紙の本
経営戦略の体系的に理解に役立つ!
2012/10/11 10:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:戦略の要諦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の本はよく読んでいるが、毎回、中身の濃さに感心する。理論的にきっちり詰めた考え方がよくわかる。ただそれゆえに、骨が折れることも少なくない。
本書の第1部は経営戦略論を体系的に学び直すのに非常に役立つ。
第2部以降は、過去に一橋ビジネスレビューなどに発表した論文を再構成しており、独立性が高く、関心のあるテーマをピックアップして読めばよいだろう。
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実践から学ぶ際に起こりがちな罠について十分に注意が必要
①苦労の過剰正当化
因果関係がないところに因果関係を創作
→組織内に「神話」が横行
失敗したときに必要なのは、なぜ失敗したのかという原因に関する確 実なメカニズムの解明
②「成功」と「失敗」というシグナルが間違っている場合あり
腐敗したシステム下では、本来失敗であるものを「成功」ととらえること あり
劣化した組織では、成功と失敗の見分けがつかない人が互いに成功・
失敗のシグナルを出して周囲の人を方向付けていく
→ 実践を通じた学習で、間違った判断基準を持つ若手の拡大再生産
→ 自助努力で健全化困難に
劣化した組織はいつかは顧客や競争相手から手痛いフィードバック。
但し、「いつか」がかなり遠い可能性があり、その場合は茹で蛙状態に
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市場競争力における良きライバルは自社と違うモノの見方を持っている。という点が重要。競争相手が史上を通じら対話を活性化する。異質な競争相手が必至になって工夫してくるから自社にとっても有益なアイデアが生み出され、ますますよい製品企画を思いつく可能性が高まる。
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著者は、沼上氏である。一橋卒の博士であり、成城の専任講師をしている。
この手の本は、専門家かコンサルファームって感じだが、本書は専門家が執筆している
内容となっているため、若干学術的である。(氏も働いた事ないしね)
内容は、経営戦略をインテグレーションし、新たな高みを打ち立てるといった
挑戦的な内容となっている。つまり、今までの戦略論、簡単に言えば、
ポーターを発端とする「外部に主に目線を向けた戦略」
バーニーを筆頭とする「内部リソースに目線を向けた戦略」
その他3つほど戦略の思考法を検討すると、明らかに足りないものがある。
それは、
■時間的相互ダイナミクス思考法
である。
まぁ、ゲーム論的な戦略思考法には若干含まれているのだが、ちと足りない。
よって、これをもとに戦略を組み直す。それが本書の大まかなアイデアである。
筆者の言葉で言うと「メカニズムの解明」
そうなると、最近少しは意識されてくるようになった「コンテキスト思考」が
さらに重要になってくる。
結果、総じて面白い内容となっている。
また、学問としての戦略論の概略、歴史等を把握する事にもおいても、
バーニーの書籍以上になじみやすい・理解しやすいものとなっている点も良い。
以上
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2010.4.12
経営学説史・思考法・実践の3部構成。
今後経営戦略論を学ぶ時の、指標となる一冊。
トップダウンの事前意思決定⇔ミドル以下による事後的創発
市場でのポジション⇔経営資源
安定的な構造⇔時間展開・相互作用・ダイナミクス
この中で「時間展開・相互作用・ダイナミクス」が足りないので、意識していく。
そのための思考法が以下の、メカニズム解明法。
1.ワンショットでの単一主体(こびと)を思い浮かべる
2.こびとの相対的位置関係を明らかにして構造を描く
3.こびとの変化をトレース
4.こびとたちから成るシステムの挙動を構想する
後半はケーススタディもあるし、面白かった。
・20ドル落札ゲーム。
1番高い価格をつけた人が20ドル札を落札。
2番目に高い価格をつけてしまった人は、その金額を支払わなければならない。
この実験をやると、通常20ドル~70ドルまでオークションが継続し、最高は204ドルまでいったらしい。
つまり、問題がロスで定義され、確実なロスと不確実なロスという選択肢に直面すると、かなり非合理なレベルまで資源投入を続けてしまう傾向がある。
・「2番目に高い価値を持つ用途」の重要性
ある企業が確保できる価値は、2番目に高い価値をもつ用途を少し上回る程度になる。
何度も読み返して、ものにしたい。
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経営戦略の考え方がすっきりと整理された名著。
第3部において1、2部との理論的なつながりがもっと述べられるとさらに理論と現実との関連がよくわかる。
また、3部は経営学がなかなか触れないドロドロした部分にさわやかに切り込んでいて学ぶことが多い。
勉強になりました。
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非常にわかりやすく読みやすい!
