紙の本
人間の性格について本格的に学びたい人にオススメ
2022/08/07 18:15
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投稿者:Toshi - この投稿者のレビュー一覧を見る
“影があり、光がある。生きるというのも絵画なのだよ。”
ーヘンリック・イプセン『ブラン』ー
以前紹介したジェフリー・ミラーの本を読んで、ビッグファイブに基づく人間の性格研究に興味が湧いたので手に取った。
思っていた以上に良書。
進化論の原理で考えるなら、通常は正規分布曲線の両端に位置する極端な特徴を持つ個体は淘汰され、徐々に生態系は平均値辺りを占める平凡な個体が多数派になっていくはず。
それにも関わらず、何故こうも人間の性格は多様性に満ちているのかという謎を、「適応度地形」というモデルを使って解き明かすというもの。
その後に、各性格特徴の長所と短所を述べている。
それぞれの性格に占める割合は遺伝的な要素が思っている以上に大きいこと、性格に関しては長所がそのまま短所に変わること、そしてそれが長所になるか短所になるかは、生まれつきのその程度の強さとその時に置かれている環境によって決まることなどが明らかにされている。
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ひさしぶりに興奮させられた!
どうなんでしょう?パーソナリティが5次元の低次元空間に分布しているというのは本当でしょうか?
本当なら、とてもおもしろい。そもそも、人間が身の回りの人の性格をある程度把握して、「あの人ならこうするだろう」「こう言うだろうな」というようなことまで考えられるのは、人間の性格の多様性がそこまで高次元じゃないことを示しているような気もする。そこで重要なのは、どういう軸をとるか。どういう軸に関しては、生まれつきの要素が大きく学習によって変化しにくいのか。
性格テストなんて大昔からあるんだろうけど、それがやっとマユツバものじゃない経験科学になってきたということなのか。だとしたらおもしろい。
この本にはないけれど、世の中では、この理論を元に職場の人間関係円滑化を行う方法まであるらしいですよ。
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それぞれの研究結果から一般の人にもわかりやすいように、ビックファイブと呼ばれるパーソナリティの因子について書かれている。
尺度として測定できるものと、ライフストーリーといった質的データとして示されるものとが合わさり、個々の特性が説明できるという結論が、面白いといえば面白い。
相関係数が0.5とかでも関係があるといっているのに違和感はあった。できれば引用文献とか、より詳しい文献の紹介があるとよかった。
ビックファイブは、外交性、神経質傾向、誠実性、調和性、開放性の5つである。これは高ければよいというものでもないとされる。
それぞれの因子の特徴が説明されたあと、パーソナリティを決定するものは遺伝的な影響が50%であることが述べられている。
5因子でパーソナリティが決まると単純に考えれば、10万人に一人は同じ人生を送るとなるが、実際そうではない。個々の人がもつ特性については三つのレベルで考えられるという。それは、ビックファイブパーソナリティ特性のスコアと特徴的行動パターン、パーソナルライフストーリーの三つである。
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一人でフォトリ1冊目。約100分。
人の性格、傾向がどうやって決まるかを脳科学などで定義、分類する本かと思い、自己分析アンド自分にとって付き合える人、付き合うことが辛い人を鑑別する知識を得るため読みました。が、以外にも最終章は、自分を変えたい人へのエールでちょっと感激。ナラティブアプローチと親密な考え方の著者ともわかり、思わぬ収穫でした。
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スコアの低い項目は、自分にあった方法でルーティン化し、極力ストレスにならないようにする。強みはどんどん活かす。
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自分に向いていないことに、時間とエネルギーを浪費しないことである。
私達にとって最高のパーソナリティーなどというものはないということだ。
