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英国版ゲシュタポである監視隊《ザ・ウォッチ》の隊長となったカーマイケル。彼はロイストンの娘エルヴィラの後見人となっていた。遜色ない学歴と後見人を持ちながら、彼女はその生い立ちから社交界になかなか受け入れられない。友人ベッツィの手助けもあり、ようやく社交界にデビューすることになっていたのだが・・・
いよいよ三部作の完結編。弱みを握られたことで制約にがんじがらめにされていたカーマイケルが権力者と全面対決、といったところ。『暗殺のハムレット』から10年、思いもかけないことから影での顔を知られてしまった彼が迫りくる敵の手をすりぬけていく終盤は、手に汗握るスリリングな展開です。
心ならずも監視隊の隊長という、いわば権力の象徴のひとつのような立場になってしまったカーマイケルですが、その影ではちゃんと彼らしさを出していることがわかり、読者を安心させてくれます。一方で、彼が追い詰められて行く姿からは、作者が作品にかなりドラマチックな展開を要求していることが感じ取れます。それと同時に、ここまで彼が痛めつけられるということで、ノーマンビー政権下の英国の惨状を映し出すことに成功しています。
一作ごとに変わるヒロインは、今回はカーマイケルの元部下にあたるロイストンの遺児エルヴィラです。彼女がパレードを楽しむ姿を通して、ファシズムが英国にごく一般的に浸透している様を描き出しています。彼女の行動力と楽観的な性格は、ともすれば陰鬱で悲劇的になりがちなこの物語の陽の部分を担い、バランスをとっています。もちろん、彼女の役割はそれだけではありません。ストーリー上でかなり重要な役割を担うわけですが、それは読んでのお楽しみということで。
エンターテインメントに徹するような表現要素で物語を組み立てながら、きっちりと政治問題や人種差別など社会派な面も盛り込んだあたりに、作者の設定の巧さを感じました。帯に書かれた《オールタイムベスト級》という言葉は誇張ではない傑作です。
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ファージング3部作の最終巻。
読後感、良かったです!
第二次大戦中にイギリスがドイツと講和したという設定の歴史改変物。
この作品では、1960年。
最初の事件で、警官の遺児となったエルヴィラが18歳になっています。
当時は警部補だったピーター・カーマイケルが引き取って育てました。
ザ・ウォッチと呼ばれる監視隊隊長となっているカーマイケル。
これはイギリス版のゲシュタポのようなもの。
首相に弱みを握られて、心ならずも公務を執行する一方、影の監視隊を組織して、アイルランドに人々を逃がしていました。
エルヴィラは、女子の名門校からの親友ベッツィと1年間スイスのお嬢様学校へ行き、これから社交界にデビューする所。
お嬢様達はそのまま結婚を目指すのですが、ベッツィのたっての頼みに付き合うだけのエルヴィラにその気はない。
もとは庶民の出で、後見人は特殊な地位にあるけれど、大金持ちというわけでもない微妙な立場。
エルヴィラは秋にはオックスフォードへ行くことになっています。
素直に育っていて頭もいいけれど、政治的には学校でもこれといって習わず、カーマイケルの仕事のことも何も知らない。
ところが、パレードを見物に行ったことから思わぬ騒動に巻き込まれて、逮捕されてしまい・…・!
スリルだけでは片付かない恐怖感がありますが、希望と勇気の物語です。
作者はイギリス生まれですがカナダ移住。
ブレア政権の時に憤りにかられてシリーズを書き始めた由。
楽天的と自ら言っているとか。
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カーマイケルはエルヴィラを取り戻そうとするのだが、このカーマイケルの綱渡り的な行動と、エルヴィラがいつカーマイケルの弱みを吐いてしまうかの両方にハラハラして面白かった。
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作者が女性だからでしょうか?最終巻は、以下の歌の通りです。
ママ:Vibrastone(抜粋)
お嬢さん、いつまで遊んでくれんの?
