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シズコさん

  • 出版社:新潮社
  • サイズ:16cm/248p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-135415-6

シズコさん (新潮文庫)

佐野 洋子 (著)

  • 全体の評価 53件のユーザーレビュー
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  • 税込価格:42012pt
  • 発行年月:2010.10
  • 発送可能日:24時間

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商品説明- 「シズコさん」

四歳の頃、つなごうとした手をふりはらわれた時から、母と私のきつい関係がはじまった。終戦後、五人の子を抱えて中国から引き揚げ、その後三人の子を亡くした母。父の死後、女手一つで家を建て、子供を大学までやったたくましい母。それでも私は母が嫌いだった。やがて老いた母に呆けのきざしが—。母を愛せなかった自責、母を見捨てた罪悪感、そして訪れたゆるしを見つめる物語。【「BOOK」データベースの商品解説】

書店員レビュー- 「シズコさん」

ジュンク堂書店広島駅前店

みなさんにとって、お...

ジュンク堂書店広島駅前店さん

みなさんにとって、お母さんの存在とはどういうものでしょうか。
この本は、そのことを考えずにはいられません。
人それぞれ、母と子の関係性はあるはず。今の関係に満足している人も満足していない人も、絶対に読むべきこの本。
著者は長い間、自身の母親に対して良い感情をもっていませんでした。母の晩年、呆けの兆しがみえたときにようやく歩み寄り、やっと素直になることができます。
普段は感謝の気持ち、なかなか伝えられないもの。この本を読んだからといってそう簡単に素直になれるわけでもありません。ただ、その感謝の気持ちを大切にして、いつかは伝えよう、という気持ちを持つことができるということは確かです。
あらたな感情が読後のみなさんを包み込むことと思います。

文芸・文庫担当 石田

ユーザーレビュー- 「シズコさん」

全体の評価
5.0
評価内訳 全て(3件)
★★★★★(3件)
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★★★☆☆(0件)
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10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/09/28 12:44

佐野さんの生きざまを通して、本当に大切なことをしみじみと教えられた

投稿者:Dolly-the-Cat(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 佐野さんの子ども時代から母親の「シズコさん」をみとるまでの約六十年が、赤裸々に綴られている。どのページにも胸にずしんとくる言葉と、涙まじりの笑いが盛り込まれていて、何度ため息をもらしたことか。
 この本で気づいたことは三つ。一つは佐野家の歴史や事件がわかり、それまで今一つ謎だったエッセイの意味が、ほぼ解明されたこと。二つめは、母に対してラブ&ヘイトの感情を抱きつつ、葛藤している娘はこの世にごまんといる、という真実。そして、三つめは、日本絵本界の最高傑作の一つ『100万回生きたねこ』で佐野さんは「だいきらい」という、およそ絵本には似つかわしくない言葉を連発しているけれど、そのパワーの源がわかったような気がしたこと……。
 母娘の葛藤は、施設に入った母の老いが進めば進むほど、ますますリアルに迫ってくる。まるで、自分の未来を見せられているようだ。また、幼年期に兄と弟を失ったというエピソードにも、胸が痛んだ。戦後の混乱期とはいえ、年のあまり違わない兄と弟を立て続けに失うというのは、幼い佐野さんにとってどんなにダメージだったろう。それに、佐野さんの、おおらかで温かい人生観の裏には、障害を持つ親戚の存在があったのかもしれない、とも気づかされた。
 「母を好きになれないという自責の念から解放されたことはなかった」こんなに重いことを文字にしてしまう佐野さん。そして、最後には「そちら側に……すぐ行くからね」と結んでいる……。「家族とは、非情な集団である」「少しずつ狂人の人が、ふつうなのだ」誰もがどこかで感じているのに、誰も教えてくれなかったことを語って、多くの人を救ってくれたのだから、佐野さんにはまだまだ行かないでもらいたい。そう祈らずにいられない。

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6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/11/28 10:06

母さんの小さな手

投稿者:サムシングブルー(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

わたしにも母がいる。そしてわたしも母親になり、母のことを一人の女性として理解できるようになってきました。

佐野洋子さんは昭和13年父・佐野利一と母・シズコさんの長女として生まれました。中国から引き揚げ終戦後、2つ違いの兄と2人の弟を亡くし、19歳の時に父親を亡くしました。そのときシズコさんは42歳、まだ一番下の妹は7歳でした。それからシズコさんは母子寮の寮母になり、女の手で4人の子どもを大学まで行かせます。自分が建てた家を弟の嫁に追い出され、認知症の症状が現れたシズコさんは自ら老人ホームへ入居します。