経営学勉強している人ならば、今まで学んできた様々なワークフレームが整理されてとてもすっきりすると思います。
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第1章と第3章を読了。
第1章は、計画戦略派→創発戦略派→ポジショニングアプローチ→リソースベースドアプローチ→ゲーム理論による戦略の流れ、学問の主流の変遷がスムーズに説明してあり、非常に理解がしやすかったです。
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前半部は、戦略論の考え方を概観でき、理論の相互関係が理解できる内容であった。後半部は沼上教授ならではの内容であった。後半をもう一度ゆっくり読みたい。
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「経営戦略の論理」、弟子の手によって進化、な感じ。
沼上さんの本ってこんなに読みやすかったかな?
それくらいスーッと頭に入ってくる。
戦略という、一見定性的な指標にこそ
ダイナミクスの概念が大事だと懇々と説く本。
前半の戦略体系のまとめはさすが。
そこからのダイナミクスへの適用もさすが。
後半の例は、ちょっと助長な気もしなくはないが、それでも十分楽しめる。
マジで戦略論の本で人に自信持って薦められる本です。
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第Ⅰ部 戦略思考の変遷―経営戦略論の地層形成
第Ⅱ部 戦略思考の解剖―メカニズムの解明
第Ⅲ部 戦略思考の実践
pp.6-7
(1)戦略計画(planning):
戦略とは、組織全体の目標に向かってそのメンバーの活動を整合化させるプラン(シナリオ)である。そのプランを体系的に、抜けがなく、合理的に作成する作法がある。その作法を明確化し、体系化することが経営戦略論の課題である。(Ansoff,1965;Andrews,1971;Steiner,1969)。
(2)創発(emergence)
:「戦略」などという格好の良い言葉と実務の実態は違う。実際には皆が目の前に現れた機会や脅威にその都度適応してきた結果、後から振り返ってみると何かパターンがあったので、それを「戦略」と呼んでいるだけなのだ。事前にこの「戦略」を描けていた人はいない。戦略は誰かが事前にトップダウンで決めるものではなく、現場のミドルたちの相互作用の結果として事後的に創発するものなのである。だから、トップが事前に決め打ちする「戦略」を重視するよりも、現場に自由度を与えてミドル以下からわき上がってくる戦略的なアイデアを重視し、そこに秘められている成長ポテンシャルを活用するのが適切である(Bower and Gilbert,2007;Mintzberg,1973,1978,1990;Mintzberg and Waters,1985;Quinn,1978,1980;Burgelman,1983,1994,2002;Nonaka,1988,1994)。
(3)ポジショニング(positioning)
:戦略とは特定の「立地」をとることである。ここでいう「立地」とは、コンビニが出店する場所というような物理的なスペースでもよいし、人々の心の中の心理的なスペースでもよい。あるいは競争相手との棲み分けが可能な業界構造上の特定のスペースを指す、と考えてもよい。戦略とは、利益の出やすい事業分野や市場セグメント、場所などを見つけ出し、そこにいち早く進出して一定の地位を築いていくことである。重要なことは、良い「立地」を見いだす戦略家の知識とスキルである(Buzzell and Gale,1987;Poter,1980)。
(4)経営資源(resources)
:どれほど良い「立地」を見つけたとしても、その「立地」を確保し、競争相手よりも魅力的な製品・サービスを顧客に提供できなければ企業は成り立たない。そのため、戦略を考えるには、ポジション以上に経営資源(あるいは能力)に注目する必要がある。この経営資源があるから、顧客にとって有用なサービスや製品を生み出し、他者と差別化する活動が成立するのである。経営資源は、大まかに分ければ、ヒト・モノ・カネ・情報に分類できる。その中でもとりわけ重要なのは、ヒトに体現化された情報であり、特に市場取引の難しい暗黙知のような知識が重要である。戦略とは、価値があり、容易に模倣されない経営資源を見定めて、それを自社の競争力の源泉に位置づけ、超過利潤を獲得していくことである(Barney,1986,1991,2002;伊丹,1984;Itami,1987;Prahalad and Hamel,1990;Wernerfelt,1984,1995)。
