- 出版社:東京創元社
- レーベル:ミステリ・フロンティア
- サイズ:20cm/284p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-488-01759-0
叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)
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- 税込価格:1,680円(48pt)
- 発行年月:2010.2
- 発送可能日:24時間
- 本
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商品説明- 「叫びと祈り」
砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇…ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第五回ミステリーズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉千里に突き進む驚異の連作推理誕生。大型新人の鮮烈なデビュー作。【「BOOK」データベースの商品解説】
砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられる推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖をめぐる悲劇…。ひとりの青年が世界各国で遭遇する、数々の異様な謎。美しいラストまで突き進む連作推理。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧- 「叫びと祈り」
| 砂漠を走る船の道 | 5−58 | |
|---|---|---|
| 白い巨人 | 59−114 | |
| 凍れるルーシー | 115−169 |
著者紹介- 「叫びと祈り」
梓崎 優
- 略歴
- 〈梓崎優〉1983年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。2008年、短編「砂漠を走る船の道」でミステリーズ!新人賞を受賞。同作を第1話に据え連作化した「叫びと祈り」でデビュー。
書店員レビュー- 「叫びと祈り」

第五回『ミステリーズ...
ジュンク堂さん
第五回『ミステリーズ!』新人賞受賞作を含む、著者のデビュー作。
主人公「僕」こと斉木は雑誌の取材で世界をめぐる旅人。
読者である私と同じ、いわゆる日本で育った目線を持つ人物として、
存在します。
第一話の「砂漠を走る船の道」にて、ラクダと共にたった5人で
サハラ砂漠を旅するキャラバンとの出会いを皮切りに彼が日本と
深い隔たりを持つ社会に分け入ろうとするからこそ、
出会ってしまういくつかの衝撃的な事件。
善い悪いの判断をどこから繰り出せば正解なのか判断もつかなくなる
ような狭間の異界で、なんとか光を見ようとし苦闘する、その先の最終話。
著者の文章は、この異国の話に美しさと悲しさと、
少しの希望のリズムを与えているようです。
「砂漠の朝。風はほのかに砂塵を巻き上げ、そのとき、斉木は全てを理解した。」
(p.45 第一話「砂漠を走る船の道」より)
(webほんのしるべ「今日はこの本」2010年3月9日の本)

世界を旅する青年記者...
ジュンク堂書店福岡店さん
世界を旅する青年記者・斉木。
彼が各国で遭遇する不可思議な事件を中心に5つの短篇が収められたミステリ連作集です。
異国の地で旅人である斉木の目を通して語られる物語は、あまりに衝撃的で理不尽。読んでてつらくなるかもしれませんが、最後まであきらめず読んでほしい一冊。
きっと満足してもらえるはずです。
ジュンク堂書店 福岡店 M
ユーザーレビュー- 「叫びと祈り」
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/03/31 12:45
異文化から生まれるミステリー
投稿者:かつき(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
2008年、ミステリーズ!新人賞を受賞した
「沙漠を走る船の道」を読んでから
待ちわびていた著者です。
本書は、そのデビュー作を第1作とした連作短編ミステリー。
ミステリーとストーリーテリングのうまさ、
ロマンチシズムを織り込んだ叙情的な文章が印象的です。
なにしろ「沙漠を走る船の道」は沙漠を舞台にした
一種のクローズドサークル。
スケールが大きい。
短編の新人賞で、ここまで大きなものを持ってくるのは珍しい。
本書ではもう一つ、密室ものとして
風車に消えた女性を登場させます。(「白い巨人」)
ここではレコンキスタの伝説を引用し
ドラマチックに、よりミステリアスに仕上げます。
しかも結末はハッピーエンドなんですよ。
また「凍えるルーシー」では
南ロシアの修道院を舞台にした
250年間不朽の修道女の聖人認定です。
「叫び」では、古来からの風俗を守る
アマゾンの原住民部落を舞台にしています。
死亡率100%の伝染病のために起こる殺人事件。
バラエティに富んだ舞台設定を結ぶのは
世界情勢をレポートする雑誌記者の斉木。
語学に堪能な彼は、世界各地で、さまざまな風習や文化に触れ
そこから発生する殺人事件やミステリーに挑んでいきます。
「日本人の感覚ではわからない」という趣向も
好奇心を刺激されます。
どのミステリーもホワイダニット。
犯人がどうしてそのようなことをしたのかを丁寧に追っていきます。
難点を言えば、「叫び」の設定は納得いかない。
斉木にはもう少しタフでいてほしかった。
しかし、これが日本人の限界か。
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2010/09/08 19:11
全体として、島田荘司の匂いがしてしまうのが気になります。やはり安易に海外を舞台にするもんじゃないなあ、とも。でも、文章もいいし、謎解きもすっきりしているので、先が楽しみな人ではあります。ともかく、島田色からの脱却が一番の課題。
投稿者:みーちゃん(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩郷重力+WONDER WORKZ。の装幀がとてもいいミステリ・フロンティアの一冊です。今回は、ヨーロッパの建物の姿が、正面からきちんと撮られた写真がとても端正です。四六判仮フランス装ですが、同じフランス装でも最近、私はクレストブックよりミステリ・フロンティアのほうがいいんじゃないか、って思っています。その第一は、本文の紙質です。以前も書きましたが、クレストブックは一年も経つと小口が真っ黒に変色してしまいます。原書の殆どがこういう紙質なので、洋書慣れした人は抵抗感がないようですが、私はイヤ!