幼い頃、母に愛されていないと感じたときから母を愛せなくなり、ホームで最期を送る母を自業自得と思いつつ、自責の念で書いた本書は、娘から母への詫び状です。著書・『100万回生きたねこ』にでてくるとらねこはご本人でしょう。黒と白のしま模様のとらねこは母が何度も編み直してくれたセーターを着た佐野さんでしょう。一回も泣かなかったとらねこは洋子さんではありませんか。

がっしりして、太く赤かった母さんの手は、さき細りの白魚のような手になってしまいます。その小さな手を見つめて、母さんの生きてきた人生を思う佐野さんはあたたかい。母親との葛藤に苦しみ、その苦しみを乗り越えた佐野さんもまた、病床のひとになってしまいます。

佐野洋子さんの訃報を知り、『シズコさん』を読みました。佐野洋子さんは小さな子どもを3人連れた母さんのもとへ、静かに懐かしいそちら側へ旅立たれたことでしょう。合掌。

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4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2010/10/12 14:30

柔らかな眼差し

投稿者:野棘かな(女性|未指定) - この投稿者のレビュー一覧を見る

自分すら呆けはじめ、体も弱り、視力さえ衰えると、視界と同じで感情の振れ幅が狭くなり、物象は曖昧に見え、柔らかな眼差しで見えるようになる。
こんなこと、そのお歳になって書かなくてもいいのでは、枯れて楽になるはずの頃に、と、はじめは思いながら読んでいたが
柔らかい眼差しになった、その時だから、今だから書けるというタイミングなのだろうと理解した。
いくら、自分で自分を冷淡だと言っても、その時々に、わかりやすく書いたとしたら、生々しすぎて、奮って斬りおろした包丁で、逆に斬り返され、倍以上の力、倍以上の数の包丁がふりおろされ、あえなく絶命。
なんてことが、100万回とは言わなくても、何十回かあったかもしれない。そこまではいくらなんでもできないだろう。
今、佐野洋子さんがこれを書くなら、これはある意味遺書なのかもしれない。

けれど、私はそうは思わない。
って言うか、残念ながら、その域まで、佐野洋子さんの域まで達しなかったのだ。
なぜなら私の母は、61歳で亡くなったから、まだ呆けてはいなかったし、リュウマチという持病はあったがそこそこ元気だった。
だから、母と娘の立場が逆転もしなければ、弱みにつけこむことさえできず、一方的にジエンド、ピリオドがうたれた。
私は、老いていく生身の母を見続けることすら拒否され突き放された娘なのだ。
母との確執は据え置かれ、死んでもなお私を苦しめた。
羅針盤を失った船のように彷徨い、インナーチャイルド、アダルトチルドレン、自分を沈静、癒すことにかなりの時間を要した。
なのに、思い出の中の母は、まだ美しいままだし、年を追うごとにそぎ落とされいい人になる。

佐野洋子さんの生い立ちはうっすら知っていたが、今回の本で新たに知ったこともあり、改めて、混乱の人生だと思う。
はっきり、きっぱりした態度が逆の意味でやさしいし、何ものにもとらわれないように見える人生観は素敵だ。
母性本能が強くカンガルーのように1体だけを抱え込み回りが見えなくなるのはちょっといただけないが、切れやすい面、辛辣なところにも親近感が湧き、嫌いじゃない。
歯に衣着せぬ表現は愛情の裏返しとも言えるが、やさしくないのは本人の言葉通りという部分が読みとれるとやはりちょっと切なくもなる。

この本を読む人の反応は本当に千差万別だと思う。
人それぞれ違った見方ができる。
私のような見方もできれば、素直に自分の将来の姿だと思うかもしれないし、あきれる人もいれば、何言ってんの拒否とばかり中断する人もいるかもしれないし、泣いて癒される人もいるかもしれない。
でも、それらも含めすべて正しい読み方だと思う。
佐野洋子さんは
ただただ独り言のように書き綴り、こだわっていることは何度も何度もためらいもなく重複させて書き、ただ、綴る、それだけで、誰がどう思っても関係ないのだ。ただただ自分のために書いているのだから。

裏表紙の言葉「そして訪れたゆるしを見つめる物語」
結びの文章「静かで、懐かしいそちら側に、私も行く。ありがとう。すぐ行くからね」
そういう域に達したのでしょうか?佐野洋子さん。
佐野さんらしい結び方だとは思いますが、呆けていたし、臨終にも立ち会ってないから、たとえ、そちら側で会えたとしてもお母さんの反応は想像通りではないかもしれない。
ゆるしを共有していることを祈ります。

最後に、それでも、佐野洋子さんのお母様は尊敬できる素敵な方だと私は思う。

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