(5)ゲーム(games)
:戦略の本質は、競争相手や取引先との駆け引きである。そのため、競争相手や取引先との「出し抜き」合いのプロセスが最終的に何をもたらすのかを見通す能力が非常に重要である。出し抜くべき相手の意図を読み、その行動を読み、その後の相互作用が展開されていくシナリオを読むことが戦略のエッセンスである(Brandenburger and Nalebuff,1996;Ghemawat,1997;McAfee,2002)。
戦略計画学者
戦略は変移する
アンソフの成長ベクトル
「シナジー」
戦略
チャンドラー「企業の長期目標と目標の決定、およびその長期目標を達成するのに必要な資源の配分と行為方針の採用」
アンドリュースなどハーバード大学グループ「目標や目的(purposes)、長期目標と、それらを達成するための主要な政策と計画のパターンであり、その企業が今現在どのような事業に従事しており、これから従事しようとしているのかということや、今現在どのような種類の企業であり、どの東名種類の企業になろうとしているのかを定義するようなやり方でそのパターンが述べられているもの」
創発戦略計画
ミドルが戦略策定の中核を担う
ースリーエム社
○創造的な成長戦略 ×無意味な多角化
ポジショニング・ビュー
ポーターの構造分析法 構造が安定した成熟企業で効果的
PIMS分析 (Profit Impact of Marketing Strategy) 利益ポテンシャルをはかる GE社 多様な利益規定要因を探り、それを明らかにすることで新たな事業の期待利益率を予想できるようになる 市場シェアの10%ポイントの相違は、ROIの3.5%ポイントに対応する 市場シェアと品質や、品質とマーケティング支出の交互作用効果に関する知見が有名 ≠事業の特徴の結果として得られる結果・成果に注目した判断 利益率の背後にある原因変数を探る
貢献 個々の事業運営に当たる事業部長クラスの経営リテラシーを高めた 経営知の体系化
問題点 企業間の相互作用という観点が弱い 環境要因に基づいて製品ー市場ポートフォリオの取捨選択を行いがち
リソース・ベースト・ビュー
現在存在している製品に注目し、それらを思考の手がかりに、顧客や競争相手、原材料供給者などを分析し、その製品がこれから先も十分な利益を生み出せるか否か、という考え方をする
SBU(Strategic Business Unit)
長期の成長・発展に注目し、その成長・発展を支える学習メカニズムや知識創造のメカニズムなどに人々の注意を向けてきたことは長期的な企業の健全性を確保する上で重要な貢献といえる
日本の企業と共鳴する部分を多数持つ
成長志向の経営戦略の策定を支持しがち「能力構築競争」「溜め込む経営」 資源の評価
ゲーム論的アプローチ
相手の出方を読みながら、相互の『打ち手』の成り行きとそれが業界全体にもたらす変化を予想するという思考法を使っていること
ブランデンバーガー&ネイルバフの価値相関図
自社が獲得できる利潤が競争によって失われて行くことに注目
ラスト・ルック条項 乗り換えの前に打診
ベストプライス条項 最優遇条項
簡単な相互作用ではなく、複雑で長いプロセスを経る相互作用を視野に入れ始めることで、企業間の相互作用メカニズムを明らかにし、経営戦略に関連する事象に貴重な洞察を与えてきた
1.競争と競合の混在に注目し、補完的プレーヤーの重要性を指摘
2.競争と競合の混在を強調することで、成熟業界での戦略定石に関して、多様な可能性を探究し、構造不況からの脱却やその予防を示唆
3.思考法そのものの変革をもたらした
後づけに聞こえる 戦略というより戦術に聞こえる ゲーム参加者すべてが合理的で相手の先行きを理解していると仮定
競争戦略の位置づけ
事前の合理的計画 トップダウン 事後の創発重視 ボトムアップ
経営資源 環境の機会と脅威
+時間展開・相互作用・ダイナミクス志向 安定的構造志向
経営戦略観を複眼的に用いていく必要