新潮社がいつも使っている本文紙や、このミステリ・フロンティアの紙のほうが変色しないし、同じ頁数なら本自体の厚さが薄くてすみます。それに、背中のデザインも最近では、シンプルなフロンティアのほうが好ましく思えてきました。ま、カバーの背の色自体はもう少し工夫があっていいかな、とは思いますが、悪くはありません。おなじミステリなら、私は文藝春秋の出していたミステリマスターズのデザインが好きだったんですが、もう新刊は出ないんですよね、あのシリーズ・・・
で、内容ですがカバー折り返しの言葉を写すと
*
砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人、スペインの風車の丘で繰り広げられ
る推理合戦、ロシアの修道院で勃発した列聖を巡る悲劇……ひとりの青年が世
界各国で遭遇する、数々の異様な謎。選考委員を驚嘆させた第五回ミステリー
ズ!新人賞受賞作「砂漠を走る船の道」を巻頭に据え、美しいラストまで一瀉
千里に突き進む驚異の連作推理誕生。大型新人の鮮烈なデビュー作!
*
となります。各話について初出と簡単な内容紹介をすると
・砂漠を走る船の道(〈ミステリーズ!〉vol.31):仕事でアフリカ大陸に広がる砂漠の真ん中に来ることになった斉木。参加したキャラバンを襲った連続殺人。長を殺したのは誰か、なぜ仲間たちは遺体にナイフを突き立てたのか・・・
・白い巨人(書き下ろし):「ごめんなさい。あなたとはもう会えないのです」といって、風車の中に入っていき、そのまま僕の前から姿を消したアヤコ。スペインの風車の丘で僕、斉木、ヨースケの間で繰り広げられる推理合戦・・・
・凍れるルーシー(〈ミステリーズ!〉vol.37):今から250年ほど昔に修道院で暮らし、その遺体は今も当時そのままと言われる不朽体となったリザヴェータ。その実地調査の場に立ち会うことになった斉木がロシアの修道院でみたものは・・・
・叫び(書き下ろし):斉木とアシュリーが向かった村では、住人の大半が病に倒れ死んでいた。生き残っていた人たちも高熱に脅かされる。アシュリーはエボラ出血熱ではないかと声を潜める。そして・・・
・祈り(書き下ろし):男は自分のことを森野といい、僕にゴア・ドアに行ったことがあるんじゃないかと質問し、なぜ、ゴア・ドアはゴア・ドアという名称なのか答えろ、答えられなければ罰ゲームをさせるという・・・
で、読んだときは、ああそうか、で終わりましたが、今こうして各話についてまとめてみると、謎は島田荘司ですね。無論、文章はもっとクールで、現代風ですが。特に宗教的なものを扱う「凍れるルーシー」なんて、島田流というかアクロバチック。それと「叫び」です。島田も様々な小説で、難病、奇病を扱うことがありますが、それを思い出します。「祈り」の謎解きにしても現在島田が書きつづけている Classical Fantasy の第二部を思わせる。
ただし、です。似ていることが悪いとは思いません。私は評価したい。特に、それらが連作となった時の纏まりのよさは立派です。東京創元社のHPでも、ずいぶん大きく扱われていたと思いますが、それがよくわかります。あとは、いかにして謎から島田臭を消していくか、でしょう。論理的な構築はしっかりしているし、文章も悪くないので、かなり早くそれも達成できそうな気がします。とりあえず、正統派の新人の誕生を祝っておきます。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2011/05/13 21:39
玉石混交の発展途上連作集。
投稿者:たけぞう(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る
2008年のミステリーズ!新人賞受賞作を含む。受賞後、文芸誌への寄稿と書き下ろしを含めて発行となっている。
「砂漠を走る船の道」「白い巨人」「凍れるルーシー」「叫び」「祈り」の五編からなる。受賞作である「砂漠を走る船の道」が抜群に面白かった。書評を残そうと決めたきっかけとなった。
斉木は外国の秘境とでもいうところを取材して回っている。雑誌関係の仕事なのだが、おそらくライターという設定なんだろう。第一話はアフリカ大陸の中央部にあるサハラ砂漠で、ラクダのキャラバン隊と共に旅をしている話だ。斉木を入れて五人の編成である。
砂漠の船とはラクダのこと。揺れ揺られて砂の海を進んでいく。キャラバン隊は砂漠の宝である塩の交易で生計を立てている。キャラバンの旅の雰囲気と男たちの優しさに好感を持った。情感のこもった文章表現がすばらしい。新人とはとても思えない品質に仕上がっていると思う。
事件が突然起こった。ひとりの死をきっかけに次々と起こる殺人事件。砂漠のまっただなかという状況で犯人と動機が明らかにされていく。前半の大きなうねりのような時間から始まり、後半のパタパタと音を立てる事件の展開。緩急が効いていてかなり引き込まれる。五十二ページの小品ながら、ここまで書けるのかと正直言ってかなり驚いた。今後も期待できる予感がする。
本連作集は、残念なことに二話目、三話目とトリックの粗さや非現実的な部分が見え隠れしている。表題作である「叫び」「祈り」の書き下ろし二品では、破綻してしまったと評してよいだろう。卓抜した文章力があるだけに原点に立ち返れば大丈夫だと思う。申し訳ないが、本の評価としては総合的に見て星三つにした。本当に申し訳ないけれど。







