NOVA 書き下ろし日本SFコレクション 1 (河出文庫)
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- 税込価格:998円(28pt)
- 発行年月:2009.12
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商品説明- 「NOVA 書き下ろし日本SFコレクション 1」
本格、奇想、幻想、純文学、ミステリ、恋愛…SFというジャンルが持つ幅の広さと可能性を詰め込んだオリジナル・アンソロジー。完全新作10編+伊藤計劃の絶筆を特別収録。【「BOOK」データベースの商品解説】
収録作品一覧- 「NOVA 書き下ろし日本SFコレクション 1」
| 社員たち | 北野勇作 著 | 13−20 |
|---|---|---|
| 忘却の侵略 | 小林泰三 著 | 21−74 |
| エンゼルフレンチ | 藤田雅矢 著 | 75−96 |
関連キーワード- 「NOVA 書き下ろし日本SFコレクション 1」
ユーザーレビュー- 「NOVA 書き下ろし日本SFコレクション 1」
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/04/15 21:11
語り口の個性と洗練、そしてある種の強さを感じさせたのは円城塔と伊藤計劃であった
投稿者:消息子(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
1970年代、「SF」といったら「SM」に間違えられて、という自虐ネタがよくあった。最近、スパム・メールに「SF」とあるから何かと思ったら、セックス・フレンドであった。やれやれ。
では、SFとは何か、というのも昔から問われてきた難問である。村上春樹からしてSF的設定で小説を書き、それがベストセラーとなっている昨今、かつての筒井康隆会長の日本SF大会のテーマ「SFの浸透と拡散」はすでに現実のものとなった。ところが逆にコアなSF短編の発表舞台が乏しくなったと考えた大森望が、アメリカでは昔からあるが、日本にはさっぱりないオリジナルSFアンソロジーを編んだのが本書『NOVA1』。続く、らしい。
北野勇作「社員たち」、田中哲弥「隣人」は不条理ものと括れそうだが、これがコアなSFといっていいのか? 藤田雅矢「エンゼルフレンチ」は宇宙を舞台にしたラヴ・ストーリー、田中啓文「ガラスの地球を救え!」は馬鹿馬鹿しいパロディ、斎藤直子「ゴルコンダ」はほのぼのとしたアイディア・ストーリー、面白いけれどSFとしては傍流だなあ。
月は遠くて近いSFの古典的舞台。しかし、月面で起きた初の殺人事件を扱う本格推理小説というのはありそうでなかったかも。山本弘「七歩跳んだ男」。しっかり、と学会ネタが使われている。
SFはセンス・オヴ・ワンダーだといったのは誰だっけ? その意味では小林泰三には唸らされた。「忘却の侵略」は遭遇しても記憶に決して残らない宇宙生物(か何か)と戦う、量子論的SF。
すでに発表された傑作を集めたアンソロジーではなく、編集者の求めで書いてもらったアンソロジーだから、まあ、レベルはこんなものかと思っていたら、後半ぐっと密度が高まり、一般誌には載せがたいだろうという、しかも今日的なSFが並ぶ。小説をメタ・レベルにもっていくというアイディアは昔からあるけれど、次の3作はいずれも記述すること、語ることが世界を作るという、いわば言語中心主義的SFであり、しかも三様に違っている。
既知外生命体にテキスト改編という攻撃方法で挑む戦隊ものというとんでもないのが、牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」。しかもテクストで相手を攻撃するというのはすなわちスプラッター描写。円城塔「Beaver Weaver」は数学的フレーヴァーを振りかけた、スペース・オペラの語り/騙り。飛浩隆「自生の夢」はGoogle時代のサイバーパンクの如きもの。語ることと読むことが問題となる。
最後に伊藤計劃の未完の長編『屍者の帝国』の残された冒頭部分で、このアンソロジーはいまだ語られていない世界に開かれる。
とりわけ語り口の個性と洗練、そしてある種の強さを感じさせたのは円城塔と伊藤計劃であった。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/12/19 19:37
わくわくさせられるアンソロジーを読んでみたい短篇好き、SF好きのそこのあなた。このシリーズは、要注目ですよー。
投稿者:東の風(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
本アンソロジーを作ったいきさつについて、責任編集者・大森 望(のぞみ)、かく語りき。
<SFがこれだけ浸透した現在、本格SFの短編が定期的に載る媒体がもう少しあってもいいんじゃないですか。だれもつくらないなら自分でつくってしまえ──ということで立ち上げたのがこのシリーズ。(中略)編者である大森がいきなりメールまたは口頭で依頼し(一部、自薦・他薦あり)、届いた原稿を読んで勝手な注文をつけ(大幅な改稿はもちろん、最初の作品をボツにして別の作品を送ってもらったケースもある)、最終的に揃ったのが、ここに収められた十一編。> 「序」 p.5~6より
宇宙を行く無人探査機のモチーフ(『スターシップ』所収のイングリス「夜のオデッセイ」みたいな、ああいうの)に、タイムトラベル・ロマンス風味の邂逅とをブレンドさせて、胸熱くなる小品に仕立てた、藤田雅矢の「エンゼルフレンチ」。
月面で起きた最初の殺人事件か?! 小松左京ちっくな読みごたえもあり、本格ミステリとしてもよく出来ていて読ませる、山本 弘の「七歩跳んだ男」。
ぶぶっと噴き出すアホらしさも、ここまで大真面目に、かつ、手塚治虫をからめて壮大にやられると、もはや、わくわくするしかなかった、田中啓文(ひろふみ)の「ガラスの地球を救え!」。
私には全然わけ分からん作品もいくつかあったなかで、「これは、面白いなあ。読んだ甲斐があったなあ。」と気に入った作品は、この三つでした。
巻末の「編集後記」に、<今後は、その新城カズマ氏を筆頭に、山田正紀、神林長平、恩田陸、津原泰水、西崎憲、岸本佐知子、東浩紀、曽根圭介、法月綸太郎、伊坂幸太郎など各氏が登場予定(交渉中/三巻以降含む)。ご期待ください。>とあって、いやあ、この作家のラインナップの魅力的なこと。シリーズ第二巻以降も、思いっきり期待したいっ!