目一杯おしゃれしてるギャル、Tバックギャル、がんばっててくれぇ。
体型キープするんだって大変。人知れずのシェイプアップ。
ポジティブだよ、かなりの。
少なくとも、そこらのヘナチョコにいちゃんよか全然前向きなのに
「冗談じゃないぜ」と俺ゃ云いたいよ。
君達のエナジー、それこそこの国を救うリーサルウエポン!
スッポンポンでニッポンを救え、一本抜いとくれってなもんだよ
お立ち台に載る勇気 外人と結婚しちゃう勇気、AVに出演しちゃう勇気
そのパワーの源にスポットライト!
ママ、ママ、太っ腹。お腹ん中どーなってんのか見せて
ママ、ママ、すでに小学生にしてもう、おままごとしてる時だって色っぽいママ。
世のなか間違ってるかどうか、そんなこた後々落ち着いた時にボチボチ考えるとしてだ、
一個言えることがありますか?
戦争したり環境破壊したり、大っきな悪いこと仕切ってるのはどっちかっていったらほとんどオトコ。
無論例外はあるんだろうけど
もお全部オンナの人にまかせたら、今よかなんとなく平和になりそな気がするのは私だけでしょうか?
母なる大地って云うぐらいだし
ママチャリに乗る元気、ママさんバレーやる元気、ママさんコーラスやる元気
そのパワーの源にスポットライト!
ママ、ママ、太っ腹。お腹ん中どーなってんのか見せて
ママ、ママ、すでに小学生にしてもう、おままごとしてる時だっていっぱしのママ。
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ルーシー、ヴァイオラに続き、
本作での語り手があのエルヴィラなのにまずニヤリ。
ファージング 3 部作完結編である。
ファシズム政権と、
それを由としない英国版ゲシュタポ・ザ・ウオッチ(監視隊)隊長カーマイケル達の攻防。
ハラハラしどうしのスリリングな展開。
ラストは盛り上がったねぇ。
でもそこで終わって良かったのか?
まだまだ書いて欲しい事が…、ちょっと気になる。
3 部作通しで、素晴らしく面白い作品であった。
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ナチスドイツの勝利で大戦が終わり、ファシズムが定着したイギリス。
治安維持隊の隊長の身分の影で密かに無実の人々を救うカーマイケルにファシズム政治の手が伸びる…。
ファージング最終作品。
1部と2部で出てきたキャラクタが思いがけない形で登場する。
華やかなデビュタントのあれこれと、どうにもダークなファシズムのあれこれが同時進行していくあたり、人々がどちらもを日常として受け入れている描写がちょっと怖い。
結構重要なはずの登場人物が簡単に死んでしまったり、で、あの人はどうなったの?な疑問もあったりするけど、おおむね楽しめた。
しかしやっぱり最後はあの方が〆るのねー。イギリスらしいっちゃあらしいか。
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面白かった!! 1冊目よりも2冊目、2冊目よりも3冊目とどんどん読み応えが出てきて、最初のうちは今一乗り切れなかったのが、最後は一気。
1冊目では余り活かされていると私には感じ取れなかった舞台装置が、この3冊目ではこれでもかというくらいに活きていて、この世界での他の国々の話が是非読みたくなった。
この設定をイギリス国内だけの話で終わらせてしまうなんて勿体なさ過ぎる。
そしてBBC辺りが映像化してくれないだろうか。映画だと尺が短過ぎるので、1冊を1シーズン、それぞれ2クールくらいの連続ドラマで。是非。
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最終巻。今回は一番ハラハラドキドキさせられた。また、これまでに登場した人物のその後も語られていて、物語の世界の奥行きを感じた。もう一度最初から読み直して見たいと思わせるシリーズだと思う。面白かった。
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社交界デビューの話がおもしろかった。そういう女の子っぽい話と、ファシズムが迫ってくる社会の話や追いつめられていくカーマイケル刑事の話が組み合わさっているところが、不思議な感じ。ヒロインが活躍するラストのほうなんてちょっとファンタジーめいた感じすらした。魅力的だと思うけど。以下ちょっとネタバレかも。(ずっと下に書きます)。ラストが意外にあっけないと思ったのはわたしだけ??どんどん状況は悪くなっていって、これはアンハッピーエンドのまま終わるかも、と思ったりしたので。女王に訴えるだけですべて解決してしまったような。まあ、無事女王に謁見できるかどうかハラハラしたけれども。そしてうまくいって本当によかったと思ったのだけれど。イギリスの女王って本当に愛されてるんだなーとか。