経営戦略論に登場する3つの思考法
カテゴリー適用法 要因列挙法 メカニズム解明法
伊丹敬之『経営戦略の論理』空間→時間→相互作用の論理展開
小倉冒男『小倉冒男 経営学』一に典型、二に集計
顧客ダイナミクス 「学習してしまう」顧客
クリステンセン「イノベーションのジレンマ」ハーバード大
顧客に搾取される 専用装置の罠 特定顧客特化
差別化 チャレンジャーの差別化 リーダーの同質化
リーダー企業=優秀な人材 目が内に向きがち 内部での激しい対立を避ける
ライバルの存在・・・顧客の業界退出を防ぐ
マック、ロッテリア→子供、ファミリー[業界成長] モス→もう子供じゃない
先手必勝 ネットワーク外部性が生きる
シナジー 実現コスト 不自由、硬直性 垂直統合型の企業で効果が得がたくなっていく
ex.デバイス 資本集約的な設備産業 大量生産しないとコスト高に
選択と集中 多様性への愛→経営資源の多寡が勝負になる いざというときに選択できる柔軟性
組織暴走 制度化のデメリット 既定のものとして見えなくなること 人間は損切りが不得手 埋没費用を埋没として捉えられない 終始一貫の罠 競争による麻痺 英断/暴走 ヒエラルキーによる上下作用 未来に関する「部分的無知」が根本的原因 ex.ヤマト運輸 「荷物の密度」をあげる ×百貨店配送(お歳暮) ○宅配便
経験知と反省的学習 実践から学ぶ 苦労の過剰正当化・・・知と汗と涙の量≠成功 倒産しない、安定≠成功 自分、周辺以外にも通用する共通語で語る、客観的評価が重要
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(こちらは2009年、発刊直後に読んで書いたものです)
一橋大学大学院の沼上幹教授の近著。
久しぶりに非常に読み応えのある本だった。
内容的にはまず第Ⅰ部の経営戦略論の変遷を大きく5つの学派・考え方に分類して整理・解説する。
いつもながら非常に分かりやすい。
戦略計画学派
創発戦略学派
ポジショニングビュー
リソースベーストビュー
ゲーム論的アプローチ
次に第Ⅱ部では戦略思考の「思考法」として3つの思考法を挙げ、解説する。
カテゴリー適用法
要因列挙法
メカニズム解明法
そして、戦略的思考法の具体例として、
伊丹教授の「空間→時間→相互作用」
故・小倉昌男・ヤマト運輸元社長の「一に典型、二に集計」
葛西・JR東海会長の「人間くささを盛り込む」
というフレームワークを紹介する。(但しそれぞれの思考法の命名は沼上教授による)
しかし、この本の真髄というか、いかにも沼上教授の本領が発揮されている、といえるのは第Ⅲ章であろう。
経営組織論が専門の1つでいらっしゃる氏(*実際ここ最近の著書は3冊連続で組織論に関するものである)らしく、組織論的考え方や行動経済学的、つまり「人間の活動」としての「戦略思考の実践」に関して、
顧客ダイナミクス
顧客の声に耳を傾けてはいけないとき
差別化競争の組織的基礎
競争を活用する戦略
先手の連鎖シナリオ
シナジーの崩壊メカニズム
選択と集中-創発的多角化戦略の問題点
組織暴走の論理
というトピックス、ないしはテーマを挙げて解説および氏の考えを展開されている。
中でも私の印象に強く残ったテーマ(章ないし部分)があるので、次ではそれらを取り上げてもう少し・・・私が考えたことも(できるだけ)込めて・・・書いてみたい。
*この本は一読して本棚に戻すような本ではなく、読後、再度書かれていたことを振り返りつつ、「考えて」みるべき本である。
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戦略論を体系的に網羅してくれている。
個々の理論の理解不足の自分にとっては、いまひとつ深い理解へ至っていない感があるが、それでも概要としては理解できたのでよかった。
2章は何にも頭に残らなかったけど・・・w
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経営戦略論の歴史が著者によってわかりやすくまとめられている。これほど読みやすい経営学の本は初めてだった。
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時間展開・相互作用・ダイナミクス ― http://www.nikkeibook.com/book_detail/31478/