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ルポ貧困大国アメリカ 2

  • 出版社:岩波書店
  • サイズ:18cm/216p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-00-431225-3

ルポ貧困大国アメリカ 2 (岩波新書 新赤版)

堤 未果 (著)

  • 全体の評価 54件のユーザーレビュー
  • あなたの評価 この商品を評価して本棚に反映 評価しました! ×
  • 税込価格:75621pt
  • 発行年月:2010.1
  • 発送可能日:24時間
  • 新書

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商品説明- 「ルポ貧困大国アメリカ 2」

社会の貧困化が加速している、経済危機後のアメリカ。教育や年金、医療、刑務所までが商品化され、巨大マーケットに飲みこまれている。オバマ登場で状況は変わったのか。人々の肉声を通して、アメリカの今を活写する。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「ルポ貧困大国アメリカ 2」

堤 未果

略歴
〈堤未果〉東京生まれ。ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号取得。ジャーナリスト。「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」で黒田清・日本ジャーナリスト会議新人賞受賞。

関連キーワード- 「ルポ貧困大国アメリカ 2」

ユーザーレビュー- 「ルポ貧困大国アメリカ 2」

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6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/03/12 09:16

正統派ルポルタージュ

投稿者:Genpyon(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

前作と合わせ一気に読めてしまう文量ながら、丹念な取材を元に描き出す内容はしばらく後を引く重さで、本多勝一の「アメリカ合衆国」を髣髴とさせる正統派のルポルタージュである。

アメリカの新自由主義が金融のみならず教育・医療や果ては軍隊・刑務所までいきわたることによって生まれた非人間的な現状を、社会の矛盾はまず一番弱い階層に現れるとの視点から取材し、多くの例を報告している。

特に貧困者を対象としたビジネスに関しては、経済的な波に飲み込まれた人間はこんな非人間的なことまで考えつくのか、という感想を持たされる内容だ。本著では触れられていないが、アメリカでは宗教がこのような非人間性の歯止めになっていない、あるいは、アメリカ的なキリスト教解釈こそが新自由主義を生み出した、との話も聞く。

著者は、もちろんアメリカの現状も伝えたいだろうが、では翻って日本は・・・、というところが最も訴えたいところだろう。その訴えがきちんと届いているがゆえに、本著の後を引く重さがあるのだと思う。

アメリカが新自由主義で行く以上、また、新自由主義に相当程度の経済効果がある以上、日本もその波を被らざるをえない。ある程度その波をあえて被ったうえで、しかし、人間性を失わないような歯止めを設けるという戦略が、新自由主義を完全に拒否するよりも現実的な戦略となるのであろう。

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3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2011/04/30 10:08

米国の現実が日本の将来を暗示していなければいいが

投稿者:JOEL(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 世界の大国アメリカとはいえ、光と影があるには違いないと思っていたが、ここまでひどいとはさすがに予想しなかった。
 本書では、学資ローン、年金、医療保険制度、刑務所ビジネスの4つの視点からアメリカという国を切り取る。そして、そのいずれもが、言葉を失わせるほど惨憺たるありさまだ。

 学資ローンと刑務所ビジネスは、公的部門が後退し、民間部門が参入したことで悪化した。どちらも公的予算を軽減するために、その機能を民間部門にゆだねたのだ。
 この書評で、そのすさまじさを再現しようとしても、とうていかなわない。まるごと本書を読んだ方が早い。そんな気分になったのははじめてだ。

 学資ローンなど、極めて悪質な高利貸しである。どんどん債務が膨らんでいく。怖いのは、消費者保護法の対象からはずされているので、住宅ローンやカードローンのように自己破産しても免責されないことだ。

 学資ローン会社の子会社である債権回収機構から、毎日、電話や手紙による執拗な取り立てを受けるはめになる。公的奨学金が縮小し、学資ローンが変質したことを知らない親の世代は、こういうことが起きている実態もつかみ切れていない。日本へはなおさら伝わらない。それを掘り起こした著者の堤未果はすごい。

 ただ、本書が刊行されたのは2010年1月だが、米国議会は同年3月25日に教育ローン改革法案を可決している。本書にも出てくる学資ローン会社であるサリーメイは同法案に反対していたが、米国の良心がギリギリのところで、法改正を果たした。

 ひところ日本でも、規制緩和と民営化が盛んに言われた。その負の側面が、お手本であるはずの米国で一足先に極端な形で現実のものとなり、修正されることになった。米国の教育ローン改革法が成果を出しているのかどうか、まだ明らかでないが、適切な規制は必要なのだと思わざるをえない。やはり市場は万能ではないし、すべてをゆだねてしまってはいけない。

 このことは、刑務所ビジネスにもあてはまる。こちらは受刑者から搾り取れるだけ搾り取る。おそろしいほどの低賃金で受刑者をこき使う。日本でも刑務所経営に、部分的に民間参入が試みられているが、おかしなことになっていないか、よほどしっかり見ておかないといけない。