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『ファージング』3部作の終曲。パラレルワールドではモスクワとマイアミに原爆が投下されており、ソビエト・ロシアの崩壊によるユーラシア大陸の空白化、ナチス・ドイツと大日本帝国の台頭、アメリカ合衆国の内部分裂と、PCゲーム『シヴィライゼーション』をやり込んだあとのように世界は混沌としている。イギリスは1960年に突入しており、「ファージング・セット」が長期政権を築いており、国内での強制収容所建設を計画するなど完全にファッショ化している。スコットランドヤードの捜査官として活躍していたカーマイケルは秘密警察を指揮しており、国民を強権的な監視下に置く傍ら、ユダヤ人をアイルランドに逃がす地下活動を組織的に行っている。物語は亡き部下の忘れ形見の少女がひょんなことで反政府デモに関与したかどで逮捕されることで流動化する。僕らはあいまいで混沌として日常生活に意味を与えることで、すなわち白黒つけることで、物事を判断しているわけだが、キレイに腑分けすることは難しい。「有効性」という尺度を持ち出すことも可能だが、時がたてば価値など流動化するものだ。『バッキンガムの光芒』は「正常」な状態がいかに危ういものか見事に指摘している。カーマイケルは癌細胞のように組織に潜行し、政権のテーゼと完全に矛盾する行動を取れる。少女は帝国陸軍の専売特許だった「帷幄上奏」さながらにある女性に直接懇願する。コミンテルンの「細胞」だった外交官はやがて自分の考えで正しい行いをしようとする。僕らは資本主義と官僚主義に絡め取られて汲々と息をしているわけだが、より良く生活することを放棄してはならない。「意志の力」を素直に信じることのできるラストは感動。
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在るべくように納まったな~って感じ。そして舞台がイギリスだから(?)締めるのはやっぱりあのお方。もうちょっと出番があるのかなあと思ってた人がそれほどでもなかったりして、その辺が不満といえば不満。でも読み終えてからももう一度読もうかなと久々に思えたシリーズ。
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3部作完結編ですが、一番話がすべっている。エルヴィラを聡明だといっている割に、行動が愚か過ぎてイライラさせられる。女王陛下に進言すればそんなにあっさり世界は変わるのか?
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ファージング3部作の3作目。2作目から10年後の世界。1、2作目の登場人物がちらり、ちらりとは出てくるが、欲を言えばもう少し絡みがほしかった。話としては少し強引?相変わらずラストがあっけない気がする。全体的にはまずまず面白かった。
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ファージング三部作、第三巻。ミステリー、ファンタジー、SFにまたがる作品。
今度は作中で10年が経過。なるほど、彼女は彼の被後見人になったのか。
エルヴィラの無知さ(?)については、せっかくカーマイケルに育てられてるのに、と拍子抜けしつつ、でもそういうところから離して育てたのであったな。この時代にそういう階級の中で生きることは、そうなってもおかしくなく。改めて、人種偏見や階級意識などは、本人の資質だけで生まれるものではないなあ、と実感する。
ラストはようやく、ようやく、といった気持ちでいっぱいになりつつも、もう少し書き込んでほしかった思いもあり。でも大好きな女王というラスボスが出てこられたのと、これ以上はヤボというのが英国流なのかもね。
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ううーん、この終わり方はどうなんだろう。英国的階級社会への痛烈な批判でもあると思って読んできたのだけど…。紹介文にある通り「怒濤の完結編」ではあるんだけど…。バタバタと終わっちゃった感じで残念。