- 出版社:集英社
- サイズ:20cm/250p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-08-771332-9
太陽のパスタ、豆のスープ
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- 税込価格:1,470円(42pt)
- 発行年月:2010.1
- 発送可能日:7~21日
- 本
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商品説明- 「太陽のパスタ、豆のスープ」
暗闇をさまよう明日羽に、叔母のロッカさんは“リスト”を作るよう勧める。溺れる者が掴むワラのごとき、「漂流者のリスト」だという。明日羽は岸辺にたどり着けるのか?そこで、何を見つけるのか?ささやかだけれど、確かにそこでキラキラと輝いている、大切なもの。読めば世界が色づきはじめる…“宮下マジック”にハマる人続出中。【「BOOK」データベースの商品解説】
わたしが選ぶもので、わたしは作られるんだ−。暗闇をさまよう明日羽に、叔母のロッカさんは「漂流者のリスト」を作るよう勧める。明日羽は岸辺にたどり着けるのか…? 『青春と読書』連載作品を加筆・修正して単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介- 「太陽のパスタ、豆のスープ」
宮下 奈都
- 略歴
- 〈宮下奈都〉1967年福井県出身。「静かな雨」で文学界新人賞佳作に入選。著書に「スコーレNo.4」「遠くの声に耳を澄ませて」「よろこびの歌」など。
書店員レビュー- 「太陽のパスタ、豆のスープ」

挫折したときや落ち...
ジュンク堂書店秋田店さん
挫折したときや落ち込んだ時こそ、自分を見つめなおすチャンスになるということ、「毎日」の生活がいかに自分の基礎となりだからこそ大事にしていかなければならないということを感じさせられる一冊。
突然婚約破棄を言い渡された、主人公 明日羽。絶望の淵に立たされた彼女は叔母に勧められたリストづくりをきっかけに自分自身を見つめなおしていきます。日常のさまざまな出来事に迷い、心を揺らしながらも少しずつ前に進んでいく、ささやかな再生の物語です。
「わたしが選ぶもので、わたしはつくられるんだ」
選んだもの、選ばなかったもの、選びたくても選べなかったもの。
色々あってそのすべてが自分をつくっていく、だからこそ自分がありたいと願う方向に進んでいこうという明日羽の姿に元気をもらうことができます。自分自身にの生き方に悩んだり、元気がない時におすすめの一冊です。
(文芸書担当)

結婚二ヶ月前に突然食...
ジュンク堂書店新宿店さん
結婚二ヶ月前に突然食事中ふられたあすわ。変わったおばさんロッカさんや家族、そして同僚の郁ちゃんたちのかかわりから、彼女が傷ついた心をどう癒し乗り越えて行くのか。あー郁ちゃんの豆スープ飲みたい。
新宿店文芸担当
ユーザーレビュー- 「太陽のパスタ、豆のスープ」
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/06/21 16:30
豆の底力を感じる しみじみ良い小説
投稿者:佐々木 なおこ(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮下さんの短編をいつだったか読んだことがあって、
むむむ、なんだかいいぞと思った。
豆が出てくる良い話だった。それだけ、覚えている。
で、今回のタイトルに、豆のスープとあって、「そう、そう、待ってました」と喜び勇んだ。
私にとって彼女は豆作家なのだ。(^-^)
週末の土日で読み切って、読後の今もまだ余韻にひたっている。いいわ~この本。これはみんなに知らせなくては…。
主人公は二年間付き合った彼に結婚破棄を宣告された20代の女性、あすわ。会社員をしながらも、結婚へと一歩踏み出そうとした矢先のこと、だった。どん底の彼女に、叔母さんのロッカがこう提案する。
「やりたいことや、楽しそうなこと、ほしいもの、全部書き出してごらん」
ロッカは自分にとっては姪にあたる、あすわにすごく寄り添ったり、ちょっと距離を置いたり、いい感じで、彼女を見守っていてくれる。それが良かった。
さてさて、あすわが最初に書いたリストは次の通り。
一、食べたいものを好きなだけ食べる、
二、髪を切る、
三、ひっこし、
四、おみこし、
五、たまのこし、
「実行してこそのリストだからね」ロッカからのアドバイス!