 医療保険制度に関しては、オバマ大統領が最後まで、懸命に議会への説得を続ける様が日本でも報道されていた。やはり本書刊行後の2010年3月に成立した医療改革法案は、当初期待されていたような公的皆保険制度ではない。民間の関与があるという点で、著者が描き出している問題点の解消には至らないかも知れない。

 本書が取り上げている教育、年金、医療、刑務所は、日本でも、現在の負担の仕組みでは、国や国民の負担が重い。そのため、ここまでひどくはならずとも、今後、同じ方向に向かう可能性がある。注意しておかないといけない。ひょっとしたら著者の鳴らす警鐘は、米国よりも日本に向けられているのかも知れない。

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11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/02/17 21:43

正編同様、文章構成に難があるのはなんとかならないのか。

投稿者:yukkiebeer(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る


◎アメリカ人のメンタリティの異常さについて知ることが出来る。
 政府が公的社会保障を手厚くするということがアメリカ人にとっては恐怖の社会主義化と映るようです。その硬直化した考えを捨てられない彼の国の人々に同情を禁じえません。
 また、貧富の差がこれだけ開いていても、企業経営者に巨額の報酬が平気で支払われ続けること、受け取る側もそれが当たり前だと思っていることに、行き過ぎた拝金主義を見て、ここにもまた彼我の大きな違いを感じないではいられません。
 制度疲労もさることながらこうしたメンタリティに起因する貧困社会は一朝一夕ではとても改変できないでしょう。

◎刑務所が産業化されて社会に大きなひずみを生んでいることを取材している。
 日本でも民間企業に刑務所運営が委託され始めています。アメリカの例がそのまま当てはまるかどうかは分かりませんが、インドなどへの国外アウトソーシングならぬ、刑務所への国内アウトソーシングが進んでいる、しかも受刑者という安い労働力を不当に搾取することで、健全な市場競争が妨げられているという事態について大変面白く、かつまたうすら寒い思いを感じながら読みました。

×構成にムリがあったり舌足らずなところがあったりする。
 第2章で年金の問題を取り上げていますが、65頁で著者はまず「アメリカでは、老後の生活を十分に保障することを前提とした公的年金制度は存在しない」と明示しています。
 それでいながら83頁で「給料から天引きされる公的年金しか持たない国民」がアメリカにいると記しています。そもそも受け取るべきお金である「公的年金」が「給料から天引きされる」という部分が意味不明ですし、とどのつまりアメリカに公的年金はあるのかないのかが分からないまま話が進んでしまっています。
 著者の記述の矛盾に編集者は気がつかなかったのでしょうか?

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10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/08/22 00:08

ルポ貧困大国アメリカ2

投稿者:hiro(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

軍事・経済両面の大国であり世界の中で最も豊かな国の一つだと思っていたアメリカ。「アメリカンドリーム」の言葉もあるように、夢が実現できる国というプラスのイメージを多くの人が抱いているのではないだろうか。もちろんベトナム戦争を始め、イラン戦争やアフガニスタン介入、銃犯罪の多さ等、ネガティブな報道に触れることも多いが、全てがバラ色というわけにはいかないのは、どこの国でも同じようなものだろう。
 「ルポ貧困大国アメリカ2」は、貧困というアメリカのマイナス面をリアルに浮かび上がらせたルポルタージュだ。前作からサブプライムローン問題やハリケーン被災者の救済問題、医療難民といったアメリカの抱える社会問題を、実際の被害者となっている低所得者層の人々の目線で報告し、貧困のもたらす様々な困窮を描いていた。当時のブッシュ政権はそうした弱者救済・福祉は切り捨て、戦争の拡大を推し進め、貧困層の更なる増大を招いていく。そして本作では、オバマ政権発足後のアメリカ社会を、教育と医療、刑務所問題等を中心にして、現在の貧困の様相をルポルタージュしている。アメリカの変革を願う多くの期待を背景に出発したオバマ政権だったと思うが、驚いたことに貧困問題がさらに加速していることが、本書を読むとよくわかる。特にリーマンショック以降の失業率の増加ということもあり、元々の貧困層に加え、中間層の人々に教育ローンや住宅ローン、医療保険が支払いきれなくなり破産する人々が増えているという。本来平均的な生活を送ることができる人々の層に、貧困が広がっているということらしい。一方、教育や医療、企業に有利な雇用形態といった貧困の直接的な原因となっている分野で莫大な利益を上げる企業は多くあるようで、つまりはそうした貧困が全て企業の利益に直接結びついているということだ。大企業が政治と堅く結びついて、本来は国の活力を生み出す原動力となるべき自国民から、絞り出すように利益をむさぼっている状況は、餌を全て食べ尽くしついには自らの尾に食らいついた蛇の姿を連想させる。自分の尾さえ食べ始めた、頭ばかり肥え太った蛇の姿。
 アメリカの貧困問題は、なりふり構わず利益を追い続ける資本主義経済の行き着く先を暗示するようで恐ろしい。

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