- 出版社:筑摩書房
- サイズ:20cm/293p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-480-80420-4
星間商事株式会社社史編纂室
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- 税込価格:1,575円(45pt)
- 発行年月:2009.7
- 発送可能日:24時間
- 本
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商品説明- 「星間商事株式会社社史編纂室」
川田幸代。29歳。会社員。腐女子。社の秘められた過去に挑む—。本間課長は言った。「社史編纂室でも、同人誌を作ろう!」その真意はいかに?風雲急を告げる社史編纂室。恋の行方と友情の行方は、五里霧中。さらには、コミケで人気の幸代の小説も、混乱に混乱を!?これでいいのか?わたしの人生。【「BOOK」データベースの商品解説】
同人誌作りこそ人生!? そんな幸代に転機が訪れた。社史編纂の過程で気づいてしまった社の重大秘密。さてどうするか…。爆笑の展開のうちに見える、人生の面白さ。『Webちくま』掲載作品に加筆・修正。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「星間商事株式会社社史編纂室」
三浦 しをん
- 略歴
- 〈三浦しをん〉1976年東京生まれ。2000年「格闘する者に○」でデビュー。06年「まほろ駅前多田便利軒」で直木賞を受賞。ほかの著書に「風が強く吹いている」など。
ユーザーレビュー- 「星間商事株式会社社史編纂室」
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/08/09 23:07
たとえば「腐女子」という言葉の浸透度について
投稿者:カフェイン中毒(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
腐女子……。
言葉そのものの存在さえも知らないまま、まったく関係のないところで生きていく人もいるのでしょう。
私も周りにも、そういう人がたくさんいます。
会話に「腐女子」という言葉が出たら、真顔で「ん、なにそれ?」って訊かれるのだと思います。
一方で、あたりまえのようにその単語を知っている人。
これも周りに普通にいますね。
ここまで浸透してしまった言葉だもん、当然よねと思う反面、
実際に知らないで生きていく人もいることを考えると、その境界線を思わずにはいられません。
といって、たとえばうっすらとコミケなどの存在は知っていても、足を運ぶことも、そこまでの興味もない私は、
この作品の主人公である川田幸代の苦悩など、他人ごととして笑っていられるわけで。
主人公は、29歳会社員、ひたすら己の趣味に生きる(でも会社では隠している)腐女子。
高校時代の友人たちとともに、同人誌を作り続けてイベントに参加しています。
彼氏にもひた隠しにしていたのに、ある日バレてしまってからは公認の趣味。
そもそも、この恋人、放浪癖のあるクセモノなのですが。
社史編纂室という閑職に飛ばされ、何しに職場に来てるんだかわからない同僚や上司に囲まれる日々。
日常のエネルギーを同人誌作りに注ぎ込んで、それなりに満足な日々を送っているようです。
ある日、会社のコピー機を使っていたことから、同人誌作りが上司にバレてしまい、
幸代が腐女子であることが、編纂室に知れ渡ってしまいます。
マイペースなメンバー数人で成り立つ部署なので、実害はないだろうと思っていると、
なんとその上司、自分も小説を書き始めて、みんなに配り始めました。
趣味に邁進する一方で、きちんと会社の仕事もこなそうとする幸代。
真面目に社史を調べ始めると、どうにも不審な点が浮かび上がってきます。
同僚とそこをつついてみたところ、あからさまな脅迫状が届くのですが……。
楽しくて夢中になれる趣味、一緒に歩む仲間。
恵まれているかと思うときもあれば、結婚に進展しなさそうな恋人との関係や、
結婚を機にオタクを卒業しようとする友人の言葉に、心は揺れ続けます。
主人公の趣味を背景に、会社の過去の闇に迫る閑職組の活躍が描かれる物語です。
