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大きな熊が来る前に、おやすみ。

  • 出版社:新潮社
  • サイズ:16cm/196p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-131481-5

大きな熊が来る前に、おやすみ。 (新潮文庫)

島本 理生 (著)

  • 全体の評価 3.52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:38010pt
  • 発行年月:2010.3
  • 発送可能日:7~21日

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商品説明- 「大きな熊が来る前に、おやすみ。」

きっかけは本当につまらないことだった。穏やかな暮らしを揺さぶった、彼の突然の暴力。それでも私は—。互いが抱える暗闇に惹かれあい、かすかな希望を求める二人を描く表題作。自分とは正反対の彼への憧れと、衝動的な憎しみを切り取る「クロコダイルの午睡」。戸惑いつつ始まった瑞々しい恋の物語、「猫と君のとなり」。恋愛によって知る孤独や不安、残酷さを繊細に掬い取る全三篇。【「BOOK」データベースの商品解説】

収録作品一覧- 「大きな熊が来る前に、おやすみ。」

大きな熊が来る前に、おやすみ。 7−68
クロコダイルの午睡 69−133
猫と君のとなり 135−188

ユーザーレビュー- 「大きな熊が来る前に、おやすみ。」

全体の評価
3.5
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3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/05/11 21:35

この短篇集は2年後に出版された『君が降る日』のような切ない恋愛模様を描いたものではないが、ある意味もっと身近でリアルでそして奥行きのある問題を読者に提起してくれていてハッとせざるをえない作品集ですね。そして印象的なのは文庫本の解説での名翻訳家の松永美穂さんの言葉です。なんとジュンパ・ラヒリやアリス・マンローなどの名手たちの系譜に連なる資質を備えていると語っている。ファンのひとりとして嬉しい限りです

投稿者:トラキチ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

“喧噪からは遠い、都会の室内劇。似たような場面が、人物の名前を変えてロンドンやニューヨークで繰り広げられているとしてもおかしくない。若い男女の気持ちの接近やすれ違いは普遍的なテーマだし、暴力にるトラウマの問題も、世界共通だろう。静かだけれどとても奥行きのある短編を書いている、アリス・マンローやジュンパ・ラヒリ、ドイツ語圏のユーディット・ヘルマンやインゲボルク・バッハマンなどの、文学の名手たちの名前が浮かんでくる。島本作品も、そんな名手たちの系譜に連なる資質を備えているのではないだろうか。”(文庫本解説より引用)

上記引用文は文庫本の解説文ですが、解説を書かれているのがドイツ人著名作家ベルンハルト・シュリンクの 『郎読者』を翻訳されている松永美穂さんの言葉である。
松永さんが島本さんの作品を読まれて解説を書かれていること自体、身近に感じられ嬉しいのであるが、さらに上記のお言葉、これは島本ファンの一人として本当にこれ以上の賛辞の言葉はないと思うのですね。

本作は他の島本王道恋愛作品とは違った趣の作品集である。
他の島本作品は今更説明するまでもないとは思いますが、たとえ叶わなくっても(叶わない方がいいのかもしれませんが)、恋愛の持つ切なさそして温もりを私たち読者にいろんな形で表してくれていますよね。
本作は私が想像するにちょっと悩んだ時期の島本さんかなと思ったりするのですね。

島本さんの内面を描く巧みさは群を抜いていると私は思うのですが、本作においては具体性を帯びた内面を描くことによって、恋愛の一歩手前というか、“生活感のある心の痛み”を読者に提示している。
本作の凄さはそうですねビターな島本理生なのですが、そのビターさも恋愛のそれじゃなくって人生のそれなのですね。

表題作は一番、読者との距離が近いんじゃないでしょうか。
たった一度のDVですが、許せるか許せないか。
普段が優しいだけに考えさせられますよね、これは。

そして印象的なのは「クロコダイルの午睡」の都築という男ですね。
無頓着というか無神経というか、そして主人公を言葉で傷つけます。
読んでてイライラするのですが、でも本人は決して悪意はないのですね、でも最後は本当に怖いです(笑)
これは主人公の弱さの表れなのでしょうが、一貫してこの作品集は弱い女性が多いですね。
他の島本作品は“弱い”というより“純粋な”というキャラが勝っていたような気がしますが。
そう考えると島本作品って奥が深いし、変化してますよね。

そしてラストの「猫と君のとなり」は少しマイルドなテイストとなっています。
志麻先輩と荻原君、しあわせになれればいいですよね。
胸を撫で下ろして本を閉じられた方も多いかも。

少し総括しますね。
他の島本作品が“切なさ≧重さ”であれば、本作は少なくとも最初の2編は“重さ≧切なさ”だといえそうです。
だから作品としての評価は分かれる作品であるような気がします。
実際私は2年後に上梓された『君が降る日』の方に完成度では軍配を上げたいと思います。

ただし本作は3編ともそれぞれに個性があり印象的ですよね。
島本さんがこういう作品を書けるのだと思われた方も多いかもしれません。
他の島本作品は胸を締め付けられるのですが、本作の特に最初の2編は他作にはない強烈さがあり、その強烈さを言葉で表してみると“決して結果としては辞めないのですが、途中で挫折しようかなという気持ちにさせられる稀有な作品集”と言えそうかなと思ったりします。
これは島本作品全般に言える、他の作家では味わえない“繊細さ”なのですが、その繊細さを超越して書かれた作品集だと言えそうです。
そしてここで使った“超越”という言葉なのですが、これが曲者で捉え方というか感じ方が読者によって違ってくるのでしょうね。

でも私たち読者は最後まで読みとおします。
そして島本理生の作品像がこの作品を読んだことによって、今まで以上にずっとずっと奥行きをもたらされたことに気づくのである。
そう、本作は島本理生にとってそして読者にとって“意義深い”作品集なのである。

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2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/03/25 17:41

酒井駒子さんの表紙にやられましたが・・・・・・。

投稿者:きゃべつちょうちょ(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

今回は、あら探しみたいになってしまうけれど
正直な感想を書きます。

みっつの恋愛短編集。
それぞれのお話のタイトルに動物が出てくるし、
モチーフになってもいる。
帯につけられた「恋をすることで向き合う、心の闇」
というコピーには納得したけれど・・・・・・。

二番目の「クロコダイルの午睡」は視点が新鮮。
他人との距離感みたいなものを、
恋人とか友人とかの関係ではなく
苦手な異性を通して描くというところが。
ただ、煮込まれた野菜が新鮮だったかどうかなんて
素人にわかるのだろうか。など、
細部に突っ込みを入れたくなるシーンが多分にある。

最後の「君と猫のとなり」がいちばんよかったと思うけれど
主人公が目を開けると突然告白されるという
冒頭の不自然さが最後までひっかかってしまった。

表題作に関しては物語のせつなさよりも
荒さが気になってしまった。
恋人の暴力が、幼児期に体験した父親の暴力と重なる、という
話なのだが、主人公が妊娠する展開があまりにも安易で
よくあるテレビドラマのワンシーンのようだった。
ラストのふたりの会話には、コントなのか?と、がくっと来てしまう。

全編を通して設定に無理が感じられて
話に浸ることができなかった。
読後感も暗い気持ちが残る。
まったく関係の無い個人的な闇まで
引き出してくれそうだ・・・・・・。

酒井駒子さんの素敵なイラストとタイトルのマッチングで
思わず手に取りたくなる、という巧さで
★はみっつ。



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