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脱「ひとり勝ち」文明論 The Future is So Bright!

  • 出版社:ミシマ社
  • サイズ:20cm/196p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-903908-13-7

脱「ひとり勝ち」文明論 The Future is So Bright!

清水 浩 (著)

  • 全体の評価 52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:1,57545pt
  • 発行年月:2009.6
  • 発送可能日:7~21日

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商品説明- 「脱「ひとり勝ち」文明論 The Future is So Bright!」

20世紀型の「ひとり勝ち」文明はそろそろ持続困難。では21世紀型の文明のモデルとは? 排気ガスを出さない未来のクルマ「エリーカ」開発者が、太陽電池と電気自動車が作る新・文明について語る。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「脱「ひとり勝ち」文明論 The Future is So Bright!」

清水 浩

略歴
〈清水浩〉1947年宮城県生まれ。東北大学工学部博士課程修了。慶應義塾大学環境情報学部教授。30年間、電気自動車の開発に従事。「未来のクルマ」Eliica(エリーカ)を誕生させる。

関連キーワード- 「脱「ひとり勝ち」文明論 The Future is So Bright!」

ユーザーレビュー- 「脱「ひとり勝ち」文明論 The Future is So Bright!」

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/04/30 00:04

今こそ「希望」についてみんなで考えよう

投稿者:さいとうゆう(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 2004年に山田昌弘さんの『希望格差社会』を読んで、もはや「希望」さえ持てない時代になったかと落胆したことを覚えている。そして、2010年に玄田有史さんの『希望のつくり方』を読んで、そうか「希望」というものは、どこか知らない「向こう」にあるのではなく、実は私たちのすぐそばに、ひっそりとあるものなのではないかと、思えるようになった。本書には、そんな希望のあり方の一つを、具体的な電気自動車開発という形で提示して見せた著者の、熱い想いと願いがあふれている。

 本書の帯には、次のような言葉が踊っている。

《不況対策も地球温暖化もエネルギー問題も全て解決!!エリーカ開発者が語る、「太陽電池と電気自動車」」が作る新文明!未来はこんなに明るいのだ!》

 「エリーカ」とは、著者が開発した電気自動車のことで、時速370kmを出したと随所で報道された通り、近い未来の電気自動車に対するイメージを先取りしたものとして注目されている。最近、著者が代表取締役社長を務める(株)シムドライブが、「SIM―LEI」という車で航続距離333kmに成功したと報じられたことからも窺えるように、まったく新しい形の「クルマ」が、私たちにも手の届くところまで近づいてきていることがわかる。

 注目したいのはその、旧来の自動車から未来の自動車への、「革命」とも言うべき転換に対する著者の考え方である。著者は言う。

《よく、困難な時代を乗りこえるためには、「血を出さなければならない」といわれますよね。/「革命」という言葉も、よく使用されますし、そうやって、ガラガラと前の時代のコンセプトなり方法論なり経済基盤なりを壊してゆく話は、書いたり話したりするぶんには、気分がいいわけです。/でも、これからの世界や日本を、自分の研究してきた「エネルギー」「クルマ」の見地でながめてみたら、どうも、そういうドンパチやった革命で成果を、ということにはならないと思います。》(pp..183-184)

 次の時代への移行というものは、ガラリと変わるわけではない。大晦日と元旦の間に、何か物理的な変化がないように、時代の変化というものにも、連続性があるのだ。著者は「破壊的イノベーションである、太陽電池や電気自動車の普及、それをバリューチェーンにうまく変更を加えて、軟着陸というやり方で成功させていく」(p.185)べきだと言うのである。

「革命で血を流さないということは、社会を混乱に巻きこむこともなく、前の時代のよかったところはそのまま残せるし、前の時代の有能な人々が、時代が変わってもよい仕事が続けられます。(中略)つまり、技術の主役は変わるけれど、それを作ったり使用したりする人たちは変わらないでいい。/そういうソフトランディングこそ、これからのグローバルスタンダードと呼ばれるものになるのではないだろうか」(pp..186-188)

 携帯電話がPCのライバルとなるような生活が「いつの間にか」訪れたように、車輪が8つある自動車が「当たり前」になる時代も「いつの間にか」やってくるかもしれない。

 自動車というものが、ガソリンで走るということを本質として持っているものではなく、できるだけ速く地上の人間を移動させるものとしてあるのだとすれば、環境やエネルギーを巡る、全く今とは異なった地平が開けてくるのだという主張には説得力がある。エンジンで駆動力を生み出せなくても、ホイールが回れば「クルマ」は走るのである。

 「豊か」になることに制限を設けることをせず、それでも世界中の人々が20世紀のアメリカ並の「豊かさ」を手に入れることができるならば、そしてそれこそがみんなで生き延びるための方法を考えることにつながっているならば、「希望」はもはや失われたものでも、夢物語でもないものとして、すぐそこにあるのだと確信することができる。

《ともだちや、親しい人と話しているうちに、社会はだんだん変化していき、新文明が訪れる。/楽観的といわれるかもしれませんけれど、これから続いていく未来社会をいいものにするため、この夢のような話を「本当のもの」にしていきませんか。/未来の行方は、ぼくたち一人ひとりの手に委ねられているのです。》(p.191)

 平明な文体で書かれていはいますが、非常にスケールの大きな本だと思いました。

 

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2009/09/10 17:20

時速370kmで走る電気自動車をつくった人の『先を見通す力』のカラクリ

投稿者:BXO(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

時速370kmで走る電気自動車「エリーカ」を知っているだろうか。本書では、その「エリーカ」の生みの親である清水浩氏の“ものの考え方”を垣間見ることができる。非常に読みやすい文体と、ポジティブな活力あふれる内容に後押しされ、一気に読みきってしまった。2時間ほどで読めるが、心に残る一生ものの感動を味わえる一冊といえる。
さて、時速370kmで走る電気自動車の生みの親と聞いて、どのようなイメージをもっただろうか。まず、「偉大なる発明家」や「ハカセ(博士)」の姿が目に浮かんだことだろう。しかし、本書を読めば、おそらく全く違ったイメージをもつことになる。もちろん、偉大なことには間違いない。“発明”のもつ、愚直でマニアックな印象とはうらはらに、清水氏の開発のプロセスは実に論理的であり、いわゆる企業(それも大企業)の開発部門のそれと相違ないところに驚きがあるのだ。つまり、今ある技術や部品をベースとした今後の技術革新の可能性を軸に、コストや量産可能性という現実的な視点も加えて判断するという合理的な方法論である。これは、割り切ったものの考え方であるが王道だ。本書では、「この王道こそが正しい」と考えるに至った清水氏のキャリアについても詳しく書いてあり、王道を正しく進むためのコツを読み取ることができる。
では、題名である『脱「ひとり勝ち」文明論』とはどういう意味をもつのか。これは非常に愉快な清水氏ならではの発想である。つまり、現代社会で起こっている諸問題(地球温暖化や世界的な貧富の差など)は、20世紀(もしくは19世紀)に開発された技術に依存し続けていることが原因であり、21世紀の技術を最大限活用することで解決できるであろうという考え方だ。詳細はぜひ本書を読んでもらいたいが、現実味のある論理的な発想だと感じた。また、“21世紀の技術”について、日本は一日の長があるものの、多くの人がその存在を目を留めていない。もったいないということを言っている。
本書は、単に「発想法」や「環境問題」を語るものではない。一味も二味も違う、「先を見通す力」を身につける一助となる傑作である。

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