投稿元:
レビューを見る
組織と人、プロセス、製品以上3つのイノベーションがサムスンを
どう変えたのか?を10年間サムスン電子常務として働き
内部で見てきた著者が書いた本。
読んだ直後、もっと本質を理解したいから読み返したいと
思う内容。
会社の社費留学制度でアメリカのサンダーバードでMBAを
取得した後輩にも貸したが、
日本のサラリーマンは全員読むべきですよ!と言って
すごいと感動していた。
個人的にはあとがきにあった、
「卵の殻を自ら割れば生命を持った鳥になるが、
他人が割れば目玉焼きにしかならない」
という韓国のことわざを見て、
自分はどっちだ?と考えてしまった。
投稿元:
レビューを見る
『はじめに』
・日本の自動車産業は,すでに1990年代から市場の飽和で国内で稼ぐことが難しくなっていた.そこで国外輸出と生産拠点を海外に移す,いわゆる「グローバル化」で対応するようになった.
・成功は欧米など先進国の市場に限定されていました.新興国を含む,本当の意味でのグローバルな市場で成功している産業は,じつは「皆無である」というのがいまの日本のものづくりでの実態です.
・技術力が高いことを売りにしているはずの日本の製品が,「世界のどこの市場でももっとも選ばれているわけではない」という現実が浮かび上がってくる.
『プロローグ サムスンの躍進と日本企業の自信喪失』
・サムスン・グループ.売上が,韓国のGDPの15%を超えるといわれる韓国最大の財閥です.
・日本の技術力が勧告や中国といった国にキャッチアップされたことを意味するわけではない.実際,技術力に関していえば,日本はいまでも世界のトップレベルにあります.けでども日本の企業が世界市場でシェアを低下させているのかというと,「ここ10年のものづくりの世界における環境の変化に対応できていないこと」にあると私は考えます.
①「グローバル化」「海外進出」自体は,日本企業も積極的に行っている.しかし,コスト削減の生産移管程度の意味合いしかない.また,マーケティング手法や管理手法を海外に持ち出すだけの「日本流の移行」になっている.その国の文化に合った地域密着型の戦略が必要だ.
『第1章 李健照会長の危機管理』
『第2章 IMF危機』
・アジア通貨危機.ヘッジファンドの仕掛けによって発生した,人為的に引き起こされた危機.当時,韓国を含むアジアのほとんどの国々は,世界の基軸通貨であるアメリカドルと時刻の通過の為替レートを固定する「ドルペッグ製」を採用していました.そのためアメリカの経済政策によって世界の為替市場でドルが高めに推移していた1995年以降は,これらの国々の通貨の価値は「高いドル」に引っ張られて高められていた.これをヘッジファンドは「過大評価」と考えて,為替市場で差益狙いの大がかりの空売りを仕掛けた.その結果,時刻の通過を買い支えることができなかったアジアの国々は変動相場制への移行を余儀なくされて,通貨価値を急激に下落させる深刻な危機に直面することになった.韓国ウォンはドルに対して半値,GDPは4割減になった.外貨準備がないと,通貨危機の時には悲惨な状態を招く.外国からものが買えなくなるから.
・厳しいリストラも行われた.従業員はグループ全体で16万人から11万5千人にまで縮小された.また,交際費,消耗品のコストは完全にカットされた.
『第3章 組織と人のイノベーション』
・すばやい技術のキャッチアップと効果的な利用ができるのは,プロセス・イノベーションやプロダクト・イノベーションによる優れた戦略作りとインフラ整備のお陰です.「地域専門家」.世界各国に散らばって情報のキャッチアップや戦略的マーケティングのための活動を行っている人たちのことです.
彼らは自分が活動している国の文化について,そこに住む人と同じか,それ以上���深く精通しています.
・まさしく情報収集のスペシャリストで,常に最新のトレンドを追いかけながらそれを吸収したり,こうした情報を利用して地域のニーズに合った製品を提供するという戦略的マーケティングを可能にしているのです.
『第4章 プロセスのイノベーション』
『第5章 製品のイノベーション』
・先行メーカーの製品をその製品の持つ機能まで遡って分析(リバースエンジニアリング)し,そこから新たな機能,新機能にあった機構をもった製品を設計・開発(フォワードエンジニアリング)しているのです.たとえば,インド向きの製品をつくる場合,インドの消費者があまり求めていない機能を先行製品からマイナスしたり,逆にインドの消費者が欲しがっている機能をプラスする.
・礼拝の時間になると自動的ににコーランが流れるイスラム圏のLG製のテレビ,ワイングラス型のサムスンのテレビ.
『第6章 日本が生きる道』
・先進国の市場が飽和状態にある状態で生き残るには,先進国市場に変わる新しい市場に出て行くか,革新的なイノベーションで新しい需要を喚起するしかありません.
・BRICsで販売されている家電品の9割程度は,サムスンやLGなど勧告メーカーによって占められています.これらの国々にはソニーやパナソニックなど「名前も知らない」消費者がたくさんいます.
・日本の企業に求められているのは,多様化している市場の要求から企画立案を行うことです.
