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こんな日弁連に誰がした?

  • 出版社:平凡社
  • サイズ:18cm/246p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-582-85509-8

こんな日弁連に誰がした? (平凡社新書)

小林 正啓 (著)

  • 全体の評価 52件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:79822pt
  • 発行年月:2010.2
  • 発送可能日:7~21日
  • 新書

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商品説明- 「こんな日弁連に誰がした?」

弁護士の大増員を決めても仕事は全く増えず、法科大学院を出ても司法試験に受かるのは一部のみ。なぜ、こんなちぐはぐなことになってしまったのか? 骨肉の闘いだった法曹の戦後史をひもとき、「日弁連の姿」を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介- 「こんな日弁連に誰がした?」

小林 正啓

略歴
〈小林正啓〉1962年青森県生まれ。東北大学法学部卒業。弁護士。花水木法律事務所創設。一般民事事件、次世代ロボットの安全性問題、食の安全性問題等に取り組む。共著に「ネットワークロボット」など。

ユーザーレビュー- 「こんな日弁連に誰がした?」

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13人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/02/25 11:21

またしても「諸悪の根源は全共闘」という私の命題が証明されてしまった。本書は全共闘世代の左翼のおじさんが、勝手に舞い上がって、勝手に暴走し、矢口洪一と言うずば抜けた頭脳を持った裁判官が仕掛けた罠にはまり、手練手管にたけた文部官僚・大学関係者に弄ばれたあげく「いいとこどり」され、本来死守すべき「弁護士業の高収益の源泉であるところの定員管理」をあっさり放棄させられ全面敗北を喫した敗戦の物語である。

投稿者:塩津計(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

今、弁護士は余り始めている。かつて500人程度しか合格できなかった日本国における最難関試験であった司法試験。その合格者がいまや2000人前後まで膨れ上がり、計画では3000人にまで増やすんだという。かつて司法試験合格は「人生のプラチナチケット」と言われ、合格の暁にはバラ色の人生が保証されていた。だからバラ色の人生を目指して5年も6年も試験浪人するのが当たり前だった。しかし、これには弊害もあって、長年司法試験の受験勉強ばかりしていると世間の常識と懸け離れた人間ばかりが司法関係者になり、裁判官も弁護士も検事も「変な奴」ばかりになるという批判が起きて、この日本最難関試験は大改革がなされた。アメリカのロースクールを手本に法学部を卒業後(法学部以外でも可)、ロースクルールと言う名の大学院でみっちり勉強し、卒業後は7割から8割の確率で司法試験に合格できるよう制度を変えたのである。ここまでは、まあ、良しとしよう。問題は、この話が出た途端、ロースクールを設立する大学が全国的にわっと出て、気がついたら総定員が5千人を超える状態になってしまったのだ。だからその全部について7割から8割も合格させていたら司法試験合格者は3千人どころか4千人にもなってしまう。

どうしてこういうことが起きたのか。結論を言えば弁護士の団体たる日弁連の連中が世間知らずのバカの集まりで、世間知らずだったからである。少子化で大学経営の将来に危機感を募らせていた文部科学省と大学関係者はロースクール構想に飛びついた。彼らにとって司法試験合格者が急増し、その結果、試験合格者の将来がどうなるかは「知ったことではない」話で、そんなの「日弁連内で、よく話し合ってくれ」という程度のものだった。大学も文部科学省も「大事なのは己の将来」だけだったのである。

その結果、何が起きたか。冒頭に述べたとおり、弁護士が余り始めたのである。かつて自分の事務所を持てず、他人の事務所に就職する弁護士を「居候弁護士(イソ弁)」といった。それでも彼らは給料をもらえたからまだ良い。今やイソ弁にすらなれない無給の「軒先弁護士(ノキ弁、無給だが事務所には出勤できる)」、事務所への出勤も許されず携帯電話番号のみを事務所に登録し忙しいときのヘルプとして利用される「携帯弁護士」が続出する有様なのだ。

こうなることは初めからわかっていた。解っていたにも関わらず、弁護士業界の利益を代表するはずの日弁連が率先してロースクール構想の推進役を買って出て、弁護士業界そのものを、その根底から破壊してしまった。その様子を著者は、初めから負けることが解っているアメリカとの戦争に歓喜の声を上げつつ突入していって原爆を二発も食らったあげく、日本全土を焦土とした戦前の日本軍部と二重写しになると評している。

