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紙の本
やってられない月曜日 (新潮文庫)
著者 柴田 よしき (著)
高遠寧々、二十八歳、経理部勤務、就職氷河期のコネ入社が引け目—。勤め先は一応大手の出版社、彼氏はいなくても、気の合う仲間もいるし、趣味もあるし、一人暮らしも満喫中。だから...
やってられない月曜日 (新潮文庫)
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商品説明
高遠寧々、二十八歳、経理部勤務、就職氷河期のコネ入社が引け目—。勤め先は一応大手の出版社、彼氏はいなくても、気の合う仲間もいるし、趣味もあるし、一人暮らしも満喫中。だから辞める気なんか少しもない。けど、職場にあるのは伝票の山と経費のゴマカシとパワハラと不倫…、はっきり言って、不満だらけです!働く女性のリアルな日常と本音を描いたワーキングガール・ストーリー。【「BOOK」データベースの商品解説】
収録作品一覧
やってられない月曜日 | 7−55 | |
---|---|---|
誰にもないしょの火曜日 | 57−108 | |
とびきりさびしい水曜日 | 109−154 |
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紙の本
一見平凡に見える人々の内面にヒッソリと潜む秘密を覗き見する様なワクワク感
2010/10/30 14:37
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぜのぱす - この投稿者のレビュー一覧を見る
柴田 よしきは、これ迄読んだことがなかった、或いは、大昔に数冊読んだことがあるかもしれない(がスッカリ忘れている)、要するに、普段は私には馴染みがない作家であった。最近(と云っても数年の単位であるから結構長い・笑)、一定の限られた作家の本しか読んでいないので、少し違う作家にも目を向けようと、名前だけは知っていて、ミステリィ作家だと認識していた(そう、ミステリィが好きなのである) 柴田 よしきの作品を買ってみたのが、今回読んだ本、『やってられない月曜日』である。
途中、ふたつ程、勘違いに気付く。
ひとつは、柴田 よしきが、男性だと思っていたこと(笑)。そして、本作はミステリィではなかった。
しかし、この勘違いは、マイナス要因ではなく、むしろ、良い意味で(無意識の)期待が裏切れられて、得した気分である。
タイトルから察せられる様に、物語は、『やってられない月曜日』から始まり、『誰にもないしょの火曜日』、『とびきりさびしい水曜日』、『甘くてしょっぱい木曜日』、『それでもうれしい金曜日』、『命かけます、週末です。』、『またまた、やってられない月曜日〜エピローグ』と続いて行く。あ、かと云って、たった一週間の話ではないですよ。
主人公は、百舌鳥 弥々(もず やや)、大手出版社の経理部に勤めるOL(と云う言葉は死語かな?)であるが、コネで入社した為に、引け目を感じつつも、それが故に仕事には熱心に取り組んでいる・・と、粗筋を説明しても、本書の魅力を伝えることは(私の筆力では)出来ない。
身も蓋もない云い方をすれば、『平凡な』主人公の日常を書いただけ、なのであるが、読者は、一見平凡に見える人々(=登場人物達)の内面にヒッソリと潜む秘密を、誤解を恐れずに云えば、こっそり覗き見する様なワクワク感を体験出来る。しかし、解説の井坂 聡がいみじくも書いている様に、『もちろん本書が、そんなオトコの覗き見願望を満たすための』ものではない。人間の持つ内面の複雑さを描き乍ら、重々しくなることはなく、逆に、実に軽いタッチで、サラリと書き上げられているが故に、そう感じるのであって、其処に作家の力量を感じる。
先に『本作はミステリィではなかった』と述べたが、実は、作中の至る所に、ミスティの匂いが感じられ(実際に事件も起きるのであるが)、作者がその気になれば、恐らく、本作全体が、もっと大きなミステリィ作品中のエピソードとなるような大作を書くことも可能なのではないだろうか。
紙の本
やってられない、けれど、行かなきゃならない会社生活。
2010/09/06 21:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんてすばらしいタイトルなんでしょう。サラリーマンたるもの、範としなければならない言葉です、などと思っていたら、実は働く女性の物語でした。『ワーキングガールウォーズ』につづく、著者2作目の働く女性もの、です。
主人公は、ある大手出版社の経理部で働く28歳の女性。なぜだか、コネ入社であることに引け目を感じていることが再三出てきます。その大手出版社とは、最近になって社屋を高層建築にしたとか・・・、ってこれ、そのままK談社のことじゃないですか? 本書の発行元は、おそらく5階建てのS潮社のはずですが。
「やってられない月曜日」「誰にもないしょの火曜日」「とびきりさびしい水曜日」・・・といった具合に各曜日にひっかけて、読み切りのストーリーがテンポよく進んでいきます。特に社内の友人・弥々との会話は楽しいです。ストーリを進めるキーにもなっています。主人公の趣味は模型づくりだそうで、社内の風景も丁寧に描いています。なにせ、会社全部を人を含めて模型にしてしまおう、という企てをもってしまったのですから。
こうしたテンポの良さから、つい明るく楽しく読み進めてしまえますが、不倫や自殺、パワハラといった会社生活の陰の部分も扱っています。いや、実はそちらのほうが中心といってもよいかもしれません。著者はミステリー小説が中心だそうですが、本書も「人の内面」という謎を扱っているミステリーと言ってもよいでしょう。その意味で、実は会社生活の重たいテーマを扱っている小説です。その点では、前作『ワーキングガールウォーズ』より直球勝負かもしれません。
ところで、主人公の名前は高遠寧々(ねね)。本人は、この名前がどうも気に入らないらしく、名前の由来を何度か親に問いつめたそうです。そのときに「父親がそういう気分だった」ということになってますが、年齢から逆算して考えると、おそらくその父親は「おんな太閤記」を見て感動してしまったからなのではないでしょうか。