どの特性レベルにも利益と不利益がある。個人の性格は変えられない-それは遺伝によって脳に「配線」されているからだ。だがそれをどのように表出するか(その強みを生かせるかどうか)は、私達の自由に任されている。
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人のパーソナリティを解析することにより以下の5つの因子の組み合わせにより個々のパーソナリティの傾向が決まることがわかりました。
① 外向性; 報酬への反応
② 神経質傾向; 脅威への反応
③ 誠実性; 反応抑制
④ 調和性; 他者への配慮
⑤ 開放性; 心の連想のひろがり
これをビックファイブと呼びます。
自分がどのような性格かを自己認識してゆくことは社会生活をしてゆくうえでとても重要なことです。
自分の性格に合ってない職業を選ぶことは無駄な努力をすることになります。
http://ameblo.jp/nancli/entry-11712009562.html
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個人の性格を5つの観点、外交性、神経質傾向、誠実性、調和性、開放性で理解していこうという本。こうなる前の性格を把握するのは非常に難しかったようである。これらの観点の分析が、性格の科学におけるルネサンスとなり、だいぶ進歩をしたとのことである。
フィンチの嘴の話が意外と面白かった。
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パーソナリティー心理学や遺伝学や進化学などを絡めた説明が非常に面白かった。
中でもダーウィンの進化論の考え方の認識違いに気づけたことはとてもためになった。
自然淘汰とパーソナリティーの関係性の当時の時点でわかっていること、さらなる研究が必要であろうことなどわかりやすく書かれている良い本。
パーソナリティーの5因子の低い高いで一喜一憂するのではなく、遺伝子性格を活かした生き方の主張は好感が持てた。
心理学の研究に関する記述が私の学習不足で分かりづらかったので、そこがすんなり読めるようにもう一度読んでみたいと思う。
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生物心理学部の教授であるが、心理学的な正確な知識はかなり怪しい。
ゴールトンやターマンについては、統計に基づかない誤った間違いの例として、心理学で気を付けるべきこととして様々なテキストに掲載されている。
それについてはひとことも説明をしていない。10年前ではその間違いがはっきりと指摘されていたのに、意図的に研究を無視している。
せっかくビックファイブを説明しているのに残念な本であるので、これを引用してしまうと卒論自体が危うい。
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特定5因子のそれぞれの特性とメリット、デメリットが説明されていて良かったと思う。
それぞれの特性の説明が進化論的であったり、個々人の物語風であったりしてわかりやすくて良かった。
自己評定もできるので、自分にはどういう特性があるのかも理解でき、今後も役に立ちそうだと思った。
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自分のパーソナリティを理解して受け入れて行動を選択する。
自分に合ったニッチをもう一度考えたいと思いました。おもしろかったです。
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重要。ビッグファイブを神経遺伝学的基盤から説明し、進化的視点からメリットとコストを明確に。非常に見通しがよくなった。もっと早く読んでおけばよかった。信じこむのはあれだけど、この方向は発展性ありそうだなあ。
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特定5因子がMECEな切り口なのかは賛否あるのは仕方がないとも思うけど、パーソナリティの考え方には納得できる。
この本のメッセージを3つまとめると、
・自分や他人のパーソナリティを正確に理解しよう
・どの特性にもコストと利益がある
・適材適所にポジションをとろう
といった、当たり前のような事ではある。
(現実世界ではそうなってない場合が多々あるが)