その活躍に、趣味の分野が活かされたりもします。
幸代が描くホモ小説や、上司の自伝と称するエセ時代小説もちらほら出てきて、
バカらしくも情熱あふれる内容に、思わず笑ってしまいました。
著者である三浦しをんの、個人的な好みの部分が前面に出てきたように思われる、
ちょっと変わり種の会社小説。
組織の過去の闇を暴く部分より、むしろオタクな活動を楽しみながらも、
ときに迷い、自分を見つめ直す過程がおもしろく、やけに説得力がありました。
いろいろなものに折り合いをつけながらも、好きなこと、好きな人を傍に置く幸せを噛みしめるまでの、
幸代と仲間のささやかな冒険譚……じみた日常の物語。
内容はさほどオタクっぽくないので、ぜひ先入観を捨ててどうぞ。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/12/17 20:11
これってミステリ、それも社会派推理小説ではないか、って思います。しかも、しをん初の。本格ミステリは、どうも袋小路に入った感がありますが、こうしてみると大人の読み物としては社会派かサスペンスが上だな、なんて思っちゃいます。
投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
案外新鮮なカバーです。特に建物を前面に押し出しながら、いわゆる経済小説ふうに見せない、まったく誤解なく星間商事株式会社ものだ、と見せるあたりは上手いです。ま、こんなに立派な建物では中堅というよりは大商社ではないか、なんて私は思いますけど、ともかく気持がいい。やはり青系を上手に使うと、こういう爽やかさが演出できるんです。
そんなカバー写真は、Fotog/グッティ イメージズ、表紙写真は、AKG/PPS通信社、装幀は鈴木成一デザイン室です。ただし、せっかく原稿用紙を模した扉なのに、裏にマークが入っているのは本文に倣ったのだろうけれど、マーク自体が単なる星間商事のものに留まっているのは物足りない気がします。
初出は、Webちくま(2007年7月~2008年5月)で、「単行本化にあたり、掲載作品に加筆・修正したもの」という注は標準的です。
さて、タイトルにある星間商事株式会社社史編纂室ですが、1946年創立の中堅商社・星間商事株式会社の社長が、創立50周年ではなく60周年を迎える2006年に向けて『星間商事株式会社六十年のあゆみ』を作ろうといいだし、2003年に誕生した室です。ところが、2007年現在、それが出版される気配もありません。
そんな部署に配属されたのが川田幸代、29歳です。独身ですが同棲中です。幸代は、もと企画部にいて大型のショッピングモールを成功させたものの、「割り振られた仕事を着実にこなし、見合うだけの給料をもらい、夜と週末は必ず体が空く、そういう生活をしたい」と上司にいったところ、社史編纂室に「飛ばされた」会社員です。
彼女は、サラリーマンの男同士が恋愛するストーリーの同人誌を出すサークル「月間企画」を友人とやっている腐女子で、ペンネーム河内さち、といいます。同棲相手というのが溝内洋平で、つきあって五年になります。宅配便の会社でアルバイトし、お金が溜まると旅に出ます。一年の三分の一は旅行をしている感じで、プロポーズする気配はありません。
ついでに書いてしまえば、幸代のサークル仲間が小野実咲であり、中井英里子です。実咲は15年ちかく幸代たちと友だち関係にあるる有名電機メーカー勤務のOLで、独身。会社にも家族にも、つきあっている彼にも趣味であるサークル活動については隠しています。英里子は、子供も二人いる専業主婦で美女らしい。夫は妻の趣味について見て見ぬ振りをしている気配があります。
で、刊行予定の年を過ぎても一向に捗らない社史出版。社長の熱意もあまり感じられないが、それに輪をかけた気配なのが本間課長の態度。そして社史に不可欠な先輩社員の話を聞いているうちに、なぜか皆が一様に口にしないことがあることに気づき・・・
これは三浦しをん初のミステリではないでしょうか。無論、そう謳っているわけではありませんが、後半は完全にそう読めます。しかも、社会派推理小説。松本清張へ再び熱い視線が集まっている今、そういう読み方でこの作品も評価していいのではないでしょうか。結構、いい線いってます。