これが劇的に変わってくる。
最後あたりで、あすわが空で言えるようになったリストの項目たちは次の通り。
きれいになる。
毎日鍋を使う。
やりたいことをやる。
旅行に行く。
新しいことをやる。
豆。
すべてがはっきりとした断定形で、気持ちのよいこと、かぎりなし!あすわは、どん底から自分を奮い立たせるために、髪を切ったり、引っ越しをして一人暮らしを始めたり、エステサロンに通ったり、鍋を買いに行ったり、豆料理をするようになったり…。
彼女が地にしっかり足をつけて歩くようになる、そんな過程がじっくりじんわり綴られている。
「がんばれなくても、ええんちゃう?」ジュリーの真似をしてロッカが言う。「毎日のごはんがあなたを助ける」たったそれだけの母の言葉が沁みてくる。私はこの小説を読みながら、「北風と太陽」の話を思い出していました。
「ゆるやかによろこび、そっと悲しむような、穏やかな毎日を今は求めたいと思う。感情に振り回されすぎないで、やりたいことをこつこつとやれるように。私が選ぶもので私はつくられる。(略)
選ばなくてもあるもの。選びたくても選べないもの。私は私なのだ」
なにかを掴みつつある、あすわの言葉が胸に迫った。
彼女の高ぶりが一気に私の心に飛び込んできました。
豆作家の豆小説(さきほど命名!)であるからして、
豆は実に重要な役どころなのですよ。
なにしろ、リストの最後に書いてあるのも豆。ですからねぇ~。
丁寧に手をかけて作られる豆料理たちによって、あすわの整えられる身体と整えられる心。いろんなことひっくるめて、豆の底力を感じずにはいられません。
しみじみ良い小説でした。
あちこちで「いい本あるよ~」と紹介したいと思いました。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/11/23 12:42
シンプルだけど、独特の世界観に浸る時間。
投稿者:のちもち(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
ぎりぎりの段階で婚約破棄された主人公・明日羽(あすわ)の、下ばかりを向いている視線が、前を向けるようになるまでの物語。要は失恋からの立ち直りの話で、脇役として登場するのは、家族、友人。これだけ見れば「よくある話」であり、テレビ化されようもないシンプルなストーリーである。
主人公の気持ちが最優先されていて、脇役たちはあくまでも「あすわ」に絡む場面のみで彼らの描写はない。通常なら抑揚のない展開に飽きちゃいそうだけれど、あすわの心理変化の描写や、そのキャラクターの魅力が読み進めるにつれて増してきて、気がつけばこの小説の世界に浸っていた。ちょっと個性のある友人、伯母が、立ち直りのきっかけを与えてくれる。そこは「言葉」ではなくてツールだったりする(やりたいことのリスト)んだけど、ツールにしても言葉、態度にしても、あくまで「きっかけ」であること、自分を変えられるのは、結局は自分しかないことに気がつく。当たり前のことだけれど、それに気づかないような精神状態に陥った時、「リスト」などのヒントが後押ししてくれる。
すべてがうまく回っていないような気持ちになる時って、恋が破れた時だけではなく、人には訪れることがある。自分が社会の中で孤立しているような、自分の存在ってなんなのかって思う時が。その時に支えてくれるものに気がつかない、ってこと、あるよね。そしてそれを脱した時にその支えに気づく。そしてそれに対して心からの感謝の気持ちを持つことで、一回り大きくなっている自分に気づいたりする。それが多分「成長」ってことで、子どもも大人も関係なく、こういう体験を積み重ねることが、人としての厚みを増すことなんだろうと思う。
そこまで大げさな話ではないんだけど、「あすわ」がひとつの試練を乗り越えて、魅力的になっていく姿を見ていくのは、なんだか気持ちのいいものだった。「自分には何も自慢するものがない」「(履歴書に)志望動機は書けるけど、自己PRが書けない」そんな彼女が、「何か」を見つけようと考える。「見つけよう」と考えることで、彼女は大人になっていた。