投稿元:
レビューを見る
サムスンの経営を中心に、日本企業の今後を提言する本。
著者の一人がサムスンの元常務ということで、当時の未熟だったサムスンの実態も伝わってくる。
しかしサムスンは10数年で世界のトップに上り詰めたわけだから本当にすごい。
就活する過程でサムスンに関する本は何冊か読んだけど、どれも日本に頑張ってもらいたいから!っていう意図なのがいいね。
日本は高い技術力を活かしきれてない、ってのが共通してますね。
色々勉強になったので電機メーカーに興味ある方は是非ー。
投稿元:
レビューを見る
既知の事実が多かったが、筆者自身が実際にサムスンのどん底期から今の強いサムスンの基盤を作るうえでの実体験が述べられているのは、説得力あり。やはり会長の考えが、末端社員にまで行き渡り、若干ずる賢いような戦略を取りつつも、自分たちの開発力などを鍛えてオリジナル製品を日本のメーカーがまだ入り込んでない新興国中心に真のグローバル化を進めていったのが今のサムスンを作り出したのだというのを改めて実感。
投稿元:
レビューを見る
サムソンの改革がどのように行われたのか?国民性と時代(運?)に適した戦略をたて、実行することで10年間で世界でもトップのメーカーへ。
まだ日本は必死さが足りないのかもしれないと思わされた本だった。
投稿元:
レビューを見る
最近流行り(?)のサムスン分析本。著者は2人ですが、実際にサムスン電子での勤務経験のある方がメインで解説をしているためで、分析が鋭く内容も具体的です。
マーケティングや技術経営を勉強した事のある人には理論のいい裏付けになるのではないでしょうか。
ちなみに私は特に以下の点に関してが目からウロコでした。
・セールスの目的が「製品を売る」事ではなく「製品に対するフィードバックをもらう」事
・サムスンでは開発設計や研究開発を自前でほとんどやらない
・新製品発表会でハッタリをかませてブランド名を売る
投稿元:
レビューを見る
・グローバル市場ではまじめに良い製品を作るだけで戦略がない多くの日本企業がある。
・市場が求めている技術の領域はゆっくり上がるが実際の技術は一気に上がる。
・サムスンには記録の文化がなかったが記録の徹底を根付かせるために何でもかんでも書類に残すことが行われた。かつては、相互不信、集団利己主義、日和見、無責任といったことが普通だった。
・日本ではチームで仕事をしているが韓国は個人主義が強い。
・韓国では定期的な異動がないため、上司が替わったときに自分が損をしないように常に考えている人が多い。上司の異動の噂が出るととたんに仕事をしなくなり、その部門の動きが留まってしまうことがよくあった。
・サムスンは技術のキャッチアップがうまいが、それはプロセスイノベーションやプロダクトイノベーションによる戦略づくりとインフラ整備のおかげ。これを支えているのが地域専門家。
・CAD,CAMを使いプロセスイノベーションを行った。設計や開発に関わる全ての情報を一元管理すること。行程の効率化、工期単色を図る。利点は情報にアクセスする全ての人が情報を共有でき別々に行っている作業を同時並列系に進めることが出来る。PDMはものづくりの世界では必須のシステムになっている。
・ある韓国の営業マンは開発途上で品質に自身がないといって先行する日系メーカーに売り込みをかけてアドバイスを得て改良していく。
・もともと本社が強いのが韓国文化だがサムスンは徹底していて企画から設計まで細かい部分を本社主導で行っている。
・トップの役割は戦略を考えてそれを価値付けして組織全体に示すこと。
・材料費削減運動で 購買に一任するコストダウンではなく一律20%ダウンといった大目標を過剰品質になっていないか検討するなどして部品メーカーと一緒に行うなど。
・サムスンは基本的に技術開発と開発設計は日本メーカーに任せているので行っていない。
日本は図学の知識が圧倒的に勝っていたのでアナログの時代は有利だった。3Dcadの登場により状況が大きく変わった。部品の基準値である公差を独自で決められた。それが品質を決める一つのノウハウだった。デジタルによって変わった。
投稿元:
レビューを見る
サムスン研究の一環で読みました。サムスンが二番手会社からグローバルトップ企業になる時期に、サムスンの経営に参画されたいた吉川さんの著書だけあり、とても参考になりました。
日本の会社の経営者、マネージャは必読書の一冊だと思います。
投稿元:
レビューを見る
サムスンが成功した背景には、IMF危機によって引き起こされた強い危機意識があるという。
また、モノづくりがデジタル化し、真似をしやすく、されやすくなった時にどこに対して、どう差別化して売っていくのか、という点も非常に参考になった。
PDMによる生産体制の革新、デザイン重視、現地の文化を踏まえたマーケティング、ブランド力強化。
うちも新興国に打って出ていってますが、参考になる部分は多い。
ただ、Amazonのレビューにあった、「サムスンの成功は北米でのブランド確立とハイエンド戦略」という見方の方がしっくり来るな。
あとでググったりしながらもう一度読み返そう。
投稿元:
レビューを見る