どうしてそうなったのか。理由は日弁連を牛耳っていた連中が、揃いも揃って視野狭窄で不寛容な左翼イデオロギーの虜となっていた全共闘世代によって占められていたからと著者は喝破する。日弁連を牛耳っていた左翼が何を考えており、何を狙って彼らは敢えて弁護士大増員を受け入れるという賭けに出たのか。その理由は彼ら左翼独特の「世界観」にある。彼ら左翼は「国家、政府、官僚組織は常に民衆の敵である」という前提からスタートする。彼ら左翼にとって検察組織はもちろん裁判所さえが「資本家の手先」であり「民衆の敵」となる。民主主義国家においては、政府は民衆による選挙に選ばれた国会議員で構成されるのであって、その民衆の代表で構成される政府がどうして「民衆の敵」になるのか理解できないが、そう強く思い込んでしまうところが左翼の特徴である。そして彼ら左翼の最大の願いは民衆を支配する検察庁、裁判所を解体することで、日弁連に巣食う左翼弁護士は現状を打破し司法権力を左翼弁護士で占領することを可能にする「法曹一元化(検察官も裁判官も全部日弁連の推薦を受けた弁護士によって構成する)」に全てを託すのである。

日弁連は「国家による司法支配体制を打破する法曹一元化」に文字通り熱狂する。しかし、その熱狂の中で、左翼は、ある重要な「事実」を見落としていた。それは「弁護士に比べ遥かに収入が低く業務もしんどい裁判官や検察官に、人生の油が乗り始めた30代で、事務所を閉鎖し事務員を解雇してまで転職したがる人がいるのか」という命題である。そもそも従来の司法試験合格者でも裁判官や検察官を志望する合格者は非常に少なく、かつその人数は年を追うごとに減少する傾向にあった。これを何とかしなければという思いは裁判所も検察庁ももっていた。理由は簡単で生涯収入が圧倒的に弁護士のほうが多いからだ。人は霞を食って生きているわけではない。西郷隆盛みたいに「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人」など世の中にほとんどいない。ところが頭に血が上った左翼には、これが理解できなかった。司法試験合格者は全員正義実現の志で燃えており、「司法権力を国家権力から解放出来るなら、生活や収入など二の次三の次」と全員が思うと思っていたのだ。本書でも引用されている辻公雄弁護士は「弁護士は全員が確実に正義の味方であり、自己犠牲をいとわず、必ず正義人権のために働く」という左翼特有の神話を「社会正義没頭論」と名付け、「一種の超人思想」と皮肉っている。ただ、ここで私は思うのである。我々はこの超人思想がなんと好きなことか。自分で出来もしないモラルや行動を我々は政治家、弁護士、警察官、自衛官、公務員に少し求めすぎていないか。彼らとて同じ日本で生まれ育った隣人である。その彼らに我々が安易に期待する高い理想をすべて押し付けたら、我が日本列島は超人で溢れかえることになるだろう。

ここで矢口洪一に登場してもらう。彼は最高裁判所長官を務めたエリート裁判官であり在任中、政治運動を司法に持ち込もうとする左翼裁判官を根こそぎにした保守反動の権化みたいに左翼弁護士から見られていた人物である。その矢口が退官後、法曹一元化を擁護し始めたのだから左翼が熱狂しないわけがない。しかし本書によると矢口はすべてを見通していたのだ。美味しい人生をなげうって、わざわざ見入りの少ない裁判官に転職したがる弁護士など法曹一元化したって出てくるはずのないということを。そして法曹一元化を実現するためには裁判官の処遇を政治家並みに飛躍的に高め老後の保障も議員年金なみに引き上げるしかないということを。ところが日弁連の左翼は「矢口が思っていたほど頭が良くなく」裁判官報酬の問題には最後まで触れず仕舞いだった。左翼は最後の最後まで「超人思想」の虜になっていたのである。

もっとも、そう心配する必要は無いかもしれない。確かに余る弁護士は出るだろう。需要を無視して供給を増やせば弁護士が余るのは道理である。でも、必要とされる弁護士が日本からいなくなるわけではない。優秀な頭脳を持つ弁護士に対する需要は日本列島に永遠に存在する。このことを忘れるととんでもない勘違いをすることになる。

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4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/02/19 15:13

弁護士の内幕

投稿者:みらくる(男性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本が近代国家の形をなしてから、
もう140年くらいになるが、
そのきしみが、いたるところに現われている。

この本が描いたのは、
それよりももっと短い歴史(戦後から現代)しかない、
日弁連の歴史だが、冷戦や高度経済成長、そしてバブルと、
日本人がたどってきた政治、経済の歴史が、
どんなふうに弁護士会に影響をあたえてきたのかが、
一読でわかる本だ。

まず、エリート中のエリートといっていい、
弁護士ですら、ここ数年は就職口すらなくなっている、
という事実がある。
そして、そこにいたるまでの
弁護士会と最高裁判所の相克、そこに政治がからんで、
おとずれた結末のひとつとして、「食えない弁護士」
という問題が現われてくる。

とにかく、
どんなに賢い人であっても、
内向きの理屈(変化を拒否するような)を並べ始めた段階で、
もはやすでに、頭が悪い人になってしまう、
そんなことがよくわかった。

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