なんとなく感じてたことが言語化されていることが多かったが、この本での個人的な最大の学びは、
外向性と社交性の扱いには注意。そこには、「神経質傾向」と「協調性」というワードを足して理解すべきだということ。
自分は、内向的で、初対面苦手で、コミュニケーションも苦手意識があると認識してたけど、外向性がないとは思えてなかった。そこには、神経質傾向が少しあるからなんだろうなと、なんだかしっくりきた。
それが言語化解釈できただけでも、充分読んだ価値があった。
以下は、気になったポイントを抜粋。
・特性とは1つの連続体であり、その連続体のどこに位置するかは人によって異なる
・私たちは直接、特性を見ることはできない。そのかわり、人の特性レベルを彼らの行動を通して推し量る
・特性の構造は誰でも同じであり、レベルだけが違う
・今はおびただしい行動からの推論によって特性を定義しているが、いずれ神経システムの活動が明らかになれば事態は違ってくる
・人々のスコアは長期にわたって安定している。6年間隔で3回にわたって、相関係数0.68から0.85と言う率で、当初のそれと相関していた
・カップルのどちらかの神経質傾向が高ければ、離婚の確率は平均よりはるかに高かった
・男性の誠実性のスコアは、離婚を予測していた
・死亡の大きな予測要因は誠実性の低さだった。スコアが低い人の場合、どの年をとっても、死亡の確率はおよそ30%高かった
・パーソナリティー特性とは、特定のタイプの状況に反応すべくデザインされた心のメカニズムの、反応性における安定した個体差である
・既に見てきたように、セックスへの関心、旅行への関心、社交への関心、競争心など1連の事柄は、全てが緩やかにまとまって外交性のファミリーを形成している。これらは全て同じ脳の報酬回路に依存している
・誰もが同じ認知器官を持っている。だが人によってそれは、少しばかり素早く、あるいは効率的に働く
・私たちが配偶者を選ぶときには、できるだけその負荷の少ない相手を選ぼうとする。子供には人生において突然変異の少ないスタートを切らせたいと願うからだ
・いずれのケースでも、それらのコストと利益が何か、どんな環境で真価を発揮できるのかを見つけ出すことができる
・外交性と社交性を同一視することには、慎重であるべきだ。人が内気なのは、外交性が低いためと言うよりむしろ、不安と神経質傾向が高いことによる場合が極めて多い。
・外交性の高さと、良好な社会的関係を混同しては��らない。協調性を予測できたのはビックファイブのもう一つの次元、調和性であって、決して外交性ではなかった。実際のところ、外交的で同時に調和性の低い人物は、社会的に極めて問題になることがある
・外向性に含まれる多様な行動を説明するものは、強い反応性を持つポジティブな情動である
・神経質傾向の高い人を人生で待っているのは、うんざりさせるほどおびただしいトラブル
・すべてのパーソナリティー特性はコストとともに利益をもたらす
・ネガティブな情動は私たちの体と心を保護するシステムであり、それらを完全に書いたならば悲惨なことになるだろう
・ネガティブな感情を持つ必要があるとすれば、問題は、その閾値をどこに設定すべきかと言うことになる
・人類の祖先が生きていた状況では、神経質傾向が極めて低い人々は、敵に攻撃されて死ぬ可能性が高かったと思われる
・神経質傾向の高い人は、悩みや心配が消えることをただ願うのではなく、この特性が自分に与えてくれる強さや感受性、努力、そして洞察を理解すべきなのである
・法を犯す行動とギャンブルで家を失うこと、そして飲酒癖に立ち戻ること、この3者間のリンクは極めてはっきりしている
・衝動のコントロールに関わる次元は誠実性と呼ばれている。誠実性のスコアの高い人は真面目できちんとしており、自己をコントロールできる。一方スコアの低い人は、衝動的で、気の向くままに行動し、意思が弱い
・環境によって引き金を引かれつつある反応がどれほど報酬的だろうと、それを抑制し、自分が設定したもっと重要な目標や規範を運ぶ脳のメカニズムがあると言うことだ
・実は誠実性のスコアが低めの人が不利となる主な領域が仕事なのだ。全般的に見て職業上の成功を予想する上で最も信頼できる要因は誠実性である
・誠実性と言う特性が、自分で設定した目標やプランに従う能力であるとすれば、誰からもやるべきことを指示されない状況では、その能力はかなり有利となる
・知能と誠実性の関係に関する研究で最も衝撃的だったのは、両者の関係がポジティブではなく、わずかにネガティブだったと言うことであった。つまり頭が切れるほど、誠実性は低くなるのである