そしてさらに「サブ」的に「家族」が登場してきますが、それがまたいい「味付け」になっています。母、父、兄。直接言葉では言わないものの「あすわ」を本当に愛している姿。家族だからこそ「直接言葉」でないところでつながっている温かさを感じます。
読後には、もっと読んでいたい。もっと「あすわ」を見守りたい。気になってしょがなくなりました。 なんでもないストーリーで温かくなれる。同い年の著者に敬意。「何も自慢できるものがない」自分も、それで終わるつもりはないのだ。
【ことば】からまって、こんがらがって、がんじがらめになっていた私を縛る糸がゆるゆるとほどけていく感触がある...よく見れば糸の端っこを握りしめていたのは私の手だ。
周りが見れず、自暴自棄になってしまう時、その原因は実は自分にあったりするのかもしれない。そんなとき一歩引いてみるようにできれば、と思う。「ありのまま」を見るのはそれだけ難しいのだけれど。自分を変えなければ、自分の目から見られる世界は変わらない。
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/03/25 23:14
婚約破棄された20代後半のヒロイン・あすわの再生物語ですが、男性が読んでも楽しめるので女性が読まれたら身につまされつつ大いなる共感を持って本を閉じることが出来るでしょう。
投稿者:トラキチ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
初出“青春と読書”を加筆・修正。
宮下奈都さんの最新刊です。
よく男性を形容する言葉として“誠実な”人と言いますが、宮下さんの文章から類推するに“性別を超えて”誠実な人(女性)なんだなと感じますね。
読者として安心して向き合え、そして身を委ねられる作家というのはなかなか邂逅できないのですが、そういった数少ない作家だと言えそうです。
彼女の魅力はその文章から醸し出される“温かい眼差し”ですね。
本作においてもその温かい眼差しは如何なく発揮されていて、読者は堪能することが出来ます。
物語の冒頭で、主人公のあすわは婚約破棄されます。
いきなり大きなものを失ってしまい失意のどん底へ落ちちゃいます。
読者としたら何かあすわに欠点があるのではないかと思うのですね。
そこで自分を取り戻すために、個性的な叔母のロッカさんからの提案で“ドリフターズリスト”を作成します。
自分の今やりたいことを見つめなおしリスタートしたあすわ。
やはりリストを作ったことよりも、周りに励ましてくれる人がいるということがあすわを変えたのですね。
叔母の他には幼馴染、会社の同僚、そして弟などなど。
それに気がつくことによって再生が完了するのですね。
それにしてもタイトルにもある食べ物の描写が象徴的ですね。
やはり普段あんまりスポットライトの当たっていないというか身近なものを取り上げています。
そして何よりもロッカさんとあすわの会話が楽しいんですね。
特に引越してからの何気ない会話がクスッとさせられます。
少し総括すると、本作は男性読者が読むと身につまされることはないですが(笑)、性別・年齢を超えて“一日一日を懸命にそして後々に悔いることのないように生きなさい”と読者に教えてくれるような自分を見つめなおす機会を与えてくれる作品ですね。サブキャラの人たちが特に個性的であり、そのことにより、ヒロインの“平凡性がより強調されており共感度が高くなっている”ような気がします。
本作は読み終えて本を閉じるときに温かな気持にさせてくれます。そして婚約破棄した男性が後悔するであろうヒロインの成長に拍手を送らざるをえない気持ちになります。
素直な気持ちで手に取れる作家として宮下奈都さん、これからも目が離せません。
出来れば、サブキャラの人たちのサイドストーリーを書いてほしいですね(笑)
女性読者で未読の方は是非手に取ってほしいですね。
ちょっと落ち込んでる時に読まれたら自分自身を主人公に照らし合せることができます。
そう、本作は女性読者への作者からの心を込めた“応援物語”なのです。