面白かった。ソニーの苦手なマーケットインをサムスンがうまくやっているけれどなぜか?成功にいたるまでの改善活動が触れられていますが、日本でもよくやられている失敗例だったり、まあうまくいかないだろうなとおもうようなことだったり。よけいに自分の会社との本質的な違いがどこか?ということが理解できます。成功の理由はモノを作るのが圧倒的に簡単になっているという事実から作られたversatileな設計、開発、生産システム/プロセス。それから現地化したマーケティング部隊。
失敗学で有名な畑村先生も共著だけど、たまにコラムのページで登場するくらい。日本人でサムソン内部のプロセスを三次元キャド導入で変えた筆者の言葉に重み。
学ばなくては。
投稿元:
レビューを見る
内容・主張は「サムスンの決定はなぜ世界一速いのか」と同じ。
むしろサムスンをモデルに解説しているのでタイトルは逆の方がいいかもしれない。後で出した「サムスンの~」の方が日本への提言の色が強い。
ただいずれにしても、日本の製造業、ものづくりに対する提言は非常に重要に思う。
プロダクトアウトではなくマーケットインが必要。
アナログではなくデジタルなものづくりに対応する。
日本の製造業のこれからを考える上で、向かうべき方向性を示しているように感じる。
投稿元:
レビューを見る
サムスンをグローバル企業に押し上げた李会長の改革の真髄。『危機感ではなく、危機意識を持て。』かつて韓国は金融主導で誘発されたIMF危機に苦しみ、それを乗り越えたサムスンは、嵐をじっと耐えるような危機感ではなく、いつ嵐が来ても耐えられる体力をつけるために、危機意識を社員に植え付けた。
過去には日本のマネをし、設計図も無く、それでいてエリート意識は強い集団だったが、それを3つのイノベーション、『3PI活動』により改革した。
3つのPとは、パーソナル、プロダクト、プロセスだ。
パーソナル
人力開発院で社員に現地語のエリート教育、地域専門家を育てる。現地の文化、経済に溶け込ませ、情報を収集させる。
プロセス
デジタルモノづくりとなり、製品開発は『串焼方式』から、企画デザイン〜設計生産までがラップする『刺身方式 』に!
部品メーカーへの見える化を進め、部品の早期手配を可能にした。
技術の先行開発はせず、先行メーカーの技術を、素早いプロセスでキャッチアップして真似をする
プロダクト
日本追従型から、新興国市場を向く
新興国では過度な品質よりも、価格重視。日本メーカーの製品から、主要な部分を真似して、新興国向けにアレンジして販売する。
先進国と新興国では、求めるものが異なる。価格から利益を引いてコストを決めていく引き算方式。
多品種少量生産が可能。
体感不良率を減らす(韓国の洗濯機の例:サービスマンが車に基盤とモーターを積んで巡回。故障の連絡があれば即部品交換。それでもダメなら新品と交換。→毎日使うものだから、いかに早く直すかが顧客満足には重要)
サムスンは真にグローバル企業だ。社員は世界中に溶け込み、情報を集め、製品は多少品質が落ちても、その地域で真に求められているものをきめ細かく投入し、プロダクトで最も大事な顧客満足度を高めている。
日本企業も、品質、部署の利害、だけにこだわるのでは無く、割り切りを持って真に需要のある製品を投入出来るか、が必要。
高いポテンシャルをどう活かしていけるか、考えなければならない。
投稿元:
レビューを見る
ムソンが飛躍的な成長を遂げた要因は、「社員の意識改革」
「ものづくりプロセスの革新」「革新的製品の創造」の3つ
にあったという趣旨。
日本からモノ作りを学び、世界各国の文化・歴史を学び、
マーケットが求める適度な機能を捉えていち早く商品化する。
サムソンの競争力の源泉は、この「学ぶ姿勢」と「したたかさ」
にあるように思います。
そのキッカケとなったのが、97年のアジア通貨危機。韓国も
財政破綻したことが、危機意識を高め再生のスピードを加速
させた要因と言われています。
中国もインドも、あたりまえのようにマルチリンガルでMBAを
学んでいると言われていますね。企業がグローバル市場で戦う
ということは、こうした人たちと戦うという自覚をもつことが
必要ですね。
危機意識をもって、マーケットから学び、自分で考え、決断し、
行動することの大切さを感じさせる本でした。
投稿元:
レビューを見る
サムスン再生と飛躍の秘密。技術とは社会が求めていることを実現する手段であり、今、新興国で売る製品を作る技術があるかを問う。真の競争力とは消費者に選ばれる力であり、コスト競争力を抜きにしては語れない。
投稿元:
レビューを見る
相互不信、個人や集団利己主義、権威主義や他律、日和見、無責任といった弊害に対する改革は、意識革新、全プロセスの革新、革新的製品の創造の三つ。重要なのは、トップの細かいことまで口を出さない姿勢、ライバル企業の戦略に関する情報、プロセスの標準化、インターフェイスの規格の統一化、情報の一元化、広く見える化(セキュリティ確保のうえで)。開発プロセスは、全社、事業部、商品の三層構造とし、段階終了時にデザインレビューを行い、実行、見直し、取りやめを判断。部品表にないものは使ってはいけない。「開発」の早期宣伝によるブランド確立。品質は消費者が決める。