・頭の切れる人は、前もって準備をしなくてもうまくやれることがすぐにわかってしまうため、わざわざ時間を使って訓練に励もうとはしないのである
・誠実性とは、人が内に持っている基準やプランに固執することである
・誠実性が行き過ぎた場合にはまずいことになる。狩猟採集生活の多くは、予測不能の出来事のために前もって計画するのは不可能だった
・狩猟採集者にとっては、何かが起こった途端、それまでのプランをかなぐり捨て、すぐさま精力的かつ自発的に体の反応を動員できた人たちが成功した
・本物の冷たく残酷なサイコパス行動が出現するのは、3つの水門がすべて開いている時、調和性と誠実性と神経質傾向の3者全てが極めて低い時だけである
・調和性が低いほど成功する
・女性に対して夫に望む事は何かと聞くと、真っ先に親切さと共感を強調する傾向がある。だが同時に、彼女たちは社会的地位と物質的で成功をもかなり高く評価する。両者の間には葛藤がある。親切と共感は高い調和性を意味するが、個人的成功は調和性の低さを笑しがちだからである
・パーソナリティー研究における男女間の違いのうち最も確かなものの1つに、女性が男性よりも調和性が高いと言う事実がある。実験的に、女性にテストステロンを与えると、共感的行動が少なくなる。
・男性でも女性でも同じ適性とモチベーションがあれば、与えられる成功のチャンスは平等であるべきだ。このことについては全く疑う余地は無い。だがそれは現実に男性と女性が平均して同じモチベーションを持っていると言うことにはならない。したがって、社会のあらゆる分野で男女が等しく活躍すると言うのは、必ずしも期待すべきではない
・あらゆる文化的余暇活動に関わろうとするこの傾向は、ただ1つ、開放性によって予測される
・問題解決と言う点で恐るべき知性を持っているが、思索とか、まして神秘などといった非現実的な考えに全く関心のない人がいる。そうした人々は、知能は高いが、開放性は低いのである
・開放性のスコアの高い人は、スコアの低い人に比べて、より多くの用途を考えだすだけでなく、考えだす用途そのものも普通ではない。
・ビッグファイブのようなパーソナリティー特性に見られる個人差のほぼ半分は、遺伝子型の変異に結びついていると言うわけだ
・神経質傾向の高い人は鬱になりやすく、離婚しやすい。そして彼らの子供たちもまた、平均に比べてそういうことをする傾向が強い。家庭環境ではなく、遺伝的性質なのである。
・妊婦の状態がおそらくストレスホルモンのメカニズムを通じて子が生まれ出る環境の天気予報の働きをしているということだろう。その予報によって、この反応は、直面しようとしている世界に適応するよう調整されるのである
・大人になり歳をとるにつれて、調和性と誠実性のスコアがやや高くなり、外向性、開放性、そして神経質傾向がやや低くなっていく。
・例えば、一緒にいることで自分の最悪の部分が引き出されるようなある種の人々を避けると言うのも、その一つだ。自分の気に入らないパーソナリティーの局面が出てくるような状況から、あえて離れていることもできるし、ピアノの練習を終えるまでは外出するのを自分に禁じることもできる。
・大勢の人の前であなたをナーバスにするその神経質傾向こそが、研究の細々した統計データや方法論を開いて粘り強く取り組むためには理想的なのである。
・要するに、自分に向いていないことに、時間とエネルギーを浪費しないことである
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特性5因子の説明には説得力がある。
統計的に重複のあるパーソナリティをまとめていくと5因子になるという。その背後には脳の特性があり、それは遺伝によるものであるという。
特にサイコパスとなるか否かは、5因子の組み合わせで決まるという説明は実感とも合致し、説得力があった。
ただ、遺伝と環境要因の話題になると一気に歯切れが悪くなり、一貫しない各論の連なりがだらだらと繰り返される。
また、環境とパーソナリティは相関がないことを関係性がないことと混同しているようにも思われた。
遺伝によるパーソナリティが発現するかは、環境によると私は考えるがいかがだろうか。
相互作用を評価することとなるため、相関しないのは当たり前である。
パーソナリティとどのように付き合うかについて書かれた最終章も内容が薄く要らなかった。
5因子の説明箇所だけ読めば良書