペラ「魔笛」に誘ったサトル。枝里子に楽しんでもらうため、魔笛の台詞の訳を書き写した単語カードを用意していき…。青春音楽小説第2弾。『ポプラビーチ』連載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「船に乗れ! 2 独奏」

藤谷 治

略歴
〈藤谷治〉1963年東京都生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。2003年「アンダンテ・モッツァレラ・チーズ」でデビュー。他の著書に「遠い響き」「二都」など。

ユーザーレビュー- 「船に乗れ! 2 独奏」

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2011/09/02 23:29

ヴィヴァルディのソナタを弾け

投稿者:白くま子(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

176ページからの部分に差し掛かった時、目が覚めた気分になった。
  

主人公の津島サトルが言う。
未来から過去の自分に声が届くなら、あの頃(高校生)の自分に向かっていいたい、今お前が軽く見ているヴィヴァルディのソナタを、もうこれ以上弾けないというところまで弾け!余計なことで憂鬱になったり、心配している暇があったら弾け!
という趣旨の文章が出てくる。
  

・・・なぜならそのソナタをきちんと弾くことができさえしたら、もうお前はどんなものでも弾けるからだ。
・・・
たとえこの先にさらなる困難があったとしても、そしてその困難が、今のお前の苦しさの何倍もの努力を必要とするとしても、今ヴィヴァルディのソナタが弾けるようになれば、お前はそれを乗り越えられる。・・・
と続く。
   

人生のある時の決断で、その時の選択肢であった2択や3択の選ばなかったほうを「もしあの時あっちのほうを選んでいたら、人生が変わっていたかも・・・」
という自分にとって都合のいい仮定ではない。
若き日の当時目の前に存在していた、多大な努力を必要とする苦しくてたまらないことをやり遂げること。乗り越えること。ということが前提となっている話である。
それをやり遂げたら、この先に出逢うそれよりずっと苦しいどんな困難も乗り越えられるようになるのだよ、と。
  

ヴィヴァルディのソナタに当たるものが、人それぞれあるだろう。
主人公のように「ヴィヴァルディのソナタをチェロで弾けるようになること」という明確なものではなくても、何となく「あの一連のことがそうだったのかなあ・・・」と思い当たることがあるのではなかろうか。
  
 
この場面の次に出てくる、主人公がドイツでの短期留学の最後に
「楽器のチェロを弾くこと」と、その先の「音楽を演奏すること」の大きな隔たりを、留学先の師であるメッツナー先生の演奏によって伝えられるくだりもまたいい。
クラシック音楽に詳しくない私は、ヴィヴァルディのソナタも、メッツナー先生が演奏したドン・キホーテも知らない。
だが頭の中に確かに美しい音楽が聴こえてきた。
  

ただの読書好きの個人的な好みのたわ言だが、
「どこがどうだかは具体的には分からないけれど文章がもう少し読みやすかったらいいのに・・・」とか、
「高校生の主人公が急に何十年も先の年を経た、今現在の主人公の心境になって、
『あの時、ああしていれば・・・』
『そのことがしっかりと理解できたのは、20年ほど後だった』
といった趣旨の記述がこんなに何度も繰り返し出てくるのは引っかかるなあ。その度に話の流れが止まるしなあ」
とかえらそうに思ったりしながら読んでいたのだが、
「ヴィヴァルディのソナタを弾け!」の部分で納得した。
この部分があるからこの本はもうこれでいいかと思ってしまった。
  

「ヴィヴァルディのソナタを弾きこなせれば、これから先のどんな困難も乗り越えられる」の部分が、この小説自体の「ヴィヴァルディのソナタ」だったようで、ここを乗り越えた後は加速度がついて面白くなる。最終巻である次の3巻の終わりまで突っ走っていく。
音楽の話と思わせて、誰にでも心当たりがある心に染みる言葉があらわれてくる。
  

私たちの実際の若かりし頃と同様に、主人公たちも楽しいばかりの毎日ではない。胸が締め付けられるような出来事も起こる。
だがそれも含めてのあの頃である。
胸を締め付けられながらも思う。なんと彼らはきらびやかな陽光あふれる季節のド真ん中にいるのだろうと。
読んでいる間、主人公たちと一緒に高校生活を送っている気持ちになる。
もう1度10代のあの時を味わえることが大きな魅力の1つだろう。

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